縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

晴れた日でもGMが見えない?

2006-02-23 21:58:09 | 海外で今
『晴れた日にはGMが見える』という本がある。もう30年近く前の本だ。ゼネラル・モータース(GM)の元副社長デロリアンによる同社の内幕暴露本である。誰それ?と思う方も多いだろうが、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でタイムマシンに使われた車のデザイナーとしても有名な人物である。
 当時はまだアメリカの自動車メーカーに元気があったが、本にはGMの大企業病というか、官僚的で疲弊した組織の話が描かれており、その後の日本の自動車メーカーの台頭とアメリカ・メーカーの衰退を暗示していたといえる。

 ご存知のように、今、世界最大の自動車メーカー・GMが経営危機にある。諸悪の根源として労働組合UAWの存在が挙げられている。GMがUAWに譲歩を続けた結果、GMの労働者は全米一の給与や医療・年金の給付水準を手に入れた。不思議だが、今のような状況になってもUAWが経営側に歩み寄る様子はない。会社があってこその従業員だと思うのだが。日本の多くの組合が給与より雇用を優先してきたのとはまったく違う。
また、GM凋落の原因としては、生産性が極めて低い(これもUAWが業務改善などの変化を拒否してきたことが大きい)、ガソリン多消費の大型車依存から脱却できず消費者ニーズの変化に対応できていない、ハイブリッド車はじめ研究開発が遅れている、等も理由に挙げられている。

 ここでおもしろいのはアメリカでGMを救おうという声が上がっていないことである。80年代に日本車の攻勢にあい経営危機に陥ったクライスラーを米国政府は救済した。しかし、今回は政府が救済に動く様子はない。この違いは何だろう。
 第一は政権の違い。クライスラーを救ったのは民主党のカーターである。これに対し今は共和党のブッシュ政権。労働者を地盤にする民主党と企業・富裕層を地盤にする共和党の違いがある。第二はアメリカ経済に対するインパクトの違い。即ち、経済が好調であり、かつ経済の中心が自動車産業などの製造業からITその他のサービス業へと変化しており、仮にGMが破綻してもアメリカ経済への影響は大きくないと考えられるのである。第三は国民のUAWへの厳しい視線ではないか。自らの税金を使って全米一恵まれた労働者の生活を維持する必要などはない。

 GMを蘇らせるには、デロリアンの車、タイムマシンに乗って時間を前に戻すしかないのだろうか。いや、今、ここで経営陣やUAWに良識を期待したい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。