縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
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「かんぽの宿」を政争に使うな!

2009-02-01 14:57:35 | 最近思うこと
 日本郵政は、29日、「かんぽの宿」の売却を凍結する旨発表した。簡単に折れてしまった日本郵政も日本郵政だが、私は鳩山総務相の責任というか見識を問いたい。

 まずは経緯をおさらいしよう。昨年の12月26日、日本郵政は「かんぽの宿」70施設と社宅9施設をオリックスに一括譲渡すると発表した。「かんぽの宿」は年間40億円の赤字事業である。民営化から5年以内の譲渡か廃止が法律で義務付けられていた。日本郵政は赤字事業からの早期撤退を図るべく、昨年4月より売却先の公募を行い、2度の入札を経てオリックスへの一括譲渡を決めたという。価格は108億8600万円、簿価126億円から負債を差し引いた純資産は93億円であり、それを上回る価格であった。
 加えて日本郵政は、譲渡の条件としてオリックスに640人の正社員の雇用継続と1年間の全施設の運営継続をのませたという。70施設のうち赤字の施設が59施設もあり、雇用継続が条件とあっては、オリックスといえども年間40億円の赤字縮小は難しいであろう。又、老朽化している施設も多いだろうし、黒字化のための追加投資は相当額に及ぶであろう。
 即ち、本件、日本郵政が民間企業であれば何の問題もない話である。いや、赤字事業を利益の出る形でよくぞ売り切った、といって褒められる話である。にも拘わらず、鳩山総務相が噛みついたのであった。

 次に、鳩山総務相が「どう考えてもおかしな話」、「納得の可能性ゼロ」とする論点を整理する。一つは手続き論。年末のオリックスへの譲渡発表について、所管大臣である自分は何も知らされていなかった。二つ目は売却時期と売却方法について。つまり、なぜ100年に一度ともいわれる不況の今売却するのか、なぜ地元資本に個別に売却するのではなく一括で売却するのか、という点である。三つ目はなぜオリックスなのか。相手が郵政民営化に係わった宮内会長のオリックスでは、国民は「出来レース」だと思うのではないか。最後は価格の問題。2400億円も掛けて建設した「かんぽの宿」がなぜ108億円なのか、安すぎるのではないか。

 一つ目は総務省の中の問題である。日本郵政は数日前に総務省に報告していたのだから、それを大臣に伝えなかった総務省内部の問題といえよう。
 二つ目の判断は難しい。確かに今売るより、もう少し後に売った方が高く売れるかもしれない。が、「かんぽの宿」は2012年9月までに売却しなくてはならず、それまでに不動産市況が回復する保証はない。又、その間、年40億円の赤字(不況の中でもっと拡大するかもしれないが)が続くのである。そう考えると今売ることがおかしいとは必ずしも言えない。
 一括売却か個別売却かについて。売却に要する事務負担やコストを考えると一括売却の方が楽である。事業の継続を前提としなければ、個別売却の方が高く売れるだろう。赤字の施設の多くは清算価値で評価され、建物はゼロ評価としても土地代では売れるからだ。が、この場合、正社員640人やパート従業員の雇用はどうなるだろう。ごく1部しか黒字の施設がないことを思えば、ほとんどの人が解雇されるであろう。売却価格の嵩上げを取るか、雇用の継続を取るか、の判断である。一括売却を選択した日本郵政を一概に責めることはできない。

 三つ目、逆に、なぜオリックスだといけないのであろうか。鳩山総務相の「直感」を信じろと言われてもそれは無理な話。しっかりした根拠を示してもらわないと困る。政治家の「直感」で入札手続きが否定されては、何を信じて良いのかわからなくなってしまうし、入札制度自体が歪められてしまうであろう。国民はバカではない。小泉-中川の改革路線を否定しようとする、鳩山-麻生のオリックスはずしこそが「出来レース」なのではないだろうか。
 最後に至っては論外である。まずは2400億円も掛けて儲からない施設を作ってしまった、更には赤字の運営しかできなかった、官のあり方こそ反省すべきであろう。多額の血税を無駄にしたのは郵政省・総務省に他ならないのである。

 この売却凍結により、郵政のリストラ、更に郵政民営化は大きく後退するであろう。果たして、それで良いのだろうか。郵政民営化が誤った選択だったというのであれば、それに代わる郵政事業のヴィジョンを示して欲しい。2400億円の建設費を無駄に使った、その二の舞はしないという確証が欲しい。

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