縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

遠いアフリカ ~ アフリカの貧困について

2009-02-03 00:43:42 | 海外で今
 昨年の夏、初めてアフリカ大陸を見た。スペインの最南端の町、タリファから、アフリカ大陸、そうモロッコを遠く眺めたのであった。距離にしてわずか15km。アフリカは遠いが、いつか海の向こう側に行ってみたい、と思った。
 近代的な都市になったカサブランカにイングリッド・バーグマンの『カサブランカ』の面影はないという。が、マレーネ・ディートリッヒの『モロッコ』の印象もあってモロッコはじめ北アフリカには異国情緒は勿論、どこか哀愁やロマンチックな思いを感じてしまう。

 しかし、現実のアフリカは厳しい。特にサハラ以南のアフリカの状況は目を覆うばかりである。貧困、飢餓、疫病そして内戦。国連の定める「後発開発途上国(LDP : Least Developed Countries )、即ち開発途上国の中で特に発展の遅れている国は世界で49カ国ある。内33カ国がアフリカ、それもサハラ以南にある。確かに厳しい暑さや乾季・雨季の存在など農業には不向きかもしれないが、アフリカにはダイアモンドやプラチナ等貴金属、コバルト、マンガン、バナジウム等レアメタルなどの鉱物資源が豊富にある。いずれも世界有数の埋蔵量を誇る。なのに、なぜアフリカは貧困から脱出できないのだろう。

 「欧米の植民地から独立したとはいえ未だに欧米資本の支配下にあるせいだ」、「長く植民地だったため優秀な人材が育っていなかった、教育が十分ではなかった」、「厳しい気候や自然環境のせいだ」、「独裁が悪い」、「共産主義が悪い」、「エイズのせいだ」等々、様々な理由をアフリカの貧困の理由として聞く。おそらくどれも正しいのだろう。
 が、理由はそれだけだろうか。既に多くのアフリカ諸国が独立して50年になろうとしている。それだけの時間があれば解決できた問題も多いはずだ。とすると「国づくり」の根本に何か問題があったのではないだろうか。

 実はそう思ったのはシンガポールに行ったときだった。シンガポールは、1965年の独立、ご存じのようにほぼ赤道直下に位置し、熱帯雨林気候である。多くのアフリカ諸国と条件は変わらない。それが一方は先進国の仲間入りをし、他方は多くが後発開発途上国のまま。この違いはどこから来るのだろう。
 無政府状態で海賊の横行するソマリアが特別なのではなく、ジンバブエ、コンゴ、ルワンダ、スーダンなどもさして状況は変わらない。そもそもこれらの国では、指導者が(大抵は独裁者であるが)自らのことしか考えず、国全体のこと、国づくりに何ら関心のないように見える。リー・クアンユーも自らの一族の利権を重視しているが、彼の場合、国の発展が最優先であった。シンガポールの発展があってこその、自らの繁栄であった。彼は国をないがしろにして自らの利権を求めるアフリカの独裁者とは一線を画している。

 優れた指導者の存在の有無、シンガポールと多くのアフリカ諸国の違いはそれだけだろうか。華人とアフリカ人の違い?それもあるかもしれない。もっとも、どちらが優秀だというのではなく、華人の方が長い歴史の中で商売に長けていた、慣れていた、という意味である。
 アフリカは部族間の対立が激しく、それが内戦に繋がったというが、シンガポールには民族間の対立がある。華人、マレー人、インド人と民族が違うほか宗教も違う。では、何が両者の決定的な違いなのであろう。

 それは「危機感」の有無ではないかと思う。シンガポールに天然資源はなく、更には水もない。水は対立する隣国マレーシアに依存していた。そんな小国がどう生き延びて行くか、そこからリー・クアンユーの国づくりが始まったのである。インフラの整備、外国資本の誘致、そして外交的には非同盟・武装中立でマレーシアの脅威に備えた。
 これに対し、独立後のアフリカ諸国に危機感は乏しかった。東西冷戦の中、米ソどちらかの陣営に与すれば他の侵略を受けることはないし、相応の支援も受けられた。つまり、内戦が起きようと国としては安泰だったのである。資源や農産物を売れば金も入ってくる。それを自らの懐に入れれば良い。おおよそこんな感じであろう。

 ゴルゴ13でも送ってアフリカの独裁者を暗殺すればアフリカの貧困問題は解決するだろうか。否。新たな独裁者が出てくるだけであろう。問題は変わらない。
 やはり教育により、人々の意識を変えるしかないと思う。最低限の生活を保証する一方で、無償での義務教育、留学生の受け入れ、あるいは教育者・指導者の派遣など、何年掛かるかわからないが、地道に努力するしかないであろう。
 僕は無力であるが、日本の皆が同じように考え、一歩、いや半歩でも踏み出せば、アフリカも何か変わるかもしれない。そう信じたい。

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