特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

偏微分方程式 ∂²U/∂x∂y-∂²U/∂x²-∂U/∂x=0 の一般解

2019-08-10 07:36:59 | 解析(微分方程式)

U(x,y) として、偏微分方程式
  ∂²U/∂x∂y-∂²U/∂x²-∂U/∂x=0・・・・①

の一般解を求める問題があった。

V=∂U/∂x=Ux とおく。すると①式は
  -Vx+Vy=V

これはラグランジュの微分方程式となる。補助方程式は
  dx/-1=dy/1=dV/V
となり、この解は d(log|V|-y)=d(x+y)=0 だから、V≠0 のとき、f を任意関数として、
一般解を陰関数表示すれば

  log|V|-y=f(x+y) → V=±exp(y)exp(f(x+y))
となる。exp(f(x+y))を改めて(省略した±と0も含めて)、任意関数 f(x+y)とおくと
  V=exp(y)f(x+y)
となる。V=Uxだから xで積分して、gを任意関数として
  U=∫exp(y)f(x+y)dx+g(y)=exp(y)∫f(x+y)dx+g(y)
となる。ここで、z=x+yと変数変換すると

  U=exp(y)∫f(z)dz+g(y)
さらに、∫f(z)dz を改めて、任意関数f(z)と置くと
  U=exp(y)f(z)+g(y)=exp(y)f(x+y)+g(y)
となる。

[追加]

 ∂u/∂x+∂u/∂y=2(x+y)u ・・・・・②
を解く。

w=x, z=x+y と変数変換する。連鎖律より

 ∂u/∂x=(∂u/∂w)(∂w/∂x)+(∂u/∂z)(∂z/∂x)=(∂u/∂w)1+(∂u/∂z)1=(∂u/∂w)+(∂u/∂z)
 ∂u/∂y=(∂u/∂w)(∂w/∂y)+(∂u/∂z)(∂z/∂y)=(∂u/∂w)0+(∂u/∂z)1=(∂u/∂z)
まとめると②は

 ∂u/∂w+2(∂u/∂z)=2zu
となり、補助方程式は

 dw/1=dz/2=du/2zu → z-2w=C₁ , log|u|-z²/2=C₂
このラプラスの方程式の一般解は
Φ(z-2w, log|u|-z²/2)=0
となる。

陰関数にして
 log|u|-z²/2=f(z-2w) → u=±exp{z²/2+f(z-2w)}
ここで fは任意関数だから、任意関数 g(g≠0)として f=log|g| とできるから
 u=±|g(z-2w)|exp{z²/2}
となる。つぎに、u=0も元の偏微分方程式の解だから、±|g| (g≠0) と u=0を合わせて、
改めて、fを任意関数として ±|g|,0 → f とすれば

 u=f(z-2w)exp(z²/2)=f(y-x)exp{(x+y)²/2}
となる。

以上


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漸化式 a[n+1]=√(a+a[n]) , a₁>0 の収束と極限

2019-08-07 21:04:06 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 漸化式
   a[n+1]=√(a+a[n]) , a,a₁>0 ・・・・・①
 の収束と極限を求める問題がある。一般には有界および単調性を使って述べられている。
 この場合、a₁,a が指定されていないと、その値によって、単調減少か単調増加の可能性が
 あり、少し面倒になる。このため、いずれの場合でも統一して議論できる方法を述べる。

2. 計算

 まず、
   a[n]>0・・・・・・・②
 は自明となる。 
 この数列が収束して極限をもてば、a[n+1],a[n]→xとなる、xが存在する。するとそのxは
 ①から
   x=√(a+x) → x²-x-a=0 ・・・・・③
  → x={1±√(1+4a)}/2
 しかし、②から極限は負にならないため、正のものを取って
   x={1+√(1+4a)}/2 (>1)・・・・④
 となるxを定める。以下では、この(極限値らしい)xを使って、議論する。

   |a[n+1]-x|=|√(a+a[n])-x|
     =|(a+a[n])-x²|/|√(a+a[n])+x|・・・(分子分母に|√(a+a[n])+x|を掛ける)
     =|a[n]-x|/|√(a+a[n])+x|・・・・・・(分子に③を使って)
     <|a[n]-x|/|(√a)+1|・・・・・・(√(a+a[n])>√a と➃を使って)     
 となる。ここで k=1/|(√a)+1| とおくと、k<1 である。

 上の漸化式は帰納的に
   |a[n+1]-x|<kⁿ|a₁-x| → 0 (n→∞)
 となる。したがって、a[n]→x となる。

3. 一般的な方法

 ③のxを使って、a₁<x の場合を説明する。この場合、
   a₁<x={1+√(1+4a)}/2 → 2a₁-1<√(1+4a) → 0<a+a₁-a₁²
 だから
   a₂-a₁=√(a+a₁)-a₁=(a+a₁-a₁²)/{√(a+a₁)+a₁}>0
   a[n+1]-a[n]=√(a+a[n])-√(a+a[n-1])
     ={(a+a[n])-(a+a[n-1])}/{√(a+a[n])+√(a+a[n-1])}
     =(a[n]-a[n-1])/{√(a+a[n])+√(a+a[n-1])}
 したがって、帰納的に a[n+1]-a[n]>0、つまり、a[n]は単調増加数列と分かる。

 つぎに、
   a[n+1]-x=√(a+a[n])-x=(a+a[n]-x²)/{√(a+a[n])+x}
      =(a[n]-x)/{√(a+a[n])+x}・・・・・(③から)
 n=1のとき、仮定から a₁<x なので、帰納的に、 a[n]<x となる。つまり、上に有界
 となる。したがって、上に有界な単調増加列 a[n]は収束する。

 a₁>xの場合も同様に議論できるが、①から下に有界は分かっている。

以上


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2次不等式の未知数の範囲に整数が含まれる条件

2019-08-06 17:34:15 | 算数

つぎの東大入試実戦模試の問題というのがあった。
[問題]
 xの2次不等式 2x²-4ax+a²-b≦0 が任意の実数aに対して、整数解をもつような実数bの
 範囲を求めよ。

 はじめ、問題の意味が分からなかったが、不等式の解 xはある範囲を持つが、その範囲に
 整数が含まれる条件を示せ。という意味だった。

[解]
 2x²-4ax+a²-b≦0 → 2(x-a)²-a²-b≦0 → 2(x-a)²≦a²+b 

 任意のaに対して、この式を満たすには、a=0とすると、
   b≧0・・・・・①
 である。したがって、aのよらず常にこれを満たす必要がある。このとき、2x²≦b だから
 必ず、x=0 という整数解がある。したがって、これ以降は
   a≠0・・・・・②
 で議論する。つぎに
   2x²-4ax+a²-b=0
 の解は

   x={2a±√(4a²-2(a²-b))}/2=a±{√(2a²+2b)}/2
 となる。
 したがって、①②から重根も無く、2つの実根となり、それをα、β(α≦β)とすると
   α=a-{√(2a²+2b)}/2 , β=a+{√(2a²+2b)}/2
   β-α=√(2a²+2b)
 となる。不等式は 2(x-α)(x-β)≦0 となり、解の範囲は
   α≦x≦β
 となる。つまり、xの範囲は、x=a を中心として、幅(β-α) の間にある。

1. |a|≧1 とすると
   β-α=√(2a²+2b)≧√(2+2b)>1
 となる。つまり、aが整数の間のどこにあろうと(β-α)の範囲は必ず、xは整数を含む。し
 たがって、任意のaのうち、|a|<1の範囲を考えればよい。

2. 1/2≦|a|<1 のとき・・・・③
 このとき、aからの距離の短い整数は±1で、その距離は 1-|a| となる。つまり aが変化し
 ても常に
   (β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧1-|a|
 を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
   b≧(|a|-2)²-2
 となるが、③の範囲で右辺の最大値はグラフから明らに、|a|=1/2 での1/4だから
   b≧1/4・・・・・④
 となる。

3. 0<|a|≦1/2・・・・・⑤
 このとき、aからの距離の短い整数は 0で、その距離は |a| となる。つまり aが変化しても
 常に

   (β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧|a|
 を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
   b≧a²
 となるが、⑤の範囲で右辺の最大値は明らかに |a|=1/2 での1/4だから
   b≧1/4・・・・・⑥
 となる。

4.
 以上の、①➃⑥から
   b≧1/4
 とすればよい。

以上


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