つぎの東大入試実戦模試の問題というのがあった。
[問題]
xの2次不等式 2x²-4ax+a²-b≦0 が任意の実数aに対して、整数解をもつような実数bの
範囲を求めよ。
はじめ、問題の意味が分からなかったが、不等式の解 xはある範囲を持つが、その範囲に
整数が含まれる条件を示せ。という意味だった。
[解]
2x²-4ax+a²-b≦0 → 2(x-a)²-a²-b≦0 → 2(x-a)²≦a²+b
任意のaに対して、この式を満たすには、a=0とすると、
b≧0・・・・・①
である。したがって、aのよらず常にこれを満たす必要がある。このとき、2x²≦b だから
必ず、x=0 という整数解がある。したがって、これ以降は
a≠0・・・・・②
で議論する。つぎに
2x²-4ax+a²-b=0
の解は
x={2a±√(4a²-2(a²-b))}/2=a±{√(2a²+2b)}/2
となる。
したがって、①②から重根も無く、2つの実根となり、それをα、β(α≦β)とすると
α=a-{√(2a²+2b)}/2 , β=a+{√(2a²+2b)}/2
β-α=√(2a²+2b)
となる。不等式は 2(x-α)(x-β)≦0 となり、解の範囲は
α≦x≦β
となる。つまり、xの範囲は、x=a を中心として、幅(β-α) の間にある。
1. |a|≧1 とすると
β-α=√(2a²+2b)≧√(2+2b)>1
となる。つまり、aが整数の間のどこにあろうと(β-α)の範囲は必ず、xは整数を含む。し
たがって、任意のaのうち、|a|<1の範囲を考えればよい。
2. 1/2≦|a|<1 のとき・・・・③
このとき、aからの距離の短い整数は±1で、その距離は 1-|a| となる。つまり aが変化し
ても常に
(β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧1-|a|
を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
b≧(|a|-2)²-2
となるが、③の範囲で右辺の最大値はグラフから明らに、|a|=1/2 での1/4だから
b≧1/4・・・・・④
となる。
3. 0<|a|≦1/2・・・・・⑤
このとき、aからの距離の短い整数は 0で、その距離は |a| となる。つまり aが変化しても
常に
(β-α)/2={√(2a²+2b)}/2≧|a|
を満たす bを求めればよい。両辺を2乗して整理すると
b≧a²
となるが、⑤の範囲で右辺の最大値は明らかに |a|=1/2 での1/4だから
b≧1/4・・・・・⑥
となる。
4.
以上の、①➃⑥から
b≧1/4
とすればよい。
以上