1. まえがき
「電気モグラ」、「世界一簡単な構造の電車」などという題名で、ボタン磁石を両端につけた
乾電池が、導体コイル中を運動する動画がたくさんある。しかし、ほとんど動作原理の説明が
無く、説明している動画も簡単すぎて疑問がある。
(1) コイルの磁界を磁極で説明しているが、磁性体の内部とは異なり、空芯コイルの内部の
磁界の方向は磁性体とは逆。つまり、コイルの外に「電車」を置いた時、逆方向に運動す
る説明が苦しい。というのは、どのような磁極と等価が難しい。
(2) ボタン電池は一つの磁極だけではなく、NSの2つの磁極が接近して存在し、この説明が
抜けている。
2. 設定
・ 怠惰なため実験での確認はできないが、動画から以下の推定をした。
・ コイルは裸導線で電池の接触によって電流が流れるが、ピッチ間でショートしないように
設定される。
・ ボタン電池はネオジウム磁石で導体でもある。電池の各極に同じ極を付ける(電池の極は
は磁性体である)。これらの吸着した部分は1つのNS極を持つ磁石となる。電池の内部の
黒鉛棒は磁性体でなく、両端は同一極なので無視してよい。つまり、両端にNS極が接近し
て存在する。
・ 電池の電流により、電池の負方向に向かう磁界ができるようにコイルがまかれている。
・ なお、磁界Hと磁荷mがあると F=mH という力が働く。
3. 考察
(1) 磁界を作るリング電流は電池の長さの範囲にあり、当然、電池の中心で大きく、両端に行
くにしたがって小さくなる。その変化は電池の両端で大きい。
(2) すると、図1のように両端のS極の力より、N極の力が大きい。その差によって、右方向の
力が働き、右方向に移動する。もし、これが正しければ、電池でない棒に磁石をつけ、長い
コイルの両端に電流を流すと、ほとんど動かないはずである。多分、入り口で引き込まれて
中に入った後、すぐ停止する。
(3) このことから、一方の端のNSを入替えると、力が反対方向になり、キャンセルされ、ほぼ
力が働かないことがわかる。さらに、両側ともにNSを逆にすると、逆方向の力が働き、左方
向に移動することがわかる。
(4) 以上のことから、磁石を重ねても、両端の磁荷はあまり変わらない。しかし、NS極の間隔
が離れるので、力の差は大きくなるはずで働く力は大きくなる。
(5) 最後に、図2のように、コイルの外側に乗せたときどうなるか。当然、磁界の向きは逆で小
さくなっている。だから、速度は小さく、移動方向は反対となる。
以上
[2019/9/13] 動画の追加、説明の修正。
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