特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

関数表記の欠点

2020-07-12 08:04:56 | 解析

1. まえがき

 関数表記 f(x) には、不明確さに起因する不具合が発生する。この要因は f(x)が関数を
 指すか値を指すかの区別ができないことにある。その例を示す。

2. 微分の不具合

 関数 f(x,y) としたとき、f(x²y, x+2y) の偏微分を
    (∂/∂x)f(x²y, x+2y)=fx(x²y, x+2y)2xy , (∂/∂y)f(x²y, x+2y)=fy(x²y, x+2y)2
 と書いたりする。しかし、正確には
    u=x²y ,  v=x+2y
 と変数変換したとして、連鎖律から
    (∂/∂x)f(x²y, x+2y)=fu(u, v)2xy={ fu(u, v)(u=x²y, v=x+2y) }2xy
    (∂/∂y)f(x²y, x+2y)=fv(u, v)2={ fv(u, v)(u=x²y, v=x+2y) }2
 のことである。

 昔、関数表記として
    f(▢₁, ▢₂)
 という表現を見たことがある。これを使えば
    (∂/∂x)f(x²y, x+2y)=f₁(▢₁, ▢₂)(▢₁=x²y, ▢₂=x+2y)2xy
    (∂/∂y)f(x²y, x+2y)=f₂(▢₁, ▢₂)(▢₁=x²y, ▢₂=x+2y)2
 として、u,vを使わなくても良い。

 ただ、こんなことをしていたら、面倒なだけでなので、結局、注意しながら、使う
 しかない。

3. あとがき

 ミクシンスキーの演算子法ではこのような不明確さのため関数を {f(x)}で表し、値と
 区別していた。

以上



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