1. まえがき
関数表記 f(x) には、不明確さに起因する不具合が発生する。この要因は f(x)が関数を
指すか値を指すかの区別ができないことにある。その例を示す。
2. 微分の不具合
関数 f(x,y) としたとき、f(x²y, x+2y) の偏微分を
(∂/∂x)f(x²y, x+2y)=fx(x²y, x+2y)2xy , (∂/∂y)f(x²y, x+2y)=fy(x²y, x+2y)2
と書いたりする。しかし、正確には
u=x²y , v=x+2y
と変数変換したとして、連鎖律から
(∂/∂x)f(x²y, x+2y)=fu(u, v)2xy={ fu(u, v)(u=x²y, v=x+2y) }2xy
(∂/∂y)f(x²y, x+2y)=fv(u, v)2={ fv(u, v)(u=x²y, v=x+2y) }2
のことである。
昔、関数表記として
f(▢₁, ▢₂)
という表現を見たことがある。これを使えば
(∂/∂x)f(x²y, x+2y)=f₁(▢₁, ▢₂)(▢₁=x²y, ▢₂=x+2y)2xy
(∂/∂y)f(x²y, x+2y)=f₂(▢₁, ▢₂)(▢₁=x²y, ▢₂=x+2y)2
として、u,vを使わなくても良い。
ただ、こんなことをしていたら、面倒なだけでなので、結局、注意しながら、使う
しかない。
3. あとがき
ミクシンスキーの演算子法ではこのような不明確さのため関数を {f(x)}で表し、値と
区別していた。
以上
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