こんな季節の夕暮れに

　夕暮れなり。部屋の電気をつけた。

　昼過ぎに海へ行った。1時間ほどサイクリングし、1時間ほどのんびりする。ひとりのときは、このパターンが多い。出かける前、部屋の窓から見た空がとても青かったので「およ、まだ夏じゃんよ」と思ったんだけど、やっぱりそんなことはなく、海には涼しい風が吹いていた。陽射しは弱まり、雲も形を変えていた。海の家は解体作業が始まっていた。赤トンボも飛んでいた。ボードウォークに横になってみれば、空が高くなったことがよくわかる。それに合わせて、トンビもだいぶ高いところを旋回するようになった。

　で、僕はといえば、夏と同じかっこうで、夏と同じことをしていた。

　ちょうど帰るときに、浜辺に小さな竜巻きが発生した。小さかったけど、それは確かに竜巻きで、小さいなりに小さいものを飲み込み、巻き上げながら、砂浜を斜めに横切った。そして、階段をのぼり切ったところで、力尽きた。

　僕はそんな竜巻きの最後を、夏と同じかっこうで、夏と同じような顔で、眺めていた。

　先日の日記に「ディランの新作には英語の歌詞がついてない」と書いたところ、とある方がメールで歌詞を全曲送ってくれた。なんだかとても嬉しかった。歌詞をもらえたことはもちろん、こうして気にかけていただいたことに感謝している。

　だから、今夜もディランを聴く。『Modern Times』を。「なかなかいいアルバムですね」とその人のメールには書いてあった。僕もそう思っている。

　今は夕暮れなり。窓の外はもう薄暗いけど、まだ夜じゃない。