EG47の続きです。EG41では、文を文の中に組み込むという仕組みを見ました。そのときに、組み込まれた側の文の先頭には、‘that’がくっ付く、という話をしましたが、今回は、その‘that’と疑問詞の移動の、ちょっとした関係に関するお話です。以下、見ましょう。
(1) a. I think [ that John loves Susan ]. ([ ジョンはスーザンが好きだと ] 思うよ。)
b. Who do you think [ that John loves _ ] ? ([ ジョンは誰が好きだと ] 思う?)
(1a)の文をもとにして、疑問文(1b)をつくってみました。英語では、日本語とは違って、疑問詞(‘who’、‘what’、‘when’、‘where’、‘how’、など)を使った疑問文をつくる際には、その疑問詞が、文の先頭に位置するという特徴がありました。
(1b)は、「はい、いいえ」ではなく、‘who’「誰」に対して、例えば、「スーザンだよ。」というように、直接、疑問詞できかれた内容に、答えるような疑問文です。英語では、このような疑問文をつくる場合、疑問詞が、文の最も先頭に移動しますので、(1b)でも、そのようになっています。今回は、こういった現象に関して、もう少し例を足して、詳しく見てみましょう。
(2) I think [ that John studies English effectively ].
([ ジョンは英語を、効率よく、勉強してると ] 思うよ。)
(3) a. What do you think [ that John studies _ effectively ] ? (〇)
([ ジョンは何を、効率よく、勉強してると ] 思う?)
b. How do you think [ that John studies English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、どう、勉強してると ] 思う?)
(2)の文をもとにして、(3a-b)という、2つの疑問文をつくってみました。(3a)では、(2)の、カギカッコ内(組み込まれた文)の目的語、‘English’「英語」が、‘what’「何」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(3b)では、(2)のカギカッコ内にある、副詞の‘effectively’「効果的に、効率よく」が、‘how’「どう、どのように」に変わって、文の先頭に移動していますが、これもやっぱり、OKですね。以下、まだまだ、続きます。
(4) a. I think [ that John studied English yesterday ].
([ ジョンは英語を、昨日は、勉強してたと ] 思うよ。)
b. When do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、いつ、勉強してたと ] 思う?)
(5) a. I think [ that John studied English in the room ].
([ ジョンは英語を、その部屋で、勉強してたと ] 思うよ。)
b. Where do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、どこで、勉強してたと ] 思う?)
(4b)では、(4a)の、カギカッコ内の副詞、‘yesterday’「昨日」が、‘when’「いつ」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(5b)では、(5a)のカギカッコ内にある、副詞句の‘in the room’「その部屋で」が、‘where’「どこで」に変わって、文の先頭に移動しています。うん、これもやっぱり、OKですね。
以下、まだ、続きます・・・。って、もう、エエかげんにせんかい!おい、一体、何を考えとるんじゃい、ワリャ~。い、いや、ちょっと、待って下さい。もうちょっとだけ、付きあっていただけませんか。決して、損なお話しはいたしませんから。では、以下、見ましょう。
(6) a. I think [ that John studied English ].
([ ジョンは、英語を勉強してたと ] 思うよ。)
b. Who do you think [ that _ studied English ] ? (×)
([ 誰が、英語を勉強してたと ] 思う?)
ん・・・?(6b)はアウト?おお!そう来たか!今回のオチはよくわかった。カギカッコ内(組み込まれた文)の、「主語」に相当するものだけは、その外に移動したらイカンということじゃな?ん・・・、まあ、(6b)からは、そういうことなんですけど、ちょっと、結論は、あとまわしにして、以下の例も、あわせて見てほしいんです。
(7) a. Nancy said [ that <fortunately> John had passed the exam ].
(ナンシーは、[ <運良く>、ジョンは試験に受かったと ] 言った。)
b. Who did Nancy say [ that <fortunately> _ had passed the exam ] ? (〇)
(ナンシーは、[ <運良く>、誰が試験に受かったと ] 言ったんだい?)
ん?(7a)の文から、カギカッコ内の「主語」である、‘John’「ジョン」を、‘who’「誰」にかえて、その外、つまり、文の先頭に移動させると、(7b)のようになるんですが、何と、これが、OKなんですね。ですので、(6b)がアウトになった原因を、カギカッコ内の、「主語」に求める、というのは、ひとまず置いといて、ちょっと、他の要因を求めた方がよいのではないかと思うんです。
そこで、(7a-b)では、カギカッコ内の‘that’の直後に、副詞<fortunately>「運良く、幸運にも」、があることに注意してみて下さい。一方、(6b)では、‘that’の直後に、そういったものがありませんね。そこで、実は、英語には、以下のようなルールがあるんです。
(8)組み込まれた文(‘that’節)をつくる‘that’の「直後」には、
移動によってつくられた空所(空家)があってはならない。
ルール(8)を意識して、(6b)を、もう一度、よく確認すればわかると思いますが、‘that’の直後に、‘who’が移動したあとに残された空所(空家)がありますので、ルール(8)に、もろに違反しています。一方、(7b)では、‘that’と空所の間に<fortunately>が、はさまっていますので、OKとなるわけですね。
つまり、カギカッコ内(‘that’節内)の「主語」が、その外に移動すること自体は、何も悪いことではなく、移動したあとに残された「形跡」、つまり、移動したあとの、主語位置の「空所が、‘that’と隣り合っている」、というのが、アウトになる本当の原因なんです。
じゃ、(6b)のかわりになるような意味の文は、どうやって表現すればいいんだ、ということになるんですが、それは意外と簡単で、要は、‘that’と移動による空所が、隣り合わせに、ならなければよいわけですから、(6b)から、‘that’を消去してやればいいんです。
(9) Who do you think [ _ studied English ] ? (〇) (訳同(6b))
(9)は(6b)のカギカッコ内から、‘that’を取り去った文ですが、OKになりました。やはり、ルール(8)は、確かに成り立つようですね。ここで、ちょっとした注意点になりますが、(7b)の例が、OKになっていることから、主語の疑問詞が移動したあと、‘that’の直後に、副詞があれば、ルール(8)をいつでも回避することができる、と勘違いしないようにして下さい。
(10)a. I think [ that the monster <completely>destroyed the city ].
([ あの怪物が<すっかり>街を破壊したんだと ] 思う。)
b. Who do you think [ that _ <completely>destroyed the city ] ? (×)
([ どこのどいつが<すっかり>街を破壊したと ] 思ってるのよ?)
(10b)のような文では、‘that’の直後に副詞があってもアウトになります。これは、もうおわかりになるかと思いますが、副詞のもともとの位置が問題なんですね。<completely>「完全に、すっかり」のような副詞は、<fortunately>「運良く、幸運にも」のように、主語の前にあるものではなく、主語の後に置くのが、通常の使い方になるので、それだと、‘that’と、疑問詞の移動によって残された空所の間に、邪魔ものが割って入ったことにならないので、結局、‘that’と空所が、隣り合っていることになってしまい、アウトになってしまうんですね。
今回のポイントは、EG49のテーマと同様に、やはり、英語における、疑問詞の義務的な移動と、それを阻止しようとするもの、という、相反する要素が同居する、英語のヘソ曲がり性です。一見、組み込まれた文の、主語そのものに、アウトとなる責任があるかと思われがちな、‘that’節内からの移動現象は、実は、‘that’と移動後に残された空所との「位置関係」に、その、可能・不可能の原因があったという点で、意表を突くトリックが仕組まれていました。
しかし、この問題を回避する方法は、‘that’を消去してしまえば、あっさりと解決してしまう、という点で、扱い自体は、手のかかるものではなく、とても簡単に処理できるものです。この点、実用英語を学ぶ上では、一見、知っていなくても、さして問題とはならない現象のように見えるのですが、しかし、今回扱った内容は、実は、ここから端を発する、より大きな問題の伏線に過ぎません。続きは、またの機会になりますが、このことを、ちょっとだけアタマの片すみにでも置いておいて下さい。
●関連: EG41、EG47、EG49
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(1) a. I think [ that John loves Susan ]. ([ ジョンはスーザンが好きだと ] 思うよ。)
b. Who do you think [ that John loves _ ] ? ([ ジョンは誰が好きだと ] 思う?)
(1a)の文をもとにして、疑問文(1b)をつくってみました。英語では、日本語とは違って、疑問詞(‘who’、‘what’、‘when’、‘where’、‘how’、など)を使った疑問文をつくる際には、その疑問詞が、文の先頭に位置するという特徴がありました。
(1b)は、「はい、いいえ」ではなく、‘who’「誰」に対して、例えば、「スーザンだよ。」というように、直接、疑問詞できかれた内容に、答えるような疑問文です。英語では、このような疑問文をつくる場合、疑問詞が、文の最も先頭に移動しますので、(1b)でも、そのようになっています。今回は、こういった現象に関して、もう少し例を足して、詳しく見てみましょう。
(2) I think [ that John studies English effectively ].
([ ジョンは英語を、効率よく、勉強してると ] 思うよ。)
(3) a. What do you think [ that John studies _ effectively ] ? (〇)
([ ジョンは何を、効率よく、勉強してると ] 思う?)
b. How do you think [ that John studies English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、どう、勉強してると ] 思う?)
(2)の文をもとにして、(3a-b)という、2つの疑問文をつくってみました。(3a)では、(2)の、カギカッコ内(組み込まれた文)の目的語、‘English’「英語」が、‘what’「何」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(3b)では、(2)のカギカッコ内にある、副詞の‘effectively’「効果的に、効率よく」が、‘how’「どう、どのように」に変わって、文の先頭に移動していますが、これもやっぱり、OKですね。以下、まだまだ、続きます。
(4) a. I think [ that John studied English yesterday ].
([ ジョンは英語を、昨日は、勉強してたと ] 思うよ。)
b. When do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、いつ、勉強してたと ] 思う?)
(5) a. I think [ that John studied English in the room ].
([ ジョンは英語を、その部屋で、勉強してたと ] 思うよ。)
b. Where do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
([ ジョンは英語を、どこで、勉強してたと ] 思う?)
(4b)では、(4a)の、カギカッコ内の副詞、‘yesterday’「昨日」が、‘when’「いつ」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(5b)では、(5a)のカギカッコ内にある、副詞句の‘in the room’「その部屋で」が、‘where’「どこで」に変わって、文の先頭に移動しています。うん、これもやっぱり、OKですね。
以下、まだ、続きます・・・。って、もう、エエかげんにせんかい!おい、一体、何を考えとるんじゃい、ワリャ~。い、いや、ちょっと、待って下さい。もうちょっとだけ、付きあっていただけませんか。決して、損なお話しはいたしませんから。では、以下、見ましょう。
(6) a. I think [ that John studied English ].
([ ジョンは、英語を勉強してたと ] 思うよ。)
b. Who do you think [ that _ studied English ] ? (×)
([ 誰が、英語を勉強してたと ] 思う?)
ん・・・?(6b)はアウト?おお!そう来たか!今回のオチはよくわかった。カギカッコ内(組み込まれた文)の、「主語」に相当するものだけは、その外に移動したらイカンということじゃな?ん・・・、まあ、(6b)からは、そういうことなんですけど、ちょっと、結論は、あとまわしにして、以下の例も、あわせて見てほしいんです。
(7) a. Nancy said [ that <fortunately> John had passed the exam ].
(ナンシーは、[ <運良く>、ジョンは試験に受かったと ] 言った。)
b. Who did Nancy say [ that <fortunately> _ had passed the exam ] ? (〇)
(ナンシーは、[ <運良く>、誰が試験に受かったと ] 言ったんだい?)
ん?(7a)の文から、カギカッコ内の「主語」である、‘John’「ジョン」を、‘who’「誰」にかえて、その外、つまり、文の先頭に移動させると、(7b)のようになるんですが、何と、これが、OKなんですね。ですので、(6b)がアウトになった原因を、カギカッコ内の、「主語」に求める、というのは、ひとまず置いといて、ちょっと、他の要因を求めた方がよいのではないかと思うんです。
そこで、(7a-b)では、カギカッコ内の‘that’の直後に、副詞<fortunately>「運良く、幸運にも」、があることに注意してみて下さい。一方、(6b)では、‘that’の直後に、そういったものがありませんね。そこで、実は、英語には、以下のようなルールがあるんです。
(8)組み込まれた文(‘that’節)をつくる‘that’の「直後」には、
移動によってつくられた空所(空家)があってはならない。
ルール(8)を意識して、(6b)を、もう一度、よく確認すればわかると思いますが、‘that’の直後に、‘who’が移動したあとに残された空所(空家)がありますので、ルール(8)に、もろに違反しています。一方、(7b)では、‘that’と空所の間に<fortunately>が、はさまっていますので、OKとなるわけですね。
つまり、カギカッコ内(‘that’節内)の「主語」が、その外に移動すること自体は、何も悪いことではなく、移動したあとに残された「形跡」、つまり、移動したあとの、主語位置の「空所が、‘that’と隣り合っている」、というのが、アウトになる本当の原因なんです。
じゃ、(6b)のかわりになるような意味の文は、どうやって表現すればいいんだ、ということになるんですが、それは意外と簡単で、要は、‘that’と移動による空所が、隣り合わせに、ならなければよいわけですから、(6b)から、‘that’を消去してやればいいんです。
(9) Who do you think [ _ studied English ] ? (〇) (訳同(6b))
(9)は(6b)のカギカッコ内から、‘that’を取り去った文ですが、OKになりました。やはり、ルール(8)は、確かに成り立つようですね。ここで、ちょっとした注意点になりますが、(7b)の例が、OKになっていることから、主語の疑問詞が移動したあと、‘that’の直後に、副詞があれば、ルール(8)をいつでも回避することができる、と勘違いしないようにして下さい。
(10)a. I think [ that the monster <completely>destroyed the city ].
([ あの怪物が<すっかり>街を破壊したんだと ] 思う。)
b. Who do you think [ that _ <completely>destroyed the city ] ? (×)
([ どこのどいつが<すっかり>街を破壊したと ] 思ってるのよ?)
(10b)のような文では、‘that’の直後に副詞があってもアウトになります。これは、もうおわかりになるかと思いますが、副詞のもともとの位置が問題なんですね。<completely>「完全に、すっかり」のような副詞は、<fortunately>「運良く、幸運にも」のように、主語の前にあるものではなく、主語の後に置くのが、通常の使い方になるので、それだと、‘that’と、疑問詞の移動によって残された空所の間に、邪魔ものが割って入ったことにならないので、結局、‘that’と空所が、隣り合っていることになってしまい、アウトになってしまうんですね。
今回のポイントは、EG49のテーマと同様に、やはり、英語における、疑問詞の義務的な移動と、それを阻止しようとするもの、という、相反する要素が同居する、英語のヘソ曲がり性です。一見、組み込まれた文の、主語そのものに、アウトとなる責任があるかと思われがちな、‘that’節内からの移動現象は、実は、‘that’と移動後に残された空所との「位置関係」に、その、可能・不可能の原因があったという点で、意表を突くトリックが仕組まれていました。
しかし、この問題を回避する方法は、‘that’を消去してしまえば、あっさりと解決してしまう、という点で、扱い自体は、手のかかるものではなく、とても簡単に処理できるものです。この点、実用英語を学ぶ上では、一見、知っていなくても、さして問題とはならない現象のように見えるのですが、しかし、今回扱った内容は、実は、ここから端を発する、より大きな問題の伏線に過ぎません。続きは、またの機会になりますが、このことを、ちょっとだけアタマの片すみにでも置いておいて下さい。
●関連: EG41、EG47、EG49
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