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英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(59)

2005年02月26日 | 変形
EG47の続きです。EG41では、文を文の中に組み込むという仕組みを見ました。そのときに、組み込まれた側の文の先頭には、‘that’がくっ付く、という話をしましたが、今回は、その‘that’と疑問詞の移動の、ちょっとした関係に関するお話です。以下、見ましょう。

(1) a. I think [ that John loves Susan ]. ([ ジョンはスーザンが好きだと ] 思うよ。)
   b. Who do you think [ that John loves _ ] ? ([ ジョンは誰が好きだと ] 思う?)

(1a)の文をもとにして、疑問文(1b)をつくってみました。英語では、日本語とは違って、疑問詞(‘who’、‘what’、‘when’、‘where’、‘how’、など)を使った疑問文をつくる際には、その疑問詞が、文の先頭に位置するという特徴がありました。

(1b)は、「はい、いいえ」ではなく、‘who’「誰」に対して、例えば、「スーザンだよ。」というように、直接、疑問詞できかれた内容に、答えるような疑問文です。英語では、このような疑問文をつくる場合、疑問詞が、文の最も先頭に移動しますので、(1b)でも、そのようになっています。今回は、こういった現象に関して、もう少し例を足して、詳しく見てみましょう。

(2) I think [ that John studies English effectively ].
   ([ ジョンは英語を、効率よく、勉強してると ] 思うよ。)

(3) a. What do you think [ that John studies _ effectively ] ? (〇)
   ([ ジョンは何を、効率よく、勉強してると ] 思う?)
   
   b. How do you think [ that John studies English _ ] ? (〇)
   ([ ジョンは英語を、どう、勉強してると ] 思う?)

(2)の文をもとにして、(3a-b)という、2つの疑問文をつくってみました。(3a)では、(2)の、カギカッコ内(組み込まれた文)の目的語、‘English’「英語」が、‘what’「何」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(3b)では、(2)のカギカッコ内にある、副詞の‘effectively’「効果的に、効率よく」が、‘how’「どう、どのように」に変わって、文の先頭に移動していますが、これもやっぱり、OKですね。以下、まだまだ、続きます。

(4) a. I think [ that John studied English yesterday ].
   ([ ジョンは英語を、昨日は、勉強してたと ] 思うよ。)

   b. When do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
   ([ ジョンは英語を、いつ、勉強してたと ] 思う?)

(5) a. I think [ that John studied English in the room ].
   ([ ジョンは英語を、その部屋で、勉強してたと ] 思うよ。)

   b. Where do you think [ that John studied English _ ] ? (〇)
   ([ ジョンは英語を、どこで、勉強してたと ] 思う?)

(4b)では、(4a)の、カギカッコ内の副詞、‘yesterday’「昨日」が、‘when’「いつ」に変わって、文の先頭に移動しています。そして、OKになっていますね。一方、(5b)では、(5a)のカギカッコ内にある、副詞句の‘in the room’「その部屋で」が、‘where’「どこで」に変わって、文の先頭に移動しています。うん、これもやっぱり、OKですね。

以下、まだ、続きます・・・。って、もう、エエかげんにせんかい!おい、一体、何を考えとるんじゃい、ワリャ~。い、いや、ちょっと、待って下さい。もうちょっとだけ、付きあっていただけませんか。決して、損なお話しはいたしませんから。では、以下、見ましょう。

(6) a. I think [ that John studied English ].
   ([ ジョンは、英語を勉強してたと ] 思うよ。)

   b. Who do you think [ that _ studied English ] ? (×)
   ([ 誰が、英語を勉強してたと ] 思う?)

ん・・・?(6b)はアウト?おお!そう来たか!今回のオチはよくわかった。カギカッコ内(組み込まれた文)の、「主語」に相当するものだけは、その外に移動したらイカンということじゃな?ん・・・、まあ、(6b)からは、そういうことなんですけど、ちょっと、結論は、あとまわしにして、以下の例も、あわせて見てほしいんです。

(7) a. Nancy said [ that <fortunately> John had passed the exam ].
   (ナンシーは、[ <運良く>、ジョンは試験に受かったと ] 言った。)

   b. Who did Nancy say [ that <fortunately> _ had passed the exam ] ? (〇)
   (ナンシーは、[ <運良く>、誰が試験に受かったと ] 言ったんだい?)

ん?(7a)の文から、カギカッコ内の「主語」である、‘John’「ジョン」を、‘who’「誰」にかえて、その外、つまり、文の先頭に移動させると、(7b)のようになるんですが、何と、これが、OKなんですね。ですので、(6b)がアウトになった原因を、カギカッコ内の、「主語」に求める、というのは、ひとまず置いといて、ちょっと、他の要因を求めた方がよいのではないかと思うんです。

そこで、(7a-b)では、カギカッコ内の‘that’の直後に、副詞<fortunately>「運良く、幸運にも」、があることに注意してみて下さい。一方、(6b)では、‘that’の直後に、そういったものがありませんね。そこで、実は、英語には、以下のようなルールがあるんです。

(8)組み込まれた文(‘that’節)をつくる‘that’の「直後」には、
  移動によってつくられた空所(空家)があってはならない。

ルール(8)を意識して、(6b)を、もう一度、よく確認すればわかると思いますが、‘that’の直後に、‘who’が移動したあとに残された空所(空家)がありますので、ルール(8)に、もろに違反しています。一方、(7b)では、‘that’と空所の間に<fortunately>が、はさまっていますので、OKとなるわけですね。

つまり、カギカッコ内(‘that’節内)の「主語」が、その外に移動すること自体は、何も悪いことではなく、移動したあとに残された「形跡」、つまり、移動したあとの、主語位置の「空所が、‘that’と隣り合っている」、というのが、アウトになる本当の原因なんです。

じゃ、(6b)のかわりになるような意味の文は、どうやって表現すればいいんだ、ということになるんですが、それは意外と簡単で、要は、‘that’と移動による空所が、隣り合わせに、ならなければよいわけですから、(6b)から、‘that’を消去してやればいいんです。

(9) Who do you think [ _ studied English ] ? (〇) (訳同(6b))

(9)は(6b)のカギカッコ内から、‘that’を取り去った文ですが、OKになりました。やはり、ルール(8)は、確かに成り立つようですね。ここで、ちょっとした注意点になりますが、(7b)の例が、OKになっていることから、主語の疑問詞が移動したあと、‘that’の直後に、副詞があれば、ルール(8)をいつでも回避することができる、と勘違いしないようにして下さい。

(10)a. I think [ that the monster <completely>destroyed the city ].
    ([ あの怪物が<すっかり>街を破壊したんだと ] 思う。)

   b. Who do you think [ that _ <completely>destroyed the city ] ? (×)
    ([ どこのどいつが<すっかり>街を破壊したと ] 思ってるのよ?)

(10b)のような文では、‘that’の直後に副詞があってもアウトになります。これは、もうおわかりになるかと思いますが、副詞のもともとの位置が問題なんですね。<completely>「完全に、すっかり」のような副詞は、<fortunately>「運良く、幸運にも」のように、主語の前にあるものではなく、主語の後に置くのが、通常の使い方になるので、それだと、‘that’と、疑問詞の移動によって残された空所の間に、邪魔ものが割って入ったことにならないので、結局、‘that’と空所が、隣り合っていることになってしまい、アウトになってしまうんですね。

今回のポイントは、EG49のテーマと同様に、やはり、英語における、疑問詞の義務的な移動と、それを阻止しようとするもの、という、相反する要素が同居する、英語のヘソ曲がり性です。一見、組み込まれた文の、主語そのものに、アウトとなる責任があるかと思われがちな、‘that’節内からの移動現象は、実は、‘that’と移動後に残された空所との「位置関係」に、その、可能・不可能の原因があったという点で、意表を突くトリックが仕組まれていました。

しかし、この問題を回避する方法は、‘that’を消去してしまえば、あっさりと解決してしまう、という点で、扱い自体は、手のかかるものではなく、とても簡単に処理できるものです。この点、実用英語を学ぶ上では、一見、知っていなくても、さして問題とはならない現象のように見えるのですが、しかし、今回扱った内容は、実は、ここから端を発する、より大きな問題の伏線に過ぎません。続きは、またの機会になりますが、このことを、ちょっとだけアタマの片すみにでも置いておいて下さい。

●関連: EG41EG47EG49

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英語学習法(58)

2005年02月23日 | 動名詞
EG57の続きです。動名詞です。以下、見ましょう。

(1)John criticizes Tom severely. (ジョンは、厳しくトムを批判している。)
(2)John's criticizing Tom severely (ジョンが厳しくトムを批判していること)

(1)のような文から、(2)のようなカタチが派生されます。動詞‘criticize’「~ を批判する」は、‘criticizing’「~ を批判すること」のように、語尾に、‘-ing’を付け足した場合、その「動詞+‘-ing’」のカタチが、「動名詞」と呼ばれている、ということです。 (‘criticize’の場合、最後の‘e’を外してから、‘-ing’をくっつけます。)

そこで、理解のポイントですが、所有形は、名詞にかかる性質をもっていますが、(2)のように、所有形‘John's’が、‘criticizing’にかかるカタチを許している点で、‘criticizing’は名詞としての性質をもっていると言えます。しかし、一方、‘Tom’が、なおも、‘criticizing’の目的語として、その直後にくっついていても、OKであり、かつ、‘severely’「厳しく、容赦なく」という副詞がくっついていてもOKである点からは、‘criticizing’が名詞としての性質をもっているとは言えません。

(1)からわかるように、他動詞‘criticize’は、目的語を直後に取るわけですから、この「他動詞+目的語」の性質が、(2)の「‘criticizing’+‘Tom’」のカタチにも受け継がれているわけですね。ですので、この点、動詞としての性質が、‘criticizing’には残されているわけです。

そして、名詞ではなく、動詞にかかる、副詞‘severely’が許される点からも、やはり、同様のことが言えます。このように、動名詞は、動詞と名詞の両方の性質を、部分的に受け継いでいることに、その名前の由来があります。

(3)John's severe criticism of Tom (〇) (ジョンのトムに対する厳しい批判)

(4)John's severe criticism Tom (×) (訳同上)
(5)John's severely criticism of Tom (×) (訳同上)

(3)では、‘criticism’「批判」という名詞が使われていますが、‘criticism’も、やはり、‘criticize’という動詞から派生された名詞であり、この点、動名詞‘criticizing’と同じだと言えますが、‘criticism’の性質は、完全に動詞としての性質を失っていると言えます。

(3)がOKである一方、(4)がアウトであることからわかるように、‘criticism’は、前置詞‘of ~’の助けを借りなければ、‘criticize’の目的語に相当する‘Tom’をくっつけることができないわけです。そして、さらに、(5)からもわかるように、形容詞‘severe’「厳しい、容赦ない」を、副詞‘severely’に交換すると、アウトになります。

この‘criticism’のように、他動詞から派生した名詞であるにもかかわらず、前置詞の助けを借りなければ、その目的語に相当する名詞を取れず、副詞でなく、形容詞がかかることができるのならば、もはや、動詞としての性質は失われ、完全に名詞になったと言ってもよいでしょう。

(6)Mary cooks dinner. (メアリーは夕食を料理する。)

(7)Mary's cooking dinner (メアリーの夕食の料理)
(8)Mary's cooking of dinner (訳同上)

ところが、「動詞+‘-ing’」にも、「他動詞+目的語」といった、動詞的な性質が失われていると見なければならない場合があります。(6)をもとにして、(7)の「‘cooking’+‘dinner’」のように、直接、目的語を取る‘-ing’のカタチ以外に、(8)の「‘cooking’+‘of’+‘dinner’」のように、直接、目的語を取らずに、前置詞を介するタイプの‘-ing’のカタチがあります。

(9)Mary's cooking dinner well (〇) (メアリーが夕食を上手く料理すること)
(10)Mary's good cooking of dinner (〇) (メアリーの上手な夕食の料理)

(9)は、(7)に副詞‘well’「上手く」を付け足したものですが、OKですので、やはり、直接、目的語を取れる‘cooking’には、この点からも、動詞的な性質が残っていると言えます。一方、(10)は、(8)に形容詞‘good’「上手な」を付け足したものですが、こちらもOKですので、やはり、前置詞が必要になる‘cooking’の方には、この点からも、動詞的な性質は残っていないと言えます。

つまり、全体的に名詞としての性質しかもっておらず、もはや、動名詞とは呼べないような「動詞+‘-ing’」のカタチもある、ということなんですね。こうなってくると、一体、その違いは何なんだ、ということになってきます。そこで、以下を見ましょう。

(11)Mary's cooking dinner is surprising. (〇)
  (メアリーが夕食をつくるなんて、ビックリですな。) 

(12)Mary's cooking dinner is skillful. (×)
  (メアリーの夕食のつくり方は、熟練している。)

(11)と(12)は、どちらも前置詞のない、「‘cooking’+‘dinner’」のカタチが使われています。そこで、(11)はOKですが、一方、(12)はアウトです。(11)は、その解釈が、メアリーが夕食を料理した、という「事実」を表現するものになっていますが、一方、(12)は、その解釈が、メアリーの夕食を料理する技術、という「行為」を表現するものになっています。

普通、動詞を用いた表現では、その行為が出来事として、実際にあったことなのか、それとも、ただ単に、実際に行われたかどうかとは関係なく、行為のみを表しているだけなのか、という問題が常に付きまといます。そこで、(11)と(12)のコントラストからは、どうやら、「‘cooking’+‘dinner’」のカタチが、実際の出来事とは関係のない、行為のみに焦点を当てるような解釈が、不可能であることがわかります。

(13)Mary's cooking of dinner is surprising. (〇) (訳同(11)) 
(14)Mary's cooking of dinner is skillful. (〇) (訳同(12))

(13)と(14)は、どちらも、「‘cooking’+‘of’+‘dinner’」のカタチが使われています。そこで、今度は、(13)と(14)の両方が、OKになります。つまり、「‘cooking’+‘of’+‘dinner’」のカタチならば、事実としての実際の出来事を表現できるし、一方、実際の出来事とは関係のない、行為のみに焦点を当てるような解釈も可能である、ということになります。

(15)John pays attention to his boss. (ジョンは、上司の言うことを注意して聞く。)

(16)John's paying attention to his boss (〇) (ジョンが上司の言うことを注意して聞くこと)
(17)John's paying of attention to his boss (×) (訳同上)

(15)では、イディオム表現である‘pay attention to ~’「~ に注意を払う」が使われています。そこで、(16)のように、前置詞なしで、‘paying attention to ~’と表現するのは、OKですが、一方、(17)のように、前置詞を補って、‘paying of attention to ~’と表現するのは、アウトです。

つまり、単語の集積が、ある1つのまとまった意味概念を感じさせるような、各単語の結束力が強いと思われる動詞表現に対しては、完全な名詞化となる「‘-ing’+前置詞+名詞」のカタチは不向きで、多少なりとも、動詞的な性質が残っているような表現方法が好まれる傾向にあるようです。

今回のポイントは、さらなる動名詞の性質についてです。動名詞は、‘-ing’のカタチをしていますが、その正体は、動詞と名詞の両方の性質を、部分的に受け継いだ合の子である、と考えられます。しかし、その一方で、同じ‘-ing’のカタチをしている割には、その性質が、全体的に名詞的であるようなものも存在します。

ですので、ややこしい話になってくるわけですが、これも、英語は、表現可能なカタチが貧困であることの1つの例となります。同じカタチのものを使いまわしながらも、わずかな違いをつけることで、その場を何とか凌ぐのが、英語というコトバのやり方なんですね。

■注: (11)は、実際の出来事としての「事実」ではなく、「メアリーの夕食のつくり方は、驚きものだ」というように、「行為」のみに焦点を当てた解釈の場合、もちろん、アウトになります。

●関連: EG57

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英語学習法(57)

2005年02月20日 | 動名詞
「動名詞」と呼ばれるものを扱います。入門編です。以下、見ましょう。

(1)楽しむ
(2)楽しむこと

(1)の日本語は動詞で、「楽しむ」ですが、一方、(2)の日本語は、「楽しむ+こと」で、「楽しむこと」になっています。日本語では、「こと」は名詞ですが、(2)のように、動詞の語尾に、「~ こと」がくっつくことで、動詞を、あたかも名詞のように扱うことができるようになります。

(3)楽しむが、大事です。 (×)
(4)楽しむことが、大事です (〇)

(3)はアウトで、一方、(4)はOKです。一般に、「~ が」の前に、自然にくっつけることができるのは、動詞ではなく、名詞です。そこで、(3)では、「楽しむ+が」が原因でアウトになっているわけですね。しかし、一方、(4)では、「楽しむこと」を名詞と見なして、「楽しむことが」とやってもおかしくない、というわけです。

(5)enjoy (訳同(1))
(6)enjoying (訳同(2))

英語にも、(1)と(2)の関係に対して、ほぼ並行的な関係が、文法上、存在します。それが、(5)と(6)です。(5)は、動詞‘enjoy’「楽しむ」で、(1)に対応していますが、一方、(6)は、‘enjoying’「楽しむこと」で、(2)に対応しています。

そこで、(6)の‘enjoying’を分解すると、「‘enjoy’+‘-ing’」になります。これを単純に考えれば、この動詞の語尾である‘-ing’は、日本語の「~ こと」に対応していると言えますので、なかなかわかりやすいと思います。

(7)Enjoy is important. (×) (訳同(3))
(8)Enjoying is important. (〇) (訳同(4))

英語(7)はアウトで、一方、英語(8)はOKですので、やはり、日本語(3)と(4)の可否に対して並行的です。ここから、大まかには、日本語の「動詞+~ こと」は、英語の「動詞+‘-ing’」に対応させておけば、まず問題はないだろうと思われます。

(9)John watches TV. (ジョンは、テレビを観る。)

(9)は、「主語‘John’+動詞‘watch’+目的語‘TV’」の文ですが、英語の動詞の性質として、主語を取るというものがあります。そして、動詞が他動詞ならば、目的語も取ります。ところで、動名詞は、動詞に‘-ing’という語尾を加えた語形変化ではありますが、こういった動詞としての性質は、果たして、どのような扱いになるんでしょうか。

(10)John's watching TV (ジョンがテレビを観ること)

(10)では、「‘watch’+‘-ing’」で、‘watching’となる動名詞が使われています。そして、(10)全体で、(9)に対応させて変形させたカタチとなっています。その特徴としては、‘John's’という所有形のカタチが使われ、‘TV’は、そのまま‘watching’の直後にくっついたままです。

そこで、別に、(10)はおかしな英語ではありませんが、このようなカタチは、ちょっと変な印象をもってしまいます。というのも、‘John's’という所有形は、他の名詞にくっつくときの典型的なカタチであるにもかかわらず、一方、‘TV’の方は、他の名詞にくっつくときの典型的なカタチをしていないからです。

(11)John's book on Japanese (日本語に関するジョンの本)

(11)のように、例えば、‘book’「本」のような名詞を中心に据えて、その前後に他の名詞を付けたすときには、「所有形‘John's’+名詞‘book’+前置詞‘on’+名詞‘Japanese’」のようなカタチになるのがルールとして決まっています。

ですので、(10)と(11)を比較した場合、(10)における‘watching’と‘TV’の間には、(11)と同じく、何らかの前置詞が必要ではないかと思われますが、しかし、結論としては、やはり、(10)には、別に前置詞など必要なく、‘watching’の直後に‘TV’があってもよいのです。

ここで、今回扱っている「動詞+‘-ing’」のカタチが、なぜ、「動名詞」と呼ばれているのかが理解できます。つまり、動名詞は、動詞と名詞の性質を、同時に受け継いでいることに、その特徴が見出せるからなんですね。(10)では、所有形‘John's’が、(11)と同じく、名詞にくっつくときのカタチであるが、一方、‘TV’は、(9)と同じく、他動詞の目的語としての性質を、そのまま受け継いだ前置詞のないカタチになっています。

(12)Watching TV is important for Tom. (〇)
  (テレビを観ることは、トムにとって重要なことだ。)

(13)John's watching TV is important for Tom. (〇)
  (ジョンがテレビを観ることは、トムにとって重要なことだ。)

ここで、動名詞の前にくっついて、主語の役割を果たしている所有形についてですが、これは、あってもなくても、文法上、何も問題はありません。ですので、‘John's’のない(12)も、‘John's’のある(13)も、両方ともOKです。普通の名詞にしても、その前に所有形がある場合 (例えば、John's books) もあれば、ない場合 (例えば、‘books’のみ) もあるわけですから、この点、動名詞は、名詞的性質の方を受け継いでいると言えます。

しかし、ここで、別の視点ですが、意味解釈という点からは、少々、考えるべきところがあります。例えば、(12)のような文では、‘watching’の主語に相当する表現がないわけですから、その主語は、誰でもない、という解釈になるかと言えば、そうではなく、通常は、‘Tom’「トム」ということになります。

(14)Waching TV is important for TV producers.
  (テレビ視聴は、プロデューサーにとって重要だ。)

しかし、一方、(14)のような例になると、‘watching’の主語に対する解釈が、ちょっと困難で、①・職業なので、プロデューサー自身がテレビを観ること、なのか、それとも、②・視聴率が死活問題なので、一般視聴者である他の人々がテレビを観ること、なのかが、一発で決定しがたいというケースです。

ここで注目すべき点は、(12)と(14)の違いは、‘Tom’が‘TV producers’に置きかわっているだけ、ということです。つまり、(14)が、①と②のように、解釈があいまいであるということは、潜在的には、(12)だって、解釈があいまいである、ということなのです。例えば、(12)において、トムの職業が、テレビのプロデューサーであると想定して、あらためて、(12)を見直すと、①のみならず、②の解釈も浮上してくることがわかると思います。

このように、動名詞の主語に相当するものが、カタチとして存在していない場合でも、「意味解釈」という立場からは、適切な主語を、想像で補うことをしなければならないので、ある意味、厄介と言えば、厄介です。ただ、動名詞の主語に関する解釈が、ガッチリ固定されているケースもあります。

(15)Do you mind opening the window ? 
  (窓を開けていただいてもいいですか。 (あなたは窓を開けるのを気にしますか。))

(16)Do you mind my opening the window ?
  (窓を開けても大丈夫ですか。 (あなたは、私が窓を開けるのが気になりますか。))

(15)と(16)では、「‘mind’(~ を気にする)+‘-ing’」が使われていますが、その定番の日本語訳があって、「~ することを気にしますか → ~ してもらえますか、~ してもいいですか」ということになっています。(15)では、‘opening’「開けること」の主語が、必ず、‘you’「あなた」でなければならず、一方、(16)では、‘opening’の主語は、必ず、‘my’「私」でなければなりません。

つまり、(15)の‘opening’は、(12)や(14)の‘watching’のように、その主語に関しての解釈があいまいではなく、必ず、‘mind’の主語が、そのまま同時に‘opening’の主語も兼ねるように解釈されることになっています。

今回のポイントは、英語の動詞の語形変化の1つである‘-ing’のカタチで、「動名詞」と分類されるものが、実質的に、どのような性質をもっているのか、ということです。まず、その名の通り、動詞と名詞の合の子のような存在であり、部分的に動詞の性質をもっており、一方、部分的に名詞としての性質ももっています。

そして、名詞としての性質の方にスポットを当てて考えた場合、その主語の有無がオプションであるが故に、動詞としての性質から考えた場合、主語の解釈が問題になってしまうという、意外と厄介な側面があるということです。ですので、やっぱり、「~ こと」だけで、動名詞が語れるほど甘くはないですね。

今回、初歩的な解説しかしていませんが、まだ語ることはありますので、またの機会です。

■注 :(15)や(16)のような疑問文を理解する際は、意外と、カッコ内の直訳も大事なものです。日本語の表現としてはギコチないですが、一応、カッコ内のような直訳で考えた方が、間違いを防ぐためには確実です。というのも、その返事をする際に、‘OK’の意味で、‘Yes、I do.’と答えると、「ハイ、気にしますね (だから、お断りです)。」と答えていることになり、真逆の意図を伝えることになってしまいます。

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英語学習法(56)

2005年02月17日 | 動詞
EG55に続いて、動詞編です。今回は他動詞の基本です。以下、見ましょう。

(1)Lucy saw Nancy. 
(2) a. ルーシーはナンシーを見た。
   b. ルーシーはナンシーに会った。

(1)の英語は、もちろん、「主語(Lucy)+他動詞(saw)+目的語(Nancy)」のカタチです。他動詞は、目的語を取る動詞となっていますから、(1)の英語では、‘saw’が、他動詞として扱われています。ところで、辞書などで調べれば、わかると思いますが、‘see’には、複数の意味があって、「見る」、「会う」、「わかる」、などあります。

そこで、とりあえず、(2a)の日本語訳を見てみましょう。「~ を見た」の、「~ を」の部分が、普通の理解では、象徴的に、目的語、という感じがします。「~ を」、イコール目的語の印、という感じですね。そこから、日本語の感覚で考えると、一般的には、英語の目的語というのは、「~ を」で対応させていれば、いつでもうまく解釈できるかな、と思えるのですが、次の(2b)を見る限り、そうとは言い切れません。「~ に会う」(〇)、とは言えても、「~ を会う」(×)、というのは無理ですからね。さらに、以下を見ましょう。

(3)Lucy laughed at Tom. 
(4) a. ルーシーはトムを笑った。(〇)
   b. ルーシーはトムに笑った。(×)
   c. ルーシーはトムで笑った。(×)

(3)の英語では、動詞に、‘laugh’「笑う」を使っていますが、これは自動詞で、前置詞‘at ~’の助けを借りて、目的語を取ることになります。(3)に対応する、日本語(4a-c)では、「~ を」、「~ に」、「~ で」と、助詞を換えていますが、もちろん、(4a)の「~ を笑った」のみが、日本語として正しい表現ですね。

ここで面白いのは、‘at ~’のイメージは、普通、「時点」、「場所」、「目標」の概念として、対応する日本語が、「~ に」となっていたり、または、「時点」や「場所」の概念として、「~ で」となっていたりするんですが、意表をついて、(4a)の、「~ を」のみがOK、となっていることです。

つまり、以上の観察からハッキリと言えるのは、英語の目的語のイメージとして、日本語の、「~ を」という表現で、対応させることもあるけど、そうじゃないときもある、ということですね。ですので、全てを、「~ を」で、一律に対応させればよい、というのは、単なる幻想にすぎないわけで、逆に、「~ を」という日本語は、英語においては、全て他動詞の目的語として表現される、というのも、また幻想にすぎないわけです。こりゃ、イヤな予感がしてきましたね~。 

(5)‘enter’「~ に入る」、‘rob’「~ から盗む」、‘advise’「~ に忠告する」、
  ‘match’「~ に匹敵する」、‘thank ~’「~ に感謝する」、
  ‘resemble’「~ に似ている」、‘deprive ~’「~ から奪う」

(6)‘wait for ~’「~ を待つ」、‘hope for ~’「~ を願う」、
  ‘deal with ~’「~ を扱う」、‘look for ~’「~ を探す」、
  ‘add to ~’「~ を増す」、‘specialize in ~’「~ を専門とする」

(5)のタイプの動詞は、他動詞として扱われる、つまり、目的語を取る動詞であるにもかかわらず、日本語にする際、「~ を」で対応させることが、ほぼ無理な動詞です。一方、(6)のタイプの英語は、日本語の側からすれば、「~ を」から出発する表現であるにもかかわらず、「動詞+前置詞 ~」のカタチとなっていて、それぞれの前置詞、固有の概念 (‘for ~’「~ のために」、‘with ~’「~ と共に」、‘to ~’「~ に」、‘in’「~ (の中)に」)を考えると、ちょっと、「~ を」からは予測がつきにくいものです。

こういった例を考えてみると、英語の他動詞に対して、常に、日本語の「~ を」で対応させたり、逆に、日本語の「~ を」から、常に、英語の動詞が、他動詞として用いられる、という発想は、百発百中のものではなく、こういった発想を信じ込むのは、あまりよい考えではない、と言えそうです。ここは、ちょっと面倒くさいんですが、もう素直にあきらめて、上で例にあげたような表現は、そのまま暗記してしまうことを、お薦めします。他に手はありません。(キッパリ)

それと、慣用的に、動詞とペアになるような前置詞の場合、前置詞固有の意味概念も、文法的なカタチを決定する上で、絶対視することは危険です。この種の前置詞がもつ概念は、あくまでもイメージとして、そうである、とは言えても、そこから、文法的なカタチを、完璧に予測することまで保証するものではなく、他動詞であるか自動詞であるかの決定には役立ちませんので、精々、ひとつの目安くらいに考えておくのが妥当です。例えば、以下の例を見ましょう。

(7)John looked at me. (ジョンは私を見た。)
(8)John watched TV. (ジョンはテレビを見た。)

(7)の、「自動詞(look)+前置詞(at ~)」と、(8)の、「他動詞(watch ~)」で、共通している概念は、どちらも、細かい違いは抜きにして、おおざっぱには、何かを目で見る、ということですが、そういった意味概念からは、動詞が、自動詞となるか、他動詞となるかなど、予測することはできません。

「見る」という行為は、その意味の概念上、目をやる「対象」を前提としますので、そこから、そういった意味をもつ動詞全てに関して、目的語が必須となる他動詞になるなら、楽に予測することができるんですが、(7)と(8)の差異から、事実はそうではない、ということになります。(EG45参照)

(9) John was playing <in the park><at three>.
   (ジョンは<3時に><公園で>遊んでいた。)

前置詞の概念が有効にはたらくのは、(9)にあるように、むしろ、動詞固有の意味からは、必須の要素とは考えられないような、「前置詞+名詞」の場合です。(9)の、<in the park>「公園で」の‘in ~’は、「場所」の概念として、<at three>「3時に」の‘at ~’は、「時」の一点を表す概念として、それぞれが、単なる付加情報として、‘John was playing’にくっついているにすぎない要素になる場合です。

ですので、<in the park>「公園で」も、<at three>「3時に」も、‘play’「遊ぶ」に対しては、必要なら付ければよいし、不要なら付けなくてもよいような要素です。こういった場合の、「前置詞+名詞」は、(7)と(8)の間に見られるように、果たして、自動詞か他動詞か、というような、競合問題とは無関係なので、前置詞のもつ固有の概念が、カタチとして、ほぼ完全に生かされるのですね。

今回のポイントは、他動詞の特徴は、日本語の感覚で、英語の側にストレートに対応させるのは難しいし、逆に、英語のカタチから日本語に対応させるのも難しい場合があって、なかなか厄介な部分がある、ということです。

もちろん、目的語を取るかどうかを、「~ を」で対応させてよい場合も多いけど、一方、そうじゃない場合も多いんですね。こういったところは、暗記してしまう以外に方法はないので、辞書で調べて、他動詞と載っていたら、とりあえず、「~ を」のことはあんまり考えないで、とにかく、目的語を取る、と覚えるような姿勢で臨むのが、返って気が楽ですね。あんまり騙されたような気持ちになることもないし。

それと、実用英語は、どの道、喋ったり書いたりしての練習の方もかなり大事なので、この辺は、練習を繰り返していけば、自然に身に付いていく、という効果も期待できます。練習しながら覚える際に、実際に使える語彙を増やしていくポイントとして、今回扱った変則性のことを注意してみて下さい。

■注:他動詞には、目的語を2つ取るタイプもありますが、今回扱ったタイプの他動詞は、目的語を1つだけしか取らないタイプです。学校で習う英文法の基本文型としては、「S+V+O」という分類になる、最も単純な他動詞になります。

●関連: EG45EG55

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英語学習法(55)

2005年02月14日 | 動詞
動詞編です。自動詞と呼ばれるものの基本を扱います。以下、見ましょう。

(1)John runs. (ジョンは走る。)

(1)は、「主語(John)+動詞(runs)」という、とても単純な文ですね。英語は、動詞なしで文をつくることができないことは理解できると思います。そこで、動詞に対する扱いは、とても重要になってくるわけですが、動詞には、おおざっぱな分類の仕方として、その直後に名詞(類)を取るか取らないか、という、1つの基準があります。

(2)John runs a restaurant. (ジョンはレストランを経営しています。)

(2)では、(1)と同じく、動詞‘run’が使われていますが、(1)と違う点は、後に名詞をしたがえているということです。ここから、(2)の‘runs’は、(1)の‘runs’とは、文法上、違った扱いを受けることになります。(1)のように、後に名詞をしたがえない動詞を、「自動詞」と呼んでいます。一方、(2)のように、直後に名詞をしたがえる動詞を、「他動詞」と呼びます。

しかし、(1)と(2)の違いに関して、ここで何よりも大事なのは、そもそも、(1)の‘run’は、「走る」という意味で使われていますが、一方、(2)の‘run’は、「~ を経営する」というように、意味が違うということです。ですので、ここでは、動詞は、姿カタチは同じでも、違う意味をもっている場合があるので、それに応じて、「自動詞」であるか、「他動詞」であるか、が決まると言えます。もう既に、ご存知かとは思いますが、他動詞の意味的な要請から、その後にくる名詞は、「目的語」と呼ばれています。でも、もうちょっと、考えてみましょう。

(3)The T-shirt became a floorcloth. (そのTシャツは床拭きになったとさ。)
(4)The T-shirt becomes Tom. (そのTシャツはトムに似合ってるね。)

ここで、(1)と(2)の比較にあるように、動詞の意味が違う、ということ自体が、後に名詞を取るか否かの絶対的な判別基準になるかというと、そうでもありません。(3)と(4)では、両方とも、‘become’の後に名詞がきていますもんね。(3)に使われるような‘become’は、「~ になる」の意味で、一方、(4)に使われるような‘become’は、「~ に似合う」という意味で、意味自体は、それぞれ異なっていますからね。

じゃ、(3)と(4)に使われている‘become’は、両方とも他動詞か、というと、そうでもなく、結論から言うと、(3)の‘become’は自動詞で、(4)の‘become’は他動詞なんです。実は、後に名詞を取るか否かは、自動詞と他動詞の判別基準にはなり得ないんですね。

そこで、自動詞は、目的語というステイタスを与えられないような、名詞(類)を直後に取ることがある、と知っていなければなりません。では、何が目的語ではないような名詞の基準になるかと申しますと、それは、主語との関係がどうなっているか、ということになります。

(5)The T-shirt is a floorcloth. (そのTシャツは床拭きです。)
(6)The T-shirt is Tom. (そのTシャツはトムです。)

(5)では、(3)の‘become’を、be動詞‘is’に置き換えてみましたが、お互いに意味の違いはでるものの、「そのTシャツは床拭きになった。」であろうと、「そのTシャツは床拭きです。」であろうと、「Tシャツ=床拭き」という、基本的な関係は変わっていませんね。

一方、(6)でも、(4)の‘become’を、be動詞‘is’に置き換えてみましたが、この場合も、やはり、お互いに意味に違いがでていて、(6)の意味は、ちょっと変ですが、Tシャツに、トムという名前を付けているような場合になりますね。そこで、(6)では、「Tシャツ=トム」という関係が、一応はあるのに、(4)では、「Tシャツ=トム」の関係は成り立っていません。トムが身に付けている服は、トムと同一のものとは、考えられませんからね。つまり、「Tシャツ≠トム」という関係ですね。

このような、be動詞による連結関係も、1つの基準となって、自動詞か他動詞か、が決定されます。こういった、be動詞による連結関係が成り立つ名詞は、目的語とは違う、という意味で、「補語」と呼ばれます。ちなみに、ご存知のように、be動詞は、後に形容詞、前置詞句、分詞、その他、といった表現もしたがえることができます。

このような場合は、主語と、動詞の後にある名詞とが、イコール(=)で結ばれるような関係とは、ちょっと違っていて、むしろ、主語に対する、「述語」といったような関係になりますね。しかし、これらも、be動詞での連結関係が成り立つという点で、「補語」の仲間になります。こういった場合の、be動詞を用いた文における特徴も、他動詞とはならないような一般動詞(自動詞)には、引き継がれています。

(7) a. Mary is beautiful. (メアリーは美しい。)
   b. Mary became beautiful. (メアリーは美しくなった。)

(8) a. The book is on the desk. (その本は机の上にあるよ。)
   b. The book remained on the desk. (その本は机の上に置いたままだった。)

(9) a. John is drinking water. (ジョンは水を飲んでいる。)
   b. John kept drinking water. (ジョンは水を飲み続けた。)

(10)a. John was ditched by Cathy (ジョンはキャシーにフラれた。)
   b. John seems ditched by Cathy (ジョンはキャシーにフラれたようだね。)

(7a-b)~(10a-b)の(b)の文は、全て、その一般動詞が自動詞として扱われているものです。(b)の一般動詞で、(a)のbe動詞と共通点があるとすれば、主語と、その動詞に後続する表現との間にある、連結関係が、be動詞の場合における関係と同じ状態を保っている、ということです。

(7b)では、(7a)と同じく、メアリーが美しいことには違いありませんし、(8b)でも、(8a)と同じく、本が机の上に置いてある、という位置関係は変わっていません。(9b)でも、(9a)と同じく、ジョンが水を飲む、という行為そのものには変化はなく、(10b)でも、やはり、(10a)と同じく、ジョンはキャシーにフラれた、という意味関係はそのままで、ただ、その様子を伝えるような意味付けがなされている、ということですね。これら(b)の文は、全て、意味の面で、(a)よりも、ちょっと色付けがなされたような感じになっているのが特徴ですね。

というわけで、自動詞というものは、カタチ上の区別として、2タイプあって、(1)のように、①・動詞の後に必須要素がないもの、または、(3)や、(7b)~(10b)のように、②・カタチの上で、be動詞の特徴を共有する動詞、と言ってよいと思います。ですので、与えられた文から、その中の動詞が、他動詞であるか自動詞であるか、を見分けることは、さして難しいことではありません。

こういった動詞の、分類の仕方を知ることは、とても重要なことで、例えば、わからない動詞を辞書で引くときは、必ずと言ってよいほど、この分類法に基づいています。辞書には、簡略表記で、「自」(または、‘vi’)や、「他」(または、‘vt’)、と載っていると思いますが、要は、それぞれ、「自動詞」と「他動詞」の略記です。そこで、上で述べたような、①と②の自動詞の特徴が、既に理解されている人にとっては、この簡略表記を見ただけで、すぐに、該当する動詞が、どうのような使われ方をするのかが、大方わかってしまうという点で、非常に経済的です。

今回のポイントは、文の骨格となる英語の基本文型は、動詞を中心にして決定される、ということです。今回紹介した、自動詞タイプの基本文型以外に、他動詞タイプの基本文型もありますが、英語に接するたびに、これらの基本文型(または、そこから派生した変形構文)のどれかに該当していることが大半なので、こういったことを理解してしまえば、とても強い味方になってくれます。と言っても、英語の基本文型そのものを理解するのは、とても簡単なことなんですが、こういった文の骨格が、副詞表現(EG39、EG40参照)と組み合わさると、とたんに難しく感じられるようになります。

初心者にとって、英語がわからなくなる原因の筆頭に上がるものの1つが、この、「骨格と副詞表現の区別」ですので、英語の意味が全く取れなくなったり、どうしても解釈が決定しがたいときは、必ず、この基本に立ち返って考えてみるようにして下さい。

■注 :学校で習う英文法においては、①のタイプの自動詞を、補語を取らない、完全独立型の動詞ということで、「完全自動詞」と呼び、②のタイプの自動詞を、「不完全自動詞」と呼んでいます。例の、基本5文型の分類で言えば、①のタイプは、「S+V」、②のタイプは、「S+V+C」という分類になります。ちなみに、①のタイプの動詞における、分類上の不備を補う議論については、EG46を参照して下さい。

●関連: EG39EG40EG46

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英語学習法(54)

2005年02月11日 | 関係節
関係代名詞です。EG24、EG26の続きです。前置詞と関係代名詞の組み合わせについてです。以下、見ましょう。

(1)John talked to a person. (ジョンはある人物に話しかけた。)

(1)の文の成り立ちは、「主語 (John)+自動詞 (talked)+前置詞 (to)+目的語 (a person)」ですね。この文をベースにして、関係節をつくりたいと思います。関係代名詞による関係節をつくる際の必須条件、「空家の条件」は、もう大丈夫でしょうか。

(2) a. a person [ who John talked to _ ]. (〇)
   b. a person [ who John talked _ ]. (×)
   
(3) a. [ ジョンが _ に話しかけた ] 人物 (×)
   b. [ ジョンが _ 話しかけた ] 人物 (〇)

(2a)では、‘to ~’「~ に」の後には、ポッカリと穴が空いていますね。これは、(1)の目的語である、‘a person’が、関係代名詞‘who’に変化して、カギカッコ内の先頭、つまり、関係節の先頭に移動することでつくられた空家ですね。これで、関係節が完成して、カギカッコの外にある、もう1つの‘a person’にかかることができるわけです。しかし、一方で、うっかり、前置詞‘to ~’を消してしまった(2b)は、アウトになっています。

そこで、(2a-b)の英語に対応している、日本語の関係節(3a-b)は、どうかというと、前置詞‘to ~’に、直接対応している表現、「~ に」の有無に関しては、全く逆の文法性を示しています。カギカッコ (関係節) 内に、「~ に」が残っている、(3a)はアウトですが、カギカッコ (関係節) 内に、「~ に」が残っていない、(3b)はOKです。

もちろん、日本語を母語としている人たちからすれば、(3a)がアウトであることは、ゴチャゴチャと考えるまでもなく、当たり前にわかることなんですが、(2a-b)と(3a-b)のような、英語と日本語の比較、という観点からは、なかなか、興味深い一般化につながる観察となります。

(4)英語の前置詞(to、at、of、etc.)は、例え、単独であっても残存することが
   可能である。

(5)日本語の助詞(に、で、の、etc.)は、常に直前(左側)に名詞(類)をともなう
   義務があり、それを無視して、単独で用いると、例外なく、アウトになる。

というわけで、日本語話者にとって、(2b)のような間違いが、よく見られるのは、(4)と(5)が対照的であることからすれば、当然のことと言えます。(5)に基づいた文法を、生まれつき習得している話者からすれば、新たに、(4)に基づいた文法をマスターするのは、容易なことではない、と言えるでしょう。

他に、(4)の特性が、顕著に表れている英語の例としては、受身文や、疑問詞を使った疑問文、それと、‘easy’など特定の述語がともなう不定詞の構文、といったものがあります。 (‘easy’構文は、EG23、受身文は、EG35、疑問詞の移動は、EG47、参照。)

(6) a. John talked to Mary. (ジョンはメアリーに話しかけた。)
   b. Mary was talked to _ (by John). ((ジョンに)メアリーは話しかけられた。)

(7) a. Lucy is looking for something. (ルーシーは何か探してるね。)
   b. What is Lucy looking for _ ? (ルーシーは何を探してるんだろね。)

(8) a. It is easy (for us) to talk about cars. (クルマの話題なんて(オレらにゃ)簡単よ。)
   b. Cars are easy (for us) to talk about _ . (訳同上)

ところで、‘who’には、‘whom’という、目的格のカタチが存在します。この‘whom’は、それほど頻繁に、目にすることはなく、どちらかと言えば、話しコトバ向けの表現ではありません。しかし、文法のルール上、どうしても、この‘whom’を使わなければならないときがあります。それは、「前置詞の直後にある目的語となる場合」で、例えば、‘to whom’、‘with whom’、‘by whom’、等のときです。

そこで、(2a)の関係節を用いた表現では、前置詞が、カギカッコの末尾に位置していますが、(2a)の、もう1つのオプションとして、‘to whom’を用いた関係節もOKです。

(9)a person [ to whom John talked _ ]. (訳同(3b))

(9)を(2a)と比較してみて、気が付くのは、(2a)では、カギカッコ(関係節)内の末尾に位置していた‘to ~’が、(9)では、カギカッコ内の先頭に位置している、ということです。そのかわりに、‘who’が‘whom’に変わっています。これは、前置詞‘to ~’が、カギカッコの先頭に移動してきたことによって、結果的に、‘to ~’が、‘who’の直前に位置する、つまり、‘who’が前置詞の直後にある目的語になったためです。文法のルール上、前置詞‘to ~’が、直後に‘who’を目的語として取り、‘to who’になることは、不可能ですから、仕方なく、‘to whom’になったというわけです。

(9)のような表現は、比較的フォーマルな感じのする表現ですが、だからと言って、会話英語で使われることはない、ということはありません。コトバ使いの丁寧な話者になるほど、よく、(9)のような表現を使う傾向がありますので、こちら側でも、積極的に使うことをお薦めします。なかなか品の良い、好印象を与える表現なので、お得感が強いです。

ただ、初心者の方が、(9)のような表現を使うのは、ちょっと、難しいかも知れませんね。と言うのも、ただでさえ、(2b)のような、間違いをやってしまう傾向がありますし、それがクリアできたとしても、普通は、‘talk to ~’「~ に話しかける」のような表現は、最初のうちは、どうしても、セット表現として、そのまま覚えている傾向があります。

そこにきて、やっと覚えたセット表現なのに、今度は、‘talk’と‘to ~’を切り離して、それぞれを、関係節の右端と左端に引き離して、遠距離に置くようなカタチになりますからね。これは、かなりシンドイかも知れません。

ここは、ひとつ練習になりますが、しかし、こういった練習は、他の文法的な側面を考慮しても、使いこなす上で、良い影響を与えるので、表現力の向上に一役かいます。決して、損にならないことは、保証できます。

(10)John talked <frankly> to Mary. (ジョンは<率直に>メアリーに話しかけた。)

(11)To nobody did John talk. (ジョンは決して誰にも話しかけなかった。)

(12)John talked、shouted、and whisperd to Mary. 
   (ジョンはメアリーに、(普通に) 話しかけることもあったし、
   怒鳴ることもあったし、また、小声で話しかけることもあった。)

(10)~(12)の例は、全て、‘talk to ~’「~ に話しかける」において、‘talk’と‘to ~’が切り離された文です。(10)では、副詞<frankly>の割り込み、(11)では、否定語‘nobody’を含む、‘to nobody’の前倒し(倒置)、(12)では、‘talked’「話した」、‘shouted’「怒鳴った」、‘whisperd’「ささやいた」の全てに、本来、それぞれ付くはずの、‘to Mary’が、一括されて文の末尾に置かれています。

ここまで見てきて、英語の前置詞は、前のものにくっついてみたり、後のものにくっついてみたりと、とても浮遊感のある表現であることがわかったと思いますが、何としてでも、早いうちに、このパターンに慣れましょう。いくつか例をあげます。

(13)a. the chair [ which Tom is sitting on _ ] ([ トムが _ 座っている ] イス)
   b. the chair [ on which Tom is sitting _ ] (訳同上)

(14)a. the park [ which John walked to _ ] ([ ジョンが _ 歩いていった ] 公園)
   b. the park [ to which John walked _ ] (訳同上)

(15)a. the errand boy [ who we cannot do without _ ]
    ([ _ なしでは済ませられない ] パシリ君)
   b. the errand boy [ without whom we cannot do _ ] (訳同上)

ここで、ちょっと発展的なことですが、こういったパターンの関係節には、ちょっとした落とし穴的なルールがあるのを、覚えておいてください。例えば、関係代名詞が‘that’である場合です。

(16)a. the chair [ that Tom is sitting on _ ] (〇) ([ トムが _ 座っている ] イス)
   b. the chair [ on that Tom is sitting _ ] (×) (訳同上)

(16a-b)は、(13a-b)の‘which’を、ただ‘that’に置き換えただけなんですが、(16b)がアウトになっています。これは、「前置詞+関係代名詞」の語順になるパターンに限り、‘that’は使えない、というルールがあるためです。もちろん、これは、「前置詞+関係代名詞」の語順になる場合に限られるので、そうではない、(16a)はOKになります。

今回のポイントは、前置詞の浮遊グセです。この浮遊グセは、日本語話者にとっては、とてもやっかいであることが、(4)と(5)の対照的な一般化から明らかになりました。しかし、英語の様々な例を見る限り、英文法の中核的要因と見なさざるを得ないため、別に、マスターできなくとも、さして問題にはならない、などとは、とても申せません。

特に、前置詞と関係代名詞の関係は、ちょっとした、バリエーションがあるために、少しやっかいではありますが、残念ながら、実用英語においては、出くわす可能性が、とても高い部類の表現になりますので、避けては通れない項目ということになります。しかし、支払う代償に、必ずや見合うだけの価値ある、「必須の技」であることも事実ですので、是非練習して下さい。

●関連: EG23EG24EG26EG35EG47

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英語学習法(53)

2005年02月08日 | 関係節
関係代名詞です。EG24、EG26の続きです。以下、見ましょう。

(1)Jack bought something. (ジャックは、あるものを買った。)
(2)something [ which Jack bought _ ] ([ ジャックが _ 買った ] もの)

(1)の文では、‘buy’「~ を買う」の過去形、‘bought’「~ を買った」は他動詞で、目的語‘something’を取っています。次に、(2)では、関係代名詞‘which’によって導かれた、カギカッコの関係節が、‘something’にかかっています。‘bought’「~ を買った」は他動詞で、本来なら、目的語を必要としますが、(2)の場合、‘something’にかかるための条件として、目的語の位置が、「空家」の状態になっていなければならないので、見た目、‘bought’は、目的語を取っているようには見えません。

ここで、(2)とは関係なく、‘something’それ自体は、「何か」と訳されることもありますし、「もの」と訳されることもありますが、‘something’という単語のポイントは、「特定されたものを指さない」、ということです。特定されていない、ということは、言い換えれば、「不定である」、ということです。ですので、以下のような表現は不可能です。

(3)this something (×) (このもの)、that something (×) (あのもの)、
   the something (×) (そのもの)

ですので、(2)の場合、要は、‘something’が、「不定」であるような解釈になっていれば、何でもよく、(2)の‘something’を、「商品」とか、「品」に訳しても、とりあえず、「不定」になりますから、OKです。「その品」、「この品」、「あの品」などと、特定されていませんからね。 (「特定・不定」の概念に関しては、EG31参照)

ところで、(2)のような表現は、たいていの場合、‘something’固有の不定性が、強く出すぎるためか、隠しごとでもあるのか、と勘ぐられてしまうことがあります。そこで、(2)には、特に、そういうことにしたい、という意図でもない限りは、別の表現を用いる傾向があります。それが、以下の表現です。

(4)what Jack bought (訳同(2))

(4)は、(2)と、ほぼ同じ意味を表すことができます。(4)の‘what’は、このとき、「何 ~ ?」の意味をもった、疑問詞ではなく、実は、関係代名詞の変種であり、文法的なポイントは、(2)の、‘something’と‘which’が、合体して、‘what’になった、つまり、「‘something’+‘which’ → ‘what’」、とでも、理解しておけば、OKです。

(5) a. something [ which Jack likes _ ] ([ ジャックが _ 好きな ] もの)
   b. what Jack likes _ (訳同上)

(6) a. something [ which Mary hates _ ] ([ メアリーが _ 嫌いな ] もの)
   b. what Mary hates _  (訳同上)

(7) a. something [ which I want to say _ ] ([ 私が _ 言いたい ] こと)
   b. what I want to say _ (訳同上)

(8) a. something [ which I am talking about _ ] ([ オレが _ 言っている ] こと)
   b. what I am talking about _ (訳同上)

(9) a. something [ which I think [ Jack likes _ ] ]
    ([ 私が [ ジャックが _ 好きだと] 思っている ] こと)
   b. what I think [ Jack likes _ ] (訳同上)

(5a-b)~(9a-b)のペアは、全て、‘something which’が、‘what’に置き換わっています。意味も、ほぼ同じ意味を表しています。このように、常に、「‘something’+‘which’ → ‘what’」の置き換えが可能である、と理解しておいて構わないでしょう。

しかし、使用頻度という観点からは、(5a-b)~(9a-b)の、どのペアの場合においても、‘something which’を用いた(a)よりも、‘what’を用いた(b)の方が、圧倒的によく使われます。この関係代名詞の変種である‘what’は、以上のように、関係節の単純化に一役かっているわけです。しかし、この関係代名詞‘what’は、その単純化が原因で、日本語話者に取って、解釈が難解であるようなケースも存在します。

(10)I am not what I was _ . (今のオレは、昔のオレじゃない。)

(10)は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+否定語 (not)+補語 (what I was)」の文ですが、‘what I was’の部分が、なぜ、「昔のオレ」という訳になるのかが、わからない人が多いんですね。これは、まず、日本語の呪縛から、開放されることが肝要で、ちょっと、ある程度のステップを踏んでからの方が、わかりやすいと思います。

(11)What I think _ is not what I thought _ . 
   ((今)ワシが思っていることは、(昔)ワシが思っていたこととは違うんじゃ。)

(12)What she wants _ is not what she wanted _ .
   ((今)彼女が欲しがっているものは、(昔)彼女が欲しがっていたものとは違う。)

(13)What he does _ is not what he did _ .
   ((今)彼がやってることは、(昔)彼がやってたこととは違うのよ。)

(11)~(12)で共通していることは、どれも、前半の現在形(‘think’、‘wants’、‘does’)と、後半の過去形(‘thought’、‘wanted’、‘did’)の対比によって、「今 (=現在)」と、「昔 (=過去)」の対比がなされている、ということです。つまり、英語では、(11)~(12)のように、動詞の時制そのものによって、「今」と「昔」が直接表現されて、それが日本語の表現として、補足的に、「今」、「昔」を補っても不自然ではない訳になる、と考えてもよいでしょう。そこで、以下の場合はどうでしょうか。

(14)What I am _ is not what I was _ . 
(15)a. (今)オレが、であるものは、(昔)オレが、だったものとは違う。 (×)
   b. 現在のオレは過去のオレとは違う。 (〇)

(14)でも、もちろん、前半の、‘be’動詞の現在形‘am’と、後半の、‘be’動詞の過去形‘was’の対比によって、「今 (=現在)」と、「昔 (=過去)」の対比がなされています。しかし、これを、(11)~(12)のような、一般動詞の訳例のように、ストレートに日本語訳に組み込むのは、もう日本語の限界で、無理があります。

(14)を、無理やり、(15a)のような訳にしても、日本語としては成立していません。これは、もともと、‘be’動詞の機能が、日本語の、「~ だ、~ である」に、単純に直接対応していないことに原因があって、それがわかっていないと、どうしても、すんなり、(15b)のような訳にならないんですね。

ポイントは、(11)~(13)に見られるような、現在と過去の時制の対比が、うまく訳に反映されているような感じになっていればよいわけです。(14)は、‘what I am’と、‘what I was’が、①・単に時制の比較によるものである、ということと、②・‘be’動詞は、多くの場合、時制のみを表現して、他に実質的な意味内容をもたない、という、①と②の考慮があれば、あとは、自由に、①をうまく具現化した訳にしてやればよい、という結論になります。

‘be’動詞は、大方のケースでは、②のように、「実質的な意味内容をもたない」、いわば、‘A is B’(A=B)というような、前半と後半を連結するという、文法における、「機能」上の役割しかもっていない動詞なので、あとは、①を全面的に、「意味として表現」した訳を与えることで、適切な日本語にしてやればよい、ということです。例外はありますが、‘be’動詞の本来の用途は、以下のように定義しても構いません。

(16)‘be’動詞は、実質的な意味内容をもたない、文法上の機能優先型の動詞である。
   ただし、「時制」という点では、意味内容をもつ。

というわけで、(10)にもどって、‘I am ~’「オレは ~」の部分は、そのままにして、「オレは昔のオレじゃない。」という日本語でもいいですし、結局、(14)とそんなに変わりはない、と思えば、「今のオレは、昔のオレじゃない。」、という日本語でもよいわけです。こういったことに対する理解は、ちょっと複雑な表現に出くわしても、ためらうことなく、対処ができるようになる点で、非常にお得感が強いですね。

(17)What he is _ is not what I believed [ he was _ ].
   (今の彼は、私が信じていた彼とは違うのよ ~。)

今回のポイントは、関係代名詞の変種‘what’の使い方と、日本語話者にとって、よく問題となる、‘what A is’や、‘what A was’と日本語の関係です。特に、‘what A is’「今のA」や、‘what A was’「昔のB」の対応訳を丸暗記するのは、その場しのぎの感が強く、(17)のような例に出くわすと、その関連性が、全くわからなくなってしまう上に、(16)の理解の上に立った、表現のバラエティという、コミュニケーションにおいて、重要な観点からも、動きが取れなくなってしまう点で、結局、損をしていることになり、長期的には、あまりお薦めはできません。

こういった、主軸となる概念を基本に据えて、自由な表現力を付けていくという発想が、英語習得における、真の最短距離です。

■注: 定義(16)の例外となる、‘be’動詞は、‘God is.’「神は存在する。」や、‘Ultraman really is.’「ウルトラマンは本当にいるんだ。」、というような、‘A is.’「Aは存在する」、の構文に使われる、‘be’動詞です。これは、‘A’について、「存在の可否」そのものが問題となるようなケースに限られるため、‘be’動詞が、一般動詞‘exist’「~ は存在する」と同じ意味をもっている点で、後半の連結要素が必須とはなりませんし、‘be’動詞に、ストレスを置くようなイントネーションになる点も異なっています。

● 関連: EG24EG26EG31

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英語学習法(52)

2005年02月05日 | 不定詞
EG51の続きです。不定詞の形容詞(的)用法です。以下、見ましょう。

(1)I am able to fly in the sky. (オレ、空を飛べるんだぜ。)

(1)の、‘be able to’不定詞のカタチは、「~ できる」の意味で、普通、覚えています。‘be able to’=‘can’で、覚えている人も多いと思います。ところで、‘be able to’は、3つの単語から構成されていて、‘be’+‘able’+‘to’ですね。これを、ちょっと詳しくみると、「‘be’動詞 (be)+形容詞 (able)+‘to’不定詞」というふうに分けることができます。

ここで、形容詞の‘able’そのものには、どんな意味があるかというと、「能力がある」、となってます。つまり、(1)の意味の成り立ちは、‘to fly in the sky’「空を飛べるという点で」、という不定詞表現と、‘I am able’「オレは能力がある」、の組み合わせとなっていて、そこから、「~ という点で能力がある → ~ できる」となり、(1)の日本語訳のような感じになるのだな、とわかります。

さらに、‘I am able’は、「主語 (I)+‘be’動詞 (am)+形容詞 (able)」で、文の骨格となるカタチをしています。ですので、後に続く、不定詞‘to fly in the sky’は、文の骨格には、なり得ない要素であり、文の骨格に依存する側の要素、つまり、副詞一族の一味であるから、副詞用法の不定詞である、と言えます。 (EG42、EG44、参照。)

ところで、形容詞の‘able’「能力がある」には、‘ability’「能力」という名詞に、品詞転換が可能です。このように、形容詞が、名詞に変わるということ自体は、さして、めずらしくはありません。例えば、以下のような例があります。

(2)a. eager (切望する) → eagerness (切望)
   b. kind (親切な) → kindness (親切)
   c. curious (好奇心がある) → curiosity (好奇心)

(2a)~(2c)は、3つとも、「形容詞 → 名詞」のパターンです。ここで、‘able’にもどって、問題となるのは、‘able’「能力がある」が、‘ability’「能力」という、名詞に変わったあとでも、後に不定詞が続くことがある、ということです。

(3)be able to fly (飛ぶ能力がある) → ability to fly (飛ぶ能力)

(3)の‘ability’「能力」は、名詞ですから、後に続く不定詞が、前にある名詞にかかる、ということになってしまいます。名詞にかかるものは、形容詞(類)と見なす、という考えですね。そうなってくると、こういった不定詞の扱いは、副詞用法ではなく、むしろ、形容詞用法、ということになります。(2a)~(2c)の場合も同様です。

(4)a. be eager to go (行くのを切望する)
           → eagerness to go (行くことの切望)

   b. be kind to help (助けてくれて親切な)
           → kindness to help (助ける親切)

   c. be curious to konw (知るのに好奇心がある)
           → curiosity to know (知的好奇心)

(4a)~(4c)のパターンも不定詞が、「副詞用法 → 形容詞用法」に変わっているとみてよい例です。しかし、こういった変形の結果として、不定詞は、どのような用法に分類されるか、などといったことは、単なる結果論にすぎず、本当に重要なのは、不定詞の用法うんぬんではなく、こういった変形パターンがあるのだ、ということを知ることですから、まず、(3)と(4a)~(4c)の、変形パターンを、そっくりそのまま覚えてしまうことをお薦めします。それと、一応、こういった表現の、主語の表し方は、以下のとおりです。

(5)my ability to fly in the sky (オレの空飛ぶ能力)

(1)の主語、‘I’「オレ」は、所有格‘my’「オレの」にしてやるとよいです。これも、‘ability’が名詞だから、という理由からくるものです。ですので、(4a)~(4c)の表現も主語付きにしてしてやると、以下のようになります。

(6)a. He is eager to go. (彼は行くのを切望している。)
        → his eagerness to go (彼の行きたいという切望)
 
   b. She is kind to help. (助けてくれて、彼女は親切だな。)
        → her kindness to help (彼女の助けるという親切)
   
   c. Tom is curious to konw. (トムは知的好奇心がある。)
        → Tom's curiosity to know (トムの知的好奇心)

(6a)~(6c)のような変形の流れも、理屈がわかれば、とても簡単であることがわかります。 (‘be’動詞を外す点は、要注意です。) では、「形容詞 → 名詞」以外のパターンとして、「動詞 → 名詞」のパターンも見ておきましょう。

(7)a. decide (決める)→ decision (決定)
   b. refuse (拒絶する) → refusal (拒絶)
   c. attempt (試みる) → attempt (試み)

(7a)~(7c)の、「動詞 → 名詞」のパターンでは、(7c)の‘attempt’には、カタチの変化がありませんので注意して下さい。しかし、これら、3つに共通していることは、不定詞を後にしたがえることができる、ということです。以下で確認しましょう。

(8)a. John decided to resign. (ジョンは辞任することを決めた。)
        → John's decision to resign. (ジョンの辞任する決意。)

   b. They refuse to come. (彼らは、来ることを拒絶する。)
        → their refusal to come (彼らの来ることの拒絶)

   c. He attempted to stop smoking. (彼は禁煙することを試みた。)
        → his attempt to stop smoking (彼の禁煙しようという試み)

ここで、ちょっとした注意点ですが、(8a)~(8c)では、「動詞 → 名詞」の、変形 (品詞転換) をおこす前の動詞が、不定詞をしたがえている表現になっているわけです。そこで、これら動詞についている不定詞の用法は何か、というと、副詞用法ではなく、名詞用法、ということになります。つまり、(7a)~(7c)の動詞は、目的語として、不定詞を取ることができるのですね。 (EG38、参照。)

しかし、(7a)~(7c)のように、「動詞 → 名詞」のような変形 (品詞転換) がおこると、もはや、不定詞は、カタチの上では、それらの名詞にかかる、としか言えなくなるので、とりあえず、カタチから判断するに、形容詞用法という分類になる、というだけのことです。

やはり、ここでも、不定詞の用法が、どうのこうの、とこだわるよりも、こういった変形パターンがあることを、知っておくことが、最も重要なことですから、用法に関しては、さほど気にするようなことではありません。

今回のポイントは、関係節のような使い方をする、不定詞の形容詞用法以外に、全く、違ったタイプの形容詞用法が存在する、ということです。しかし、このタイプの形容詞用法は、名詞にかかる、などといったことを、強調しても、それほど意味がないタイプで、それよりも、「形容詞 → 名詞」や、「動詞 → 名詞」といった、ベースになる表現の変形 (品詞転換) による、「派生経緯」を理解することの方が重要なものです。

こういった表現に付随している不定詞は、もともとは、不定詞をしたがえる形容詞や動詞が、名詞になり、不定詞はそのまま残存して、くっついているだけなので、あまり、後付けした表現、という感じがなく、むしろ、そういった不定詞がないと、意味的に完結していない感じがするので、なくなってしまうと、どこか、しっくりしなくなってしまう表現ばかりです。ここが、関係節と類似している、形容詞用法の不定詞とは、大きく異なっている点です。

ここまでの理解で、形容詞用法の不定詞は、その大半を消化したことになります。あと、ちょっとありますが、またの機会です。

●関連: EG38EG42EG44EG51

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英語学習法(51)

2005年02月02日 | 不定詞
不定詞の形容詞(的)用法です。以下、見ましょう。

(1)The first guest visited the new hall.
  (最初のゲストがその新ホールを訪れました。)

(1)は、「主語 (the first guest)+動詞 (visited)+目的語 (the hall)」の文です。これを、「その新ホールを訪れた最初のゲスト」、というような表現にしたいと思います。まず、この日本語からは、「その新ホールを訪れた」の部分が、「最初のゲスト」に、かかっている感じがしますね。このような場合、関係節を使ってやるとよいですね。 (EG24、EG26、参照。)

(2)the first guest [ who visited the new hall ]
  ([ その新ホールを訪れた ] 最初のゲスト)

(2)の、英語と日本語を比較した場合、カギカッコの関係節、‘who visited the new hall’「その新ホールを訪れた」と、その関係節がかかる表現、‘the first guest’「最初のゲスト」が、左右逆語順になっていますが、英語の場合、その逆語順を維持したままで、‘to’付きの不定詞を使って、別の表現をつくることができます。

(3)the first guest [ to visit the new hall ] (訳同(2))

(3)では、‘the first guest’「最初のゲスト」に、‘to’付きの不定詞である、‘to visit the new hall’が、かかっています。このように、不定詞には、関係節と、ほぼ同じ役割を果たす機能があります。この種の不定詞は、(2)のような関係節と同様に、名詞(類)にかかる、というのが、その最大の特徴です。名詞にかかる、というのは、以下のような表現が、最も基本的な例ですね。

(4) busy people (忙しい人々)、fast cars (速いクルマ)、high taxes (高い税金)、
   beautiful scenery (美しい景色)、angry men (怒れる男たち)

(4)の表現は、全て、「形容詞+名詞」のカタチになっています。‘busy’「忙しい」は、‘people’「人々」にかかっていますし、‘fast’「速い」は、‘cars’「クルマ」にかかっています。そして、他の表現も、同じ関係が成り立っています。つまり、形容詞には、名詞にかかる、という機能がある、ということですね。

この点で、(3)のような不定詞も、前から後に、ではなく、後から前に、という方向の違いはあるものの、「名詞にかかる」、という機能は同じであり、その点において、形容詞的な感じがしますので、ズバリ、「形容詞(的)用法の不定詞」、と呼ばれています。

この、形容詞用法の不定詞には、関係節に類似する、いくつかの特徴があります。まず、(2)のカギカッコ内、つまり、関係節の中で、関係代名詞‘who’が、‘visited ~’の主語位置を占めていますので、主語の役割を果たしている、と言えます。そして、その‘who’は、‘the first guest’に対して、代名詞的、つまり、‘who’=‘the first guest’と解釈できるように、はたらいています。

これと比較してわかるように、やはり、不定詞を使った(3)でも、‘the first guest’は、‘to visited ~’に対して、本来的に、「主語としての関係」が成り立っています。つまり、(3)における語句の基本関係は、やはり、(2)と同じく、(1)の文をベースにしている、ということですね。ですので、(3)では、不定詞がかかっている‘the first guest’は、その不定詞に対して、もとをたどれば、「主語解釈を受けるべき名詞」である、ということです。次にいきましょう。

(4)John plays with a girl. (ジョンは女の子と遊ぶ。)
(5)a girl [ who John plays with _ ] ([ ジョンが _ 遊ぶ ] 女の子)

(4)をベースにして、今度は、目的語が空家になるような関係節を表現しているのが、(5)です。‘play with ~’「~ と遊ぶ」の、目的語である、‘a girl’「女の子」が、関係代名詞の‘who’に変化して、カギカッコの関係節の先頭に位置しています。ですので、(5)では、「空家の条件」にしたがって、‘with ~’の後は、ポッカリと穴が空いていますね。

もちろん、日本語の方でも、同じく、「空家の条件」に従いますので、カギカッコ内では、(4)の目的語に相当する、「女の子と」が、消えることで、空家状態になっています。(英語では‘with ~’が消えずに、そのまま残りますが、一方、日本語では、「~ と」までもが、消えるところは、異なっています。) では、不定詞ではどうでしょうか。

(6)a girl [ for John to play with _ ]  (訳同(5))

(6)では、不定詞を使って、(5)と、ほぼ同じ意味を表現しています。ここで、‘with ~’の後は、関係節を使った、(5)と同じく、目的語がなくなっており、空家になっていますね。 (‘for A to 不定詞’のカタチが、「Aが ~ する」の、意味関係を表現できることについては、EG43参照)

つまり、不定詞の形容詞用法は、この点で、関係節と同じく、「空家の条件」に従うことがわかります。ですので、この場合の、‘a girl’「女の子」は、かかる不定詞に対して、もとをたどれば、「目的語解釈を受けるべき名詞」である、ということです。もちろん、(6)のように、前置詞を使った場合だけでなく、他動詞を使った場合も同じです。

(7)John dates a girl. (ジョンは女の子とデートする。)
(8)a girl [ who John dates _ ] ([ ジョンが _ デートする ] 女の子)
(9)a girl [ for John to date _ ] (訳同(8))

(4)、(5)、(6)の、‘play with ~’「~ と遊ぶ」を、他動詞である、‘date’「~ とデートする」に交換して、(7)、(8)、(9)としてみました。(7)をベースにして、(8)のような関係節をつくると、‘date’の目的語の位置が、空家になります。そして、今度は不定詞で、(8)と似たような意味の表現になる、(9)をつくると、やはり、「空家の条件」にしたがって、‘date’の目的語が消えています。つまり、ここでも、関係節と、ほぼ同じ条件にしたがっていることがわかります。

ここで、関係節と、ちょっと異なる部分にも、触れておきたいと思います。(5)や(8)のような関係節では、カギカッコ内の主語が、必ず必要になりますが、(6)や(9)のような不定詞では、‘for ~’で表現される、不定詞の主語は、必ずしも必要ではありません。つまり、意味的に必要ない、と考えられる場合は、別になくても構わないのです。

(10)a girl [ to play with _ ] ([ いっしょに遊べる ] 女の子)
(11)a girl [ to date _ ] ([ いっしょにデートできる ] 女の子)

(10)と(11)は、どちらも‘for ~’で表現される、不定詞の主語がありません。ですので、この場合、不定詞の主語は、(10)や(11)からだけでは、どのようなものかは、不明である、という解釈にしておけばよいわけです。適当に、他の文脈や、(10)や(11)が発話された状況から、意味的にふさわしいものが、主語として選ばれるだけなので、そういった、いわゆる外的要因に依存して、主語が決まる、ということですね。

今回のポイントは、不定詞には、名詞(類)に、直接かかる用法がある、ということです。そのかかり方は、関係節とパターンが酷似しており、予め、関係代名詞の使い方を理解している学習者にとっては、習得するのが、とても楽である、というボーナスが付いています。

不定詞の形容詞用法には、実は、今回のパターン以外にも知っておくべき、他のバラエティがありますが、今回のパターンを習得すれば、その半分は、消化したことになります。残りの半分については、またの機会にでも。

■注: 高校生、及び、大学受験生の方が、この記事をお読みになっている場合、(2)の関係代名詞‘who’は、‘that’に置き換えて覚えることをお薦めします。定期試験や大学受験では、‘the first ~’にかかる関係節においては、関係代名詞は‘that’に限られる、というような答えを要求する問題が、出題されることがあります。

● 関連: EG24EG26EG43

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過去記事改訂のお知らせ

2005年01月31日 | その他
【05年7月から、コラムの改訂を進めています】

昨年暮れから、サイト運営を開始して、4月~7月中旬あたりは、季節労働が入っておりました故、更新ペースが鈍っておりましたが、また、7月から、少しずつ時間ができつつあります。8月~9月は、また、サイト運営に精力的に時間が割ける状態になります。

「英語脳!」も、開始当初は、コラムの執筆が多かったんですけど、何だか、今、読み返してみると、随分と、尊大な書き方しとったな~、と思います。「~ だ」、「~ である」調のコトバ使い、やたらと多いし (笑)。

そんなわけで、ちょっとずつ、コラムの書き直しをしております。増補改訂というほどではありませんが、以前よりも、読む際の不快感は軽減していきたい、と思っていますので、どうか、また、読んであげて下さい。少しだけ、ネタを追加した記事もあります。どうぞ、よろしく、お願いします。



EG33を、2005年5月7日に増補改訂致しました。■
EG30を、2005年5月7日に増補改訂致しました。■
EG29を、2005年3月2日に増補改訂致しました。■
EG39を、2005年2月28日に増補改訂致しました。■
EG26を、2005年2月2日に増補改訂致しました。■
EG24を、2005年1月31日に増補改訂致しました。■
EG21を、2005年1月21日に増補改訂致しました。■
EG31を、2005年1月13日に増補改訂致しました。■
EG23を、2005年1月12日に増補改訂致しました。■

英語学習法(EG)シリーズを読んでいただいてありがとうございます。

最近いただいたEGシリーズに関するコメントなどをもとに、各EGの説明文を増やすなどの改訂作業をしております。可能な限り、幅広い層の方たちの英語学習に対応するために、EGシリーズをより理解しやすいように改める作業を随時していきたいと思っています。そこで、読者の他の方にも、EGシリーズをお読みになっていただいて、この部分を是非、もっとわかりやすく、などのコメントをいただければ幸いです。

過去記事に関する、増補・改訂作業を今後も進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。

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英語学習法(50)

2005年01月29日 | 不定詞
また、不定詞の副詞用法です。‘enough’とセットになるものです。以下、見ましょう。

(1)John is tall. (ジョンは背が高い。)

「高い」という表現は主観的な表現です。Aさんにとっての、「高い」と、Bさんにとっての、「高い」は、常に、数値的に、ピタリと一致するとは限りません。人それぞれの常識やら、価値観やらで、「高い」が決まるので、我が国では、170cmからが、「高い」ということに定める、などという、法律でも制定されなければ、「高い」は、客観的な表現にはなり得ません。そこで、以下、見ましょう。

(2)John is tall <enough to reach the ceiling>.
  (ジョンは、<天井に届くほど>背が高い。)

(2)のようにすれば、主観的な、「高い」に対して一応の基準が示せます。‘enough to’の不定詞を(1)に、ピタンとくっつけるだけでOKです。‘enough to’は、いわゆる、副詞用法の不定詞の変種ですが、このように主観的な表現に対して、一定の基準を示す手段として活躍します。 (副詞用法の不定詞に関しては、EG42、参照。)

(3)He is smart <enough to invent a time machine>. 
  (アタマイイのなんのって<タイムマシン発明するほど>だよ。)

(4)He runs fast <enough to keep up with the Porsche>. 
  (ヤツは<ポルシェに付いていけるほど>足が速いぞ。)

(5)He is rich <enough to own a Gundam>. 
  (アイツは<ガンダムを一機所有してるくらい>金持ちなんだ。)

「頭が良い」、「速く走る」、「金持ちだ」も、主観表現ですので、それが、どの程度なのかを、情報として後付けできます。つまり、‘enough to’を付け足してやることで、一応のイメージができるような具体性を帯びた文にしてやることができるんですね。文法的な注意点としては、‘enough to’は、一応、基本的には副詞用法の不定詞なんですが、名詞につくこともあります。

(4) a noise enough to wake the dead. (死人すら起きてしまうほどの騒音)

「騒音」は名詞ですが、意味的には、その「うるさい」程度が問題になりやすい、という点で、主観的です。そして‘enough to’の‘enough’には、文法的には、形容詞としての働きもあります。ですので、(4)のような表現が可能です。‘enough’が形容詞としてはたらく場合は、‘enough’の前置きも可能です。ただし、ちょっと、意味に違いがでるようですので、注意して下さい。

(5)a. enough money to lead a happy life. 
    (幸せな生活を送るに余裕たっぷりのお金)
   
   b. money enough to lead a happy life. 
    (とりあえず幸せな生活を送るには困らないだけのお金)

「お金」は量 (金額) が問題となりやすい点で、主観的ですね。(5a)だと、‘enough’と‘to lead a happy life’が、‘money’によって寸断されており、‘enough’単体が、直接‘money’にかかっている感じがするためか、不定詞との連携性があまり強く感じられず、むしろ、‘enough money’を1つのかたまりに取ってから、後付けで、‘to lead a happy life’がくっついている感じがします。事実、‘enough money’の直後に、少しポーズを入れたようなイントネーションになります。

(5b)だと、‘enough to lead a happy life’が一続きになっていて、‘enough’と‘to lead a happy life’のつながりが、強く感じられるため、「程度」をしっかり表現してくれるようになります。この場合も‘money’の直後に、少しポーズが入りますが、(5a)と違う点は、後続する表現が‘enough’を含め、‘enough to lead a happy life’にカタマリ感があり、‘money’が孤立している感じがあるということです。それと、もともとが、あまり主観的と感じられない表現には、‘enough’を単体で、名詞の前に置いて使うことができません。

(6)a. He was man enough to try it. (〇) (それを試みるとは男らしいやつだ。)
   b. He was enough man to try it. (×) (訳同上)

(6b)の‘enough man’「十分な男」(?)だけを取り出して、意味を考えても、あまりよくわかりません。つまり、カタマリ感がないわけです。つながり具合としては、やはり‘enough to try it’の方を、1つのカタマリとして捉えた、(6a)の方が良く感じます。

そもそも、‘man’「男」の場合、男じゃなきゃ女、女じゃなきゃ男、みたいに、二者択一式な、客観的側面の方が、色濃くでやすい表現なので、‘noise’「騒音」のように、「程度」が問題になりにくいんですが、イメージをふくらませて、男らしさ、という点に焦点を当てれば、何とか程度を問題にできる、という感じになります。

しかし、それでも、「十分な男」、という表現だけからでは、そこまでのイメージは、普通、なかなか、わかないものです。つまり、主観に依存しやすい表現、しにくい表現、というものがあるということですね。ここら辺りのイメージのしやすさ、しにくさを基準にして、カタマリ感の、「ある・ない」、が決定されますので、人によって、判断がゆれやすい、とも言えます。ちなみに、(7)みたいな感じなら、OKになります。

(7)enough men to make a woman satisfied in her choice.
  (選ぶ上での数としては、女が満足するほど十分な数の男)

(7)では、男の「数」を問題にしているという点で、その数が、どのくらいかという、程度表現が可能です。つまり、複数形になると、即座に、‘enough’との相性が良くなるわけです。これは、もちろん、‘enough’「十分な」の意味が、「数」に対しては、もとから相性が良いためです。

つまり、複数形に対しては、‘enough’は、常に安心して使えるということになります。他にも、‘enough to’は辞書をみると、何かと細かい説明や用法がありますが、ここまで知っていれば、もう十分、実用に耐えられるレベルです。

今回のポイントは、‘enough to’の不定詞は、ある主観表現に対して、それがどの程度なのかを具体的に述べたいときに、威力を発揮するということです。あまり、「主観・客観」を考える、というようなことを強調して教わることないためか、英語が苦手だと感じている人たちは、ある表現に対しての「主観性・客観性」に、なかなか意識が向かないようです。これはコトバの意味に関わるだけでなく、文法性をも左右する、重要な基準となることがよくありますので、ちょっと意識してみることを、お薦めします。

● 関連: EG42

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英語学習法(49)

2005年01月26日 | 変形
EG47では、英語の疑問詞は、文の先頭に位置する性質があることを見ました。今回は、その性質について、ちょっと発展的に見てみたいと思います。以下、見ましょう。

(1)<トムはメアリーを見たとき>、自分の母を思い出した。
(2)<トムは誰を見たとき>、自分の母を思い出したのかい?

日本語である、(1)から出発して、(2)では、「誰」という疑問詞を使って、その疑問文をつくってみました。(1)から、(2)の疑問文は、全く問題なくつくれます。日本語の場合、疑問詞を使って疑問文をつくるには、英語とは違って、移動する必要はなく、そのまま、もとの位置に留まっていてもよいわけですね。

(3)Tom remembered his mother <when he saw Mary>. (訳同(1))

今度は、英語(3)ですが、日本語(1)に対応しています。(1)の「メアリー」は、「~ を見た」の目的語になっていますね。ですので、(3)でも、‘Mary’が、‘saw’の目的語です。< >の表現は、例の、「副詞一族」の一味で、副詞節になっています。では、以上を踏まえて、日本語(2)に対応する英語をつくってみたいと思います。 (副詞節に関しては、EG44、参照。)

(4)Who did Tom remember his mother <when he saw _ >? (×) (訳同(2))

ん?どうやら、(4)はアウトになる、ということらしく、ちょっと意外な感じはあるんですが、英語には、「文を組み込む側」と、「文に組み込まれる側」という、違いはあるものの、意味に応じて、確かに、この二者、いずれかの文の先頭に疑問詞が移動する、というルールがありました。 (EG47、参照。)

まず、(2)の意味から考えると、それに対する答え方は、「はい」や、「いいえ」で答えるようなものではありません。「メアリーだよ」、というような、疑問詞に対して、直接答えるような感じの疑問文です。

ですので、(4)で、疑問詞‘who’が、文の最も先頭、つまり、‘Tom remembered ~’の先頭まで移動していても、「疑問詞に対して、直接答えることを要求するような疑問文の場合は、疑問詞が最も先頭に移動する (位置する)」、というルールに違反していることにはならないはずです。 (EG47の(13)、参照。)

では、(4)がアウトなのは、何が原因なんだ、ということになるわけですが、実は、英語には、疑問詞の移動とは、全く関係のないところで、(4)をアウトにしてしまうような、全く別個に独立したルールがあります。

(5)副詞節の内部からは、いかなる要素も、その外に移動してはならない。

と、まあ、こんな感じのルールが英語にはあるらしいんですね。つまり、疑問詞の移動そのものが、どうとかではない、ということです。(4)では、‘who’が、副詞節である、< >内から、その外に飛び出して、文の先頭に移動しています。つまり、(4)は、ルール(5)に、もろに違反しているので、アウトになってしまった、ということですね。

実は、このルールは、学校の英文法では、教わることがないものですので、普通に英語を学習している人が知らないのは当然なんです。では、ルール(5)が本当かどうか、他の例で検証してみましょう。

(6)Tom dated Cathy <before he dated Mary>.
   (<トムはメアリーとデートする前に>キャシーとデートした。)
  
(7)Tom dated Cathy <after he dated Mary>.
   (<トムはメアリーとデートした後>キャシーとデートした。)

(6)は、<before ~>「~ する前に」の副詞節をもつ文です。一方、(7)は、<after ~>「~ した後で」の副詞節をもつ文です。(6)と(7)の副詞節である、< >の内部から、‘Mary’を疑問詞‘who’に変えて、その外に移動させてみます。

(8)Who did Tom date Cathy <before he dated _ > ? (×)
   (<トムは誰とデートする前に>キャシーとデートしたんだろうか。)
  
(9)Who did Tom date Cathy <after he dated _ > ? (×)
   (<トムは誰とデートした後>キャシーとデートしたんだろうか。)

やはり、ルール(5)の予測する通り、(8)も(9)もアウトになってしまいました。やはり、ルール(5)は、英文法のルールとして、成立するみたいですね。

特に、日本語の感覚で考えていると、(2)のような日本語や、(8)や(9)の日本語訳のような文は、日常的に自然に発話しているんで、こういった日本語を、学校の英文法で習った範囲内で英語にすると、どうしても、(4)、(8)、(9)といった英語をやってしまうと思います。

今回のポイントは、英語には、語句の移動を妨げるような「障壁」、とでもいうべきエリアが存在することです。こういった、移動に対する障害要因は、実は、英語には数多く存在していて、ルール(5)のような規則は、ほんの一例にすぎません。

日本語の場合だと、文の中の特定の要素を移動する、というのは、比較的、オプションとしてのものが多いので、移動させてはいけない、となれば、動かさずに、ジッとしていればよい、ということになるだけですが、英語の場合、疑問詞のように、動かすこと自体が、ルールとして定められていることがあるので、とにかく、移動させないと、何も始まらないことがあるんですね。

しかし、その一方で、ルール(5)のような、移動を妨げる、「障壁」となるエリアが存在するわけですから、英語は、相反する要素を兼ね備えた、実にヘソ曲がりな言語である、と言えます。こういった、英語のヘソ曲がり性は、実用的な英語を学ぶ上では、絶対に知っておく必要がありますので、「英語脳」的には、重要な概念と見なします。もちろん、今後も、英語に内在している、この「障壁」の概念を扱っていきますので、確実にものにしていきましょう。

● 関連: EG44EG47

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英語学習法(48)

2005年01月23日 | 変形
EG47の続きです。疑問詞の移動と口語英語に関するお話です。以下、見ましょう。

(1)I want to kiss Lucy. (ルーシーにキスしたい~。)
(2)I wanna kiss Lucy. (訳同上)

口語英語では、(1)の、‘want to’「~ したい」が、(2)のように、‘wanna’(「ゥワナ」という感じの発音) という、1語に縮約されてしまうことが、よくあります。これを、「‘wanna’縮約」と呼ぶことがありますが、こういった表現は、誰でも、割と簡単に覚えてしまいますので、英語を使い慣れてくると、自然と口をついてでてくるようになります。ところで、以下の文を見てみましょう。

(3)Who do you wanna kiss Lucy? (×) (誰にルーシーとキスして欲しいの?)

ん?(3)はアウトですか?ちょっと意外ですが、確かに、英会話などでは、‘want to’は、‘wanna’になることが、よくあるので、(3)は、もとのカタチが、‘want to’ではない、何か別の単語ではないか、と疑ってみたくなりますが、別に、(3)の‘wanna’は、もとのカタチが、‘want to’とは別物ということではありません。

(4)Who do you want to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))

(4)は、(3)と同じ意味で、OKになります。ですので、(3)がアウトになった原因は、(3)の‘wanna’は、もとのカタチは、‘want to’ではない、ということではなく、(4)から(3)に移る過程で、‘want to’→‘wanna’という、縮約がおこったためだ、ということになります。

ここで、(4)が、疑問詞‘who’を使った、疑問文であることに着目したいと思います。EG47では、日本語と違って、英語の場合、疑問詞による疑問文をつくるには、その疑問詞が、文の先頭に移動していなければならないことを見たわけですが、まず、以下の文を見ましょう。

(5)I want John to kiss Lucy. (私は、ジョンにルーシーとキスして欲しいのよ。)

まず、(4)の疑問文に対して、(5)のような答え方をしたとします。この文では、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。ここで、簡単にわかると思いますが、(5)は、以下のような‘wanna’を使った縮約文に変えることはできません。

(6)I wanna John kiss Lucy. (×) (訳同(5))

ここから、(6)の、「‘wanna’縮約」がアウトなのは、‘John’という表現が、‘want’と‘to’の間にはさまっているからだと、ハッキリ言えると思います。そこで、再び、(4)に戻って、(4)の‘who’が、どこから文の先頭に移動してきたのか考えてみます。

(7)Who do you want _ to kiss Lucy? (〇) (訳同(3))

(7)は(4)と同じ文ですが、(4)の‘who’が、どこからやってきたのかを示す下線が加えてあります。この下線部は、(5)の‘John’が、‘want’と‘to’の間にはさまっているのと同様に、‘want’と‘to’の間にはさまっていますね。

これで、もう、(3)がアウトになった原因がおわかりですよね。注意点は、(5)の文は、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文ではなく、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文を使っているということです。この構文での、Aにあたる疑問詞‘who’の移動によって、(4)は、表面上、‘want to’のカタチをした構文を使っているように見えているだけなんです。

つまり、(7)からハッキリわかるように、例え、‘want’と‘to’の間に何もないように見えていたとしても、そこに、もともとは何かがあった「形跡」が感じ取られるような場合は、「‘wanna’縮約」はおこってはならない、ということになります。英語には、こういったワナがしかけられていることがあるのです。(← く、クダらん・・・。) ついでに、以下も確認しておきましょう。

(8)Who do you wanna kiss _ ? (〇) (アンタ、誰にキスしたいの?)

(8)の「‘wanna’縮約」は、OKですが、これは、もちろん、‘want A to 不定詞’「A に ~ して欲しい」の構文ではなく、‘want to 不定詞’「~ したい」の構文が使われていて、‘want’と‘to’の間には、もとから、何もないからですね。‘who’は、もとは、他動詞である、‘kiss ~’「~ にキスする」の目的語の位置から、文の先頭に移動しています。

今回のポイントは、実は、「‘wanna’縮約」 (‘want to’→‘wanna’) という、会話英語によくおこる現象を、疑問詞の移動という、文法現象と絡めて考えてみることによって、英文法と口語英語の、切っても切り離せない接点を語ることにあります。

(3)のような文において、「‘wanna’縮約」がおこってはならない、という知識は、文法の学習以外によって得ることは不可能なわけで、会話英語の重要性を主張する場合、それに反比例する形で、文法の学習をないがしろにしていたのでは、どうしても片手落ちになるという、恰好の材料として、(3)のような現象を扱ってみたのです。

口語表現は、丸暗記で対処するのがベストだと、よく言われているし、また、そのように簡単に納得しがちですが、ちょっとした文法が絡んで、そのまま使うことができなくなることも、よくあります。特に英語は、移動などの変形が関わってくると、そこら辺りにアウトになる原因が集中しやすくなります。上手な英会話を習得するためにも、慎重になるべきところですね。

●関連: EG47

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英語学習法(47)

2005年01月19日 | 変形
疑問詞を使った文を扱います。以下、見ましょう。

(1)Tom saw Mary (トムはメアリーを見た。)
(2)Who saw Mary? (誰がメアリーを見たの?)
   
(1)からつくられた疑問文(2)ですが、簡単ですね。ただ、主語の‘Tom’を、‘who’に変えただけです。これで(2)が完成しますので、ただ単に、単語の入れ換えだけで、疑問詞‘who’を使った疑問文が完成します。ところで、(2)と比べると、ちょっとした変化はあるものの、以下も簡単ですね。

(3)Who did Tom see? (トムは誰を見たんだい?)

今度は、目的語の‘Mary’を‘who’に変えて疑問文をつくってみましたが、過去形だった‘saw’「~ を見た」が、原形の‘see’になってしまいました。代わりに、過去の助動詞‘did’が、現れて、‘Tom’の前にきています。これは過去形の動詞‘saw’が、過去を表す要素‘did’と分離をおこして、もとの原形動詞‘see’にもどった(‘saw’ → ‘did’+‘see’)、と考えてよいでしょう。

そして、(2)と同じく、(3)でも文の先頭に‘who’がきています。(3)が、(2)とちょっと違っているところは、目的語の‘Mary’が‘who’になったあとで、文の先頭に移動する、という操作がプラスされているところですね。

このように、ざっと見た感じでは、(1)のように、主語 (Tom) と目的語 (Mary) をもつ文から、それぞれを疑問詞にして、疑問文をつくると、必ず、その疑問詞は文の先頭にこなければならないことがわかります。主語の疑問詞の場合は、そのまま、主語を疑問詞に置き換えれば、疑問文が完成し、一方、目的語の場合は、動詞と助動詞の分離に加えて、わざわざ、その目的語を文の先頭まで移動させることをしなければなりません。

実は、これは、日本語との大きな違いです。日本語はそんな目的語の移動などなくても自然な疑問文はつくれます。(1)の日本語と比較して、(2)の主語疑問詞の日本語をつくる場合でも、(3)の目的語疑問詞の日本語をつくる場合でも、ただ単に、「誰」に置き換えをしただけで、語順に変更はおこっていませんね。ここで、ちょっと発展的に、以下を見ましょう。

(4)John thinks [ that Tom saw Mary ]. 
   (ジョンは、[ トムはメアリーを見たと ] 思ってるよ。)

(5)John knows [ that Tom saw Mary ]. 
   (ジョンは、[ トムはメアリーを見たの ] 知ってるよ。)

EG41では、「文を文の中に組み込む」やり方を学びました。(4)と(5)では、カギカッコの表現が、それぞれ、‘I think ~’と、‘I know ~’の中に組み込まれているわけですね。そこで、英語の疑問詞は、文の先頭に常に位置するという現象が本当かどうか見てみたいと思います。

(6) Who does John think [ that Tom saw _ ] ? (〇) 
   (ジョンは、[ トムは誰を見たと ] 思ってるのかな。)

うん、やっぱり、‘Mary’を‘who’に変えた場合、それを文の先頭に移動した(6)がOKですね。ここで注意してほしいのは、英語の場合、文を文の中に組み込むときには、「組み込まれた側」の中では、通常、動詞と助動詞の分離(‘saw’ → ‘did’+‘see’)はおこらないということです。代わりに、「組み込んだ側」で、動詞と助動詞の分離(‘thinks’ → ‘does’+‘think’)がおこります。次を見ましょう。

(7)Who does John know [ that Tom saw _ ] ? (×) 
   (ジョンは、[ トムは誰を見たか] 知ってるのかな。)

ん?‘think’が‘know’に換わったら、今度はダメになってしまいました。これは、なぜなんでしょうかね。ここで、ちょっと、(6)と(7)の疑問文の意味を考えてみたいと思います。(6)に対して答えるときは、どんな答え方になるかと言えば、「メアリーだよ。」というような、‘who’に対して、直接答える感じになると思います。

しかし、一方、(7)の場合は、‘Yes、he does.’「うん、知ってるさ。」や、‘No、he doesn't.’「いや、知らんだろ。」、はOKですが、「メアリーだよ。」、と、‘who’に対して、直接答えるような感じにはならないと思います。このような場合、以下のような疑問文でなければOKになりません。

(8)Does John know [ who Tom saw _ ] ? (〇) (訳同(7))

(8)では、組み込まれた文の中で、‘who’が移動していますね。このとき、疑問詞は、‘that’の位置に割り込むカタチを取りますので、‘that’には消えてもらうことになっています。このように、「はい」か、「いいえ」で答える疑問文では、疑問詞が文の先頭に移動できず、組み込まれた側の文の中で、その先頭に移動するに留まります。逆に、「はい」や、「いいえ」で答えることができない疑問文では、疑問詞が文の先頭(組み込んだ側の先頭)まで移動してこなければなりません。

(9)Does John think [ who Tom saw _ ] ? (×) (訳同(6))

(6)はOKでしたが、やはり、組み込まれた文の中で、‘who’が移動している(9)はダメですね。ポイントはやはり、「はい」か、「いいえ」で答えるのか、それとも、疑問詞に対する直接的な答えになるのかです。ところで、これまで見た例以外に、どちらでもOKな場合もあります。今度は、「組み込む側」の動詞に、‘say’を使ってみましょう。

(10)John says [ that Tom saw Mary ]. 
   (ジョンは [ トムはメアリーを見た ] と言ってるよ。)

(11)Who does John say [ that Tom saw _ ] ? (〇) 
   (ジョンは [ トムは誰を見たと ] 言ってるかい。)

(12)Does John say [ who Tom saw _ ] ? (〇) 
   (ジョンは [ トムは誰を見たか ] 言ってるかい。)

(11)は、「メアリーだよ。」と答えればOKですね。一方、(12)は、「うん、言ってるよ。」か、「いや、言ってない。」というような答え方になると思います。以上、見てきたように、英語の疑問詞は、移動することはするんですけど、その着地点としてどこを選ぶかは、その疑問文の意味によって変わってきますので、十分な注意が必要です。ここで、以下のようなルールが成立します。

(13)英語の場合、疑問詞(who、what、when、where、how、等)を用いた文では、
   「はい」か「いいえ」で答えるような疑問文ならば、疑問詞は、「組み込まれた側」
   の文の先頭にくる。一方、疑問詞に対して直接答えるような疑問文ならば、
   疑問詞は、「組み込んだ側」、つまり、文の最も先頭にくる。

ルール(13)は英語特有の規則で、これが、なかなか難しく感じられるのは、やはり、日本語の疑問詞は、基本的に移動しないということが原因なんですね。上で見てきた日本語訳を見ていただければわかると思いますが、「誰」の移動が全然ありません。

今回のポイントは、英語の疑問詞が、文の先頭に常に位置するかどうかをみたわけですが、文を文の中に組み込むというシステムがコトバにはあるから、「組み込まれた側」まで考慮に入れれば、その範囲内では、文の先頭に移動していると言ってもよいでしょう。つまり、英語の疑問詞は、「組み込む側」と「組み込まれた側」の、どこかの文の中では、常に先頭に位置していなければならないということですね。(これに関する、ちょっとした例外は、EC19を参照して下さい。)

● 関連: EC16EC19EG41

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「お悩み解消BOX」に答えてみました

2005年01月16日 | その他
ここ最近、勢いに任せて「英語学習法(EG)」を書きまくってましたが、記事が増えてきて、過去記事に言及しなきゃならない場合が増えてきました。そこでやっぱり、ちゃんとリンクしとかないと、使いづらくてマズイっすね~と思って、リンクのやり方勉強してみたら、意外と簡単にできてしまって拍子抜けしちゃいました。いや、その、今までほったらかしにしていた分を一気に全部やる作業は大変だったんですけどネ(汗)。せっかく読んで頂いてる皆さんに申し訳ないですんで。PCってその気になりゃ、まさしく、‘user- friendly’なんですね(嬉)。

実は、EGシリーズ以外にも、いろいろと英語に関することを扱いたいと思っているんですけど、何か良い企画はないかな~なんて考えております。皆さまにも何かアイデア等ございましたら、よろしくお願いします。

んで、今回、各EGの関連項目をリンクさせる作業をしていて、やり方がわかったから、ついでに、ってわけでもないんですけど(笑)、「英語ドクターが贈る・みんなの英会話奮闘記」というサイトに登録してるんですが、「お悩み解消BOX」 というコーナーがあって、「英語脳をつくる!」も質問に答えています。

テーマは、以下の通りです。

第1回: 「キレイな発音を身につける学習法ありますか?」
      (emptycategory の名前で答えています。)
第2回: 「ゼロから単語の勉強をするためのオススメ本はありますか?」
      (「英語脳をつくる!」の名前で答えています。)

興味おありの方は是非とも覗いてみて下さい。

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