英語脳をつくる!~日本人はいかに効率良く英語を学べるか~

英語学習に関する事いろいろです。日本人がいかにすれば実用英語を身に付けられるか、その最短距離を考察!

英語学習法(57)

2005年02月20日 | 動名詞
「動名詞」と呼ばれるものを扱います。入門編です。以下、見ましょう。

(1)楽しむ
(2)楽しむこと

(1)の日本語は動詞で、「楽しむ」ですが、一方、(2)の日本語は、「楽しむ+こと」で、「楽しむこと」になっています。日本語では、「こと」は名詞ですが、(2)のように、動詞の語尾に、「~ こと」がくっつくことで、動詞を、あたかも名詞のように扱うことができるようになります。

(3)楽しむが、大事です。 (×)
(4)楽しむことが、大事です (〇)

(3)はアウトで、一方、(4)はOKです。一般に、「~ が」の前に、自然にくっつけることができるのは、動詞ではなく、名詞です。そこで、(3)では、「楽しむ+が」が原因でアウトになっているわけですね。しかし、一方、(4)では、「楽しむこと」を名詞と見なして、「楽しむことが」とやってもおかしくない、というわけです。

(5)enjoy (訳同(1))
(6)enjoying (訳同(2))

英語にも、(1)と(2)の関係に対して、ほぼ並行的な関係が、文法上、存在します。それが、(5)と(6)です。(5)は、動詞‘enjoy’「楽しむ」で、(1)に対応していますが、一方、(6)は、‘enjoying’「楽しむこと」で、(2)に対応しています。

そこで、(6)の‘enjoying’を分解すると、「‘enjoy’+‘-ing’」になります。これを単純に考えれば、この動詞の語尾である‘-ing’は、日本語の「~ こと」に対応していると言えますので、なかなかわかりやすいと思います。

(7)Enjoy is important. (×) (訳同(3))
(8)Enjoying is important. (〇) (訳同(4))

英語(7)はアウトで、一方、英語(8)はOKですので、やはり、日本語(3)と(4)の可否に対して並行的です。ここから、大まかには、日本語の「動詞+~ こと」は、英語の「動詞+‘-ing’」に対応させておけば、まず問題はないだろうと思われます。

(9)John watches TV. (ジョンは、テレビを観る。)

(9)は、「主語‘John’+動詞‘watch’+目的語‘TV’」の文ですが、英語の動詞の性質として、主語を取るというものがあります。そして、動詞が他動詞ならば、目的語も取ります。ところで、動名詞は、動詞に‘-ing’という語尾を加えた語形変化ではありますが、こういった動詞としての性質は、果たして、どのような扱いになるんでしょうか。

(10)John's watching TV (ジョンがテレビを観ること)

(10)では、「‘watch’+‘-ing’」で、‘watching’となる動名詞が使われています。そして、(10)全体で、(9)に対応させて変形させたカタチとなっています。その特徴としては、‘John's’という所有形のカタチが使われ、‘TV’は、そのまま‘watching’の直後にくっついたままです。

そこで、別に、(10)はおかしな英語ではありませんが、このようなカタチは、ちょっと変な印象をもってしまいます。というのも、‘John's’という所有形は、他の名詞にくっつくときの典型的なカタチであるにもかかわらず、一方、‘TV’の方は、他の名詞にくっつくときの典型的なカタチをしていないからです。

(11)John's book on Japanese (日本語に関するジョンの本)

(11)のように、例えば、‘book’「本」のような名詞を中心に据えて、その前後に他の名詞を付けたすときには、「所有形‘John's’+名詞‘book’+前置詞‘on’+名詞‘Japanese’」のようなカタチになるのがルールとして決まっています。

ですので、(10)と(11)を比較した場合、(10)における‘watching’と‘TV’の間には、(11)と同じく、何らかの前置詞が必要ではないかと思われますが、しかし、結論としては、やはり、(10)には、別に前置詞など必要なく、‘watching’の直後に‘TV’があってもよいのです。

ここで、今回扱っている「動詞+‘-ing’」のカタチが、なぜ、「動名詞」と呼ばれているのかが理解できます。つまり、動名詞は、動詞と名詞の性質を、同時に受け継いでいることに、その特徴が見出せるからなんですね。(10)では、所有形‘John's’が、(11)と同じく、名詞にくっつくときのカタチであるが、一方、‘TV’は、(9)と同じく、他動詞の目的語としての性質を、そのまま受け継いだ前置詞のないカタチになっています。

(12)Watching TV is important for Tom. (〇)
  (テレビを観ることは、トムにとって重要なことだ。)

(13)John's watching TV is important for Tom. (〇)
  (ジョンがテレビを観ることは、トムにとって重要なことだ。)

ここで、動名詞の前にくっついて、主語の役割を果たしている所有形についてですが、これは、あってもなくても、文法上、何も問題はありません。ですので、‘John's’のない(12)も、‘John's’のある(13)も、両方ともOKです。普通の名詞にしても、その前に所有形がある場合 (例えば、John's books) もあれば、ない場合 (例えば、‘books’のみ) もあるわけですから、この点、動名詞は、名詞的性質の方を受け継いでいると言えます。

しかし、ここで、別の視点ですが、意味解釈という点からは、少々、考えるべきところがあります。例えば、(12)のような文では、‘watching’の主語に相当する表現がないわけですから、その主語は、誰でもない、という解釈になるかと言えば、そうではなく、通常は、‘Tom’「トム」ということになります。

(14)Waching TV is important for TV producers.
  (テレビ視聴は、プロデューサーにとって重要だ。)

しかし、一方、(14)のような例になると、‘watching’の主語に対する解釈が、ちょっと困難で、①・職業なので、プロデューサー自身がテレビを観ること、なのか、それとも、②・視聴率が死活問題なので、一般視聴者である他の人々がテレビを観ること、なのかが、一発で決定しがたいというケースです。

ここで注目すべき点は、(12)と(14)の違いは、‘Tom’が‘TV producers’に置きかわっているだけ、ということです。つまり、(14)が、①と②のように、解釈があいまいであるということは、潜在的には、(12)だって、解釈があいまいである、ということなのです。例えば、(12)において、トムの職業が、テレビのプロデューサーであると想定して、あらためて、(12)を見直すと、①のみならず、②の解釈も浮上してくることがわかると思います。

このように、動名詞の主語に相当するものが、カタチとして存在していない場合でも、「意味解釈」という立場からは、適切な主語を、想像で補うことをしなければならないので、ある意味、厄介と言えば、厄介です。ただ、動名詞の主語に関する解釈が、ガッチリ固定されているケースもあります。

(15)Do you mind opening the window ? 
  (窓を開けていただいてもいいですか。 (あなたは窓を開けるのを気にしますか。))

(16)Do you mind my opening the window ?
  (窓を開けても大丈夫ですか。 (あなたは、私が窓を開けるのが気になりますか。))

(15)と(16)では、「‘mind’(~ を気にする)+‘-ing’」が使われていますが、その定番の日本語訳があって、「~ することを気にしますか → ~ してもらえますか、~ してもいいですか」ということになっています。(15)では、‘opening’「開けること」の主語が、必ず、‘you’「あなた」でなければならず、一方、(16)では、‘opening’の主語は、必ず、‘my’「私」でなければなりません。

つまり、(15)の‘opening’は、(12)や(14)の‘watching’のように、その主語に関しての解釈があいまいではなく、必ず、‘mind’の主語が、そのまま同時に‘opening’の主語も兼ねるように解釈されることになっています。

今回のポイントは、英語の動詞の語形変化の1つである‘-ing’のカタチで、「動名詞」と分類されるものが、実質的に、どのような性質をもっているのか、ということです。まず、その名の通り、動詞と名詞の合の子のような存在であり、部分的に動詞の性質をもっており、一方、部分的に名詞としての性質ももっています。

そして、名詞としての性質の方にスポットを当てて考えた場合、その主語の有無がオプションであるが故に、動詞としての性質から考えた場合、主語の解釈が問題になってしまうという、意外と厄介な側面があるということです。ですので、やっぱり、「~ こと」だけで、動名詞が語れるほど甘くはないですね。

今回、初歩的な解説しかしていませんが、まだ語ることはありますので、またの機会です。

■注 :(15)や(16)のような疑問文を理解する際は、意外と、カッコ内の直訳も大事なものです。日本語の表現としてはギコチないですが、一応、カッコ内のような直訳で考えた方が、間違いを防ぐためには確実です。というのも、その返事をする際に、‘OK’の意味で、‘Yes、I do.’と答えると、「ハイ、気にしますね (だから、お断りです)。」と答えていることになり、真逆の意図を伝えることになってしまいます。

       みんなの英会話奮闘記★      ★英語・人気blogランキング


最新の画像もっと見る

コメントを投稿