D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Never For Ever('80)/Kate Bush

2008-04-02 00:56:50 | vocalist
邦題“魔物語”

春がやってきました。
季節の節目に、ちょっと異形の世界を覘いてみることにしましょう。
・・なんちゃって。(笑)

Kate Bush(ケイト・ブッシュ)については、以前“天使と小悪魔”“レッド・シューズ”の記事を書いてますが、今のところ一番気に入ってる作品をまだチョイスしていませんでした。
それが、本日のこれ、'80年リリースされた彼女の3rd作“Never For Ever(魔物語)”でございます。
齢の話で恐縮ですが、彼女は'58年7月30日生まれとのことなのでリリース当時は弱冠22歳ちゅうことになります・・若い!

数多くのアーティストが参加してるので、例によってその辺はオミットします。
が、個人的にめぼしい面子がいまして、Roy Harper(cho on#11)とMax Middleton(kb on#1,3,5,6,11)の二人がそうです。
ロイ・ハーパーと言えば伝説のブリティッシュ・ロック・メンの一人で、かつて若かりし頃のJimmy Pageなどが心酔していた御仁ですね。
マックス・ミドルトンは言わずと知れた名サイドメンで、私も大好きなキーボーディストの一人です。
そんな彼等をしても、ケイトの強烈な個性の中に埋もれてしまってるてのが、ホントに凄い事じゃないでしょうかね。



この作品は、彼女がまだこっちの世界に居た最後の作品・・表現があんまりでしょうか(汗)・・になりますか。
・・なんせこの次が、あの“The Dreaming”ですから、ネ。
丁度この頃、何もかもが上手く行っていたようで、Peter Gabrielとの仲も上々で彼の作品にも参加してたと聞きます。
自身も演劇の世界に踏み込み、プロデュースした作品がこの頃ようやく披露されてるようですね。
その内容はシアトリカルで、狙ってかどうか分かりませんが有る意味コンセプトアルバム的様相を呈しています。

tracks:
1.Babooshka“バブーシュカ”
2.Delius (Song Of Summer) “ディーリアス(夏の歌)”
3.Blow Away (For Bill) “死者たち”
4.All We Ever Look For“わずかな真実”
5.Egypt“エジプト”
6.The Wedding List “ウエディング・リスト”
7.Violin“バイオリン”
8.The Infant Kiss“少年の口づけ”
9.Night Scented Stock “木の精は夜の香り”
10.Army Dreamers“夢見る兵士”
11.Breathing“呼吸”

先述したとおり、全体的にシアトリカル・・てか、まるでオペラみたいですね。
どの曲も“熟年コーラス隊(?)”が始終絡みながら進行してゆくようで・・ネ。
サウンド面でも、アコースティック的なイメージを活かしながら、シンセやリズムボックスで妙にアナログ的な世界を演出しています。

曲としては、まず#1“Babooshka”が私の一押しですね。
この曲は当時イギリスのシングルチャートで5位まで上がったようです。
不条理な詩の内容を夢見心地に演出した素晴らしい曲じゃないかと思います。

アレンジ的には、#4“All We Ever Look For”なんかも実に巧妙ですね。
廊下沿いに次々にドアを開け、それぞれに垣間見る違う世界を思わせるようなその音だけで、我々を想像の世界に誘うようです。

#5,7,8あたりは、例によって倒錯した性への願望がテーマでしょうか。
・・なんか、お約束みたいな展開ですね。

そして、ラスト#11“Breathing”が次点かな。
実に隠微な世界ですが、それ以上に情念が深く感じられる歌です。
・・できすぎの構成ですね。



多分LP盤の裏ジャケにも載ってたんじゃないかと思いますが、ケイトの演じるコウモリの風貌にちょっと引いてしまいます。
上梓したミュージカルからとった素材なのかもしれませんが、この辺が次作へと導かれた狂気の序章だったのでしょうか。
マジなのかネタなのか、今となっては良く分かりませんがネ。

有る意味、彼女はこの作品によって自身の精神面において頂点に達してしまったのではないかと感じます。
てことは、やはり常人の域を超えるしかなかった・・ということになりましょうか。
悲しい位ピュアな方なんですね。
“魔物語”という邦題を付けた方も、もしかしたら私と同じような印象を感じたのかも知れません。

・・思えば、真理をついたいいタイトルなのかもしれません。



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8 コメント

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Peter Gabriel?・・・納得 (FUSION)
2008-04-03 19:38:53
お邪魔します。

私、ケイト・ブッシュの事は「WUTHERING HEIGHTS(嵐が丘)」くらいしか知りませんので全くコメント出来ませんが(汗)・・・本文にあった「Peter Gabrielのアルバム」の件が気になりまして・・・そのアルバムは「So」と言う、実に面白い作品です。1986年のアルバムですが・・・確かにケイト・ブッシュが「Don't give up」と言う曲に参加していますネ・・・そういう仲だったとは(笑)・・・納得です。因みにこの曲、リチャード・ティーも参加しています。(ご存知でしたらゴメンナサイ)

的外れのコメントで失礼しました。
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FUSION様 (elmar35)
2008-04-03 23:34:02
コメントありがとうございます。
意外な反応にちょっとビックリ!?(笑)
ガブさんも守備範囲でしたか・・捨て置けない方ですな!
“So”といえば“Sledgehammer”がヒットした作品でしたね。
ちゃんと聴いてないので、ケイトの参加作が分り助かりました・・ありがとうございます。
また機会をつくってちゃんと聴いてみますね。
リチャード・ティーのネタも仕込んでます。
また近いうちに書けたらいいのですがネ。

毎度お気遣い感謝します。(笑)
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ちょっと違うみたい (茶丸)
2008-04-04 04:23:30
皆さんおはようございます。(ってか皆寝てますね)
たまたま通りかかったので覗いてみましたがちょっと
違うかなと思いましてカキコします。
ケイトが魔物語の頃に参加したピーターのアルバムは
Ⅲです。ここで2曲に参加してその時のレコーディングに大きく影響を受けドリーミング製作に突入していくことになります。
かなり影響を受けたようで当時最先端のサンプリングマシンであるフェアライトCMIを買ったり(借りた?)
してオーケストラヒット(例のジャン!って鳴るやつ)とか色々使っているみたいです。もう少し詳しくカキコしたかったですがもう寝ます。
それではまた。
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茶丸様 (elmar35)
2008-04-04 20:31:48
初めまして、コメントありがとうございます。
気になったので調べて見たところ、あなたのおっしゃるように、この時期参加してたガブの作品は“Ⅲ”のようですね。
ご教授、改めて感謝します。
ちなみに彼女、“So”でも再びゲスト参加してますよ。
ガブとの蜜月も実にあっけないほど短かったということのようですね。
今後もどうぞよろしくお願いします。(笑)
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失礼致しました。 (FUSION)
2008-04-04 21:40:25
茶丸さんへ

今、アルバムPeter Gabriel3(サード)を確認したところ、確かにケイト・ブッシュのクレジットが、・・・そして1980年発表・・・全くもって今回の「Never For Ever」が発表された年でした。私がコメントした「So」は1986年でしたネ。ご指摘有難うございました。

elmar35さんへ

大変失礼致しました。やはり守備範囲から外れたコメントをすると恥ずかしい事に・・・(汗&涙)

追伸:例のフュージョン決定盤101・・・やはり買っちゃいました。教えて頂き、感謝致します。
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FUSION様 (elmar35)
2008-04-04 21:52:35
ご丁寧にありがとうございます。
間違いではないので気になさらぬように。
私の方がそちらで失礼しまくりですから。
それより、あなたがコメントを下さることが、何より嬉しいのですよ。
懲りずにバンバンかましてくださいネ。(笑)
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再び茶丸です (茶丸)
2008-04-05 18:40:14
elmar35さん FUSIONさん

こんにちは茶丸です。(うちのメス猫の名前です)
先日は突然現れ挨拶も無しにカキコしてすみませんでした。なんせ時間が時間だったものでとりあえず書いちゃいましたが、よく考えたらいきなり見ず知らずのものが来て重箱の隅をつついた様で反省してます。
また何かコメントしに来ますので宜しくお願いします
ちなみに私、通りすがりプログレ大好き親父です。

ところでelmar35さんはケイトがお気に入りのようですが、フランスのMYLENE FARMERってご存知ですか?
フランスではNo.1の人ですが日本ではいまいち(何でだめなのかな?)なんですが結構プログレ系の人に人気があってケイトとはまた違った恐ろしい世界があります(最近はちょっと普通になったけど)YOUTUBEでも色々見れますので時間があったらぜひどうぞ。
それではまた。
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茶丸様 (elmar35)
2008-04-05 21:43:05
いえいえ、こちらこそコメント頂けるだけで嬉しいですよ。。
もう、全然ウエルカムですので(笑)いつでもお越し下さい。
詳しい方のコメントを戴いてこそ、ブラッシュアップできますので、遠慮なく訂正下さい。

MYLENE FARMERさんのご紹介ありがとうございます。
全く知らなかったのでYouTubeで覘いてみましたが、なかなか興味深い方ですね。
じっくり研究させて頂きます。(笑)
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