D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Quantum('07) / Planet X

2007-05-30 22:39:17 | allan holdsworth
先日のポンチャンに続き、Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース:g)先生参加の最新作品です。
邦盤リリースのアナウンスが今回いまだになされてないので、我慢できずに買っちまいました。

この作品は、現在Derek Sherinian(デレク・シェリニアン:kb)とVirgil Donati(ヴァージル・ドナティ:d)の2人だけになっちゃったPlanet X(プラネット・エックス)の最新作となります。


【Ltor:Derek Sherinian , Virgil Donati】

とはいっても、昨年の7月にはトラックリスト9曲のアナウンスが既にされており、出るんか?思ったら先にデレクのソロが出ちゃうし、待たされること約1年。
その間、ギターもTony MacAlpine(トニー・マカパイン)からスイッチしてたはずのT.J.Helmerich(T.J.ヘルメリッチ)も消えてるし、ベースでRufus Philpot(ルーファス・フィルポット)が参加したと思ったら、知らん間に消えてるし。
まあ、彼らも遊びで音楽やってるわけではないですから、開店休業状態のプロジェクトにいつまでも関わってられないわけで・・。

音的にはいつもの通り・・と言ってしまえばそれまでなんですが、相変わらず鬼のような変拍子の嵐&卓越したキーボードオーケストレーションが展開されてます。
そのスペーシーなサウンドには、やはりエイリアン的変質ギターが乗ってくるのが必然というわけですな。
今回はその大役を、PXがデレクのソロプロジェクトとして立ち上げられた1st“Planet X('99)”での共犯者であったBrett Garsed(ブレット・ガースト:g)がほぼ全曲で担い、くだんのホールズワース先生も2曲のみ加担され、その神技を披露されてます。


【LtoR:Brett Garsed , Allan Holdsworth】

そしてメインのベーシストは、なんと先生でおなじみJimmy Johnson(ジミー・ジョンソン)で、先述のルーファスが2曲のみ参加となってます。


【LtoR:Jimmy Johnson , Rufus Philpot】

面白いことに、今回1曲を除き、すべてヴァージルが曲を書いてます。
ただ、既発表のトラックリストから2曲差し替えがありました。

1.Alien Hip Hop
実は、ヴァージルのソロ3作目と言って良いのか“On The Virg”名義'99年リリース“Serious Young Insects”という作品に、このオリジナルヴァージョンが収録されてます。
なんとそこでブレットと先述のT.J.がギターで参加してます。


【Serious Young Insects】

今回はブレット&デレクがソロを演っており、デレクの構築するサウンドによって更にスペーシー度合いがアップしてます。
偏執的なリズムのアーティキュレーションとゆったりしたサビが織り成す、実にきわどい曲です。
ブレットのソロはペンタ主体の明るい展開・・デレクは短いし、よく聴けばヴァージルも結構長いソロを演ってるじゃないですか。
リズムと完璧にシンクロしてるジミーのベースも凄い!

2.Desert Girl
ホールズワース先生参加曲その1・・ベースはジミーのようです。
エレピのアルペジオ主体となる、荘厳でスペーシーな曲。
この曲のメインのバッキングはブレットですが、先生のオブリ的というかハーモニーを被せるようなコード弾きとソロが堪能できます。
・・実にスピーディでハードです・・でも全くメタリックじゃないのがさすがですね。

3.Matrix Gate
当初のリストには無かった曲その1。
7拍子主体のリフの応酬。
彼らの特徴は、やはり変拍子+複雑なリズムの分節化ですが、ポリリズムじゃないところ・・と、言うしか無いんですよね。
ブレットのソロがかなりレガート・・彼も実はホールズワーシアンだそうです。

4.The Thinking Stone
ホールズワース先生参加曲その2・・ここではソロのみ披露されてます。
ベース&バッキングギターはジミー&ブレットです。
出だしはラテンぽいのに・・スペーシーなブレットのテーマからスタート・・音使いがちょっと先生風かも。
ただ、先生のソロは爆裂ドラムのみをバックにまるで高速スケール練習みたいな風にしか聞こえないアレンジがプー。
対するデレクのソロが短いながらも熱いのがせめてもの救いでしょうか。

5.Space Foam
当初のリストには無かった曲その2・・この曲のみデレク、ヴァージル&ルーファスの共作となってます。
・・ベースは当然ルーファスです。
ん、いまいちルーティン・ワーク?って感じの曲かも。

6.Poland
デレクがずっと淡白なのが物足りない原因ですね。
折角、ブレットとジミーがソロで頑張ってるのにねえ。
“Roland”で演ってる割りにイマイチだから“Poland”?って嫌味の一言も言いたくなります・・残念!

7.Snuff
リズム主体で聴くと実に恐ろしい曲です。
デレクとブレットの対話的なソロの応報が聴き所・・この作品の一つのハイライトになってます。

8.Kingdom Of Dreams
まさに病的なリズム遊びが延々続きます・・その割りにインプロ向けの曲でもあったりします。
ライヴで観ると凄いグルーヴなんでしょうね・・ヴァージルはまるで人間リズムマシンと化して、最後の盛り上げ方なんかも鬼気迫るようです。

9.Quantum Factor
ルーファスの参加曲その2。
ラストは流石に力の篭ったスペース・オデッセイって感じの曲で締めとなってます。
リズムの切り替えなどが実にシンフォニックに決まってますね。
できれば、こんな曲で先生にソロを弾いて頂きたかった・・収拾がつかなくなるって?・・確かにそうかもネ。


#3,5に関しては、昨年の発表では“She Tyranny”と“I Crave”の2曲になってました。
そして、このアナウンスと同時にホールズワース先生がソロ等を5,6曲残してることも伝えられてたのです。
と、いうことは、邦盤がもし出たら・・ボートラ付き?・・それは無いじゃろうが・・。
・・あるいは、次作に収録の可能性も・・ありかも!?

いずれにしても、ちょっとデレクが手抜きしまくりなのが気になります。
・・果たして、こんな彼らに未来はあるんでしょうか?



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お目当ての・・・ (gw)
2007-06-02 10:00:37
お目当てのラルーちゃんはいないですが、それでもちょっと気になります(笑)。構成よりメロディ派の自分としては Jordan Rudess のスタイルのほうが好きなんですが、何と言ってもバークリー時代 T Lavitz に師事していたという Derek もいつも横目でチラチラと気になる存在です(笑)。
返信する
gw様 (elmar35)
2007-06-02 14:50:20
コメントありがとうございます。
・・ラルー氏参加の噂があったんでしょうか・・聞いてないけど。
記事にも書いてますが、Derekは今回パッとしません。
彼はソロプロジェクトを優先させた感もありますね。
T Lavitz関連も手元にいくつかありますので、勉強しておきます。(笑)
返信する
おお (sorapapa)
2007-06-03 12:08:16
さりげなくこんな作品があったんですね。デレクの音色があまり得意ではないので(笑)ブレットのギターが気になりますね、やはり。アンクルモーズスペースランチの新作も登場したようですので、合わせてチェックせねばって感じです。
返信する
sorapapa様 (elmar35)
2007-06-03 16:01:47
コメントありがとうございます。
Brett、結構頑張ってますよ。
記事の通り、敢えてお勧め出来ませんが、余裕があればお試し下さい。
それより、Uncle Moe's~の2ndが凄そうですよね。
1stは、手元にありながらまだまともに聴けてないんですが、こっちも早く聴いてみたいです。(笑)
返信する