D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Once Around The World('88)/ It Bites

2010-07-10 22:19:45 | band
一生懸命自分で書いたシナリオを、本日いとも簡単にぶち壊され、凹んでます。
世の中、甘くないですね、ホント。(涙)
閑話休題。

ま、そんな感じで、少し前に手に入れたこんなのを聴いて、自分を慰めてました。
・・紛らわしい文脈ですみません。

いつもお世話になりっぱなしのブログ仲間の皆様からハードプッシュされ続けていた、It Bitesの2nd作“Once Around The World”です。
現在手に入る輸入盤なのですが、メンバーさんのクレジットがなく、こんな感じでいいのかな?
・・顔写真はあるのに、ネ。

personnel:
Francis Dunnery(vo,g,cho)
John Beck(kb,cho)
Dick Nolan(b,cho)
Bob Dalton(d,cho)

個人的にはMTV時代のPVでしかお付き合いが無かった方々ですが、改めて聴いてみると、なかなか一筋縄では行かない類の音楽であることに気付かされます。

tracks:
1.Midnight
2.Kiss Like Judas
3.Yellow Christian
4.Rose Marie
5.Black December
6.Old Man And The Angel(Full Length Version)
7.Hunting The Whale
8.Plastic Dreamer
9.Once Around The World

しかし、これほど形容が困難なサウンドは、なかなかございません。
基本はポップで、ギター・オリエンテッドながら曲者シンセが処構わずスペースを奪ってゆき、変拍子も何のその、で、ビート命みたいな。
・・なんですかこれ?。
英国ロックの系譜を正しく辿って来た方なら“あの連中みたいな感じ”って云えるのかな?
少なくとも、私には無理。

最初“アメリカぽいかも”って気もしたのですが、冷静に聴いてると“果たしてこんな湿った明るさって、アメリカかな?”という気もしたり。
そう、湿ってるんですね・・しかも明るい・・何やそれ?(笑)
多分、この辺が我々日本人の感性にモロ被るのではないかと・・。

The Beatlesがかつて“Sgt.Peppers~”あたりで多用したような手法にも通ずるテキストも垣間見れるのですが、マテリアルは全く違うんですよね。
・・これも時代なのかな?

ひつこいようですが、そんな手法に関しては、例えばQueenとも似てますが、奴等がメロディ主体とすれば、バイツはビート主体ではないかと感じます。
・・濃いファンの皆様からは異論も御座いましょうが(笑)苦情はベック氏までお願いします。
あくまでギターオリエンテッドであって、大胆なテクスチュアの切り替えが、ほとんど無いんですもの、ネ。
つまり“流れ重視”という意味でご理解いただければと思います。

・・これは、ライヴバンドとしては生命線じゃないかとも思う訳で・・。

ただ、リズム隊の2名の弱さは、やはり否めません。
個人的には、このあたり、少し残念に感じます。

で、ダナリー氏のギターですが、“NewType”という言葉が真っ先に思い浮かぶようなプレイでしょうか。
パーツをはめ込んで行くようなイメージ、というか、まるでパッチワークのように瞬時に様相を異にした音を流れるように組み立てて行く感じかな。
音は違えどZappa的な志向も垣間見れるようで、つまりクラシカルな構築法がそのベースにあるのかもしれませんね。
それもパーカッション的解釈のように見受けられます。
バッキングの構築法はファンクそのものですが、コード弾きの部分での歪み具合などが、ソロ同様やはりハードロックの系譜も感じさせる訳で。
ソロ部分でも申し分なく、早いパッセージからダイナミックなパワー弾き、そしてタッピングまで、何でもござれみたいな。
諸氏からは異論も出そうですが、無理矢理具合がGary Mooreみたいじゃないか、と感じる次第です。

インプレッションに関しては、かなりプログレッシヴでありながら、かつ良質なパワーポップという、なかなかお目にかかれないジャンルですね。
そもそも、カテゴライズすべきかどうか迷う部分も御座いますが。(笑)

まず、#3“Yellow Christian”の偏執具合には少々戸惑う所もございますが、このギターソロ辺りでのサウンドの美しさには惚れ惚れしますね。
このリズム崩しには、いささかやりすぎの帰来も感じますが・・果たして再現可能なの?
捜してみたら、なんとこの面子で、演ってるじゃん、しかも東京で・・。

It Bites - Yellow Christian (Live) Tokyo 1989


で、総体的な主体は、#2“Kiss Like Judas”に代表される、極上のハードポップサウンド。
これは、いわゆるMTV向けの曲だったのかもですが、テーマが凄くキャッチーですね。
多分、一押し。(笑)

It Bites - Kiss Like Judas


#6“Old Man And The Angel”なども同様のスタイルですが、幾分変態的指向も垣間見られ(笑)良い感じですね。

It Bites - Old Man And The Angel


そんな感じで、何だかんだ言いながら、やはりラストの一代抒情詩“Once Around The World”の世界観に総括される訳ですな。
約15分弱の時間内に、詰め込めるだけの色んなパーツが溢れており、万華鏡のようで、焦点が定まりにくいのが弱点かも。
テーマの部分の印象が若干薄めなので、これがもっとブラッシュアップされてれば、パンピー受けも狙えたような気もするのですが・・。
と、言いつつ、凄い組曲だと思いますよ、実際。

Once Around The World


しかし、完成度が高い作品ですね。
これはもっと早く、若い頃に聴いておくべきだったかもですね。
最近、今の面子のライヴで、これを再現したそうで。
いやはや、恐れ入りました。(笑)


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8 コメント

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最新作のThe Tall Ships (じゅんWetton)
2010-07-10 23:27:47
のメンバーによる旧作の再現も良いですが、何よりも第一部で演奏された新曲♪が素晴らしく感動しました!

Wettonのサポートで来日しているメンバー達ですから、演奏が最高なのは当然ですが、最新作の素晴らしいハーモニー、メロディーは本当に堪りません(^^)

secondの再現は話題を集めるために効果的でしたが、現在が充実している為、新曲だけの再現liveを聴きたかったです。

私はsecondよりも、最新作が断然好きです

Unknown (桃猫)
2010-07-11 10:55:50
フランシス・ダナリーのソロアルバムは、全部イイですよぉ~。ルックス、歌、ギター三拍子揃ったひとは、なかなか居ない。エリック・ジョンソンぐらいか(笑)。ダナリーが居ない、バンドは、遠い憧憬。
じゅんWetton様 (elmar35)
2010-07-11 20:20:20
そうですね、私はその新作から聴きだしたこともあって、気に入ったこそ遡ってみた訳です。
今回、ライヴ映像を色々物色してて、彼らの本領を垣間見たような気がしました。
昔の東京ライヴにも興味深々です。
そんな感じで、新作も早く出して欲しいですよね。(笑)
桃猫様 (elmar35)
2010-07-11 20:23:21
ダナリーのソロですか。(笑)
この連中って、私の守備範囲から微妙に外れてるんで、困ってます。
ボチボチ追跡を始めようかと、密かに企んでますよ。
ここは行かせて貰います (ドイツ特派員)
2010-07-17 09:19:33
elmar35さん、いやもうここは私でしょう(笑)。何万回聴いたか…。

ですが、フランシス=ゲイリームーア説は新鮮な表現ですね。音の詰め込み方だけ見れば、ピッキングかレガートかの違いだけかも。ただ、フランシスのピッキングって、物凄く空ピッキングを律儀に入れたオルタネイトなんですね。しかもレガートでの音の強さも半端じゃないし、凄いギタリストです。ですがYellow Christianは昔のライブでは間違えてます(笑)。

最後のOATW、これは主題というよりも、結局最後のコーダへどう盛り上げるかだけという話も。その部分の前の簡易ホールズワースであるホールトーン連発にしても、最後に至るまでのパーツでしかないのかも知れません。それでもそのコーダの落涙具合はもう…(以下略)。

このアルバム再現も良かったんですが、現在のメンバーでの曲もそりゃあ完成度が高い。また来日しないかなあ?と言い出すとこの件はキリがなくなるのでこの辺で。しかし色々と上手く行かない事多い世の中、ボチボチ行きましょう。
私も行かせて頂きます(笑) (sorapapa)
2010-07-17 11:11:29
コチラも何万回も聴いてますです(笑)

フランシスは4人の中で只一人HR魂が強いんですよ。ジョンベックはジェネシスからの影響が強いみたいですが、フランシスはパープル、イエス、UKだったような記憶が。。。

なのでアランホー大先生の影響も強いかと。

ただ、ギターは相当の腕前です。

ソロになってからは音数も減り、感情豊かなプレイに移行してしまいましたが悪くないっす。ただ、音楽性は揺れましたね。パンキッシュ、ソウル、ブルース、カントリーと、、、アメリカン志向が強くなっていく感じでしょうか。

ただ、やはりバイツ時代のプレイがお気に入りですね。あの複雑な楽曲を歌いながら弾くって、、、他にはブリュー位かなと(笑)

よりキャッチーな1stもぜひ!

世間ではプログレに分類されがちですが、どう考えても説明不可能な音楽性、、、好きです。
ドイツ特派員様 (elmar35)
2010-07-17 15:58:44
ご紹介頂き、感謝しております。
もう10年若かったら、かなりのめり込んでたのは間違いないでしょうね。
フロント二人の個性の鬩ぎ合いが実に面白いですね。
また、ライヴの出来が凄いみたいなんで、今後ボチボチ(笑)追っかけてみます。
sorapapa様 (elmar35)
2010-07-17 16:03:03
ダナリーのギターってなかなか形容し難いですよね。
90年代後半に良く似た感じの方がチョコチョコ出てきましたが、ある意味フロンティアだったのかもしれません。
独特の湿り気がいい感じなんで、多分1stも近々手に入れるんじゃないかな(笑)って思ってます。
ほんと、良いバンドですね。