D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Legs Eleven('03)/ Chad Wackerman

2009-01-14 21:33:19 | holdsworthian
では、本日はホールズワーシアン第2弾、行ってみましょう。(笑)

今やAllan Holdsworth(アラン・ホールズワース)のサウンドには欠かせない存在となったドラマーであるChad Wackerman(チャド・ワッカーマン)。
彼の4thソロ作“Legs Eleven”をネタに話を進めてみましょうか。

チャドは'60年3月25日カリフォルニア州ロングビーチ出身で、現在48歳。
父親のChuckが音楽教師でありドラマーであったことからでしょうか、幼い頃からドラムに親しんでいたようですね。
Frank Zappaのバンドには'81年から'88年頃までの間在籍してたようです。
Men At WorkのツアーやBarbra Streisand、Steve Vaiらとの共演を経て、ホールズワース先生のUSデヴュー盤“Road Games”に参加。
以降、先生の作品やバンドでの共演を繰り返しながら今日に到ってます。
彼の他のソロ作では、1st“Forty Reasons('91)”及び2nd“The View('93)”の2作で先生が客演してます。

私は、幸いにも過去2回程彼に直接接する機会を頂きましたが、このジャケ写真のまなざし通りの優しく穏やかな方でした。
凄くファンを大切にしてくれる・・もう大好きな兄貴です(笑)

ついでに、彼は4人兄弟でして、そろいも揃ってミュージシャンなんですよね。
まずBob。
ベーシストであり、現在はプロデューサーとしても活躍中とのことで、ホールズワース先生の“Secrets”にも1曲ベースで参加してます。
その他、Maynard Fergason、松居 慶子、Henry Manciniらとも共演しているとのこと。
・・最も情報が少ない方です。
次にBrooks。
ドラマーとして現在Bad Religionというハードコア・パンク・バンドで活躍中。
過去には、Korn、Avril Levigne、Suicidal Tendenciesらとも共演してる模様。
更にもうひとりJohn。
この方もドラマーで、最近“Drum Duet Vol.1”というDVDを上梓されたとのこと。
Steve Gadd、 Alex Acuna、 Peter Erskine、 Steve Smith、はたまたチャドや父親らとのデュエット演奏が拝める代物だそうです。
・・ちょっとおもしろそうですね。

で、この4人の歳の順がいまいち良く分りません。
多分、チャドを筆頭にこの順じゃないのかな。

・・余談が過ぎました。(笑)
本編に話を戻します。

personnel:
Chad Wackerman(d,per)
James Muller(g)
Daryl Pratt(vibraphone,marimba,synth)
Leon Gaer(b)

ギターのジェームス・ミュラーは'74年オーストラリアのアデレード出身とのこと。
ジャズ系の面々と活動しているようで、リーダー作はこれまでに4枚ほど出してる模様。
パーカッションのダリル・プラットも詳細不明ですが、カリフォルニア出身でクラシック畑のパーカッショニストのようです。
ヴァイヴ奏者としてリーダー作も数枚出してるようで、'85年にオーストラリアに移住し、シドニー大学の関連学校であるシドニー音楽院でパーカッションの教授を務めながら、地元のオケなどでも活動を続けておられます。
ジャズ方面の面々とも積極的にコラボってるようで、結構異端児なんでしょうね。
ベースのレオン・ゲイヤーは出自不明ながら、たとえばGino Vannelliの“Brother To Brother('78)”にシンセ・ベースで参加しているなど、結構ベテランのセッション・マンのようですね。
が、プレイは到って地味かも。

この3人はみなチャドの前作“Scream('00)”でも一緒に演ってます。

tracks:
1.Sophie's Beach
2.Spiral
3.Legs Eleven
4.Where You Come From
5.Newtown
6.No Time Like The Future
7.Tangara
8.Field Of Mars
9.Rhythm Clock
10.Balancing Acts

(試聴はコチラ

全曲、チャドのオリジナルです。
彼は昔からマックとキーボードで作曲してるんですが、ドラマーにしては珍しくコードプログレッションやヴォイシングに興味を持ってるそうですね。
具体的なリード・メロディとベース・ラインも自分で書きながら、リズムパターンへ落として行ってるようです。
ですから、本来的には作曲家なのかもしれませんね。
たまたまリズムに強いだけであって・・。

音を聴いてると、やはりザッパの影響を受けた部分というのが濃厚に感じられますね。
#2“Spiral”や#4“Where You Come From”とかの呪文のような音使いなんかが特にね。

タイトル曲#3“Legs Eleven”のアフロな感じや、#6“No Time Like The Future”、#9“Rhythm Clock”などでの音階叩き分けなんて、結構ボジオを意識してるのかな。

メロディなんかは例に漏れずホールズワース風ですね。
#1“Sophie's Beach”や#7“Tangara”などは、まるで先生のために書いたような感じもします。

指定されたライン通り弾かなきゃならなかったであろうギターさんも、さぞかし大変だったと思います。
必然的にサウンドも似てきちゃうから、どう足掻いても出来上がったモノに対して、リスナーからの批評は免れない訳です。
ミュラー氏の本意は分りませんが、少なくともホールズワースをリスペクトしてる雰囲気は伝わって来ます。
ただ、ソロの展開などを聴く限り、センテンスを物凄く短く切り慎重に音を選びながらすすめる手法から、彼は先生とは全く違ったタイプだと感じられます。
・・#2“Spiral”や#8“Field Of Mars”なんかで、そんな特徴が結構出てますね。
タイプでいえば、John Scofieldみたいな感じじゃないかな。

あと、ヴァイヴやマリンバの響きというのが、あのシンタックスのサウンドにも似通ってるんですね。
この辺は、チャドのセンスなんだと思います。
と言う訳で、一押しは#5“Newtown”と#7“Tangara”かな。

そういう意味で、今回の“ホールズワーシアン”の称号は、チャド・ワッカーマンに対して贈るべきレッテルとご理解下さい。



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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
音楽一家 (桃猫)
2009-01-16 10:10:28
こんにちは。ワッカーマン一家って、そんなに音楽一家だったのですね、凄い!ベーシストのボブは知ってたんですけど、あと数人も居たとは!よく考えると、人間、育ちは環境に左右されますよね。特に、スポーツとか、音楽とか。ちなみに、自分の園芸の原点は、宝塚の山本っていうところかな、生まれた時から、家では、苗を取り寄せていて。身近なところに、蘭とかの鉢植えがあったりして。
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こんにちは^^ (こでまり)
2009-01-16 13:52:54
チャド・ワッカーマン、テリーとのデュエット演奏しか知らなくて、
ほんとに翳りのない素直なドラムを叩く人だなって思ったんですけど、
こういう音楽が当たり前に身近にある環境で育ったからなのかなと思ってしまいました。
それにしても、いつまでたっても高校生みたいに可愛いですね^^
音楽に関係ないことですみません^^;
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桃猫様 (elmar35)
2009-01-17 07:28:45
コメントありがとうございます。
私も驚いてます。
面白い事実ですね。

宝塚といえば、あの周辺はお屋敷も多く、今でも趣味家だけでなく専門家や業者も沢山住んでおられます。
チャド以上に羨ましい家庭環境でお育ちになったようですね。
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こでまり様 (elmar35)
2009-01-17 07:31:47
コメントありがとうございます。
ほんとにハッピーな家庭環境だったことが伺える方です。
音楽にも、そんな性格が出るというのは面白いことですよね。
やはりハートが大事なのかな。
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