あなた方の集まりに,金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来,また,汚らしい服装の貧しい人も入って来るとします。
その立派な身なりの人に特別に目を留めて,「あなたはこちらの席にお掛け下さい」と言い,貧しい人には「あなたは,そこに立っているか,私の足元に座るかしていなさい」と言うなら,
あなた方は,自分たちの中で差別をし,誤った考えに基づいて判断を下したことになるのではありませんか。
(ヤコブ書2-2~4/新共同訳)
著者ヤコブはこの箇所の前文において,世に染まらないように警告している。
(ヤコブ書1-27)
そして,世に染まるということは,如何なることであるかを,この箇所で主張している。
それは,富者に特別な好意を示し,貧者を軽んじることだ。
「あなたはこちらの席にお掛け下さい」と訳されている箇所は,
「καλωσ(カロース,立派な)」という語の意味が抜けており,
本来は「あなたはこちらの良い席にお座り下さい」と訳されるべきだ。
このκαλωσという語によって,世に染まる者の富者に対する偏愛,
すなわち,神を信じていると言いながら金を愛する者の,羨望や嫉妬や執着が表現されている。
また,「私の足元に座るかしていなさい」とある部分の「足元」とは,
υποποδιον(ヒュポポディオン)という語であって,本来「足台」と訳されるべきだ。
この語は旧約聖書に特徴的な表現で,神の敵に対して使う表現である。
「あなたの敵をあなたの足台とする」(詩篇109-1)
すなわち,富者に執着して偏愛しながら,貧者を神の敵として,
最も忌み嫌うべき者としている態度が,この箇所で主張されているわけだ。
富者を特別に尊び,貧者を軽んじるということは,
自己の潜在意識に,金銭に対する執着があるからだ。
この金銭に対する極端な執着こそ,この世性の証である。
金を蔑視せよと言っているのではない,
金の多寡によって人間を測るなと言っているのである。
であるから,ヤコブの主張に鑑みれば,
富者を特別に軽んじ,貧者を特別に愛するのも,
金を意識する人間の傾向性なのである。
自分の内にある金に対する執着,富者に対する自己の羨望が,
屈折した形で富者に対する憎しみに変じ,
逆に,貧者であれば誰でも善良だという錯覚を生み出し,
自己の金銭欲に対する贖罪行為として貧者を愛さしめるのである。
神の恵みを受け,神を信じ,その神の御心を為したいと思うのならば,
富者であれ貧者であれ,弱きにある者に手を差し伸べる筈だ。
これが,著者ヤコブのメッセージなのだと思う。
その立派な身なりの人に特別に目を留めて,「あなたはこちらの席にお掛け下さい」と言い,貧しい人には「あなたは,そこに立っているか,私の足元に座るかしていなさい」と言うなら,
あなた方は,自分たちの中で差別をし,誤った考えに基づいて判断を下したことになるのではありませんか。
(ヤコブ書2-2~4/新共同訳)
著者ヤコブはこの箇所の前文において,世に染まらないように警告している。
(ヤコブ書1-27)
そして,世に染まるということは,如何なることであるかを,この箇所で主張している。
それは,富者に特別な好意を示し,貧者を軽んじることだ。
「あなたはこちらの席にお掛け下さい」と訳されている箇所は,
「καλωσ(カロース,立派な)」という語の意味が抜けており,
本来は「あなたはこちらの良い席にお座り下さい」と訳されるべきだ。
このκαλωσという語によって,世に染まる者の富者に対する偏愛,
すなわち,神を信じていると言いながら金を愛する者の,羨望や嫉妬や執着が表現されている。
また,「私の足元に座るかしていなさい」とある部分の「足元」とは,
υποποδιον(ヒュポポディオン)という語であって,本来「足台」と訳されるべきだ。
この語は旧約聖書に特徴的な表現で,神の敵に対して使う表現である。
「あなたの敵をあなたの足台とする」(詩篇109-1)
すなわち,富者に執着して偏愛しながら,貧者を神の敵として,
最も忌み嫌うべき者としている態度が,この箇所で主張されているわけだ。
富者を特別に尊び,貧者を軽んじるということは,
自己の潜在意識に,金銭に対する執着があるからだ。
この金銭に対する極端な執着こそ,この世性の証である。
金を蔑視せよと言っているのではない,
金の多寡によって人間を測るなと言っているのである。
であるから,ヤコブの主張に鑑みれば,
富者を特別に軽んじ,貧者を特別に愛するのも,
金を意識する人間の傾向性なのである。
自分の内にある金に対する執着,富者に対する自己の羨望が,
屈折した形で富者に対する憎しみに変じ,
逆に,貧者であれば誰でも善良だという錯覚を生み出し,
自己の金銭欲に対する贖罪行為として貧者を愛さしめるのである。
神の恵みを受け,神を信じ,その神の御心を為したいと思うのならば,
富者であれ貧者であれ,弱きにある者に手を差し伸べる筈だ。
これが,著者ヤコブのメッセージなのだと思う。
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