ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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ワールドカップ グループリーグ 日本対クロアチア(ニュルンベルク)0-0

2006-06-19 23:02:31 | サッカー
晴れ。

暑さというコンディションの中で結果的にはよくやった試合だったと言える。
この試合だけを純粋にみれば強豪クロアチアにスコアレスながらも引き分けたというのは大きい。
あくまでもこの試合だけを見ればである。
仮定の話をしてもしょうがないが、オーストラリアにもし勝っていればという想定でこの試合を見るならば、
引き分けられたのは彼我の実力の差を見れば十分な成果だったのだろう。
しかし、グループリーグ突破ということを考えれば、絶対に勝たねばならない試合だった。
日本が引き分け、ブラジルがオーストラリアに快勝してかろうじて望みを繋いだが、決勝トーナメントへの勝ち上がりは極めて厳しくなった。
しかし、これである意味、すっきりしたというのも事実だろう。ブラジルには勝たなければいけない。
勝つためにはリスクを冒してでも攻めなければいけない。戦い方は明確になった。
しかも相手はブラジル。ブラジルにとっては消化試合になってしまったが、世界王者を相手に捨て身で真っ向勝負を挑める機会なんて、そうあるものではない。
その開き直りがもしかしたら何かを起こすかもしれない。
言い古された言葉だが、サッカーでは何が起こるかわからないのでである。

クロアチアとの試合で最後まで消化し切れなかった課題は決定力だった。
これは代表に限らず日本のサッカー界の課題でもあるだろう。
金子達仁氏が「FWというのは、味方がシュートを打つときにそのボールが跳ね返って、自分のところにこないかと思うようなところがなければだめだ。
1-0で勝つよりも自分が決めたハットトリックで負けるほうにより満足するようなメンタリティこそがFWに求められている」というようなことを語っていた。
考えてみればそうしたある種の倣岸さは日本人が最も苦手とするところでもある。
強引さ、失敗を恐れないタフさ、思い切り・・・。こういうメンタリティでもって振り抜かれたボールこそがネットに吸い込まれる。
象徴的なシーンは加地からのグラウンダー気味のクロスを絶妙なタイミングで抜け出してきた柳沢のシュートシーンだった。
GKが飛び出していたため、きっちりと当てればゴールできたはずである。
しかし、ここで柳沢はアウトサイドでGKの左を狙うような難しいシュートを打ってきた。
そのボールが流れてこのゲーム最大のチャンスを失った。
何か最後のところで弱さや迷いが出てしまったような気がする。

オーストラリア戦の反省からか、日本は前半からポゼッションを高めてボールを廻すことを意識していた。
このような過酷な暑さのなかでは、人よりもボールを動かして相手を疲れさせるのが得策だ。
クロアチアの寄せはそれほどタイトではなく、ある程度日本の思うように試合がコントロールできたのではないか。
ただ、シンプルで速いカウンターは脅威だった。
宮本がペナルティエリア内で相手を倒してしまい、PKを与えたシーンなども、マークに付ききれず振り切られそうになったところを止めに行ったものである。

川口の度重なるファインセーブと中澤の必死のクリア、相手の凡ミスにも助けられたが、先に相手が疲れてきていたにも関わらず、最後のところで崩せなかった。
小笠原、中村あたりが前に飛び出してクロスを受けるような動きをすればもっと前線が活性化したと思うし、
動きの悪かった高原をもっと早く代えて、高さもあり前線で掻き回してくれる巻を投入すれば、違った展開もあったと思う。
いずれにせよジーコの起用には序列があって、相手や局面によらずああいう選手起用になったのだろう。

もう何を言っても始まらないが、とにかくがむしゃらにやるだけである。
グループリーグの最終戦を望みがある形で迎えられたことはやはり幸せである。