正慶寺は、上野の不忍池の西方に在るお寺で、墓所には、江戸前期の俳人・歌人である北村季吟のお墓(東京都史跡)が在ります。北村季吟は、江戸幕府に歌学方として仕えた人で、門人の一人には奥の細道で知られる俳聖・松尾芭蕉がいます。
正慶寺は、池波正太郎著「おかね新五郎」(鬼平犯科帳(十九)に収録、文藝春秋)の中で登場。長谷川平蔵とは同門の先輩剣士、原口新五郎が、この寺の物置き小屋を改造した二間に暮らしています。老いた原口新五郎は、元々が病身であったゆえ、この時すでに剣を捨て、近辺の子供たちに読み書きを教えながら暮らしていますが、敵討ちのために、再び剣を握ります。久しく剣から遠ざかっていたにも関わらず、鮮やかに剣を振るくだりは、読んでいて爽快です。
正慶寺の向かいには、忍岡小学校が在ります。忍岡(しのぶがおか)というのは、上野公園一帯の古称で、広義には上野の山一帯を指し、一説では不忍池の名前の由来とも言われています。
正慶寺 東京都台東区池之端2-4-22
東京メトロ千代田線根津駅から約300m 徒歩約4分
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