小名木川に架かる橋で、前回御紹介した高橋を東に900m程行き、小名木川が横川(現大横川)と交差する手前に在ります。架橋年に関する資料が手元にありませんが、おそらくは高橋が先に架けられ、それに続く橋ということで新高橋と呼ばれるようになったのだと思います。
江戸には新高橋のように新〇〇橋という名前の橋が割合に多く存在するのですが、古地図を眺めていると、それらの橋はどうも古い橋が架け替えられて“新”になったわけではなく、既に在る橋に次いで架けられたので頭に“新”が付けられたように思われます。隅田川に架かる新大橋が、大橋と呼ばれていた両国橋に続く橋として新大橋と名付けられたこともそう思う理由の一つです。現代でも新横浜や新大阪のように新たな駅名や地名の頭に“新”を付けることは度々有りますが、この慣習は案外古く、既に江戸期には存在していたように想像されます。
宮部みゆき著「ぼんくら」の舞台となる鉄瓶長屋は新高橋のたもとに近い深川北町の一角に在ります。作品中では、鉄瓶長屋の西側には藤堂和泉守のお屋敷が建っており、お屋敷とのあいだには小名木川から引き込まれた細い掘割が流れていると紹介されていますが、実はこの場所にあるのは「深川西町」で「深川北町」存在しません。「深川北町」は宮部先生の創作による架空の町と考えられます。
新高橋が登場するその他の作品
- 藤沢周平著「黒い繩」(暗殺の年輪に収録、文藝春秋)
- 藤沢周平著「消えた女」(「やくざ者」「闇に跳ぶ」「春の光」の章、新潮社)
- 池波正太郎著「剣客商売(十六)」(「暗夜襲撃」の章、新潮社)
新高橋北詰 東京都江東区森下5-12-2
都営新宿線 菊川駅から約650m 徒歩約8分
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます