江戸観光案内

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湊橋

2012-08-18 | まち歩き

湊橋は日本橋川に架かる橋で、前回御紹介した豊海橋よりも一つ上流に在ります。
日本橋川と日本橋川から分岐する亀島川に囲まれた島のような部分(現在の東京都中央区新川付近)を、かつては霊岸島と呼び、湊橋は、この霊岸島と対岸の箱崎地区の埋立地(隅田川の中洲)とを結ぶために、延宝七年(1679年)に架けられました。現代のように自動車による輸送が無かった時代には、様々な物資は水運により運ばれ、この辺りは水路交通の要所として栄えていました。湊橋の名前は、江戸湊の出入口にあったことに由来するものです。


現在の橋は、豊海橋とほぼ同時期の昭和三年(1928年)に架けられた三連の鉄筋コンクリートアーチ橋です。見た目にはずっと新しい橋のように見えますが、これは平成元年(1989年)の整備事業で化粧タイルによる装飾が施されたためです。


湊橋は、池波正太郎著「消えた女」(剣客商売(十三)に収録、新潮社)の中で登場しています。作品では、永代橋を西に渡りきり、しばらく行った先の「左側」に湊橋が在るように書かれていますが、これは隅田川に架かる永代橋が江戸時代には現在地よりも上流に架けられていたためで、現在の位置関係では、永代橋を西に渡り、しばらく行った先の「右側」に湊橋は在ります。


湊橋が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「孤剣 用心棒日月抄」、「誘拐」の章、新潮社

湊橋 東京都中央区新川1-1-1

東京メトロ東西線・日比谷線 茅場町駅より約300m 徒歩約4分


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