江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

江戸橋

2012-04-21 | まち歩き

江戸橋は日本橋の一つ下流に架かる橋です。首都圏で自動車を運転する人なら、カーラジオから流れてくる渋滞情報の中で、「首都高速江戸橋ジャンクション」の名は一度は耳にしていると思います。


橋が架けられたのは、古地図上の有無から推測すると、寛永八年(1631年)頃から天保元年(1644年)頃と言われています。日本橋が架けられたのは慶長八年(1603年)ですから、それよりも四半世紀以上も後のことになります。名前の由来は、日本橋との対で江戸橋になったとか、初期の江戸の中心部がこの辺りだったとか諸説有りますが、はっきりしたことは分っていません。名前に「江戸」を冠しているにも関わらず謎の多い橋です。


江戸時代の江戸橋は、現在よりも100mほど下流の、首都高速が江戸川ジャンクションで分岐する辺りに架けられていました。現在の江戸橋は、昭和2年に昭和通りの開通に伴い架けられたものです。


現在の橋の南詰に在る日本橋郵便局は、近代郵便制度が始まった際に日本最初の郵便役所の一つである四日市郵便役所(東京駅丸の内口に建つ現在の東京中央郵便局)が設置された近代郵便発祥の地に建ちます。通用口の横に立つ銅像は、日本近代郵便の父と呼ばれる前島密(1円切手の肖像の人)の銅像で、この人が「郵便」、「葉書」、「切手」という名称を定めました。飛脚から郵便への分岐点に立つ郵便局とも言えるでしょう。


江戸橋は、藤沢周平著「刺客 用心棒日月抄」(新潮社)の中で、嗅足組の女頭領・佐知が江戸橋の上で敵から挟み撃ちに遭い、難を逃れるために、ここから日本橋川に飛び込む場面で登場しています。また、藤沢周平著「海鳴り(下)」(文藝春秋)の中では、最終章で、主人公・小野屋新兵衛とおこうが落ち合う約束の場所として登場しています。


江戸橋南詰(日本橋郵便局) 東京都中央区日本橋1-18-1

都営浅草線 日本橋駅から約250m 徒歩約3分


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