江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

日本橋

2012-04-07 | まち歩き

東京日本橋の日本橋川に架かる東京を代表する橋の一つです。最初の橋が架けられたのは慶長八年(1603年)で、現在の石造りの橋は明治四十四年(1911年)に架けられた十九代目の橋です。昨年は現在の橋が架けられてから100周年に当たり、関連するイベントが数多く開催されました。

日本橋が木の橋だった頃は、「火事と喧嘩は江戸の花」とも言われる火事の多い江戸だけに火災で何度も焼け落ちましたが、現在の橋は関東大震災の震災にも第二次世界大戦の戦災にも負けなかった橋です。

二連のアーチ橋で、橋としても大変美しい橋ですが、都会の橋だけにじっくりと眺められる場所が少ないのが難点です。しかし嬉しいことに、昨年秋に日本橋のたもとから出発する水上バスが運行を開始し、それまでは見られなかった水上からの日本橋の眺めを手軽に楽しめるようになりました。最近は、大ヒット映画「麒麟の翼」(東野圭吾原作、東宝配給)の影響だと思われますが、橋の途中で足を止めて装飾の麒麟像を写真に収める人が数多く見られるようになりました。


日本橋は知名度では日本全国に知られる橋ですが、時代小説の中で登場することは稀で、登場回数では隅田川に架かる両国橋や竪川に架かる一ツ目橋(現一之橋)に遥かにおよびません。その訳は作家の先生方に尋ねてみなければ分りませんが、想像を働かせると、日本橋は高級店が集まる商業地域で、江戸城にも近いため、時代小説の主人公としてしばしば登場する市井の人々や禄の少ない侍が住む場所からは離れており、時代小説とは縁遠い場所になっているためでは無いかと考えられます。歌川広重の浮世絵、「東海道五十三次」の「日本橋」の賑やかな雰囲気が江戸そのものと想像しがちですが、時代小説の中ではこの場面はあまり登場しません。

そんな登場回数の少ない日本橋ですが、藤沢周平著「海鳴り(上)、(下)」(文藝春秋)の中では登場しています。主人公の小野屋新兵衛が紙問屋という時代小説の主人公には珍しいお金持ちで、お店が日本橋本石町(日本橋三越よりやや北側の地域)に在るために登場の機会に恵まれました。


日本橋が登場するその他の作品

  • 池波正太郎著「引き込み女」(鬼平犯科帳(十九)に収録、文藝春秋)

日本橋 東京都中央区日本橋一丁目


東京メトロ銀座線・半蔵門線 三越前駅より約100m 徒歩約1分

東京メトロ東西線 日本橋駅より約150m 徒歩約2分


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