江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

水虎奇譚(すいこきたん)に見える河童 

2020-01-12 20:18:58 | カッパ
水虎奇譚(すいこきたん)に見える河童 
                    2020.1
豊前の国(今の福岡県東部)に、幅が五六十間(けん)あるが、浅いので、歩いてわたることのできる河があった。

夜に河をわたろうとすると、必ずカッパが出てきて、
「相撲をしようよ。」と引き留める。

カッパを子供だと思って、見くびって、相撲をとると、最後には、河に引きいれられて、食われてしまう、と云う。

小笠原信濃守の家の家臣に大家庄右街門という人が有った。
いとこである瀬川藤介を伴って河を渉った。
その時、藤介の袖を引きとどめて、
「相撲をとろうよ。」、とカッパが言った。
大家庄右街門は、返事もしないで、抜き打ちにした。
手ごたえがしたが、水の中へさっと入っていった。

次の朝早くに河に行って見ると、三町ばかり下流の柳の根にひっかかっていた。
十歳位の子供のようで、髪は四、五寸ばかりあり、顔は猿のようで、白く、爪は猫のようであった、とのことである。


編者注:水虎(すいこ)は、河童の別名です。やはり、九州ですね。

黒猫の黒焼きで名医となる  「史籍集覧 渡辺幸庵対話」

2020-01-12 20:08:57 | 化け猫
黒猫の黒焼きで名医となる
                        2020.1
志怪物(しかいもの)ではないが、面白いので、紹介します。


・・・は、
京都の人で、江戸に流れ着いてきた。
神明町の経師屋吉衛門を介抱して、医師となった。

お茶の水の薪屋の店主の喘息を、黒猫の黒焼きで治し、名医の名を得た。

また、本多内記正勝の家人が、子細があって、切腹しようとした。
自身で刀を腹に突き立てたが、側にいた者が刀を奪い取った。
すると、腸が出て、収まらなかった。
その時、黒猫の黒焼きを背中に貼ると、腸は、腹の中に戻っていった。・・・
 
「史籍集覧 渡辺幸庵対話」より

編者注:江戸時代には、各種の黒焼きが、薬として用いられて来ました。
特に、動物の黒焼きには面白いものがあります。
これは、その用例の一つです。