環境にやさしい?翻訳者日記

環境分野を専門とする地方在住の翻訳者が、自らもなるべくエコなライフスタイルを目指します。がんばりすぎず、ぼちぼちと。

翻訳者と音楽家

2016-02-16 13:26:01 | 音楽
私、翻訳者とピアニストは似ているんじゃないかなぁ、と常々思っていた。

ただ楽譜がぽんと机に置いてあっても、そのままでは周囲の人は感動しない。

ピアニスト楽譜に制約されるけど、どう弾くか、腕次第で、何が聴衆に伝わるかが変わってくる。

同じ曲を弾いていても誰がどう弾くかによって、聴き手の心にすっと入ってくるときと、そうでないときがある(もちろん、聴き手のそのときの精神状態にも左右されるけど)。

同じことが翻訳にも言える気がする。

ただ英語(その他の外国語)の本がぽんと机に置いてあっても、そのままでは周囲の人は感動しない。日本語になって理解できるようになって初めて伝わる。

翻訳者原著に制約されるけど、どう訳すか、腕次第で、何が読者に伝わるかが変わってくる。

同じ原著からの訳文を読んでも誰がどう訳したかによって、読み手の心や頭にすっと入ってくるときと、そうでないときがある。


そしたら、パガニーニコンクールに優勝した、私の大好きなバイオリニスト、庄司紗矢香さんもインタビューで同じことを言っているのを見つけて、びっくりした。

インタビュー 庄司紗矢香
 「演奏家はある意味代弁者だと思うので、ブロッホが『こうなんだ』ということを書いていたとすれば、私は彼になり切って『こうなんだ』ということを出す。それだけのことです。どの作曲者であっても同じことで、その理解の仕方やニュアンスの付け方に演奏家の個性が出てくるのでしょう。演奏家はあくまでも作品なり作曲家、どちらか分かりませんが、そのどちらかになり切るしかない」。

なんだか嬉しい。
そうそう。
「理解の仕方やニュアンスの付け方」。

クラシック音楽は、作曲家がもう亡くなっていて、「これはどういう意図ですか?」とか直接聞けない分、翻訳よりももっと大変だと思う反面、そこに演奏者の自由度が残されている気もする。

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