しばらく振りの、ちゃんとした(?)ブログ投稿。何から書き始めようかと考えてたら、一番身近な
の話がしたくなった。なんてったって、この
を探すのに3年もかかったのだもの……
なぜそんな年月を要したのか、理由は条件にあった。
冬場の日当たりが良く、敷地面積に対して建坪が小さい、2LDKか3LDKの一戸建て。
ごくありきたりの条件に聞こえるが、この中で「冬場の日当たり」がネックだった。ここクイーンズタウンは山で囲まれているため、冬の日当たりが良い地域は限られているからだ。寒さの厳しいこの地に長く住む人にとって、日当たりはとても重要な問題なので、日当たりのいい場所は人気が高く、なかなか売り物件も出ない。
そして、人気リゾート地・クイーンズタウンの不動産価格は、最大の都市オークランドのそれと並び、国内で一番高い。ただでさえ高い家が、人気が高い場所だとさらに高くって、ねむりねこ
達のおサイフにはなかなか見合わないことも一因だ。
また、ニュージーランドのDIY(Do It Yourself)文化にはちと困った。日本でもDYIは流行ってるようだけど、ニュージーランドのそれは半端じゃない。まず、フルタイムで普通の仕事に就いている人で、大工顔負けの技術を有している人の割合が多い。そして、DYIショップに行けば、ペンキやノコギリはもちろん、風呂桶や、台所の流し台、水道の蛇口、配管、便器などといったものが、どどっと陳列されている。そんなわけで、ニュージーランドの不動産市場原理はこうなる。
手直しの必要な物件(=壁の塗り替え、居間の絨毯や、台所・お風呂場のタイルやビニール床を張り替えたりする必要がある物件)が市場に出回る
↓ ↓ ↓
こうした家を安く買い、時間のあるときに手を入れて、見違えるように立派な家に作り変え、高値で売ることでおカネを儲ける(多くの場合、本業よりずっと実入りが良い)
ということが一般化しているのだ。「手ごろな価格の家」=「手直し必要の可能性大」とあってはDIY能力が限りなくゼロに近く、おサイフの中身も豊かじゃない
夫婦は溜め息をつきまくるしかなかった。それでも、希望を持ち続け、探しに探した3年だった。
粘りに粘って、やっと巡り合ったわが家
は、あらゆる意味で期待していた以上のシロモノだった。日当たり、3LDKの間取り、建物の程度、建物の造りと内装、庭の雰囲気、すべて二重丸。
庭に、ニュージーランドの山小屋風の離れが付いているのが、ねむりねこ達みたいな山好きには楽しい。
そして、築二十年(十年前に改築しているけど)の物件としては画期的(?)なエコな仕掛けまでついていた……
仕掛け①ウェット・バック(Wet Back)と呼ばれる給湯装置
ニュージーランド家屋で、給湯は電気による温水タンクが主流。水温が下がる冬場は、お湯の使用量によっては電気料金が夏場の倍近くになる。ウチの温水タンクからは、薪ストーブ内部に配水管が巡っているので、スイッチで切り替えると、電気ではなく、ストーブの高熱(火)でお湯が沸かせる仕組みになっている。
<ストーブの背面と温水タンクが収納されている戸棚の壁の間の配水管>
<戸棚に収納されている温水タンク>
屋根にはストーブの煙突と、蒸気を排出する管が出ている。
俗にウェット・バックと呼ばれるこの装置は、寒い地域に暮らす人々ならではの知恵で、同じニュージーランド人でも暖かいところに暮らす人は知らないことがある。
仕掛け②暖気循環装置
薪ストーブの煙突の近くの壁に、排気口のようなものとダイヤルがある(写真をクリックすると拡大)。
これは、ダイヤルで温度を設定しておくと、室内の温度が設定温度に達した時に、暖気を家のそのほかの部分に循環させることができる。ウチの場合は、暖気の排出口が寝室に続く廊下にある(写真をクリックすると拡大)。
暖かい空気が上昇する性質をうまく利用し、家の中をムダなく暖める仕掛けだ。
仕掛け③花壇のスプリンクラー
庭にある6か所の花壇にはスプリンクラーがそれぞれ埋めてあり、夏場の水撒きが効率良く行われる。これはひとえに効率の問題かもしれないけど、効率良く水撒きができれば、その分水資源の節約にもなるので
エコ、ということに。
仕掛け④家庭菜園
庭の一部に二畳分くらいの家庭菜園があり、前の住人がよぉく手入れをしていたとみえて、いい土がたっぷり。ちょっと掘り返したら、ミミズがたくさん出てきたのがその証拠。日当たりが良いので、ここで自家製無農薬野菜が作り放題なのだ。
仕掛け①と②は冬に使う装置なのでまだ試していないが、スプリンクラーを試してみたら、場所によって水量の多少はあるけど、まあまあうまいこと散水してくれたのでマル。家庭菜園用の苗と種は、近所の園芸屋さんにのアドバイスを得て、初心者も育てやすいものを買ってきた。
現在植えてあるのは、サヤエンドウ(棒の立っているあたり)、芽が出ちゃったので植えてみたタマネギ、知り合いの日本人からもらったシソ、大根、ゴボウ、苗で買ったサラダ用ホウレンソウ、青梗菜、レタス、イチゴ、ミント、ルッコラ。お化けのように育ったパセリは前の住人の置き土産。その他、後方の花壇に植えてあるローズマリーの近くにアーティチョークも植えた。
庭仕事をすると、芝を刈った後の芝くずや、引っこ抜いた雑草、剪定した木の小枝などのゴミが大量に出る。このゴミはコンポストに入れて堆肥を作り、一挙両得をしようと考え付いた。230リットルのコンポスト容器を二つ買い、説明書きに従って、庭ゴミを庭の土、肥料と層にして入れていったら、あっという間に2つがいっぱいになった。
後はこれを2週間おきにかき混ぜることを繰り返し、約3カ月で完成するという。
また、町役場がコンポストを始める家庭に補助制度を始め、希望者には、ぼかし用容器2つとEM菌のセットを通常の半額で買えるようになったので早速購入。
このセットはとても使いやすくできていて、食べ物のクズを入れ、その上からEM菌をパラパラと振り入れ、上からギュッと押さえつけて空気を抜いて、重石をしておくだけというもの。
食べ物のクズが出たらその上にどんどん追加して、容器が一杯になったら10日から2週間そのまま置いておけばできあがり。(放置している間は、もう一つのぼかし容器を使って、断続的に作り続けられる。)できたぼかしは庭の土に混ぜると4~5日ほどで完全に土と同化してしまうとのこと。夫婦プラスフラットメイト(同居人)の小所帯ではなかなか一杯になりそうにないけど、完成するのが今から楽しみ。
石の上にも三年、やっと見つけたマイホームは、エコな仕掛けのある家で、そこにはエコライフを実践できる場が備わっていた。このブログへのネタが限りなく広がる、何ともステキな偶然の巡り合わせにかんぱ~い