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エコ・ニュージーランド Eco New Zealand

ニュージーランド発。エコライフ、環境保護、山、森、動物、アウトドア、山歩き、猫についてのブログ。

ねむりねこよりみなさんへ

エコ・ニュージーランドへようこそ!! その時の気分で、過去の旅行の話になったり、庭、環境保全、トレッキング等々、話が飛んでいます。ジャンル別にお読みになりたい方は、左のカテゴリーからどうぞ!! また、本文中のトレッキング(トランピング)関連の用語の説明は、同じくカテゴリー欄から「ニュージーランドのトランピング用語集」をご参照ください (^o^)

2015年初山行はグレノーキーのある場所で滝見物

2015年01月13日 | トレッキング
 ニュージーランドの南島、クイーンズタウンよりあけましておめでとうございます 今年もどうぞヨロシクお願いします


 仕事が変わり、これに合わせてライフスタイルもガラリと変わってしまい、1年以上アウトドアから遠ざかった生活をして、心の底から山歩きが恋しくなっていた

 急坂登攀に息も絶え絶えになったり、長い下りでヒザが痛くなったり、ひどい靴擦れができて足を引きずるようにして歩いたり、飲み水が足りなくなってフラフラになったり、道に迷ってヘンな所に出てしまったり…… そうそう楽しい思い出ばかりではなかったはずなのに、それでもが忘れられない。やっぱりねむりねこは山好きだったのだと改めて思った。


 また、昨年、その前の年と不完全燃焼の夏が続き、気温が低くパッとしない天気に不満爆発だったが、今回のは違う

 寒が戻り雨も多かった11月が過ぎると、一転して眩しい陽射しがあふれ気温もグングンと上がり素晴らしい夏が到来した。例年、寒波が襲来し天候が荒れるクリスマス前後の時期でさえもカラッと暑い陽気が続き、Tシャツと短パンで過ごすクリスマスはクイーンズタウンで暮らす17年間で初めての体験だった

 これだけ好天に恵まれる夏はいつ以来のことだろう…… だから山、森、渓流への恋しさがいっそう募るのだった。


 先週ねこかぶりが帰宅し、共通の休みに日帰りで山へ行こうと話しがまとまった。行き先はグレイシャー・バーン・トラック(Glacier Burn Track)というトランピング・トラック。クイーンズタウンから車で45分のグレノーキー(Glenorchy)からさらに先のキンロック(Kinloch)に向かう途中に登山口があり、ブナの森の中を登って森林限界に出ると氷河盆(Glacier Basin)になっている。標高地図で確認したら氷河盆の先にあるボンプラント山(Mt Bonplant、2343m)の山頂付近にブライアント氷河(Bryant Glacier)があることになっているが、地形上、目視できるポイントは限られているようだ。

 このグレイシャー・バーン・トラックは、10年ぐらい前に友達と3人で歩いた思い出のある場所だ。前回に来た時は真冬で、森林限界を出たら一面雪景色。きれいだったけどとにかく寒かったのを覚えている。




 まずはいきなり徒渉から始まるのだけど、この徒渉、まったく記憶にない…… 冬で水位が低かったので何も苦労もせずに渡ったのだろう。夏の間はわりと水量があるので浅瀬を探して渡った。

 そして、シダの生い茂るブナの森へと分け入る。



 ブナの森の中を森林限界めざしてひたすら登った記憶があるんだけど、実際はわりと起伏に富んでいた。倒木が何カ所も登山道を塞いでおり、トランパー達に踏み固められた迂回路ができていた。また登山道の何カ所かは伸び放題の下草に覆われ、うっかりしていると道を誤りそうになる。グレイシャー・バーン・トラックは経験者向けのトランピング・トラックに分類されており、登山道の整備も数年に1回しか行われないからだ。

 何となく渓流沿いに登ったような気がするんだけど、登山道はグレイシャー「バーン(ゲール語で川の意)」 から離れた所を通っており、実際に川を見るのは森林限界を超えてからだった。う~ん、記憶って結構アテにならないのね


 登山口から2時間ほど歩いて森林限界に出たら、素晴らしい眺望が広がっていた ブナの森の向こうにリチャードソン山脈(Richardson Mountains)がでーんと構えている。



 ちなみにこれが冬の景色。冬に良く起きる逆転層のためグレノーキーの集落は雲の下。




 渓流沿いの木陰でお昼ご飯。ねこかぶりのアイディアで、キャンプ用コンロ持参で簡単な調理をした。



 昼食メニューは、日本から来た友達にもらったアルファ化米にレトルトの牛丼の具や親子丼の具をかけた……ああっ、肝心の食べ物の写真を撮り忘れた 

 お湯を注いで15分で、炊きたてのご飯とあまり遜色のない味と歯ざわりが再現される、アルファ化米は日本の生み出した素晴らしい技術だ。簡単で美味しく、お腹がいっぱいになった。ニュージーランドにもインスタントの調理済み米(Uncle ●●●'s)を売ってるけど、パサパサのポロポロで、紙くずを食べているようで全くいただけない。日本の技術者、エライ

 後かたずけをする猫かぶりの図。ありがとう。




 残雪をまとったボンプラント山の方を見上げると、山頂よりかなり手前の崖から流れ落ちる滝が見えた(写真中央のやや左)。昼食場所からそう遠くはなさそうだったので見に行くことに。




 ちなみに冬はこんな景色。夏は雪がないのはもちろん、太陽の位置が高いので山の斜面すべてに日が当たって明るい。




 昼食場所から少し登って見下ろすと、リーズ川、ダート川とグレノーキーの集落までが見える……いいぞ、いいぞ






 意外だったのは、見た目以上に距離があったこと。1時間程度で滝に行き着きそうな感じだったので気楽に歩き始めたのだけど、だだっ広い氷河盆では正確な距離感が掴めなかった。

 緩やかな登りを歩けども、歩けども、滝がなかなか近づいて来ない。森林限界から上の場所には登山道がなく、タソックの生い茂る草地を藪こぎし、ガレ場や岩場を登り、渓流を渡り…… 週に二回ジムに通っているので運動不足じゃないはずだけど、山歩きはジムでのワークアウトとはまたキツさの種類が違う。






 息を切らせながら2時間近く歩いて滝に到着。






 やった~ 2段になっていて結構壮観な滝だったので苦労もじゅうぶん報われた




 滝に到着したのが午後4時過ぎで、軽く休憩してから下り始めた。高緯度のニュージーランドで、この時期はまだ夜9時過ぎまで明るいし、日本の山岳地で起きる夕立ちもないので、こんな時間でもあわてずに下山できるのが嬉しい

 あとはひたすら下るだけ






 昼食を取った場所の近くに流れる渓流の水をゴクリ…… 渇いた喉に冷たい雪解け水が沁みわたってすっごくおいしい




 

 道のりの半分は登山道がなかったのであまり時間が稼げなかったけど、7時半前に下り終えて駐車場に到着。きれいな景色だったのでパチリ。




 懐かしのトラックでのトランピングは、予定外の滝見物まで加わり大満足の一日、今年もまた良い1年になるに違いない
 

誕生祝いに裏山リマーカブルズの谷下り

2013年04月01日 | トレッキング
 毎年、だれにも律儀に巡ってくる誕生日 そして、今年もまたその日が近づいてくると「何をして過そうかなぁ」と計画を練るのが常である。

 今回は二人で誕生日をはさんで四連休を取り、ウキウキの計画、ルートバーントラックからマッケンジー小屋をベースにした、二つのサイド・トリップを考えていた。詳しくは1:50,000地形図NZTopo50-CB09 Hollyford(こちらのリンクから)を参照。

<プラン1・サニークリーク探索>
 ルートバーン・トラックの車代行サービスをする「トラック・ホッパー」を運営する友人から教えてもらった穴場。アーランド滝 (Earland Falls) に流れ込む支流の一つ、サニークリーク (Sunny Creek) という川を辿りその先にある氷河湖に行く。コンディションが良かったら、近くのピークをハントする。

<プラン2・エミリー峠越え>
 マッケンジー湖からエミリー峠 (Emily Pass) を登攀、フレイザー・コル (Fraser Col) に寄り道してルートバーン・フォールズへと抜け、ルートバーン・シェルターまで歩く。

 <プラン2>に関しては天候に大きく左右される場所で、ちょっとでもガスったりしたら方向が分からなくなる 加えて、このところ病気等々で体力が落ちていることもあって、決行には天候・体調がどちらもいいこと、という条件付きで考えていた。

 その点、高低差が少なくルート・ファインディングも比較的容易な<プラン1>なら問題はなさそう。件の友達も難しくなかったって言ってたし…… ルートバーン・トラックを歩くのは数年ぶりで、ちょっとした冒険気分を味わえるサイド・トリップというのは何とも魅力的だ

 マッケンジー小屋のある地域は、フィヨルドランド国立公園に属していて、年間6000mmを超える多雨地帯なのでよいお天気に巡り会うことはあまり容易ではない。しかしつい最近も書いたように、2月~3月にかけてはNZほぼ全土が毎日快晴続きだったので、ねむりねこの誕生日の3月24日近辺も奇跡のような好天にあやかれないか、と願っていた……

 う~ん、現実は厳しかった。3月17日に約6週間ぶりのが降ったことが快晴・残暑パターン終了の合図だったようで、以後は従来の気候パターンに戻ってしまった。全土的な旱魃には朗報だったけど、よりによって24日前後はフィヨルドランドを含む西海岸地域は大雨注意報が発令された 

 ちょこっとのならまだしも、大雨が降らなくたっていいじゃないっあ~あ、大雨になるんじゃ無難な<プラン1>もダメ 結局、この計画は泣く泣く次回まで見送ることになった

 この程度のことでは凹まないのがのいいところ それなら大雨が降りそうのない地域に、雨が来る前に出掛けりゃいいじゃん、ってことになった。

 で、兼ねてからちょっと気になっていた、クイーンズタウンの南西にあるイヤー連山 (Eyre Mountains)ビー山小屋 (Mount Bee Hut) からの尾根歩きをしたいと提案した。標高900m超のビー山小屋までは登山道兼4WD道路が通っているから、小屋までスイスイッとで行って、そこから眺望のいい尾根歩きができるからとってもオイシイ 日本には五合目までとか、下手をすると頂上までで行ってしまえる山があるけど、ここNZではそういう山はひじょうに珍しいのだ

 前日に小屋で一泊して翌朝早くから歩き始めれば、が降る夕方前までに戻って来れる。荷物を自力で担いで上がらなくていいんなら、重さを気にせず食べ物をいろいろ持って行けるので、小屋での食事メニューも普段より豪勢にできる。いそいそと支度をして、いざイヤー連山へ

 ここへはクイーンズタウンを南下して、ファイブ・リバーズ (Five Rivers) というところから未舗装道路に入り、そこから件のマウント・ビー・ロードを登る。はDOCレンジャー時代には4WD運転講習を受けたし、猫かぶりは地元の主な4WD道路を走ったことがあるから、二人の運転技術はたぶん問題ないと思うけど、心配の種は今乗っているにあった。ある程度の車底部の地上高は、溝、ぬかるみ、凸凹など、4WD道路特有の悪条件をクリアするのには絶対的に必要なのだが、当時乗っていたは地上高が今のRAV4よりも高かった。

 4WDとしては地上高が低いコイツで、果たしてどこまで行けるのか…… 道路に大きな溝や隆起部がないことを祈りつつを走らせたが、間もなく現れた溝を何とかクリアしたのもつかの間、道のど真ん中にあって避けられない隆起に車底部をぶつけてしまい 

 まさか、あの程度の隆起部で車底を打つとは思わなかった こんなんじゃ4WD道路走行は、よほどコンディションが良くない限りかなり難しい。損傷がどの程度か凸凹だらけのその場では確認できず、このまま奥へ入るのは不安があったので、あえなく退却することに

 舗装道路に戻り、路肩に車を寄せて車底を覗き込んだら、パイプをこすった程度だったのでよかった~ あいにく、他の場所へ行くには少し時間が遅かったし、行ったとしても担いで歩けるような荷物ではなかったので、この日は一旦自宅に戻り、翌日どこかへ日帰りハイクに行くことに再度予定を変更 ちょっと肩を落として帰路に着いた 

 一度ならずとも、二度も予定を変更しなくちゃいけないなんて……トホホ

 しかし、とにかく諦めないたちは、帰りの車中で翌日のアイディアを出し合った。誕生日の記念に歩くんだから、多少キツくたって思い出に残るハイクがいい……

 あ、そうだ 自宅から見て裏山に当たる、リマーカブルズ連峰 (The Remarkables、写真下) の谷下りはまだやったことがなかったから、この機会にやってみたいな。



 リマーカブルズの裏側を流れるワイ・クリーク(川)沿いに谷を下るワイ・クリーク・ルート (Wye Creek Route) は、数年前に猫かぶりが歩いたことがあるが、その日は働いていたのでまだ歩いていなかったのだ。というワケで決定


 その翌日の23日(日)、曇り空で肌寒かったが午後には晴れる予報だったので、予定どおり計画を実行 このルートは始点と終点が離れているので、予め終点にを一台置いてから、もう一台で始点に向かう必要がある。始点はリマーカブルズ・スキー場の駐車場。ここからアルタ湖へのトラック(Lake Alta Track) を辿って、湖からワイ・サドル(按部)まで登る。



 トラックは湖で終わるので、その先はルート・ファインディングをしながら登る。目的地がはっきり見えていて人の踏み跡がしっかりとついていおり、ガレ場もあるけど表面が崩れにくいので比較的歩きやすい。






 サドル付近からアルタ湖を見下ろしたところ。




 サドルから来た方角を振り返る。曇り空のため、湖の色、眺望が今ひとつなのは残念。



 これは別の日にサドルへ行った時に撮った写真。晴れた日にはこんなにゴージャスな眺めなのだ。青い空ってどうしてこんなにきれいなんだろうね。






 サドル上はとても風が強かったので、写真撮影もそこそこに谷を下り始める。これがサドルの反対側。氷河が削り取った、美しいV字谷がどこまでも伸びる。




 夏が終わったばかりというのにまだ雪渓が残っている。昨年の真夏にクイーンズ・ドライブを歩いた時にもあったので、これは一年を通して溶けることのない万年雪だ。




 谷をずんずんと下って行く。最初の30~40分程度は険しい下りで、誤って足を滑らせたら大怪我をしそうなところを、ケルンを道標に淡々と下る。その後は緩やかな下りが続き、景色を眺めるゆとりができる。



 サドルを振り返る。ここまでくると風はもう止んでいた。




 谷にはいくつも池溏(ちとう)があった。この辺の地面は分厚い地衣類に覆われていて、フカフカの絨毯の上を歩いているような感触が気持ちいい この近くでランチ休憩 今日のお弁当は、猫かぶり特製のクラブハウス・サンドイッチ。普段の山歩きのお弁当作りはの担当なんだけど、今回はお誕生祝いなので特別なのだ。へへっ




 しばらく行くと、ニュージーランドのバックカントリー特有のタソックの草原が広がる。この辺のタソックはそんなに丈が高くないので、歩くのに大して邪魔にならなかった。




 遥か彼方に谷の終わりが見えて来た。行く手はまだ長い。




 滝があったが、このところの好天続きで枯れそうになっていた。もう少し水量があったらきれいなのにね。




 リマーカブルズ連峰最高峰のシングル・コーン峰 (2319m) 。ぴょこっと突き出た山頂が、その名前を表している。




 斜面をトラバース。タソックに覆われているので地表が見えにくい。所どころ落とし穴のようなくぼみがいきなり出現して、何度か足を取られそうになった。



 この辺りのタソックは丈が長く、ものによっては1m近い。草同士が絡み合って生えているので、足を引っかけて転びながら歩く。下はタソックが生い茂っているから痛くはなかったよ




 これがワイ・クリーク。見たところ山の上の方に雪はなさそうなのに、清水が流れているということは、どこか見えない場所にはかなりの量の万年雪が残っているってことよね。




 巨大なスペアグラス(スパニヤード)を発見。オレンジ色のニョキッとしたのは花で2mくらいありそう。スペアグラスはその名 (spear=槍、grass=草) の通り葉先が固く尖っているのでうっかり刺さると血が出るし、花には固くて大きなトゲがたくさん生えていて、全く手に負えない難物だ

 危険なほど固い葉っぱだが、側部は尖っていないので、この辺に暮らすノウサギ (hare) 達は食べ物の乏しい時期にスペアグラスの葉を横からかじって食べる……野生の生き物って逞しいよね。




 枯れ沢。この下を本流が通ってる。



 枯れ沢が終わったところには本流が戻り、淵ができている。瑠璃色の水が美しい




 森に入る前に、元来たルートを振り返る。ニュージーランド南島南部の森林限界は1000mぐらい。




 森に入ると登山道のロウワー・ワイ・クリーク・トラック (Lower Wye Creek Track) があり、足場が一気に楽になる。

 今まで歩いて来たルートも、数年前まではDOC(環境保全省)が管理するルートだったのだが、いつの間にか管理外になってしまった。まだが働いていた時代のことで、理由は良く覚えていないけど、真夏に二つのパーティが相次いで遭難救助騒ぎになったことが後押しになったような気がする。遭難の原因は、どちらも明らかな準備・下調べ不足だった。




 トラックから、初めてワカティプ湖が姿を見せて、何となくホッとする……ああ、やっぱりきれいだなぁ この辺りはロッククライマー達にも人気があり、写真でが歩いているすぐ先の右側の岩壁で、数人のクライマー達が取り付いていた。



 下流の方に滝とダムがある。もっと下流には小さな水力発電所があり、現在も稼働中だ。この橋を渡って反対側にもクライミングのスポットがある。






 駐車場への道を下って行く。行く手には道路が見えて来て、終点は間近だ。




 途中、苦手の岩場があったり、タソックに足を取られたりして時間がかかったので、10時間弱の長い行程となった。あー良く歩いたな~っていう達成感と充実感が好きだ。

 誕生祝いの記念にどこかへ出掛けることはこれまでにもあったけど、こんなに何度も計画変更を余儀なくされたのは初めてのこと。「七転び八起き」体験と長時間のトレッキング、後々まで忘れることのない思い出になりそうだからとしよう 

 最後に、誕生日にかこつけてのわがままに付き合ってくれた猫かぶりに、思い出深い一日を心からありがとう

湖と秀峰を見渡す絶景!ワナカのロイズ・ピーク

2013年03月26日 | トレッキング
 クイーンズタウンに15年住んでいながら、今だに歩いていないところが実はいろいろある。その一つが、ワナカのロイズ・ビーク(Roys Peak)。クイーンズタウンから車で約1時間と至近距離にありながら、なぜ、これまで歩かなかったのか。

 それは、牧場の中を通るトラックだということ。このいかにもニュージーランドらしい「牧場の中」というのが、ねむりねこたちは苦手なのだ。だって、家畜のフンだらけで汚くて臭いところを歩くのがツライんだも~ん 

 ニュージーランドに来て初めて経験したトレッキングが、牧場の中を2泊3日で歩くものだった。景色はとても良かったし、牧場の人々の暖かいもてなしもひじょうに嬉しかったんだけど……場所によっては足の踏み場もないほどフンだらけで、あまりの臭さに吐き気をもよおしながら歩いたことが、ニュージー初トレッキングの思い出として今も忘れられないのだ

 加えて、牧場には陽射しを遮る木々がないので、真夏に歩くのは暑くてバテそうだし、それなら春から夏の始めにかけての時期はどうかというと、子羊が生まれる時期なのでトラックが閉鎖される。で、冬は結構雪がありそうだし等々……「ああ、もうめんどくさいっ」と後回しになったのだ。

 3月上旬のある日、どこかへ日帰りハイクに行こうかという話しになり「ここは行った、あそこも行った」と消去法で残ったのが、このロイズ・ピークだった。晴天で、暑くなるという予報だったが、とりあえず行ってみよることにした。

 トラックのスタート地点で、牧場のフェンスを越える。



トラック維持費のカンパ箱があったのでたちも協力した。 




 トラックは頂上(1587m)を目指して、ひたすら登り続ける。







所どころ傾斜が緩くなるが、基本はガンガン登る。太陽は時々雲の陰に隠れ、心地よい風が時折吹き、気温もまだ高くなかったので、登りにはラッキーな気候条件。






 この牧場を始めた人の記念碑が途中に立てられていた。



 少し離れた岩の上に、ニュージーランド・ファルコン(マオリ名・カレアレア, New Zealand Falcon/Karearea)の凛々しい姿が






 途中で休憩。湖と空の青が目にしみるほど美しいな






 頂上まであと一息




 やった、頂上だ (1587m) 先着のフランス人とドイツ人の男の子たちは、暑さのため上半身裸になっていた。




 頂上からは期待していた以上の絶景が広がっており、登りの辛さは一瞬のうちに吹っ飛んでしまった これはワナカ湖 (Lake Wanaka)。



ワナカ湖と、国立公園の名前にもなっている秀峰・アスパイアリング山 (Mt Aspiring, 3033m)。写真中上の山脈の中央で、頭をニョキッと突き出しているのがそれ。



スキー場のあるカードローナ谷方面とその標識。





近くの尾根にあった三角点。



二人で記念撮影



 青空・山々・湖の織りなす、素晴らしい自然の造形美。とにかく、美しいの一言に尽きる。山頂にいたフランス人とドイツ人の男の子たちも「ヨーロッパ・アルプスもきれいだけど、この景色の方が上だよ。ニュージーランドの南島はサイコー」と、飽かずに景色を眺めていた。頂上なのに全く穏やかで、テントを持ってたらキャンプでもしたいくらいだった。

 しばらくして下りにかかり、脇道に入ってヨガのポーズをしてみた。



このクローズアップ写真を見ると、風がないため湖面がほぼ鏡状になっているのが分かる。



とにかく、ここからも絶景なのだ。



もひとつおまけのヨガポーズ。ウォームアップ充分だったので脚が良く上がった。




 このトラック、景色が美しいだけでなく、ちょっとしたフシギもあった。場違いで唐突としか言いようのないピンク色の水晶が、中腹のある地域にいくつも転がっているのだ はっきり言ってどーでもいいことなんだけど、念のため証拠写真を撮ってみた。

 

 写真を撮るのはさすがに控えたけど、問題のトラック上の家畜のフン害はもちろんあった。トラックの脇でがメエメエ言いながら牧草を食んでるんだから当然の事態なのだ。しかし、フン害の状態が許容レベルだったのがホント何よりだった……特に、頂上付近にはなかったのは◎。

 山々と湖の織りなす絶景を楽しめるということでは、クイーンズタウンで一押しのベン・ロモンド・トラックに対抗できる……いやそれ以上かもしれないので、ワナカを訪れる人には、ぜひぜひお勧めしたい。

 それにしても、こんなにきれいなところ、何でこれまで放っといて歩かなかったんだろーね   

クイーンズタウンの最高に楽しい夏遊び!スキッパーズ・ウォーク

2013年03月25日 | トレッキング
 3月の前半まで残暑が続いたクイーンズダウンだった。

 残暑と言っても、拷問のような酷暑が続くのではない。秋の訪れを告げる朝晩の冷え込みがなく、真夏の爽やかな暑さが心地よく続く、とってもとっても素敵な毎日だったのだ。元来、降水量が少ない土地柄なんだけど、2月の初めから6週間もの間に一滴の雨も降らなかったのは珍しく、この時期にクイーンズタウンを訪れた観光客は、来る日も明くる日も雲一つない晴天に恵まれとてもラッキーだった。

 そんな時は外遊びが最高に楽しい。紫外線が日本よりも5倍から7倍も強いので、日焼けには注意しなくてはならないのだけど、ニュージーランドでは日本のように極端に反応する人々はごくごく少数派。トレッキングでも、日に焼けるからと真夏の暑い盛りに長袖・長ズボンスタイルで歩くのは、日本からのハイカーぐらいのもの。日焼け止めをたっぷり塗って、半袖・短パンで外遊びを快適に楽しむ、というのがニュージーランド流で、ねむりねこも、陽射しと風を全身に感じられるこのスタイルがだーい好きだ。

 植物はお日さまからエネルギーをもらって生きているように、人間だって肌に日を浴びないと免疫力が低下してしまう。ホワイトニングブームだとか巷ではいうけど、真夏に白い肌ってどう考えても不自然な感じが…… わざわざ真っ黒に焼くこともないと思うけど、要はその季節に合った自然な姿がいちばん美しいと思う。 

 暑い時は水遊びが楽しい。それも大自然の中でできたらこの上ない……というワケで、ジャブジャブと川の中を歩きながら鉱山の歴史を巡るウォークを、2月下旬のある日に楽しんで来た。

 場所はクイーンズタウンの郊外、スキッパーズ。ゴールドラッシュ時代には、最大で1000人以上の鉱夫とその家族が暮らしていたが、現在は当時の面影を残す廃墟や史跡が寂しく残るのみである。スキッパーズのタウンシップ(もちろんゴーストタウンだけど)へは、スキッパーズ峡谷を車で抜けなくてはならないのだが、道路は舗装されておらず、道幅が狭くてカーブが多く、道の反対側は崖っぷち、という悪条件なのでレンタカーは保険の対象外地域である。スキッパーズ・ロードの詳細はこの動画を。

 タウンシップには、復元された小学校、農家、そして墓地があり、ここから複数のウォーキング・トラックが出発する。






 この日に訪れたのは、ダイナモ小屋へと通じる片道3時間程度の「ダイナモ・ハット・トラック(Dynamo Hut Track)」。歩き始めると、すぐにかつてホテルだった建物の廃墟がある。








 20分も歩くと徒渉。ジャブジャブと音を立てて足首ぐらいの深さの川を歩くのは、童心に帰れてとっても楽しい このトラックの約半分は川の中を歩くので、暑い日には超気持ちいいのだ。






 少し歩くと小さな小屋があって、



内部には、金鉱の掘削機に使う電力を供給していた発電機の遺跡が安置されていた。






 透き通った水の中を歩く、歩く 澄み切っていて美しい水なのだが、上流にある支流の一つのマードック川(Murcdock Creek) から今も鉱毒が滲み出ているので、本流の冷たい水を手にすくってゴクゴクっとできないのが残念。




 行く手に、水力発電に使われていたダムが見えて来た。



 近づいてみるとこんな感じ。まだしっかりと構造を保っている。




 途中はずっとこんな感じで、山や丘に囲まれた渓谷をの~んびりと歩く 頭上には真っ青な夏空が広がり、すっごくいい気分





 本道からダイナモ・ハット・トラックへと別れる分岐点の標識が見えて来た。






 分岐路からは谷が少し狭くなり、丈の高い茂みや少しだけど木々の姿も現れてきた。




 ダイナモ・ハットへは緩やかな傾斜の丘を登って行く。






 行く手にハットの姿が。終点は近い。




 終点のハットに到着



 ふうっ、暑かったけど楽しかった~




 こじんまりとした小屋の内部は、きちんと整頓されており、古いながらも居心地が良く、典型的な"Good Old Kiwi Hut (昔ながらのニュージーランドの山小屋) "という感じだ。それもそのはず、小屋に備え付けてあるビジター・ブックを見ると、訪問・滞在者の大多数はハット・エチケット(hut etiquette, 山小屋でのマナー)を心得た、地元の人かニュージーランドに住む山好き達ばかりだった。




 小屋の裏には「ニュージーランドで初めて建造された水力発電」の遺跡が残っていた。この「初めて」というのがややクセもので、たちはこれ以外にもニュージーランド初の発電所というのをいくつか見て来ている……







 人間の欲とは計り知れないもので、ヘリコプターも大型トラックもなかった時代に、よくこれだけ大掛かりなものをこんな山奥に造ったものだと思う。よその金鉱である程度お金を貯めて、ここで一攫千金を夢見た金鉱夫たちが資金と労力を提供し合ったのだろう。で、元はどれだけ取れたのかしら…… 錆びにまみれて朽ちかけた重器具を前に、当時への思いを巡らせるだった。


 来た道をブラブラ戻りながら、周囲の植物にも目をやってみる。

 途中にはルピナスの群生地があった。もう花盛りはとうに過ぎていて、所どころ花が残っているだけだったけど、満開の時にはどんなにか美しいことだろう…… 次は花のきれいな初夏に訪れてみたいんだけど、これだけ徒渉だらけの場所は、天候が安定して気温が高い時期でないとちょっと厳しい。初夏は天気が変わりやすく、肌寒いことが少なくないので、実現するにはタイミングがポイントになりそう。




 フワ~ッと爽やかな香りが一面に漂っていたので、よく見るとなんとミントの大群生地



もちろん、この国の固有種ではないので、この辺に住んでいた鉱夫が植えたのだろう。山奥にいきなり現れた香り高いハーブ。この荒涼とした場所に確かに人が暮らしていたのね。

 感慨深い気持ちにちょっぴり浸りながらの帰り道。日も段々と西に傾き、さっきまでは心地よかった足下の清流が、少し冷たく感じられるようになった。

 歩き終えて車に戻ると、夏の陽射しをたっぷり浴びて、水遊びと山遊びをした後の心地よい疲労感が体を覆っていた。こんな楽しいことが手軽に出来ちゃうから、15年住んでてもクイーンズタウンでの暮らしは変わることなくサイコーなのだ

超お手軽で絶景ピークハンティング(2) 秋のオハウ・スキー場

2012年04月19日 | トレッキング
 前回、お手軽さと絶景で味をしめたスキー場ハイクの第二弾は、オハウ・スキー場にあるサットン山(2007m)の頂上をハントすることに決定。クイーンズタウンからオハウ・スキー場は車で2時間半かかるので、朝早めに出発しようと気合いを入れたのだが……

 スキー場の駐車場までは勾配が急なオフロードなので、普段車庫にしまってある4WD車のRAV4に乗り込んでエンジンをかけたら……ああっ、かからない しばらく乗ってなかったのでバッテリーが上がってしまっていたのだ。くくっ何たる不覚

 よいしょ、よいしょとRAV4を車庫から押し出して、もう一台のセダン車とケーブルでつないでジャンプスタート。RAV4の方がもう一台の車よりエンジンが大きいので、バッテリーの摩耗程度によってはうまくかからないのだが、今回は時間をおいて2~3回試したらかかってくれた。ニュージーランドには、日本のJAFに相当するNew Zealand Automobile Association (略称AA)という団体があり、電話一本で駆けつけてくれるのだけど、たかがバッテリーごときのために朝6時過ぎに電話で呼び出すのはちょっと申し訳なかったので、自力で何とかなって良かった~

 出発からトラブルに見舞われ、予定より30分遅れの朝7時に自宅を出発 その後、ドライブはスイスイと快適・順調で、9時半にオハウ・スキー場へ通じる道路の入り口付近に到着。



 ここからはスキー場への道路を登って行くのだが、スキーシーズン以外は入り口の門に鍵がかかっているので、スキー場を管理するオハウ・ロッジの受付で鍵を借りなくてはならない。



 受付の人からもらった用紙を記入して、鍵の担保金5ドルを払い、いざ出発しようとしたら、奥からお兄ちゃんが出てきて……

「スキー場まで行くんだって? 最近、道路の一部が崩れてまだ修復中だから、一般車両は通行止めだよ」

ガアァァァン そんなのって 麓から頂上目指して歩くことは全く想定してなかったので、その時点で既に時間切れだし、装備も足りない……

「えっ 3~4日前に電話したら、道路は大丈夫だって言われたんだよ。僕達、朝早くクイーンズタウンから出てきたんだけど、何とかならないの?」ねばるねこかぶりである。

「予定より作業が難航してるらしいんだ。ちょっと待ってて。どんな状況か、道路工事の会社に電話してみるから」

 調べてもらったところ、崖崩れの場所は、麓から見てスキー場の駐車場まで4分の3の位置にあるので、そこまで車で登ってあとは歩くのなら大丈夫だと言われた。あ~あ、よかった 諦めて泣く泣く帰るのに比べれば、少し余分に歩くのなんて大した問題じゃないもの。

 トラブルに次ぐトラブルを乗り越えて再び出発 工事の邪魔にならないよう作業現場の手前に車を停めて、ぶ厚い雲に覆われている下界を見下ろしながら歩き始める。




 これが崖崩れの現場と作業車。素人目にも、とても3~4日では修復できる規模じゃなさそう。



 まずはスキー場の駐車場と建物を目指して歩く。



車を止めた地点から40分ほど歩いたら、建物が見えてきた。



デッキにて小休憩。雲海から浮かび上がる山々が美しい



サットン山の頂上を目指して、緩やかな斜面を歩き始める。



雲の切れ目から蒼いオハウ湖が、徐々に顔を出してきた。




頂上に近づくとガレ場が広がる。足場は比較的安定している。



もう一息で頂上だ



 やった頂上に到達 登った距離は大したことなくても、この瞬間はいつも格別に嬉しい




 この辺では孤立した最高峰なので、見晴らしは抜群にいい 指差している先にあるのは、ニュージーランド最高峰のクック山(3754m)。意外と近くにあるのだ。



クック山のクローズアップ。この角度から見られるのは珍しい。



 一点の曇りもない青空に、おびただしい数の山、山、山……ものすごい絶景に言葉もなく、ただ見とれるばかり



 これだけの広い場所にねむりねこ達以外の人影は全くなく、見えるのは山と空と湖だけ……何と言う贅沢だろう。これだから山はやめられないのだ。

 はしゃぎ過ぎたがうっかり崩してしまった、頂上のケルンを積み直すねこかぶり。



 暖かな陽射しで風がほとんどなかったので、素晴らしい景色を少しでも長く堪能することにした。



頂上を別の角度から見るとこんな感じ。



 そのまま下山するにはもったいない天気と眺望だったので、スキー場をぐるっと囲む稜線を歩くことにした。山の反対側にあるダンベル湖。後で知ったのだが、この湖まで歩いて行けるルートもある。



 何時間いても見飽きることのない美しい眺め これはオハウ湖と麓の集落。



 稜線上の岩場で。どこにカメラを向けたらいいのか迷うほど、周囲360度に絶景が広がる。



 稜線の果てまで歩いたら、後は下るだけ。脆いガレ場は滑り降りるようにして下れて楽だったけど、これを登るのはかなりキツそうだ。




 車まで戻って来ると、そこに下界を覆い尽くしていた雲海はなく、別世界が達を出迎えた。



 歩き始めるまではトラブルに二度も見舞われたが、そのお陰もあり達成感・満足度の高いハイクになった  

超お手軽で絶景ピークハンティング(1) 秋のコロネットピーク

2012年04月11日 | トレッキング
 まとまった休みと天候の兼ね合いや、運悪くもせっかくの休みに何かやらなきゃいけないことがあったり、時間的に余裕があっても体力が消耗してて泊まりがけはちょっと、なんて時は日帰りハイクがうってつけ。

 ニュージーランドの天気は典型的な海洋性気候なので、とても変わりやすく、天気予報の正解率も高いとは言えない。出発の朝に行くか、行かないかの最終決定をできる、日帰りハイクはここでも現実的なのである。

 スキー場は冬しか訪れないところ、と長らく考えていた。だって、スキー場なんだから、たっくさん雪がなきゃ面白くないじゃない。

 でも、よくよく思い起こせば、新年初歩きのクイーンズドライブはリマーカブルズ・スキー場にあるんだから、夏山歩きのバリエーションの一つとしてスキー場巡りっていうのも決して悪くなさそうかも

 スキー場歩きの一番の利点はアクセスがいいこと 駐車場までで登って行けるから、あとは標高数百メートル程度、ちょちょいとハイクすりゃ簡単にピークをゲットできちゃう。それも、高さがあるからピークからはかなりの眺望が得られるというオマケつきだ。スキーシーズンでもハイクして登れるけど、ガンガン滑り降りて来るスキーヤー、ボーダーたちの邪魔にならないように歩くのは神経を使う。夏歩きならば、スキーヤー・ボーダーはおろか、他のハイカーに出くわす可能性だって少ないのだ。

 というワケで、クイーンズタウン市街地からで20分のコロネットピーク・スキー場へ行った。駐車場から道草を食いながらのーんびり歩く。途中のこんな景観がいかにもスキー場っぽいよね。遠くの山間に見えるのはワカティプ湖。



 もう少し登ったところ。先ほどの場所や駐車場などが下の方に見える。雪に覆われた冬山とは異なり、山肌にはタソックや地衣類が一面に生い茂ってフカフカだ。



近くの岩場でクライマーごっこをして遊ぶねむりねこ



頂上付近になる建物を目指してさらに歩く。



 あっという間に頂上に立ってしまった。ここは周囲を山々に囲まれた別世界……手軽な上にこの眺望はどうよ



グレノーキーの秀峰、アーンズロー山……いつ見ても惚れ惚れする勇姿だ。



普段とはちょっと違う角度から、アスパイアリング山も見渡せた 氷河までしっかり見える。



周囲360度の眺望は、こちらをクリックしてYoutube動画でどうぞ。

お立ち台のような岩の上で、ヨガのポーズをして遊んだ



 見事な晴天でも、真夏のカンカン照りとは異なり、陽射しを遮るものがなくても快適に歩けるのは秋ならでは。手軽さと絶景の組合せが、完全にクセになってしまった達であった。次はどこに行こうかな~

新年初歩きはリマーカブルズで ~クイーンズドライブ~

2012年01月08日 | トレッキング
 これだけいいお天気が続くとガツーンと外遊びがしたくなる。新年初歩きに選んだ場所は、クイーンズタウンのシンボル・リマーカブルズ連峰の最高峰、シングルコーンとダブルコーンの頂上付近の周囲をぐるっと巡る「クイーンズドライブ」。

 アップダウンはあまりないから体力的にはキツくないんだけど、ガレと岩場の連続で足下は崖、というところをトラバースする。もちろん、登山道とかトラックという有り難いものは一切なし、何となく山肌に残った他人の踏み跡をたどったり、道なき道を行くワイルドなトランピングだ。

 その代わり、標高2000m超からの眺望は素晴らしく良い 普段住んでいる地域を足下に見下ろし、遠くはグレノーキーの秀峰アーンズロー山、国立公園の名前にもなっているアスパイアリング山、そしてフィヨルドランド国立公園の秀峰の数々、ツトコ山やクリスティーナ山などが一望できてしまうのだ 数年前の同時期にも歩いたことがあるのだが、あのゴージャスな景色にまた会いたくて決行したのであった

 まずは、リマーカブルズの駐車場から、右手のリフト沿いに登りシャドウ・ベイスン展望所を目指す。傾斜はキツいが、トラックがついているので辿るのは簡単。



 30分ほど登ると展望所に到着。ここに来るだけでもかなりの絶景が楽しめる 残念ながら、クイーンズダウンの人気ウォーク、ベン・ロモンド山頂(1748m)はまだ雲の中。



近くの崖ではロッククライマーが。



 クイーンズドライブはこの展望台を始点に、反時計回りで歩くのが普通。逆回りすると、崩れやすいガレの急斜面を下ることになるので、避ける方が無難だろう。まずは、先ほどのロッククライマー達のいる崖下の急斜面を登って行く。写真が小さくて分かりにくいけど、左下のちっこい人影がねむりねこで、そこからまっすぐ上に辿ると崖にクライマーたちの姿がある。



 歩き始めはひたすらガレが続く。すぐ右手は急勾配の斜面なので視界からカットして、遠くの景色、足下、行く手を見据えていれば大丈夫 

 この日は晴天だったけど、気温があまり上がらなくて、南風が吹いていたのでちょっと肌寒かったのは予想外。斜面の陰を歩いていたら、ブルブルッ 長袖を羽織ることに。



 途中の岩場で休憩と記念撮影 す~っごくいい眺め これが見たくてここに来たんだもんね リマーカブルズ連峰はNZ最高峰ではないんだけど、この景色には、富士山の歌の「頭を雲の上に出し周囲の山を見下ろして」がピッタリはまる。行動食兼昼ご飯として持参した、自家製そら豆ご飯のおいしいこと しっとりとしたご飯に豊かな豆の風味、いくらでも食べられてしまう。



 見た目は結構スゴそうだけど、実際歩いてみると、足下が脆く崩れやすい箇所は限られていた。途中、ところどころ残雪があったけど、行く手を阻まれるほどではなくてラッキー



 ガレ場が終わると、果てしない岩場が広がる。場所によっては人ほどもある巨岩がゴロゴロしてて、岩場が大の苦手なねむりねこは、猫かぶりの励ましを受けながら大奮闘


「しまった! やっぱり来るんじゃなかった」

とは後の祭り。前回もかなり苦戦したはずなのに、きっと人間って、苦しい記憶はあまり残らないようにできてるのね 特に今回は「大丈夫か?」との「猫かぶりの心配をよそに、自分から「行きたい」って言ったんだから、何があろうと、死ぬ気で頑張るっきゃないねむりねこである

 適当な岩場で昼食。残りのそら豆と、自家製レタスのBLTサンドイッチ。雑穀入りパンにバター(マーガリンは×)を塗って、その上からマスタードを薄く塗り、カリッカリに焼いたベーコンをダブルで挟み、トマトは水気が出ないよう種を抜いて、レタスにはマヨネーズたっぷりの「レシピ」は文句なくおいしい

 岩場に苦戦するに天の救いか、雪渓が現れ、初のグリセーディングは大成功 そうそうないことなので、動画を撮っておけば良かったなぁ。



そして、また岩場が延々と続き、雪渓が出現し、またまた岩場と、「人生山あり、谷あり」の言葉が実感として身にしみる……




 元トレッキングガイド・猫かぶりに言わせると、多くの人は岩場よりガレ場を苦手とするらしい。はその真逆で、神経が一、二本切れてんのか、はたまた普通の人とは神経回路が逆向きなのか、ガレ場は怖いと思わなくて、足を取られてズリ下がりながらも平気で歩く。だけど大きな岩が重なり合って下が見えるような所だと足がすくんでしまい、岩が足下で音を立てて揺れようものなら冷や汗が出そうになる 学生時代は体操をやってたからひどい高所恐怖症ではないハズなんだけど、

「ああ、足下の岩が動いて、隙間に足を挟んで捻挫したり、骨折したら、どうしよう」

ってな考えが頭に浮かんでしまう。これまでに岩場で怪我をしたことはなく、いつも何とかなってんだから、こんな取り越し苦労を「そんなバカな」と一笑できればいいんけど、一旦、不安のスイッチがオンになると理性が働かなくなり、足が動かなくなっちゃうんだから困ったもんだ これを乗り越えるには、きっと「岩場リハビリ」が必要なんだろうね

 ゴツゴツ岩場を過ぎると、大きな池塘と平原を見渡すポイントがあり、小休止。



 氷河の浸食作用でできた一帯は、このような美しい氷河地形が散在している。どんなに辛くても、自分の足で一歩づつ踏みしめることを繰り返すことで、息をも呑む景観に出会えるから、山は止められないのだ

 この日の難所の一つ、大岩越えを過ぎればゴールも近い。



 行く手に見えるのはワイサドル(按部)。



 サドルの向こうには、美しい圏谷に佇むエメラルドグリーンのアルタ湖が



 高品質の天然ミネラルウォーターの湖水を、わが家のネコ、トラのために汲みに行く。



 水にウルサいトラは水道水をあまり好まないので、湯冷ましか、水道水の場合はしばらく蛇口から水を流してカルキ臭を少し薄めてから与えている。そして、天然水だと明らかに飲みっぷりが異なるところから「わが家の水ソムリエ」と呼ばれている




 トラのお土産を無事ゲットして本日の山歩きが終了 苦あれば楽あり、外遊びの長~い一日だった

ニュージーランド ちょいワイルドなこの夏初の山歩き

2010年11月18日 | トレッキング
 ニュージーランドみなみじのクイーンズタウンの11月はというと、時期的には初夏なんだけど、季節の変わり目特有の荒れ模様のお天気のことが多い。でも今年はそう悪くなく、眩しい陽射しのあふれる清々しい日が多かったりする。

 そう、山歩きにもってこいの季節がやってきたのだ。ああ、この時期をどんなに待ち焦がれたことか 9月下旬に南島南部を襲った季節外れの雪嵐のせいで、山間部は場所によってはまだ雪崩の危険があるので、そういうところはまたのお楽しみにとっておき、ある場所に行くことにした。

 それは、トラック終点からグレノーキーの最高峰アーンズロー山 (Mt Earnslaw, 2819m) の絶景が眺められる、アーンズロー・バーン・トラック(Earnslaw Burn Track)。実は、2年ほど前にも歩いたのだけど、予想していたよりも天気が早く崩れて、せっかくの絶景を見損なったので、いつかはリベンジしてやろうと狙っていたのだ

 このトラックはあまり整備されていないため、伸び放題の下草(おもにブナの幼木)に覆われ、



合計で20~30本の倒木が行く手を遮り、





かつ土砂崩れの跡をトラバースする箇所がある。



トランピング・トラックとしては結構ワイルドで経験者向きの部類に入るけど、一方で、人に出会うことは滅多になくて素晴らしい眺めを独り占めできるチャンスが非常に高いという利点も。ニュージーランドでのトランピングで嬉しいことは、トラックがまるで高速道路のように整備されて、初心者でも比較的安心して縦走できるルートバーン・トラックのようなトラックから、このアーンズロー・バーンのようなかなり歩き応えのあるトラックまで選択肢が実に多様なことだ。

 始点からは鬱蒼とした森の中を緩やかなのぼりが延々と続き、加えてハンパでない数の倒木、薮こぎ、ガレ場わたりの連続。「どうだ、これでもか」と言わんばかりに体力と忍耐力を駆使させられるのだが、達成感は苦労に比例して大きい…… と願いたいところ。

 途中で見つけた、大きな、大きな赤ブナの木。




 渓流で水の補給。とっても冷たくて、甘い清水だった。



 トラックの終点付近。アーンズロー・バーンを望む。バーン(burn)とはゲール語で川を意味する。



 トラックの終点は、森が完全に切れて、川の上流に向かって草地が広がる。対岸には岩場を利用して作られたシェルター、ニュージーランドで一般的に言われるロック・ビヴィ(Rock Bivvy/ Bivouac)があるが、



たちはロック・ビヴィを使わず、草地を500mほど上流に向かった平坦なところにテントを張り、そこからさらに3~4km上流にあるギリクソン滝を見に出かけた。

 ギリクソン滝は高低差が160mもあるんだけど、アーンズロー山の方がずうっと高いので、あんまり大きい滝に見えなくってな~んか気の毒になってしまった。それにしても、氷河を抱いたアーンズロー山の雄大で美しいこと 




これまでの苦労なんて一気に吹っ飛んじゃった。う~ん、これだから山歩きって止められないのよね

 川のせせらぎを聞いてキャンプした翌日は、稜線歩きのルートを取ろうとしていた。しかし、ねむりねこは昨日倒木を乗り越えた時に膝の裏の腱を痛めたようで、足を出す角度によっては鈍い痛みが走る。

 とっても楽しみにしてた、眺めが抜群の尾根歩き。膝のことを考えたらトラックを引き返すのが良策とは思うけど、ガッカリした気持ちで歩き続けるのはちとツライ。かと言って、尾根からの急な下りで膝が本格的に痛みだしたら大変なことに。悩んだ挙げ句、行きたいという気持ちが勝ち、荷物を猫かぶりに手伝ってもらい、痛み止めを飲んで予定を決行することにした。

 ロック・ビヴィが対岸に見える当たりから下流に向かって500mほど下ったところにある川を徒渉し、川に沿って森の中を薮こぎしながら登って行く。ブナの幼木が生い茂り難儀させられるが、所どころ、シカがつけたと思われる獣道を辿って、森林限界の上に出る。




 そこからどうやって稜線に出るかが課題。一気に登るのはちょっとキツそうなので、斜めにトラバースして稜線を目指すことに。

 ところがこの判断は失敗。行く手が突然崖っぷちになり、そのまま直登するハメに……ガレ場、岩場、灌木の茂る急坂を、息を切らせながらひたすら登り続ける。「こんな大変なとこ、来るんじゃなかった。膝の痛みもあるのに、どうして行きたいなんて思ったんだろう。ああ、私って本当にバカだ」と後悔することしばし

 「もうダメかも」と思う時でも、左右の足を前へ前へと出していれば、直面している苦しみに終わりが来るのが山歩きのいいところで、尾根に出た瞬間、それまでの辛さがスパッと吹き飛んでしまった。やったー

 左右の谷を足下に見下ろし、周囲にはずらり並ぶ秀峰の数々…… この素晴らしい景色を眺めながら歩きたくって頑張ったのよね。特に、この狭い稜線は快感。左側はすぐに崖っぷちなので、リース谷が足下によぉく見えること 



くふふ、楽しいなぁ~ こうなると、膝の痛みなんてないも同然、苦労の甲斐は大いにあったわね



 山は厳しくて優しい。頑張った人には、必ずそれに見合ったご褒美をくれるのだ。





 しかしどうしてこの尾根歩き、楽勝と思いきやちょっと一筋縄では行かず、険しい岩場が行く手を遮ってしまった 仕方なく、少々下に迂回してまた稜線上に戻った。それから、また行く手に急な崖が現れた。まだ尾根は少し残っているのだけど、もう充分に堪能したので下山することに。



この場所はかつて牧場だったそうで、家畜を移動させるためのトラックがまだはっきりと残っており、帰りはこのトラックを辿っての下山だったので楽ちんだった。

 夕方5時頃駐車場に到着。一日目は9時間、二日目は10時間、よく歩いたもんだ。冬の間は運動は大してしていなかったことを考えると、体力はそんなに落ちていなかったようで一安心。今夏も元気に山を歩くぞっっ

アオラキ・マウント・クック国立公園 冬のフッカー谷を歩く

2010年08月22日 | トレッキング
 先週の週末、猫かぶりが258km離れたクイーンズタウンから、赴任先のアオラキ・マウント・クック国立公園に来てくれた。お天気がとてもよかったので、近くのフッカー谷(Holler Valley)を歩きに行った。ホワイト・ホース・ヒル駐車場から3時間程度で往復できる手軽な日帰りウォークの終着点には氷河湖があり、青白い氷河や氷山、ニュージーランド最高峰のクック山(Mt Cook, 3756m)が一望できる。
 
 手軽なのに本格的な氷河・高山風景に出会える理由は、この地が高緯度(南緯43℃)にあることによる。緯度が高いので、この程度の低地(標高800mくらい)でも、低緯度の地域ならかなりの高地に行かなくては見られないような、迫力ある山岳風景や貴重な高山植物を間近に目にすることができるのだ。

 朝霧が濃かったのだが、歩いているうちにみるみる青空が顔を出し、



雲間からこの辺を代表する秀峰のセフトン山(Mount Sefton)が顔を出した。
 


同じ秀峰、ちょっとアングルを変えて完全に雲が切れた状態。



行く手に最高峰クック山の勇姿 夏に比べて雪の量が多い。



 このクック山、標高が富士山より20m低いのだが、高緯度に位置するため、頂上付近は一年を通して万年雪と氷河に閉ざされている。登頂には高度な登山技術を必要とし、毎年、遭難して命を落とす登山者が後を絶たない。気象・氷雪・山岳状況は世界最高峰エベレスト・チョモランマ山(8848m)に似ているので、人類史上初めて登頂に成功した故エドモンド・ヒラリー氏がここで訓練を行ったことはニュージーランドでは有名な話。また、先住民族のマオリにとってこの山が大切な聖地というあたり、日本人の富士山信仰を思わせる。それもそのはず、マオリも、日本人も、アニミズムを文化の起点としているからなのだ。

登山道の途中、休憩所兼悪天候の際の避難所ストッキング・ストリーム小屋(Stocking Stream Shelter)が。谷なので物凄い強風が吹き荒れることがあり、そんな時はこの避難所で風が収まるのを待つ。




終着点、フッカー湖(Hooker Lake)に到着



氷河湖に映る、クック山。




湖には氷河がプカプカ浮かんでいる。



湖岸には、崩れた氷河のかけらが。



氷河のかけらに接近すると……



氷の中にたくさんの空気の泡が。雪が物凄い力で圧縮されてこの氷ができたことがわかる。自然の力ってすごい。




フッカー氷河のクローズアップ。




氷河湖を別のアングルから撮ってみる。



そしてもう一度、氷河に接近。



う~ん、すごい迫力!!きれいだな~


来た道を戻リ、クック山を振り返る。



吊り橋を渡るねむりねこ




彼方にミルキー・ブルーのプカキ湖が見える。




お天気に恵まれ、大満足のウォークだった 

クイーンズタウンの日帰りウォーク (3)ベン・クレーシャン山

2010年03月04日 | トレッキング
 このタイトルを見て「あれ、ベン・ロモンドの間違いじゃ?」と思った方、わりと普通の反応です でも、こういう素晴らしい山もあるのよね、リマーカブルズ連峰(The Remarkables)のすぐ近くに…… ベン・クレーシャン山(Ben Cruachan, 1895m)へのトラックはDoC発行の日帰りウォークのパンフレットには載っていないが、地形図(Queenstown and Cromwell Terralink 1:50,000)にはしっかり刻まれている。 

 (↑この一文を読んで、頭の中がはてなマークだらけになった方、ここはかなりローカルな山の話をブログなので、悪しからずご容赦のほどを 一応、どなたにも楽しんでいただけるよう、それなりに配慮はしてるつもりですが。)

 持病のメニエール病が活動期に入り、耳の平衡機能がまともに働かなかなくなってしまったねむりねこには、オフ・トラック・トランピング(off track tramping, 登山道がついてない山でのトレッキング)はムリ。かといって、クイーンズタウン・ヒル(Queenstown Hill)など、日帰りウォークのパンフレットに載っているトラックは、とうの昔に歩きつくしていて、今更わざわざ行く気になれないし、

「ああ、どこかよさげなところないかなぁ」
と地形図を眺めてたら、
「おおっ、これだぁっ!!」
と見つけたのがこのだった。

 クイーンズタウンからギブストン・バレー(Gibbston Valley)方面に車で走り、コール・ピット・ロード(Coal Pit Road)を入り、さらにその先の4WD道路を登りきったところにある、コール・ピット峠(Coal Pit Saddle)が始点。



 峠からは、単に古い牧場道をたどって、稜線伝いにベン・クレーシャンの頂上まで歩いて行くだけ。藪こぎもルートファインディングもないなので、技術的には難しくない。距離にして往復20km程度、標高差も800m程度と緩やかなので体力的にも全くOK。

 この手合いなら、軽いめまいの発作に襲われたとしても、まぁ何とかなるかな…… というか、多少のことを押してでも行きたい気持ちが強いのだ 万一、途中で具合が悪くなったら引き返しゃあいい、家の中でウジウジしてるよりよっぽどましだ。きれいな山の景色を見たら、いい気分転換になって、病気も楽になるかもしれないしね。

 でもさすがに一人で行くのはちょっと心配だったので、非番の日が重なった猫かぶりに話したら、
「それ、いいね。俺も実は狙ってたんだ」 
と大いに乗り気

 愛車のRAV4を駆っていそいそと出発。峠へ登る4WD道路は所々浸食がひどく、4WD車としては車高が高くないRAV4で、うまく乗り越えられるか少し心配…… 



 安全のため、峠の手前1kmあたりに車を置いて歩き始めた。ここでもう標高1000m近く、すでになかなかの眺めじゃないの。



 あたりは、歴史保護地区(Historic Reserve)に指定されており、かつては炭鉱があったところ。去りし日を偲ばせる器具を見つけた。



 緩やかなアップダウンがある、眺めの良い稜線歩きはとても気持ち良い。ああ、思い切って来て良かったなぁ(←今のところは)





 これが目的地のベン・クレーシャン。山というより大きな丘といった感じ。



 途中にカッコイイ岩があった。このあたりから、風が結構強くなる。風速50km/h近くあるだろうか。



 頂上に到達。これまで登った山に比べて、頂上部分が広く開けている。



 風の来ないところを選んで腰を下ろし、まずは昼食。そして風景写真をパチリ。まずは、リマーカブルズ連峰の最高峰シングルコーン(2307m)とダブルコーン(2319m)。いつもは遠く見上げている岳々をこんなアップで見られるなんて、ちょっと感激。



 赤ワインのピノ・ノワール種のふるさと、ギブストン・バレー。ここのピノはたいへんに高品質。国際ワインコンテストでも上位入賞してて、高いけどとても美味しい(写真をクリックすると拡大)。連なる山々の向こう、ワナカ湖(Lake Wanaka)も写真に入れたハズなんだけど、うまく映らなかった。



 クイーンズタウンからカードローナ谷(Cardrona Valley)経由でワナカへ抜ける道路、クラウン・レンジ道路(Crown Range Road)が通る、クラウン台地(Crown Terrace)。普段は車で通るだけなので、上から眺めたのは初めてのこと。



 ヘイズ湖(Lake Hayes)のあるあたりの盆地。



遠くにグレノーキー最高峰のアーンズロー山(Mt Earnslaw)と



国立公園の名前にもなってるアスパイアリング山(Mt Aspiring)が見えた。



 また、フィヨルドランド最高峰のトゥトコ山(Mt Tutoko)も見えたんだけど、写真撮影に失敗…… ちと悔いが残る。

 来た道を戻り、帰りがけに本道から外れたところにある稜線の最高峰2008m峰に登ってみたくなった。



「でもさ、この峰へはトラックがなくて、ガレ場や岩場を歩かなくちゃいけないよ。目まいがするのに大丈夫?」

心配する猫かぶり。確かに理屈だけど、すぐそこに見えている山に登らない手はないよね。自分の病気のことはすっかり棚に上げて、

「そんなに長い距離じゃないし、傾斜も大したことないから、登ってみたい」

と強気の発言のだったが、ガレ場を少し歩いただけで後悔した。

 つい最近、1548峰ホームヒルを歩いた時と比べると、全く信じられないほど足元が不安定で、何度か転びそうになる。ところどころ、猫かぶりに支えてもらう羽目になったけど、あきらめなかった。頂上に近づくにつれ、足場が悪く、風がかなり強くなった。この時点で、かなりフラフラになっていたは、登頂をあきらめ頂上すぐ下の岩場で休憩することにした。



 2008m峰の頂上に立った猫かぶり曰く、標高はこちらの峰の方が高いけど、間近にさらに高い峰々が迫っていいるので、眺めはベン・クレーシャン山の方がずっと良かったとのこと。頂点に立てなかった悔しさが和らいだ。

 それから、元のトラックに戻ったのだけど、平衡機能がまともに働かない体では、緩やかなガレ場の斜面を下りるのがかなりの難業だった。ある程度、予測してたこととは言え、いやぁ、まいった、まいった。

は、世界一頑張り屋のメニエール病患者だね」

とは、猫かぶりの弁。頑張り屋かどうかはちょいと怪しいけど、好奇心と負けん気は人一倍強いかもね……

 あとは稜線をなだらかに下るだけだから、超楽勝、と思いきや……

 たぶん、地形的なものだと思うけど、風が来た時より格段に強くなってる。谷からごうごうと吹き上げる風が、体感で時速70~80kmぐらいだろうか。場所によっては、おそらく時速120~130kmもの突風が吹きすさび、渡渉する時みたいに、二人で支え合いながら歩かないことには吹っ飛ばされそうになった。これは全くの予想外。そんな訳で、帰り道は写真撮影をするどころの騒ぎじゃなかった。

 何はともあれ、無事に駐車場まで帰りついてひと安心。色んな意味で、山あり谷ありの、充実した日帰りウォークだった