<朝焼けのセフトン山(3157m)ニュージーランドで2番目に高い山だけど、登頂難易度では最高峰クック山を凌ぐ>
臨時の人事異動でアオラキ・マウント・クックに赴任して2週間が過ぎた。これまでもここに来たことは何度かあるが、いつも夏の時期ばかりだったので冬は初めてだし、もちろん暮らすのも初めてのこと。クイーンズタウンよりずっと寒いんじゃないかと思ってたけど、実際のところ大して差がない気がする。家が寒さを考慮して建てられていて、暖かく過ごせるのは嬉しい限り。これまでで一番寒かったのは-6.8℃、朝歩いて職場に向かう間に、吸い込んだ空気が冷たく乾いていて、鼻の奥や胸がキーンと痛くなった。
<セフトン山とマウント・クック村>
国立公園内の暮らしのいいところは、この国を代表する、素晴らしい山岳風景を毎日眺められること
朝焼け、日中、夕焼け、一日の中で表情を刻一刻と変える山々の眺めの美しさと言ったら…… 毎日がシャッターチャンスの連続だ。窓のすぐ外は、ニュージーランドを代表する高山植物、固有種や絶滅危惧種に指定されている植物・鳥類が身近に生息する、とっても繊細な生物多様性の世界。そんな特別なところに住んでいるんだと、考えるだけでドキドキしてしまう
<家の前の残雪につけられた足跡>
反対に不便なところは、国立公園内の集落には食料品や日用品を買える店がないので、ここに住む人は、大きな町に繰り出して
まとめ買いをしなくてはならないこと。
これを聞きつけたねむりねこ
は、地元クイーンズタウンのスーパーで、出発前に4週間の食料・日用品
を予め買い込んだ。4週間分って、いったい何を、どのくらい買えばいいのか見当もつかなかったけど、「寒いので煮込み料理を中心に、時々パスタや炒め物を」と思い立ち、それに合わせて食材を揃えた。
野菜と果物
は保存の利くものを中心に、緑黄色野菜や根菜のバランスも考えて。生肉
は持って行く前に冷凍して、冷蔵でも日持ちのするベーコンやソーセージも。冷凍の魚介類
はあまり好きじゃないから、ツナ缶とオイルサーディンでいいや…… いや待てよ、4週間の間には、休みの日にクイーンズタウンに帰ることもあるだろうし、猫かぶりが遊びに来ることもあるだろうから、仮に何かが不足したってへ一ちゃらだわ、と思い至り、多少加減して買い揃えたつもりだった。
しかし、実際に生活してみたら、こりゃどう見ても買い過ぎた
どうやり繰りすれば食料が悪くなる前に食べ切れるか、賞味期限や鮮度とにらめっこしながら計画・工夫の毎日は、その日の気分で「あー、今夜はこれが食べたい」と献立を決めてきた
にとって、結構な試練である
<近所で見つけたクマの雪だるま。ここに滞在中のアーティストが作った>
平日は、情報提供や環境教育の仕事に励み、週末は付近をハイキング。職場の人たちは暖かくて親しみやすい人ばかりなので、毎日とても楽しく働いている。環境教育の内容も、さすが国立公園内らしく、野生動物、気象、地形、人々の歴史など、題材には事欠かない。
この前の週末は、猫かぶりとフッカー谷を歩いた。その様子と写真はまた次回。