南半球のニュージーランドは、秋
から冬
へと向かっており、木々の黄葉も盛りを少し過ぎたところ。毎年、ねむりねこ
夫婦のこの時期の楽しみは自然の恵みの収穫である。
夏の間働いていた職場には、大きな、大きなクルミの木があり、毎日眺めては収穫の日を心待ちにしていた。クルミとは、あの茶色い殻の状態で木に実るのだとばかり思っていたので、青梅のような実をたわわにつけた木を眺めては
「一体、いつになったら収穫できるのかしら」
なんて考えていた。そのうち、その青梅状の実がボトボトと地面に落ちてくるようになり、割れた実を見たら、何と内側から茶色殻のクルミが顔を出しているじゃないの
つまり、クルミの茶色い殻は青梅のような実に包まれていて、地面に落ちた衝撃で薄緑色の果肉のような外皮がはじけ、あの茶色い殻が飛び出す、という複雑な仕組みになっているのだ。
ふぅむなるほど……と一人納得しながらクルミを割ってみたら、今度は真っ白な実が中から出てきた。あれぇ、クルミって茶色くなかったっけ
食べてみると軟らかくて、あの香ばしくてカリッとした食感がない。
これはどうしたことかと思ってインターネットで調べたら、クルミは拾ってから2~3週間ほど天日干しをしないと、おいしく食べられる状態にはならないとのこと。身近な食べ物なのに、知らないことだらけ。意外なクルミの奥深さを知った
であった。
拾って来たクルミを、庭のテーブルやイスの上に干して2週間ほど経ったので、殻を割って中の実を取り出す作業をねこかぶりと始めた。日本で代表的なオニグルミよりもやや小振りで殻も薄いので、作業は思ったより早く進んだ。
さっそく、クルミを使って料理をしてみた。ねこかぶり作、小麦胚芽入りクルミパン。胚芽の香ばしさがクルミにマッチして
日本では、もちもち食感のふわふわしたパンが人気らしいが、パンとは本来ボソッとした食感の食べ物だ。このパンのように、しっとり、どっしりとした重めの食感は、噛み締めると口の中に風味が広ってとても美味しいと思う。
これは
作、ロースト・カボチャのサラダのクルミがけ。緑の野菜は自家製ミズナとルッコラ。マヨネーズに白ワインビネガーと白ワインを加えて作ったドレッシングには自家製チャイブスを入れ、ちょっと奮発してパルメザンチーズのおろしたのも混ぜてみたら、栄養・味のバランスともに
思いつきで作った割には美味しく大好評だったので、結果的に3日連続でこのサラダを作ることになった。
今秋も栗拾いに出掛けた。ある人から伝授された場所は秘密のはずだったんだけど、今では結構みんなに知られていて、ポピュラーな栗場になっている。日本の栗に比べてこちらのは小さいので、大振りのものを選んで拾って来た。日本では地面に落ちた栗にはすぐに虫が入ってしまうが、病害虫が少ないクイーンズタウンではそんなことがなくってラッキーだ。クルミとは対照的に、栗は拾ってから日持ちがしないので、早く加工する必要がある。
栗料理の王道、栗ごはん。日本の栗に比べると甘みが少ないので、いくつかのレシピを試した結果、ほんのりとした醤油の風味が栗の甘さを引き立てる、
このレシピがとても気に入った
スイーツ系が得意なねこかぶりは、栗クロワッサンを作った。ニュージーランドでは、成形済みで後は焼くだけの状態になったパンやクロワッサンを売っており、オーブンで10分ほど焼くだけで誰もが手軽に焼きたての味を楽しめる、というスグレモノだ。このクロワッサンを買って来てオーブンで焼き、栗のペーストと渋皮煮を挟んだものだが、上品な甘さがコーヒー
にとても良く合って二人のお気に入り
最後にこれはおまけ。寒くなると鍋料理が恋しくなるように、ニュージーランドではオーブンを使ったロースト料理が冬の家庭料理の代表選手だ。写真左は、クマラ(さつま芋)、ニンジン、カリフラワー、ズッキーニ、カボチャに、オリーブオイルと塩こしょう、自家製のローズマリーを刻んだのをまぶしてオーブンで焼いただけのシンプルな料理だけど、野菜の甘みが引き出されてとても美味しい。写真右は、タマネギとニンジンの薄切りを乗せて焼いたローストビーフ。野菜の薄切りを乗せることで肉が乾燥しないでうまく焼ける。真ん中の小さい器に入っているのは、ローストビーフの焼き汁を使ったグレービーで、肉にかけていただく。
寒い時期のオーブン料理は、アツアツで体も心もほっこり温まるし、オーブンの熱で部屋も暖まると一挙両得なのだ。クルミも栗もまだまだ残っているので、次は何を作ろうかと研究中の食いしん坊
夫婦である。