エコ・ニュージーランド Eco New Zealand

ニュージーランド発。エコライフ、環境保護、山、森、動物、アウトドア、山歩き、猫についてのブログ。

ねむりねこよりみなさんへ

エコ・ニュージーランドへようこそ!! その時の気分で、過去の旅行の話になったり、庭、環境保全、トレッキング等々、話が飛んでいます。ジャンル別にお読みになりたい方は、左のカテゴリーからどうぞ!! また、本文中のトレッキング(トランピング)関連の用語の説明は、同じくカテゴリー欄から「ニュージーランドのトランピング用語集」をご参照ください (^o^)

ニュージーランドの環境ボランティア

2009年07月31日 | 環境保全(生態系、動植物)
 <写真>対面の山、セシル・ピークの朝焼け

 ねむりねこです。試験勉強の息抜きにこれを書いています。えっ? 息抜きばっかしてるんじゃないかって? まぁまぁ、その辺は……

 今日は、環境ボランティアについて。

 毎年、この時期になると「環境保全ボランティア・プロジェクト」の地域版の小冊子が発行される。内容はいかにも主催者の環境保全省らしく、指定保護地区にある歴史的建物の修復や、国立公園内のウォーキング・トラック(トレッキングコースのこと)の手入れ、トラック上の山小屋の清掃、キンメペンギン(Yellow Eyed Penguin)の生息地調査、タカへの幼鳥飼育センターの補修作業、などなど。エコ&アウトドア好きなら、読んでいるだけでわくわくしてしまう内容。

 プロジェクトによっては、関係者以外の立入りが禁止されている保護地区や、船やヘリコプターをチャーターしないと行かれない辺鄙な場所など、普段、個人ではなかなか訪れる機会のない場所で行われるものも多い。ニュージーランド人の、アウトドアや環境への関心が高い国民性もあって、交通費や食事代は参加者負担でも、あっという間に定員になってしまう。

 昨年、うちの猫かぶりはその中の一つ、スチュワート島のペガサス湾(船をチャーターしないと行かれない無人の保護地区)のトラック整備のボランティアに10月ごろ応募した。実際のボランティア時期は、公募開始の時期から数えて半年以上も先というのに、予約は既にいっぱい、キャンセル待ちのリストには何と募集人数の倍以上の人数が登録されていた 今年は、パンフレットが配布された翌日に申込んだので、何とか参加できることを願う猫かぶりである。

 も今年こそは、と思っているのだけど、たいがい興味のあるプロジェクトの時期が、仕事を抜けられない時期に重なっていたり、休暇を取って日本に帰ろうかなと考えている時期と重なっていたり。う~ん、難しいところだわぁ。 

参考:環境保全省(Deparment of Conservation)ウェブサイト(まだ最新の情報にはなっていないようです)

雪ふんわりの冬山、楽しかったり、恐ろしかったり…

2009年07月29日 | 自然現象(気象、地震、雪崩)
 猫かぶりです。先週から、雨模様の日が多くなっているニュージーランド全域ですが、これが山々では雪になり、たくさんの新雪が積もっています。おかげでスキー場は絶好の状態で、クイーンズタウンもハッピーなスキーヤー、スノーボーダーで賑わいを見せています。


          コロネット・ピークスキー場

 8月21日から30日にかけては、ウインタースポーツの総合競技会、「ウインター・ゲームス」がクイーンズタウンを中心に開催されますのが、良いコンディションで実施できそうで、ますます楽しみになってきました。

 しかし雪が多すぎるのも考えもの。このところの天候不順(雨、風、日中の温暖な気温)とあいまって、これを投稿している今現在、クイーンズタウン周辺の山々では、雪崩の危険性を示す山岳安全協議会(New Zealand Mounain safety Countil)の「山岳雪崩警報」のレベルが、5段階評価の上から2番目の危険度の"HIGH"になっています。具体的には「山の積雪が緩んでいるため、自然および人的要因による雪崩がほぼ発生する」という状態を指します。この辺でHIGHの危険度になることは珍しく、実際あちこちで雪崩が発生しています。スキー場では、雪崩のコントロール作業が行われているので安心ですが、それ以外の区域へ行く時は、細心の注意が必要。先週はクライストチャーチ近郊の山でヘリスキーを楽しんでいたオーストラリア人男性が、雪崩に巻き込まれて死亡するという、残念な事故も起きています。

ダート・トラックにて。夏山の雪崩の連続写真です。






 猫かぶりはツアーガイドの仕事で、この時期よくミルフォード・サウンドへ出かけますが、数日前1週間ぶりに行って見て、その景色の変わりっぷりに、唖然としました。道路のすぐ脇にまで迫ってきた雪崩の跡は迫力満点。雪化粧した山々は、いつにも増してきれいでした。でも、冬山トレッキングはしばらくお預けですね。



今朝も氷点下、試験勉強とディディモ

2009年07月27日 | 環境保全(生態系、動植物)
 寒くて暗い朝は苦手のねむりねこです。冬は空気が澄んでいるから、星空はとってもきれいで好きなんだけどね。朝起きて窓の外を見たら、庭に下りた霜がきれいだったのでパシャリ。

 今日は非番なのでお勉強の日。環境管理学(Environmental Management)を専門学校(Polytechnic)の通信教育で学んで2年近くになる。このコースは、学校にフルタイムで通えば、期間は一学期分、5単位を取得すると修了証明書(Certificate)をもらえる。でも、仕事を持っていると、なかなかまとまった時間がとれないので、は一学期につき1単位のペースで学んでいる。

 始めたきっかけは、仕事でそっち方面の知識が役に立つこと、個人的に興味もあるのと、ニュージーランド永住権所有者は学費がゼロなので(^.^) 履修科目は、生態系と環境保全(Ecology and Conservation)、海洋生態系(Marine Ecology)、天然資源管理と環境法(Resource Management and Environment Law)、環境問題(Environmental Issues)、環境保全管理(Conservation Management)。ポイントをきっちり押さえたコース内容なので、ニュージーランドの環境保全について知りたい人にはとってもお勧め。現在、は最後の環境保全管理を履修中。

 レポートや試験に追われて、学生時代のようにヒイヒイ言っている自分に笑ってしまう (^_^;) けど、自分の思い違いが修正されたり、これまでいろんな場面で聞きかじって、頭の中にゴチャゴチャと詰めこんできた雑事が整理整頓されたり、疑問に思ったけど調べることもなく放ったらかしにしてた事柄のナゾが解けたりと、嬉しいこともちらほら……

 今学んでいるのはディディモ(Didymo、Didymosphenia geminataの略称)について。日本ではほとんど知られていないけど、ニュージーランドでは深刻な問題になっているこの生物。淡水に生息する水カビの一種で、形状は初期はヘドロ状のものが成長して水藻状になり、見た目は「キモチワルイ」の一言に尽きる。長いものは数十メートルにも及ぶことがあり、これにより河川や湖の水質や流れが変化して、水中の生態系を破壊する危険性がある。元来は北米の生物で、釣り具に付着したディディモが、それを使う釣り師によって北米のあちこちの河川にばら撒かれ、そしてニュージーランドに来た釣り師の釣り具についたディディモが繁殖している、というのがおよその経緯。

 ニュージーランドは、およそ8000万年前に古代超大陸のゴンドワナランドから一番初めに切り離された土地で、その自然環境は古代大陸の一部だった頃の様相をいまだに残しているため、きわめて特殊で貴重といわれている。その間、他の大陸では様々な生物の進化や競争があって、哺乳類などが誕生したんだけど、ニュージーランドの生物にはこの手の生存競争経験が乏しいから、外来種にはとてつもなく弱いのよね。

 ニュージーランドでは、Bio Security New Zealand(有害生物管理局)や各地方政府、そして環境保全省が中心になって河川・湖水利用者に注意を呼び掛けている。駆除方法は比較的手軽で、釣りに行く前に、専用の洗浄液または食器洗い用洗剤を希釈したもので、釣り具を洗浄するだけ。フィヨルドランド国立公園など、場所によっては釣り具の洗浄証明書がないと釣りができない河川もある。

ディディモ写真(Bio Security New Zealandのウェブサイト)
釣り具の洗浄について(同上、日本語パンフレット)

 そろそろ勉強する時間になったので、この辺で……

M7.8の地震!!

2009年07月25日 | 自然現象(気象、地震、雪崩)
 再び猫かぶりです。私の仕事は、夏はハット・ウォーデン(Hut Warden, 住み込みの山小屋のレンジャー)、冬はツアーガイドをしています。夏の間は家を空けることが多いのですが、冬の間は在宅しているので、これからもちょくちょくブログに登場する予定です。 

 去る7月15日の水曜日、ニュージーランドの南島南部で、今年起きた地震としては世界で最大の、マグニチュード7.8の地震が発生したことは、日本でも大きく報道されましたので、まだご記憶の方も多いかと思います。発生地点がフィヨルドランド国立公園のダスキーサウンド沖合いという、半径100キロ内にほとんど人が住んでいない、とても人里離れた地域だったこともあり、これといった大きな被害は特にありませんでした。私もその時は、震源から約150キロ離れたクイーンズタウンの自宅で寛いでいましたが、揺れはハッキリ感じたものの、実感としては震度2~3程度。ただ、やけに長く揺れていたのを覚えています。

 その後約10日の間に、100回以上の余震が続きましたが、それも少しづつ収まってきています。しかし最近のニュースで、今回の地震の結果、なんとニュージーランドがオーストラリア方面へ30cm移動したという情報が! 改めて今回の地震の規模の大きさに驚くとともに、被害が最小限で済んだことに、感謝の気持ちでいっぱいです。

 ところで私達にとっては、一般の住宅被害とはまた少し異なった心配事もあります。

 全国の国立公園を管理・保全しているDoCでは、野山を歩くトレッキング・コースの整備、補修も大切な役割。そして今回の震源地の近くには、ダスキー・トラックという、人気トレッキングコースがあるのです。幸い今はちょうど真冬のため、入山者はほとんどどいない状態ですが、地滑りなどでコースが寸断されたり、途中の山小屋などが損傷していないか、気になります。



 今でもハッキリ思い出すのは、2003年8月に起きた地震後の被害。震源は今回とほぼ同じ場所で、マグニチュードの規模は今回より小さかったのですが、揺れは多少大きかったでしょうか? やはり人的な被害はほとんどどなかったんですが、地滑りがあちらこちらで発生。世界的に有名なトレッキング・コースのミルフォード・トラックの約5%(2km)が失われるなど、山奥では多くの傷跡が見られました(写真上)。今回の地震の影響も、おそらくこれからおいおい、レポートが上がってくることでしょうが、あまり大きなダメージを受けていないことを願います。

模様替えしました

2009年07月24日 | 思ったこと
 ねむりねこが眠っている間に…… あれ、あれっ?「助っ人」の猫かぶりが投稿してくれたみたい。感謝、感謝。

 以前のテンプレート、タイトル部分が読みにくかったので模様替えしてみた。この方がねむりねこのキャラにもあってる感じ。

 今晩、明日と当直が回ってきた。私の職場は山林火災の消火作業を地元消防隊と共同で行っていて、24時間体制で管轄区域の火災の通報に待機。当直に当たったら、お風呂やトイレに入っている時、そして眠っている間にも、ポケベルと携帯を手の届くところに置いておかなくてはならないから、ちょっぴり緊張してしまう。このところ寒いし、雨もよく降っていて、山火事が起きる可能性は低いので、どうぞ何事もありませんように!

 本文の記事とは全く関係ないけど…… 写真はベニテングタケ。4月の中旬ごろ、庭にひょっこり姿を現して、あまりに可愛らしかったのでパシャリ。

1080を使った害獣駆除

2009年07月23日 | 環境保全(生態系、動植物)
 こんにちは、試験勉強に追われて眠る暇もない?ねむりねこに代わり、猫かぶりが投稿します。

 本来、コウモリ以外に陸上に哺乳動物がいなかった、「鳥の天国」ニュージーランドでは、人間が持ち込んだネズミやポッサムなどの外来哺乳動物が、生態系に大きな被害を及ぼしています。木登りが上手なこれらの動物が、巣穴で卵を抱いているメス鳥やヒナ、卵を襲い、鳥類の急激な減少につながっているのです。



 南島南部のダート渓谷周辺でも、上の写真のモフア(英語名イエローヘッド)という、稀少種の鳥が生息しているんですが、ネズミの増加により、生息数の減少が心配されています。美しい鳴き声から「NZの森のカナリア」の異名を取り、100ドル札紙幣にも描かれる、この国を代表する鳥の一種。そこでネズミ駆除の為、今週と来週にかけ、ヘリコプターを使って、広大な範囲に上空から毒入りのエサをまく、大規模な作戦が行われることになりました。名付けて「ノアの方舟活動(Operation Arc)」。旧約聖書でノアが地球上の生物を方舟に乗せて大洪水から救ったように、絶滅危惧種の生き物が存続できるように、との願いが込められています。

 この毒というのが、日本ではあまり馴染みのない薬品、モノフルオロ酢酸ナトリウム、通称1080(テン・エイティ)。この毒は、約50種類の植物にも含まれる天然成分で、土中の微生物によって水分と酢に分解されるため、土壌汚染の可能性は全くなし。毒エサの形状はペレット状で、鳥が認識しにくい色(緑色)に着色され、鳥の嫌うにおいをつけてあるので、鳥が間違って食べる可能性はほぼ0。ポッサムやネズミなどの動物にとっては一粒で致死量の毒が含まれています。



 1080の空中散布に際しては、その必要性、散布範囲、散布量などについて、生物多様性(Bio Diversity)の研究者や専門のレンジャーが綿密な調査と研究を行って決定されます。詳しい説明は以下のウェブサイトをどうぞ(英語のみ)

環境保全省(Department of Conservation) わかりやすい英語で詳しい解説
森林鳥類保護協会(Royal Forest and Bird Protection Society) マンガで面白く、わかりやすく解説

 この作戦が功を奏して、鳥のがさえずり声が、たくさん聞こえる森が戻ってくることを祈りつつ……