エコ・ニュージーランド Eco New Zealand

ニュージーランド発。エコライフ、環境保護、山、森、動物、アウトドア、山歩き、猫についてのブログ。

ねむりねこよりみなさんへ

エコ・ニュージーランドへようこそ!! その時の気分で、過去の旅行の話になったり、庭、環境保全、トレッキング等々、話が飛んでいます。ジャンル別にお読みになりたい方は、左のカテゴリーからどうぞ!! また、本文中のトレッキング(トランピング)関連の用語の説明は、同じくカテゴリー欄から「ニュージーランドのトランピング用語集」をご参照ください (^o^)

アクロバット・ヨガを体験

2012年03月28日 | ヨガ
 ニュージーランド北島でヨガインストラクター養成講座を終えた一週間後に、住まいのあるクイーンズタウンから車で2時間のテ・アナウで「アクロバット・ヨガのワークショップ」に参加した。

 「25日間ヨガ漬けの毎日を送った直後によくやるよ」と自分で自分に苦笑 正直なところ「しばらくの間、もうヨガはたくさん」って心境になるだろうと思ってた。しかし、事実は予想を大きく覆し、大学時代に体操をしていた経験から「アクロバット」がちょっと懐かしくなり、ワークショップ開催の3日前に参加を決意したのだった。

 ヨガとアクロバットって何か矛盾しているような気がするが、先生の一人、ジェイソンによると、古代のヨガではアクロバットのような難度の高いポーズを複数で行う記録が残っているとのこと。また、それに必要な筋力や平衡感覚はヨガによって養われる云々。ヨガの新しいムーブメントであるアクロバット・ヨガ。ジェイソン&チェルシー・マグネスの所属する「ヨガスラッカーズ」はアメリカでは有名で、デモンストレーション、ワークショップ、インストラクター養成講座等が行れているが、ニュージーランドでは南島のテ・アナウでのみ講習が行われた。

 テ・アナウ・ヨガクラブ主催、会場はDistinction Hotel Te Anauにて、3月2日(金)の夜から4日(日)にかけて習ったのは、組体操形式の運動と、







幅2cmほどの紐を使った綱渡りのような動き。




 参加者は6ヶ月以上のヨガの経験者が対象。ヨガで使う体幹のコアマッスル(深層筋)を緊張させることで、アクロバットの動きをスムーズに行うのに役立ち、ヨガの呼吸法が体の平衡を保つのに役立つから、というのがその理由だけど、ねむりねこから見るとこれはヨガ20%、体操80%かな。ヨガの体の使い方にも似てるけど、体操で使う体の締め(=コアマッスルとその周辺部分の筋肉の緊張)・筋力・柔軟性・平衡感覚や、ピラティスで養った強靭なコアマッスルの方が、ヨガのそれよりも役に立ったように感じる。

 参加者はみんなとってもよくがんばってた 大部分はテ・アナウ・ヨガクラブのメンバーだったけど、中には、車で5時間近くかかるダニーデンからわざわざ駆けつけたとても熱心な参加者もいた。



 そしても頑張った アクロバット・ヨガは動画で見た方が良く分かるので、こちらのリンクから Youtube動画 もご覧下さい。


 「この歳で毎日アクロバットなんて大丈夫かしら……」と思ったけど、教わる内容が初級者向けに無理のないよう構成されていて、一日の終わりはタイ式マッサージで体を隅々までもみほぐし……これはいいぞっ

 思ってたよりもずっと体がよく動いてくれたし「あなたはアクロ・ヨガに向いてるから、これからも続けるといいよ!」と先生にも誉められて嬉しかった(←絵に描いたように単純)他の参加者とも仲良くなれたし、コース自体も楽しかったし、少々迷ったけど参加してよかったな。

 ちょっと年寄りくさいけど、年月が経っても身に付けたことのすべては失われないのね。あの頃の自分がいるから、今の自分がある……体力、精神力、生きるエネルギーのすべてをかけて練習に打ち込んでいた若い自分の姿が眼に浮かび、そんな彼女を「よく頑張ったね」と心の中で誉めてあげただった。




ヨガインストラクター養成講座を終えて

2012年03月13日 | ヨガ
 ただいま~ ヨガのインストラクターの国際資格を引っさげて、北島コロマンデル半島から帰ってきました。ねむりねこが受けたのは、レベル1(初心者から中級者向け)のインストラクター養成講座、合宿形式の集中コースで200時間(=25日間)。長かった、いやぁ本当に長かった…… 

 いろいろとあり過ぎて何から始めればいいんだか見当がつかないけど、まずは月並みにヨガのスタイルの説明から。さまざまなヨガの流派のなかでも、が講座を受けたアシュラム・ヨガは「サティヤナンダ・ヨガ」の流れを汲み、インド伝承のヨガを複数ブレンドした精神力を高めるヨガだ。開講式、閉講式としてハヴァン(伝統的な火の儀式)が行われ、




8種類の呼吸法、姿勢、ハーモニアム(アコーディオンのような伴奏楽器)の旋律に合わせた詠唱、




リラグゼーション、体内浄化など幅広く行って、心と体のバランスやエネルギーの流れを整え、さらには瞑想で自分の潜在意識と対峙し精神力を高める(詳しくはこちらのリンクを)……何となく禅僧の修行みたいだけど、それもそのはず、座禅はヨガの瞑想に由来しているのだ。

 習う姿勢は基本的なものが多く、たとえば他の流派では初級レベルで習う「頭立ちの姿勢」は中~上級レベルでないと習わない。その分、徹底して呼吸との調和を図り、プラナ(エネルギー)の流れを意識するので、基本的な姿勢でも効果はかなり高い。これまでは、ダイナミック・ハタのような、運動量の多いスタイルが好みだっただが、この流派はまさに目からウロコ 現代的な他流派のようにガシガシ動かなくても、体中の筋肉の緊張がすうっとほぐれて、体中のプラナがバランス良く流れ、気持ちがとても穏やかになる……「体脂肪燃焼エクササイズ」「美容体操」とは異なる、これこそが自分の思い描いていたヨガだった

 を含め15人の参加者は、18歳から50歳代という幅広い年齢層で、職業は刺青師、教師、バレリーナ、マッサージ師、医師、レンジャー、主婦など多種多様、国籍はアメリカ人、イギリス人、イタリア人、タヒチ人、アイルランド人、中国人、オーストラリア人、ニュージランド人と国際的な顔ぶれだった。お互いにヨガ以外は共通点がなさそうだけど、あっという間に打ち解けてソウルメイト(心を通わせ合える友達)になってしまった これも、この流派のヨガの効用、精神力が高められること、によるものらしい。精神力を高めるって、どういうことかピンと来なかったんだけど、いわゆる忍耐力を養うことじゃなくて、他人の気持ちを深く共感・悟ったり、他人や物事に対して寛容さを高め、どんな状況でも平静な気持ちを保てるようになることなのだと、自らの体験から学んだ。

 一日は朝6時に始まり夜の9時過ぎまで続く。食事の時間はゆったりと与えられており、朝食、昼食は1時間ずつ、夕食は1時間半。食事内容はベジタリアンで乳製品や卵は食べられたが、体質的にタンパク質を多く必要とするにはこのダイエットは合わず、万が一のために持参したサラミやコンビーフを時々食べていた。日中は、姿勢や呼吸法の教授法の学習と実践、ヨガインストラクターの資格を持つ理学療法士による解剖学の講義、アーユルヴェーダ(インドの伝統的医学)の専門家による講義、グループごとに分かれて生理学関連の研究発表など。お天気のいい日は1時間のカーマヨガ(清掃・作業奉仕)がこれらに加えられる。夕食後は、ヨガの経典などに関する講義、詠唱、瞑想の時間に充てられた。自由時間は、洗濯、筆記形式の課題の提出、研究発表の準備、自分が教えるクラスの準備でかなり潰れたので、自由にできる時間は限られていた。

 合宿所のロケーションは、コロマンデル半島のオポウテリという地区にある、オフイ・ビーチ。一番近い町ファンガマタまで車で15分、松林に囲まれビーチまで歩いて2分という、人里離れ風光明媚な場所はまさにヨガの修行にうってつけ。



施設のマネージャー/学校の理事/ヨガインストラクターであるアトマ一家が住まう住居と、



参加者の寝室・リビング・集会所のある建物、



半屋外のヨガテント



が主な建物で、短期滞在者用のキャラバンがいくつか点在している。ねむりねこはラッキーなことに、小さなキャラバンに自分だけで滞在できた。



気が置けない仲間同士でも、14人もの人々が常に周囲にいるとなれば、やはり一人になる時間が欲しくなる。気分転換にビーチに行っても、すでに誰かがいたり、後からやって来たりするので、一人で静かにものを考えたり、本を読みたい時などはひじょうに有り難かった。

 大変なばかりでなく、楽しい思い出もたくさんある 満月の晩にビーチへ行って、



浜辺を歩いたり、波と戯れたり、煌煌と照り輝く美しい満月に見入ったりした。周囲に明かりがないので、満月の光がいっそう明るく感じられて、大海原の向こうに薄ぼんやりと浮かび上がる島や、対岸の町、林などがとても幻想的で、一晩中ずっと眺め続けたい気分にさせられた。

 新月の晩には、ヨガとゆかりの深いヒンズー教のシバ神を讃える「闇のシバの夕べ」があり、



ハーモニアムに合わせてシバを讃える詠唱や踊りを3時間ぐらい続けた後、



ヨガテントに移動して真夜中近くにハヴァンを行ったのも、神秘的で忘れられない思い出だ。

 たった1ヶ月足らずの間に15人中4人もの誕生日があり、物質的には乏しかったけど、みんなでアイディアを凝らして心のこもったお祝いをしたことも、思い出深く楽しかった。そのなかで人生の大きな節目、日本での二十歳に相当する21歳の誕生日を迎えた女性がいた。本来なら、盛大なお祝いをするところだけど、誰もそんなことがあろうとは予期しておらず、準備もできなかったので、みんなそれぞれに精一杯の温かい気持ちを伝えた。は先生からパソコン用の白紙を調達して、羽の先端がつながった四連鶴を折り、四羽の鶴は色鉛筆で四色に彩色した。

「私たちの文化では、あらゆる良い願いを込めた贈り物なの。この鶴達が、あなたの行く先々で幸運を運びますように」

と言って鶴を手渡したら、

「うわーっ、スゴい これが一枚の紙でてきてるの? 作るのに、どれだけの時間と辛抱強さを要したのかしら…… 四羽の鶴が、ハスの花の形にも似てるから、瞑想をする時そばに置いてもよさそうね…… ああ、私のために温かい思いのこもったものを作ってくれてどうも有りがとう

日本以外の文化圏の人に折り鶴をあげると、細やかな作りを誉められるのはよくあることだけど、「作り手の思い」に感謝してもらえたのは初めての体験だった。弱冠二十一歳でこの洞察力、この人とソウルメイトになれた幸運に感謝しつつ、良い贈り物ができたことを嬉しく思った。

 一日だけ与えられたとっても貴重な休日も忘れられない。他の仲間と一緒に車でファンガマタまで繰り出して、タウンライフを楽しんだ半日を。ファンガマタは、規模こそ小さいけど人気のリゾート地にある町らしく、品揃えのセンスが良いお店が多く、カフェだって都会に負けないレベル インドの雑貨を扱う店で、カラフルなビンディ、肌ざわりの良い木綿のストール、そしてずっと欲しかったトウ・リングを買い、お洒落なカフェでおいしいランチを食べ、街をそぞろ歩き、ヨガ三昧の毎日からしばし離れてご満悦のだった。
 
 教師陣の一人、オーストラリア人のスワミ・シャンティムーティ(通称シャンティ)はこの道35年の大ベテランで、伝統的なヨガの神髄を探るべくインドに何度も足を運んでいる。七福神の布袋さまのような風貌でガラッパチ系キャラのシャンティは、ヨガに関して膨大な知識・経験・技術を有していて、一見しただけでその人のエネルギーのレベルが分かるという恐るべし達人だ。なかでも、ヨガ・ニードラ(体と感情の不調和を整える究極のリラクゼーション。短い時間で効果的な回復をもたらすヨガ瞑想)に関しては世界的な権威の一人と言っていい。ヨガの達人って、山奥にひっそりと暮らして霞を食べて生きる仙人みたいなんだろうなと思ってたから、古典的で崇高なヨガから現代的で通俗なフェイスブックまで愛好するシャンティにはいい意味で驚かされた。ある日、シャンティが希望者にはサンスクリット語(インドの古語)の聖名を下さると言ったので、もいそいそとお願いしたところ、ジヨティアトゥマ(Jyotiatma・魂の光)という名前を授かった。生きる方向性を見失ったり、悲しみや苦しみに暮れて目の前が真っ暗になっても、自分には内側から照らしてくれる魂の光がある……両親からもらった名前に加え、聖名も大切に生きようと思った。
 
 自分でもヨガはやって来たが、流派の違いから初めて経験する姿勢や呼吸が多く、次から次へと覚えることだらけで、毎日が一夜漬けの試験勉強のような気分。しかも、習った事柄はその場で生徒同士が教え合い、さらには15分、30分、45分、90分のレッスン計画を立てて実際に指導しなくてはならないのだから気が抜けない。だから、励まし合い、お互いを高め合える仲間に恵まれたことにはとても、とても感謝している。そう思っていたのはだけではなく「な~んだか図ったようにいい人達が集まったよね~」と誰もが事あるごとに口にしていた。そんなソウルメイト達や、思いやり深い先生方とその場限りのお付き合いになってしまうのはもったいないので、フェイスブックでグループを作ってコミュニケーションを楽しんでいる



 長かった25日間の最後のクラスが終わった瞬間、みんな躍り上がって喜びをあらわにし、閉講式の最後に一人一言づつコメントする際には感極まって涙を流す人も多かったのに、はそのどちらでもなかった。喜び、悲しみ、辛苦、懐かしさ、仲間と先生方への愛おしさ、日常生活に戻る期待と一抹の不安……すべての感情をありのままに受け入れ、かつ喜怒哀楽を超えた心の状態……まるで修行を積んだ禅僧のような心静かで穏やかな境地に至っていた。揺るぐことのない心の静けさこそ、この期間にが得た最高の体験だった。

 最終日に修了証をもらい、これで正式にヨガインストラクターになった訳だが、実際にインストラクターとして活動を始める前に、詰め込む一方でゴチャゴチャに散らかっている頭の中をスッキリと整理整頓する時間が欲しいのが正直な心境。養成講座に参加する前から教えていた経験のある人たちは、受け持ちのクラスで習った事をさっそく活かしている、と聞くとちょっと焦ってしまうけど、他人は他人、はマイペースで一歩ずつ前に進んで行こうっと