『磐城誌料歳時民俗記』の世界

明治時代の中頃に書かれた『磐城誌料歳時民俗記』。そこには江戸と明治のいわきの人々の暮らしぶりがつぶさに描かれています。

「じゃんがら念仏」の歌 その2

2006年08月03日 | 歴史
いわき市内各地に伝えられている「じゃんがら念仏」の歌のなかには、
かつて、それらの歌が即興で作られ、
披露されていたことを窺わせるものがある。

誰も出さなきゃ ワシャ出しますか
  出さぬ船には 乗られない

歌は順番だよ 廻りと決めて
  私歌えば 次の人

出たよ出た出た 今出た声は
 クヌギ林の 蝉の声

歌え歌えと 歌責められて
 歌は出ませぬ 汗をかく

誰も歌を歌わないのでしたら、
仕方がない、私が口火を切りましょう。
歌は順番に出しましょう。私の次は、さあ、あなたですよ。
歌が出たと思ったら、セミの鳴き声じゃないですか、
早く歌を出してくださいよ。
そう簡単に歌は浮かばないよ。あぁ、冷や汗が吹き出してくる。

「じゃんがら念仏」の輪の中で繰り広げられる歌の掛け合い、
絶妙なやりとりが面白い。

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