日本
アクシデンタル(accidental) (形容詞)思いがけない、予想外の。
2009.06.24(水)
事件は突然に起こった・・・
6月8日に医者に行って聞いた大腸がん検診の結果、便潜血(便の中に血が交じっている事)が陽性で出ていたと言う事だ。
この検査を受けたのは5月の頭頃、大体2週間ぐらいで結果は出るそうだが体調的に悪い所がなく、検査結果に異常なんてないだろうと高をくくって今迄放置していたのだ。
だがこの結果の暗示する所は何かしら体の、それも腸内に異常があるということだ。
『もしや癌では・・・?』
もともとチキンな私である。日付を決めて医者の勧めによって内視鏡検診を受けることにした。
検査はその2日後の6月10日、異常があると疑いが有った時は最速の手段をとらなければならない。
この検査はお尻の穴から内視鏡を入れ、肉眼で確認する検査だ。感覚を鈍くする薬を飲まされ寝台に横たわり内視鏡を体にいれて腸内をくまなくグリグリと検診する。薬が効いているので意識はもうろうとしているがそれでも体の中の通常ありうべからざる場所に異物が入るという感覚は良い物ではない。
そして検査が終わって医師から説明を聞くと大腸内に炎症を発見したということだ。写真を撮られているので炎症は自分の目でも十分確認できる。
医師によると癌の疑いはないそうだが炎症の原因を探る為にこの細胞を摂取して検査に出すという事だ。
そしてその結果が先週の金曜日、6月19日にようやく判明したのだ。
医師を訪ねると彼は笑顔でこう言ってきた。
「分かりましたよ。ほぼ100%間違い無しです」
『で?何だったんですか?』
「アメーバ赤痢です」
『えっ?アメーバ赤痢!!』
私はこれまで第三世界を数多く周って来ている。
元々チキンたるこの私、色々とある感染症を恐れて受けた予防接種は数えてみるとA型肝炎、B型肝炎、脳髄炎、日本脳炎、インフルエンザ、破傷風、ダニ脳炎、腸チフス、狂犬病、そして黄熱病等実に10種類、通常の旅行者でここまで射つ人間は稀だ。
だが、このアメーバ赤痢には予防が効かないと(他にもマラリア等は予防が無い)という。
この主症状としては下痢、粘血便、しぶり腹、排便時の下腹部痛や不快感等を伴うと言う。勿論旅行中に下痢になった事は数回あるがいずれも早期で回復しているし、それに目に見える症状という感じは無かった。
敢えていうなら若い時より便へ行く回数が増えたのではとかガスがお腹に溜まりやすくなったとかはあるがそれもアルゼンチンで食べ放題にはまって以降に加速度的に飽食の日々を向かえてから肉食の頻度が上がり、その後のヨーロッパでのオペレーション・イリーガルでも朝食ビュッフェをこれ幸いとばかりに限界量に近くまで摂取していたのでその影響だろうとも思っていたのだ。
しかし、こんなものにかかっていたとは・・・
私は医師の次の言葉を待つ事にした。原因が分かれば後は治療法だろう。
だが、私にアメーバ赤痢を告げた医師の口から出た言葉は私の予想を遥かに超える“ショッキング”なものだった。
「あの~。東城さん、大変うかがいづらいことなのですが・・・」
『・・・・・・・・』
「同性愛者の方ですか?」
『エッ、エエエッ~???』
このアメーバ赤痢、便中に排泄された赤痢アメ-バのシスト(嚢子)に汚染された飲食物などを経口摂取することで感染し、特に熱帯、亜熱帯での発生が多いと言うのが発展途上国での定説だが・・・。先進国では同性愛者の性交による性感染症として問題視をされている。
そして私が今居るのはアフリカでも中東でも南アジアでも南米でもなく日本・・・、まぎれもない先進国だ。
こういった疑いをもたれてしまうのも致し方ないといった所だが・・・
このプロフェッショナル、常に求めているのは異性だ。ただ誰にも相手にされてこなかったことは事実だがそれでも人生で同性を愛した事、ましてや同性と愛の契りなど交わした事は無い。
それに髭を生やしていない男が行けばかならずモーションをかけられるという事で有名なイスラム圏を短髪、無髭で半年以上は周遊して男から誰にも声をかけられなかったこの私だ。
例え旅行中といえども同性愛者に付け入られる隙などありはしない。
そして何よりもたった10日前、この医師が内視鏡を中に入れるという行為が私の人生で体内に異物を挿入された初めての体験だったのだ!
そう、云わば
「この医師が私の大切な処女を、それも機械で奪った張本人である」
と、言っていいだろう。
そっそれなのに・・・こんな酷い事を聞くなんて・・・
私は医師の、私にとって初めてとなった男の目を真っ直ぐに見つめ直し、はっきりとこう答えた。
『あなたがついこの間私の処女を強引に、そして残酷にも奪ったのにそんなことを言うなんて・・・・・』
『・・・』
『・・・・・・』
じゃ、なかった。
『すいませんが全くその“ケ”はありません。ただ4年半ぐらい世界中を旅行してきました』
医師はこれを聞いて納得したようだ。
しかしそれにしてもまさかこのプロフェッショナルが同性愛を疑われるなんて・・・・
続いて治療法を説明される。「フラジール内服錠」を2週間分、これを欠かさず飲めばほぼ100%治るそうだ。
そして飲み終わってからさらに2週間後に便検査(体内に残留する場合があるので根絶をはっきりと確認するために期間を空ける)、そしてその結果をみて再度内視鏡検診をやる日取りを決めると言うのが基本路線だ。
ただ体の他の場所への転移を見なければいけないということなのでエコー検診、CTの断面スキャンが必要になりその結果も見なければならないという事だ(この両検査は土曜日と月曜日に受けてきている)。
いずれにしても今日明日にすぐに分かって治ってしまうような代物ではない。確かに日常生活には支障は無いがなんだかんだで全てが終わるまで最低1ヶ月半は見積もらねばいけないだろう・・・
と、なると・・・
どうやらこのプロフェッショナル、レイバーキャンプに入る前にやらなければいけない事、というよりも体を治さなければいけなくなってしまったようである。
えっ?それを口実にまだ怠けるつもりかって?
それはここでは敢えて明言しないでおこうか・・・
追記:今回のアメーバ赤痢は感染症と聞いて、私自身旅行中に接触した人に移した可能性があるのでは?と、はっとして医師に聞きましたが、基本的には便にあるシスト菌からの感染ということで、もし私から感染するとしたら私の便にあるシスト菌を口から介しての感染という形になるので状況的に考えてみてもまず移している可能性はないそうです。
疑いを持たれた方もいる事かと思いますのでここに記しておきます。
ただ私と同じ様に第三世界を旅行されている方には帰国後(もちろん体調に異常があれば旅行中にも)に血液、尿、便の検査をお勧めします。これだけで随分と早期発見の助けになるそうです。(潜伏期間もあるので直ぐに発見できるとは言えませんが・・・)
アクシデンタル(accidental) (形容詞)思いがけない、予想外の。
2009.06.24(水)
事件は突然に起こった・・・
6月8日に医者に行って聞いた大腸がん検診の結果、便潜血(便の中に血が交じっている事)が陽性で出ていたと言う事だ。
この検査を受けたのは5月の頭頃、大体2週間ぐらいで結果は出るそうだが体調的に悪い所がなく、検査結果に異常なんてないだろうと高をくくって今迄放置していたのだ。
だがこの結果の暗示する所は何かしら体の、それも腸内に異常があるということだ。
『もしや癌では・・・?』
もともとチキンな私である。日付を決めて医者の勧めによって内視鏡検診を受けることにした。
検査はその2日後の6月10日、異常があると疑いが有った時は最速の手段をとらなければならない。
この検査はお尻の穴から内視鏡を入れ、肉眼で確認する検査だ。感覚を鈍くする薬を飲まされ寝台に横たわり内視鏡を体にいれて腸内をくまなくグリグリと検診する。薬が効いているので意識はもうろうとしているがそれでも体の中の通常ありうべからざる場所に異物が入るという感覚は良い物ではない。
そして検査が終わって医師から説明を聞くと大腸内に炎症を発見したということだ。写真を撮られているので炎症は自分の目でも十分確認できる。
医師によると癌の疑いはないそうだが炎症の原因を探る為にこの細胞を摂取して検査に出すという事だ。
そしてその結果が先週の金曜日、6月19日にようやく判明したのだ。
医師を訪ねると彼は笑顔でこう言ってきた。
「分かりましたよ。ほぼ100%間違い無しです」
『で?何だったんですか?』
「アメーバ赤痢です」
『えっ?アメーバ赤痢!!』
私はこれまで第三世界を数多く周って来ている。
元々チキンたるこの私、色々とある感染症を恐れて受けた予防接種は数えてみるとA型肝炎、B型肝炎、脳髄炎、日本脳炎、インフルエンザ、破傷風、ダニ脳炎、腸チフス、狂犬病、そして黄熱病等実に10種類、通常の旅行者でここまで射つ人間は稀だ。
だが、このアメーバ赤痢には予防が効かないと(他にもマラリア等は予防が無い)という。
この主症状としては下痢、粘血便、しぶり腹、排便時の下腹部痛や不快感等を伴うと言う。勿論旅行中に下痢になった事は数回あるがいずれも早期で回復しているし、それに目に見える症状という感じは無かった。
敢えていうなら若い時より便へ行く回数が増えたのではとかガスがお腹に溜まりやすくなったとかはあるがそれもアルゼンチンで食べ放題にはまって以降に加速度的に飽食の日々を向かえてから肉食の頻度が上がり、その後のヨーロッパでのオペレーション・イリーガルでも朝食ビュッフェをこれ幸いとばかりに限界量に近くまで摂取していたのでその影響だろうとも思っていたのだ。
しかし、こんなものにかかっていたとは・・・
私は医師の次の言葉を待つ事にした。原因が分かれば後は治療法だろう。
だが、私にアメーバ赤痢を告げた医師の口から出た言葉は私の予想を遥かに超える“ショッキング”なものだった。
「あの~。東城さん、大変うかがいづらいことなのですが・・・」
『・・・・・・・・』
「同性愛者の方ですか?」
『エッ、エエエッ~???』
このアメーバ赤痢、便中に排泄された赤痢アメ-バのシスト(嚢子)に汚染された飲食物などを経口摂取することで感染し、特に熱帯、亜熱帯での発生が多いと言うのが発展途上国での定説だが・・・。先進国では同性愛者の性交による性感染症として問題視をされている。
そして私が今居るのはアフリカでも中東でも南アジアでも南米でもなく日本・・・、まぎれもない先進国だ。
こういった疑いをもたれてしまうのも致し方ないといった所だが・・・
このプロフェッショナル、常に求めているのは異性だ。ただ誰にも相手にされてこなかったことは事実だがそれでも人生で同性を愛した事、ましてや同性と愛の契りなど交わした事は無い。
それに髭を生やしていない男が行けばかならずモーションをかけられるという事で有名なイスラム圏を短髪、無髭で半年以上は周遊して男から誰にも声をかけられなかったこの私だ。
例え旅行中といえども同性愛者に付け入られる隙などありはしない。
そして何よりもたった10日前、この医師が内視鏡を中に入れるという行為が私の人生で体内に異物を挿入された初めての体験だったのだ!
そう、云わば
「この医師が私の大切な処女を、それも機械で奪った張本人である」
と、言っていいだろう。
そっそれなのに・・・こんな酷い事を聞くなんて・・・
私は医師の、私にとって初めてとなった男の目を真っ直ぐに見つめ直し、はっきりとこう答えた。
『あなたがついこの間私の処女を強引に、そして残酷にも奪ったのにそんなことを言うなんて・・・・・』
『・・・』
『・・・・・・』
じゃ、なかった。
『すいませんが全くその“ケ”はありません。ただ4年半ぐらい世界中を旅行してきました』
医師はこれを聞いて納得したようだ。
しかしそれにしてもまさかこのプロフェッショナルが同性愛を疑われるなんて・・・・
続いて治療法を説明される。「フラジール内服錠」を2週間分、これを欠かさず飲めばほぼ100%治るそうだ。
そして飲み終わってからさらに2週間後に便検査(体内に残留する場合があるので根絶をはっきりと確認するために期間を空ける)、そしてその結果をみて再度内視鏡検診をやる日取りを決めると言うのが基本路線だ。
ただ体の他の場所への転移を見なければいけないということなのでエコー検診、CTの断面スキャンが必要になりその結果も見なければならないという事だ(この両検査は土曜日と月曜日に受けてきている)。
いずれにしても今日明日にすぐに分かって治ってしまうような代物ではない。確かに日常生活には支障は無いがなんだかんだで全てが終わるまで最低1ヶ月半は見積もらねばいけないだろう・・・
と、なると・・・
どうやらこのプロフェッショナル、レイバーキャンプに入る前にやらなければいけない事、というよりも体を治さなければいけなくなってしまったようである。
えっ?それを口実にまだ怠けるつもりかって?
それはここでは敢えて明言しないでおこうか・・・
追記:今回のアメーバ赤痢は感染症と聞いて、私自身旅行中に接触した人に移した可能性があるのでは?と、はっとして医師に聞きましたが、基本的には便にあるシスト菌からの感染ということで、もし私から感染するとしたら私の便にあるシスト菌を口から介しての感染という形になるので状況的に考えてみてもまず移している可能性はないそうです。
疑いを持たれた方もいる事かと思いますのでここに記しておきます。
ただ私と同じ様に第三世界を旅行されている方には帰国後(もちろん体調に異常があれば旅行中にも)に血液、尿、便の検査をお勧めします。これだけで随分と早期発見の助けになるそうです。(潜伏期間もあるので直ぐに発見できるとは言えませんが・・・)