謎の日常

 「観光」に”感動”などといった余計な”感情”は必要ない・・・
 ただ”事を終わらす”とだけ考えれば良い・・・

そして一ヶ月過ぎ・・・(東京某所:日本)

2009-11-29 20:39:56 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.29(日)


 先週は波の無い毎日。

 夜は2130時頃に退社、土曜日は同僚と飲み会。


 それにこの1週間は新人も来ていない。

 日本一の入退社率を誇る我が社にとってはある意味奇跡的な週だ。



 たが私は社長を信じている。

 今週はまた新しいネタを提供してくれる事だろう・・・ 
 

2つのサプライズ(東京某所:日本)

2009-11-25 00:06:34 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.25(水)


 会社に勤めて一ヶ月が経過、業務にも大分慣れたせいかここ2日は順調に進み2130時には仕事を上がれている。

 そういえば「嘘のつく人間が一番悪い人間」と常々広言している社長が、募集には1000-1900時と書いてあるのに、商品の最後の発送時間を考えると0930時ー2030時までは居ざるを得ない体制で働かせているのは「確信犯的な嘘吐き」と言わざるを得ない事は今回はあまり触れないでおこう。

 今回の話はそれではない。


 今日1930時頃、最後の商品発送に向けて追い込みをかけていた頃、社長の秘書役の女性が現場に降りてくる。手にはなにやら封筒が・・・


 「あのー、これを受け取って下さい・・・」


 『???』


 『あっ!』

 
 そう、実は今日知ったのだが我が社の給料は20日締めの25日払い、ということは今日だったのである!

 実に5年ぶりの、そして勤務を始めてからの「初月給!」


 それも21世紀にも入るこの時代に逆行するかのように「手渡しの現金」で・・・


 『・・・』


 『うーむ・・・こいつはビックリだ・・・!』


 テンションが上がってもいいものだが何よりもタイミングが悪すぎた。

 秘書役の女性もまだ試用期間、というか我が社に正社員はいないので彼女にしても全員分の給料を持ったままというのも不安だったのだろう。

 しかし、受け取らない訳にもいかず、というよりもこの為だけに働いているのでとりあえず封筒を折り曲げてポケットに突っ込み作業を続ける事にする。


 そして作業が一段落ついた時、同僚3人と話しながら中味を確認する。


 するとそこには・・・


 なんと・・・


 「社長が口で言ってた日給一万円と交通費500円の日数分が本当に入っている・・・!!」


 『・・・』



 『・・・・・・』


 額面から一銭も引かれておらず、確定申告は自分で行かなければいけないという株式会社にあるまじきラフさ加減ではあるものの・・・


 『こっこんなブラック会社で社長の言った分の給料が貰えるとは・・・!』

 

  

 同僚2人も同じく驚いている様子が目で見て取るように分かる・・・



 『うーむ・・・・・・、今日は本当にビックリだ・・・・!!』



 
 『・・・』



 『・・・・・・』



 『ウチノシャチョウハドレダケシンニュウシャイン二シンヨウサレテイナカッタンダ・・・・???』



初飲み会(東京某所:日本)

2009-11-21 17:30:28 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.21(土)

 今週一週間、相変わらず上がりは22-23時前後をぶらついてはいるものの波はそれ程ない。これは離職率抜群のこの会社に珍しく1ヶ月近く残っている新入社員が4人もいて業務に慣れて覚え始めてきたからだろうか?

 社長の朝礼でのトークショウの長さは相変わらずだが、彼のパワハラも完全に聞き流すようになってしまったのは成長の証とも言えよう。

 社長が「うちの会社は長くいるとみんな私をないがしろにする」と常々話しているが、一月足らずの新入社員である我々すらすぐそういった気分にさせてしまうというのも彼の能力の高さなのかもしれない。

 
 そして土曜日、珍しく超早く、といっても募集要項にあった1000時ー1900時は当然の如く上回る2000時に業務を終え、そして祝日休みの大型2連休前ということもあり、新入社員同士で飲みに行くことにした。

 新入社員4人、1人は受付で業務を続けていたので結局3人で店に入り仕事の話やとりとめも無い話で時間を潰す。


 思えばこの5年、こんな飲み会はやっていない・・・

 随分と一般社会と遠ざかっていた物だ・・・

 なにか懐かしい感覚が蘇ってくる。


 組織は出鱈目だし社長はパワハラジジイだが・・・


 彼らは2人ともナイスガイだ。どうやったら会社をいい方向に持っていけるのか?自分達で変えていかなければいけない。と、実に建設的だ。

 この辺りは日本人の優秀さを感じて良い所だろう。

 そして私は同僚には恵まれているらしい・・・


 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 しばらくはこの会社でずるずると行きそうな?そんな気がする今日この頃である・・・・


 首にならなければ・・・

 

コペルニクス的転回(東京某所)

2009-11-15 19:29:11 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.15(日)


 会社に勤めてすでに3週間以上経過している。

 
 さんざんブラック会社と持ち上げてきたがもちろん悪いことばかりではない。

 憧れだったスーツを着ての東京への出勤、仕事その物は悪くは無いし同僚には恵まれているし、それに昼飯時間も十分に取れない中で働いた効果が覿面に出て3kgの減量に成功!

 こんな感じで強制収用所生活も捨てたものではない。


 中でも「偉大なる首領様・・・」じゃなかった、社長の朝礼での話は私が今まで気付きもしなかった新しい世界を覗かせてくれている。

 今日はその中のほんの一部をピックアップしてみなさまにお届けしよう・・・


 以前彼は「社長が呼んだらたとえ客の前でも電話中でも社長の所に飛んで来い」という発言をし、「こんなことを堂々と言えるなんてとんでもない」と思っていたがそれは私の浅はかさゆえの勘違いだった。


 社長の話、それを噛み砕いていうとこうだ。

 「仕事と言うのはお客様に言われたら”ハイハイ”と言って頭を下げて受けていく、そこで自我を出したり反論したりしたらお客様は去っていく。だからお客様は神様と思って接しろ」

 というのがまず第一論だ。

 そしてお客様の定義はと考えると

 「お金をくれる人」

 というのが社長の論理だ。


 では我々社員は何を考えてお客様に接すればいいのか?

 私は「お客様を第一に思い、サービスを尽くすこと」と思ったので、社長の発言をとんでもないと考えていた。

 だが、これは私のとんでもない思い違いだったのだ。



 社長の言を続けよう。


 「君たちは誰にお金を貰っている?私だろう・・・」


 「と、いうことは君達の一番のお客様は私では無いのか?」


 「会社に来る人間、それは君たちに一円も渡してはくれない、実際にお金を給料として支払うのはこの私だ・・・」


 「そうなれば私はみんなの神様だ!」


 「じゃあどうすれば私から多くのお金を貰えるのか?素直にハイハイ言っていう事を聞く事、そして私を喜ばせること。これが多くの給料を貰えるもっとも重要な条件だ・・・」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 
 まっまさにコペルニクス的転回・・・!



 『そっそうかっ!今まで会社にコピーや印刷を頼みに来る人がお客様だと勘違いしていたが・・・、社長がこのプロフェッショナルの一番のお客様だったのか・・・!』


 『こっ、これからはお客様をないがしろにして社長の意に沿うためだけに頑張って・・・・』



 『・・・』



 『・・・・・・』


 
 『ソノトオリニヤッタラウチノカイシャハソノウチツブレルナ・・・・・・・・』



 
 どうやらこのプロフェッショナル、まだまだネタには事欠かずに済みそうらしい・・・
 

 

さらに新事実発覚!(東京某所)

2009-11-12 00:25:45 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.12(木)


 昨日1人辞めて我が社は現在10人と書いたが実はもう1人も辞めていて我が社は現在9人となっている。

 ビジネスという名の最前線、中でも我が社はその激戦の最中に身を投じているのでこのぐらいの死傷率は当たり前と思えるようになってきた。

 新兵もいずれは補充されるのだろう。


 と、いっても今日の主題はまた別の話だ。

 昨日我が社の人員の勤続年数の話を書いたのだが、一番長く勤めている職長の恐るべき新事実が発覚したのだ!


 それが発覚したのは偶然からのとだった。

 私が社にはアルバイトが1人、以前数ヶ月やってこんな会社に勤めていてもどうしようもないと思い退職したのだが、この不況下なかなかに就職口が見つからなかった所、業務多忙となった際に職長から職が見つかるまでの間アルバイトをしてくれと持ちかけて現在働いているのだ。

 その彼は以前数ヶ月いたこともあり、当時職長に次ぐ我が社No.2の立場まで登りつめた(職長の次に長い人は現在3ヶ月くらいです)程の男だった。


 その彼が働いている途中に私に

 「デュークさん、いつまで勤めるの?」

 と聞いてきたのだ。

 『うーん・・・とりあえず仕事も面白いし社長も面白いので飽きるまでは頑張ろうかと思っているんですよ・・・』

 「へー。でも早く辞めた方がいいですよ。職長さんでも正社員じゃないですから・・・」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『えっ!そうなのっ?』


 彼の話によると4年も勤めた職長ですら日給で働く社員・・・世間一般では日雇い労働者・・・給与は月払いだが・・・らしい・・・


 『うーむ・・・』


 って、ことは・・・


 我が社は社長1人、その他従業員・・・日雇い労働者9人・・・

 あっ!今まで我が社の人数に社長を入れるのを忘れてたっ!

 という計算になる・・・


 具体的には「社長1人、正社員0人、バイト9人」と言い換えてもいいだろう・・・



 これが・・・



 これが・・・・・


 一部上場を狙う株式会社の姿なのか・・・!!



 やはり我が社の奥は深い・・・

我が社は現在11人(東京某所)

2009-11-11 00:07:43 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.11(水)

 
 今日は社長に用事があったらしく、朝礼はたったの20分という記録的な短さだった。さすがにこれでは小ネタぐらいしか出てこない。

 そして今日は9時上がり!ちょっと余裕のあるたった2時間残業での開放だ。

 心にゆとりが出来たので、私より古い従業員の事を聞くチャンスと思い職長と少し話をすることにする。


 するとまた驚くべき新事実が!

 職長は4年、これは朝礼時に社長が良く言っているのでみんな知っている。

 そして私より長い名前を覚えられている3人、彼らもある程度の期間をやっていると思っていたら次に長い男の人は2-3ヶ月くらい。
 そして女性も1人は1ヶ月、もう1人は3,4週間、私よりちょっと古い程度だ。

 うーむ・・・

 長い人でそんなに短かったとは・・・。


 翻って私の現在の立場は?

 
 月曜日に3人入ってきたので現在は11人目。

 入社年月日で言えばたった3週間目とはいえ私は5番目に古い。

 明らかに真ん中よりは上、つまりもう中堅社員(試用期間中なので正社員ではありません、悪しからず!)になっている・・・


 うむむむむぅ・・・


 こんな会社は見た事も聞いた事も無いぞ!

 
 ある意味日本一かもしれない。

 

 そして退社時、上の受付に行くと・・・





 早速月曜から来た新人が1人、退社することが決まっていた・・・



 ・・・


 ・・・・・・


 ここは会社なの?それとも日本人宿??


 まあいいだろう。

 このファーストフード店と見間違うほどの人員の回転率の高さ!

 これが我が社が日本No1と自信を持ってお勧め出来るポイントなのだろう・・

 

 といった事で「我が社は現在10人・・・」


 このプロフェッショナル、中堅試用社員として頑張ることにでもしようか・・・

 

本物の〇〇を見た・・・(東京某所)

2009-11-10 23:36:15 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.10(火)


 今日は週の2日目、昨日の「インフルエンザにかかったら首」という含蓄の深い話をした後では流石にそれ以上のネタは出なかったのか?朝礼は順調に・・・(うちでいう順調はよそで言う異常だが・・・)に進み僅か45分で終る。

 新人3人が今日も来た事や今日は社長の誕生日、それに現在考えているビルゲイツよりも金持ちになれる世界戦略で頭が喜びに満ち溢れていたのだろうか?


 だが、そんな好調な社長に冷や水を浴びせかけるように職長と私、そして私より1週間後に入った同僚は報告しなければならないことがあった。

 
 話は昨日の事だ。お客様からのクレームで印刷物に欠番が見つかり、それをお客様の方で対応したので、その印刷物分の返金をしなければならないという事実を社長に申し述べなくてはならかなったのだ。

 ちょっとここで補足説明をすると、失敗を直接犯したのはその時入社4日目だった私の同僚、私が同行するのは私が十分に教えきれていなかったという事もあるので無責任ではいられなかったから 、そして職長が同行したのはなんだかんだ言って我々は試用期間でもあるし、それに報告も最初になるのでその要領を教えると言う意味もあったからだ。


 3人で社長の前に行き職長からミスの報告が始まる。
 
 社長は内容を聞き

 「それならば弁償をしなければいけない」と・・・

 それは尤もな話だ、我が社はホームページでもそういった際は返金すると謳っている。完成品として届けた物が不完全であるのでは当然の事だろう・・・

 じゃあ弁償をどうするか?社長の判断も素早い。

 「弁償は君達にしてもらう。だがどう支払うかは君たち3人で相談して欲しい。そしてこういったミスが2度と起こらないようにどう対策するかを私に報告して欲しい・・・」

 「んんっ?」

 微妙に話が変だが・・

 社長室を後にして職長に聞いてみる。

 するとこの会社の新たな驚きが発見された。

 「ミスした場合はミスした本人の給与から引くのがうちのやり方だ・・・。ただ試用期間の人間に払わせるのは会社としても問題あるし、今回は俺が払う。だが同じミスをまたしたら今度は本人からになるのでそう思っておいて・・・」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『へっ?そんな会社ってあるの???』


 ちょっと詳しく聞いてみると職長はこれまでそういうやり方でずっとやらされてきたらしい。月末の給与の時にミスした分が引かれるという形だ。

 ちなみに今回の返金額は約4万円・・・!


 『・・・』


 『・・・・・・』


 
 取り敢えず返金とお客様へのお詫びの電話は職長が全てやってくれた。それは申し訳ない・・・、が・・・???


 時間が経ち午後になり、社長の空いている時間を見計らって今度はその事後処置と今後の対策の報告へ行く事にする。

 
 直接責任を被る形となった職長は抜きで私と私の同僚で社長の前に立ち、そして報告する。

 社長の報告の受け方は堂々としたものだ。

 そして我々の報告と対策を聞いてなにやらひらめいたようにこう語りかけてきた。

 「今回の件、お客様に一度でも間違えた品物を送ったら会社としての信用を無くす、目には見えない莫大な損害だ。そういった名誉の部分での責任は私がとる!だが、実質的な損害、これに関してはミスをした本人がとる。うちの会社はそれでいくがいいか?」


 『・・・』


 なにやら格好いいことをいっているが・・・
 
 まっ待て、少し話を整理しよう。もし10万円の仕事をやったら10万円貰えるなら全額弁償しても構わないし当たり前だ。

 だが実際は日給一万円。100万円分仕事をこなそうが100円分仕事をこなそうがこれに変わりは無い。

 ミスをしたときに例えば始末書、あるいは事故報告書を書き、その内容が給与査定に反映されるというなら十分に納得だ。

 だが、この一見流石は社長と思わせる?名言の後、損害額は部下に全て負担させるという直球の御判断・・・・

 仮にも株式会社を名乗っている所の考えとは思えないほどエキセントリックだ!

 一部上場も狙っているらしいが・・・大丈夫か?こんな考えで・・・


 そう考えている我々の気持ちに関係なく社長のテンションは上がっていく。

 「ある人は新人を雇った時、一度でもミスをすると首にするそうだ。これからの募集では面接の時に一度でもミスをすると首、そしてそれでも会社に置いて欲しいなら弁償するなら置いてやる。と聞いてそれでいいという人間しか採用しないようにした方が言いと思うがどうだ?」

 と、聞いてくる。

 英邁な社長のご判断だ。これはさらに良くする提案をしなければいけない。
 私は社長に向かってこう意見具申をすることにした。

 『非常に宜しい考え方だと思います。そうですね。折角だから転職サイトの求人広告にも是非それを載せれば、選ばれた人間しか来なくなりますよ!』

 と・・・

 社長はしばし逡巡した後、こう答える

 「流石に転職サイトまでは・・・でも面接の時にはそう聞くことにしよう!」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 チッ!アルツも入っていると思ったがそこまでボケてはいなかったか・・・


 が、社長の上機嫌は止まらない。

 損害が出ても会社として責任をとる体制を作らず取らずに個人(今回は職長が泥を被ってます)に全部責任を負わせ(名誉の責任を取ると言ってましたが実際に謝罪の電話をかけたのは職長です)、そして給料を払っているのは社長だから自分の払った給料の中から部下が払えばよいという形を明言でき、それもこれからの採用面接で使える手段と分かったというのは大きな喜びなのだろう・・・

 
 なんだかんだで30分ぐらい無駄話・・・もとい、社長の建設的な話を聞いた後我々は社長室を後にする。


 仕事に対するミス、もちろん無いに越したことは無いし無くさなければいけない。これは常識だ。

 だが、転職サイトに載せてる内容とは違う条件で昼食もろくに取れずに働かされた上で試用期間で日給が決まっていてさらに損害を出したら会社、というか社長は全くタッチせずにその分全額弁償となるのに「命がけで社長の為に働ける1000人に1人の人間を募集」して人材が来るのだろうか? 恐らく今後入社する人間は激減するだろう。面接でそんな事言われて来るならある意味もう逃げ場も行き場もなくした人間ぐらいしかうちには来れないだろう・・・

 
 昨日のインフルエンザの話、これを簡単に越える話を堂々とすることが出来る社長はやはり只者ではないに違いない。




 そして今回の社長の話を噛み締めて出る結論は一つ。



 『本物だ・・・奴は本物のバ〇だった・・・!』

 
  


 うーん、まあこれで次に何かミスしたら自動的に首になれるからそれまではやってみようかなぁ・・・

週の始まり・・・(東京某所)

2009-11-09 00:00:21 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.09(月)


 休みが日曜だけなので月曜日が来るのがやけに早い。

 会社に出勤して朝礼場(といいつつ社長室)の前に座ると新しく3人の女性が・・・

 流石我が社は日本人宿に匹敵する人員出入率を誇っていると言ってもいいだろう。



 新しい女性を目の前に、社長の話は今日も冴え渡っていた・・・


 中でも次の下りは秀逸であると言っていいだろう・・・


 「実は先週末に1人入社をご辞退して貰ったんだが・・・」


 「理由は彼が手に病気を持って熱を出して早退し、その翌日も休んだからなんだが・・・」


 まあここまではいいだろう。いやっ!そんな理由でと考えると馬鹿馬鹿しいがここは敢えて流そう・・・


 「私が辞めて欲しいと思った人間は不思議と出社出来なくなる」


 『???』


 「インフルエンザってあるだろう?」


 『・・・』


 「今に4人に1人かかるようになるそうだ・・・」


 『???本当か???』


 「うちはインフルエンザに罹ったら辞めてもらうから・・・」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 『何?それ??』


 「うちは10人ぐらいしかいない会社だ。インフルエンザに1人かかったら皆にうつすかもしれない、そうなったら困るから辞めてもらうことになる。そう思うだろう??」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 普通の会社なら多分病気に応じた療養期間が設けられ、その期間を過ぎたら減給、そして解雇、もしくは辞職と段階を踏むのが”常識的な考え”だが・・・


 流石は我が社長!主張が堂に入っている!!

 例え出鱈目でも・・・


 そんな社長の好きな言葉の一つに


 「私の為に命がけで働いて欲しい・・・!」


 と、いうのも確かあった筈だが・・・


 インフルエンザ程度で即座に首と判断されるのに、どうやって命がけで自分の為に働かせようとするのだろうか??


 うーん・・・


 今日もまた面白過ぎるぞ・・・


 これだからプチ・ブラック会社・・・もといネジの一本ぶっ飛んだ社長は面白い。


 もうちょっとこのショウを眺めるのも悪くは無い考えだろうか・・・


 ・・・


 ・・・・・・



 これにめげずに明日もまた今日の新人3人とも来ればいいなっ!

俺、プチ・ブラック会社に勤めているけどもう笑い死にするかもしれない・・・(東京某所)

2009-11-07 22:46:43 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.07(土)


 早いもので勤め始めて3週間目(と言っても最初は土曜日からなので実質2週間)、月日は凄まじい速度で過ぎ去っていく。

 そして我がプチ・ブラック会社、先週土曜日に新しく入った人は土曜日と月曜日の勤務で離脱、理由は「声が小さく煙草を吸う事」が社長のお気に召さなかったらしい・・・

 さらに私より3日前に入っていた人は今日から退職、この辺りは推量でしかないが印刷部門にまわっていた彼は手が荒れて一週間に一度の通院となり、そして木曜日は熱で早退、金曜日は熱で休養、それが社長のお気に召さなかったのかそのまま退職の運びとなったようだ・・・

 また今週は月曜から新人が2人。その内の1人は私とコンビを組みカラーコピー部門で共同戦線をはることになった。

 これで私が入社する以前から居た人が4人、私以降に入社して残った人が私を入れて4人、すでに新入社員で一番の古株という訳の全く分からないポジションに身を置くハメになっている。

 これでは下手な日本人宿よりよっぽど定着率が悪いという恐るべき結果と見ざるを得ないだろう・・・

 この会社ではこのように月日の流れは異常なまでに早い・・・


 そんな会社に何故まだ残っているのか?
 そしてブラック会社ではなくプチをつけるのは何故か?

 それは実際の業務は結構好みだし、それに長い人も中途採用なので同僚間での人間関係には満足しているからと、精神のスイッチが無駄に入り、朝礼の社長の話の長さとその内容がツボに入ってきたらだろうか?


 朝礼は最初の頃は30分だったのがこの2日は1時間も!

 我が社の社長の売りは一時間で100万円の価値のある話をしている事だが毎日同じ様な事、重複がやたらと多い。100万円の話もそれだけしてしまえばもはやバーゲンセールと言ってもいいだろう。たった2週間で彼の100万円の話が1980円でも高いと思うようになってきた。

 そして内容の支離滅裂さ!これは他社に絶対負けない売りに出来るだろう。

 例えば数日前の話だ。

 「私は部下の事を真剣に気にかけている、朝食に何を食べたか?何時に寝たか?心配事は無いか?社長として会社を持つ身としてはこうして部下に心を砕くのは当たり前だ。」

 と、良い事を言っている。

 そして

 「私が気にかけるのと同じくらい私の事を気にかけて欲しい」

 とも言っていた。




 翻って今日は??

 朝礼で全員いる所でこう一喝

 「新しく入った人の名前は全く覚えない、何時辞めるか分からない人間の名前を覚えたってしょうがないだろう?そう思わないか??」

 と我々に言ってきた。もちろん古くから(と言っても一番長い人で4年です)いる4人の名前は覚えているが、新しく入った我々4人の名前は呼ばず、いつも「あんたは」と言っている。

 『うーん・・・』
 
 そんな我々に色々と構想を持ちかけ

 「あんたにはこれを!あんたにはこれを!」

 とブチあげているが・・・


 部下を持つときに真っ先にやる事は名前を覚える事だぞ・・・

 人を人として認めず、名前も覚えない人間の言う事を誰が聞くんだ・・・???

 

 『うーむ・・・』



 『・・・』



 『・・・・・・』



 面白過ぎる・・・



 今回はほんのさわりで一例だけ挙げたが一事が万事でこんな矛盾した話が毎日ごろごろと出てくるのが素晴らしい。



 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 このままでは過労死より先に笑い死にするかもしれない・・・

 

ブラック・ウィーク(東京某所:日本)

2009-11-01 21:30:24 | 労働収容所・ただ今収監中
日本


2009.11.01(日)


 雇用契約も労働契約書も結ばず、タイムカードを押す事だけを証拠にして働き始めて早くも一週間が経過した。
 面接時に感じた胡散臭さ、働き始めるとその異様さはどんどんと目に付いてくる。
 何故こんなブラック会社を選んだのか?
 思い当たる理由があるとしたら「暇に耐えかねた」というのがそれなのかもしれない。


 これをきっかけに今までの契機を振り返ってみようか・・・


 まずは募集から見ても異常さが目に付く会社だった。転職サイトには

 「忠誠心のある素直で正直な方募集・・・」
 と、ある。
 なんだ?これは・・・

 そして人物重視の採用。
 うーん・・・

 条件はというと月給30万保証、但し土曜日は出勤、そして残業あり。となると時給千円いくのか?これで??
 待遇面は雇用保険のみ。正社員になった所で労災もつかないというのはちょっとおかしい。

 ブラックの香がなにやら漂ってくるようだ。

 印刷業者にはいるこの会社はホームページを持っていた。

 そこを覗いてみると普通の印刷の広告のほかに「愛の言葉」や「心を豊かにする」等という項目も設けられている。

 変だと思って覗いてみると、そこには人間を再認識するということで色々な言葉が集められている。どうやら社長が書いているようだ。

 何気なくページをめくるとそこには「会社の面接試験への提言」なようなページもある。

 読んでみると人間性を重視、自己主張をしない人、あまりしゃべらない人、不自然さのない人等5項目ぐらい書かれている。これで気付いた事はこの社長は単なる「YESマン」を欲しがっているという結論だ。

 まあホームページを見ただけでは良く分からないというのが結論だし、どうせ暇なのでこの通りに面接を受けたら受かるかどうかも試したくなったのでとりあえず募集してみることにした。そんな経緯だった。


 そして面接。

 転職サイトの募集要項には「面接ではあなたの話をじっくり聞かせてください」とあったが、実際は相違してただひたすらに社長の話を聞き続けるだけだった。最初に渡されたのは3枚のペーパー、お断りしたい人や理想の秘書、タブーな人、そして人間性に関するアンケート。このうちアンケートには丸をして社長に渡すことになる。
そのあとは時間にして1時間ほぼ社長の今の従業員は社長をないがしろにしている等といった愚痴に近い事を聞かされる。そしてこちらが聞かれた事のメインは「おしゃべりかどうか?」や「残業や早出もあるが文句は無いか?」とか、試用期間は日給一万、交通費500円だがそれでも頑張るか?やお金をもらうようになったら人間性が変わるか等だった。
 それに履歴書も私の最初の就職が大手電機会社だったのでそこに喰いついている。権威や肩書きに弱いタイプの男だという事も見て取れる。

 こちらとしても受かっても受からなくてもどうでも良かったのでホームページ通りにハイハイだけいってその場を後にした。


 会社を後にして少ししたら電話が入っている。かけなおすと「採用」という話だ。
 随分あっさりとしたもんだがこれも何かのきっかけだろう。
 それにブラック会社に勤めるというのは中々に出来ない経験だ。元旅行者の血が無駄に騒ぎ出し、私はそこで働いてみることを決意した。


 翌、土曜日からいきなり勤務。

 ここで先ず驚いたのは朝礼、社長の話を30分ぐらい聞く事だ。
 そして業務、私は印刷オペレーターで入ったのでひたすら印刷だ。この日は8時くらいに退社。まあ初日はこんなものだろう。


 そして月曜日から怒涛の一週間が始まった。

 朝礼は毎日30分以上。

 これでよく分かったのが社長の人間性。

 話のバリエーションはそれほど多くは無い、25分ぐらいは似たような話で5分はちょっと変わっているといった程度だ。

 社長が求めているのはただの忠実な下僕。部下がYESマンだけになったら社長が天才で無い限り会社は潰れるだろう。

 そして「白い物でも社長が黒いといったら黒と思え」、「俺が読んだら客の前だろうが電話中だろうが走って来い」「金を多くやるようになったら人間性が変わり社長を大事にしなくなる、そうなったらすぐに首を切ると思え」、「俺の話は一時間100万円以上の価値がある、そして3分間の話なら3万円以下の話はしない」などの数多くの名言集が・・・

 それに気になるのは何か話をする時に有名人や有名企業の話を持ち出す事、自分の言葉だけで語れない肩書き至上主義者の典型だ。私は一応大企業に2年程いたのだが、私を誰かに紹介する時には「彼は前にこの会社にいて・・・」と前置きをする。もう17年ぐらい前の話しだし、2年程度勤めた所で仕事が分かるレベルまでいたわけでは無いのでそんなことをいちいち触れてくれるなとも思うが、そこは彼の中で「こんな会社にいた人間が今は俺の部下だ」というのがステータスになるのだろう。

 さらに試用期間の人間に対しても「能力の無い奴はいらない」、「20日以内なら一方的に就社をご辞退してもらっても労働基準法上問題ない」、「会社に損害を与えたら損害請求出来る」等などと追い込みをかけてくる。
 そういえば労働契約書もなにもなく、タイムカードだけで働いている今は恐ろしく不自然な状態、正社員になれる可能性のあるアルバイトというのが実情だ。日給1万円、この一週間は朝0930時開始、夜は毎日10時過ぎに退社。正社員を餌にして、いまある業務をこなさせて、ダメなら何時でも切り捨ててOK、それが面接時の残業早出して文句は言わないかという質問の本意だろう。1100時まで残業したら東京都の最低労働賃金は下回る計算だがそこがミソと思っているのだろう。

 ちなみに今会社は猛烈な勢いで新入社員を採用、というか実験しているようだ。私が入社してから新しい人が2人増えている。さらに月曜日からまた二人増えることになっている。10人以下の規模の会社(現在は試用期間中の3人をいれて8人)でこれは結構な勢いだ。不況にかこつけて人材をテストしてみてダメなら直ぐに棄てるというのが考えだろう。ちなみに私が入ってからすでに二人の退職者もみている。一人は1ヶ月、一人は1日、さらに私が入る前の日も1日だけ入社して退職した人がいるそうだ。

 最後に社長がいうには彼は「世界一の事を3つ」やっているそうでそれに対する強烈な自尊心がある。

 だから彼が言うには「彼は世界一の人間」という結論だ。 

 一つは印刷で「世界一安くて早くて綺麗」でもう一つは「愛の言葉を集めて公表」そして最後の一つは「名言を集めて公表」だそうだ。

 「・・・」

 ゆってぃでもここは「きょうれつぅ~」と相槌をうってくれることだろう。

 彼の過去の話を朝礼時に聞いたら子供の頃から付き人がいる家で育ち、わがまま放題に成長してきたというのが良く分かる。一言でいうなら子供のまま現在の年齢(今は70を越している)まで来てしまったのだろう。

 「愛や名言」を語る、というよりも騙っているというのが私の出した結論だ。

 言行不一致で出鱈目、ということだろう。

 この会社は一番長い人でも4年、社長が言うには「金を多く払うようになったら人はおかしくなって社長をないがしろにするようになるから辞めていく」というのがその説明だったが朝礼の内容を考えると社長は人間を大事にする気は全くないと言ってもいい。それに金を多く貰うといっても社長の話では年収600万円。土曜日を潰して毎日10時、11時まで残って働くとしたらそれ程たいした金額とも言えない。それに正社員後の最初の月給30万にしても土曜日が潰れると考えると日給にしたら1万2千円。労働時間を考えると時給1000円は割る金額だ。それに会社の組織上従業員を守る、安心させる体制は皆無で正社員になった所で社会保険はつかないしなによりも労災がついていない。この劣悪な条件を考えるとある程度金が溜まったらこんな人間に何時まで仕えても報われることがないと知って馬鹿馬鹿しくなること請け合いだ。社長が部下を大事にしないし成果を出しても報わないということが長期勤続者のいない原因だということを社長は気付かないのだろう。


 ここまで書くと文句ばかり言っているようになってしまったが・・・

 だからといって悪い事ばかりではない。

 朝礼の時間を覗けば後は社長と離れてコピー機の前で印刷オペレーターをしてればいいだけなので、重労働ではないし何よりも接客がないので仕事そのものからストレスは来ないので気に入ってしまったし、同僚や先輩には悪い人はいない。これは大事なポイントだ。それに元世界旅行者としては普通の会社で働くよりも毎朝30分面白い見物が見れるというのは萌えるポイントだ。そしてブラック会社に独裁者のワンマン社長等というのもアフリカ旅行を思い出して笑えるのがいいことだろう。
 それに何よりもこちらはまたいつか残された国へ行くための資金稼ぎだから下手にトップが人格者でこの人の為なら働かなければと思ってしまうよりも辞める時に良心の呵責なく辞められる所というのは都合がいい



 と、いう事で・・・



 社長に飽きるか?解雇を宣告されるか?面倒になって朝起きられなくなるか?それまでは頑張ってみようか・・・