謎の日常

 「観光」に”感動”などといった余計な”感情”は必要ない・・・
 ただ”事を終わらす”とだけ考えれば良い・・・

ワックワクのピクニック!(プリトヴィッツェ・クロアチア)

2006-11-30 06:25:55 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006/11/30


 クロアチアに「プリトヴィッツェ湖群国立公園」という観光地がある。大小16の湖の間を92もの滝が流れ落ち、年間80万人もの観光客が訪れるクロアチア屈指の一大景勝地で勿論世界遺産にも登録されている場所である。

 クロアチアに来てこれを見ないというのは例えて言うならエジプトのカイロに行ってギザのピラミッドを見ずに終わらせる様な物である。

 ザグレブから簡単に日帰りが出来る事も手伝って、私は行くことを決意した。


 テーマは日帰りのピクニック!ウッキウキ気分で楽しんでくるつもりだ!

 しかし、こんな景勝地に1人で行くのもつまらない。

 クロアチアで泊まった日本人経営のバックパッカーズにたまたま女子大生がいたので誘ってみることにする。中々可憐な顔立ちをして魅力的な女性だった...

 きれいな湖畔に流れ落ちる滝...恋に堕ちるには悪くないシチュエーションだ...ムフフッ...!

 「あの~、プリトヴィッツェは行きますか??」

 「あ~、今日もう行ってきたんですよ...」

 「....」


 「...」

 
 まあいい、どうやら1人で行かなければならなそうだ...


 年間80万人も訪れる観光地なら誰かしら現地にいるだろう。
 うっとりと湖を眺めながら開放的になった観光客とたまたま出会い、そして恋が芽生える...、そんなことが良くある場所に違いないのだ!!




 翌朝、バスに乗りプリトヴィッツェに向かう、ザグレブから2時間半、バスが停車して降りる...

 「あれっ??俺1人かよ...!!」

 まあいい、11時に到着なので観光客はもう中に入って散策を楽しんでいるのだろう...

 チケットを買い中に入って散策する...、どこかにキレイな女性はいないかな???




 1時間経過...


 歩けども...




 2時間経過...



 歩けども...





 そして3時間たったが...!!


 誰も居ない...




 うーむ!年間80万人訪れるとはいえ今日は誰も居ないらしい...

 それに今回はプロフェッショナルとして若干動機が不純だったかもしれない。



 本来の「いちツーリスト」に立ち返り、観光をしよう!

 恋は芽生えなかったが広がるような青空とエメラルドグリーンの湖、これが見れればいいではないか!それを見に来たのだから...



 素晴らしく晴れた青い空...



 そして

 エメラルドグリーンに輝く湖...



 うぅぅむぅ~...

 どうやら霞がかって何も見えていなかったようだ...



 しかし旅行で大事なのはいい思い出等という「記憶」ではなく確かにそこにいったという「事実」の方だ!


 なぜなら私はプロフェッショナルだからである...




 1500時には観光が終わった。後はザグレブ行きのバスを待つだけである...

 バス停でバスを待つ、ツーリストインフォや現地の人に聞く限り、そんなに待たずに済みそうだ...



 30分経過...


 1時間経過...


 1時間半経過...



 うーん!!こんなに待たせるとは...、1630時だというのにあたりはもう真っ暗だ...


 あっ!!

 バスが...

 来た!!!

 1時間45分待ち...


 待ち続けたプリトヴィッツェのバス停...



 何とかバスは止まり、無事にザグレブ行きのチケットを手にする...


 しかし、それにしても...


 年間80万人訪れるこの「プリトヴィッツェ...」


 まさか”私以外に誰一人としていなかった”とは...

 そして霧のため殆ど景色を楽しめなかったとは...!!


 まさしく

 「踏んだり蹴ったりの一日であった」

 と言わせていただこう...

潜入!赤の巣窟...!(ブタペスト・ハンガリー)

2006-11-28 05:55:59 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.28


「コミュニスト...」

 ソビエト崩壊以降、その数は激減し、もはや過去の遺物と思われ始めているがそれは間違いであった。ナチスの残党が第2次大戦以降に南米に息を潜めていたように、彼らはこのハンガリーで虎視眈々と再起を狙っていたのである!!


 兆候は簡単に発見できた。観光案内所で貰える地図やパンフの裏に大々的な「赤狩り」のキャンペーンの広告が印刷されていたのである。

赤狩りの広告、決して彫刻公園の宣伝ではない!



 当然私は「プロフェッショナル」として”事の真偽”を確かめに行くことにした。


 市内から約40分、トラム、バスと乗り継いで郊外にある彼らのアジトに潜入する。

 郊外にあるアジトの入口



 中にはこんなモニュメントが...でもたった36体...、思いのほかにショボイ...


  
 この調子ではここはたいしたことはない、赤の残党はやはりもう少ないのだろうか?


 彼らの資金源である”ショップ”を訊ねてみる。


過去の偉人をワールドツアーTシャツにして資金源に...


裏には各国の共産化した年度が...、恐るべしシンプルレッドバンド、音楽に載せて”赤化”させていくとは...


もっとも偉大な三人のポスター、(レーニン、スターリンに毛沢東)、現在のコミュニストの資金源...


 まあセンスは兎も角、過去の偉人の名前にすがるしかないのが現在の”コミュニスト”共の限界を示しているのだろう...

 やはりもう”コミュニスト”は過去の遺物であろう、残党といってもこの程度なら恐れる必要もない...



 私はそう思って郊外にある彼らのアジトを後にした。




 しかし、事実はそうではなかった!!



 彼らは大胆にも世界遺産にも指定されている中心街の大通り、アンドラーデ通りに”巣”を作り、再起を謀っていたのである!!

 「テラ-ハウス(恐怖の館)」の名を借りて...



 私は決死の潜入を試みることにした。

 早速外から一枚、写真を撮影する。

世界遺産に指定されているアンドラーデ通りにある”赤の巣窟”


 そして彼らの奥部へと潜入していく、この後は”撮影禁止”なのですべて”隠し撮り”である...、彼らの現在の力を少ないショットながらもなんとか撮影に成功したので載せていこう...

 まずは武器だ、彼らの主力は何であろうか??あっ!コイツだ...

 現役の戦車が隠されて...


 薄暗い中を進み、エレベーターに乗ると映像が語りかけてくる...

 薄暗いエレベーターの中で見た映像


そして地下に到達すると...そこには...


 政治犯等を収容するための地下牢...


 さらに

 絞首台まで...




 恐るべきは”コミュニスト”である。政府当局の目を逃れ、市の中心の大通りにこんな”巣窟”を築き上げていたとは...


 これは私が「プロフェッショナル」だからこそ、気付き得た”事実”である。

 ちなみに蛇足だが

 「”郊外のアジト”は大人600フォリント(約360円)、学生450フォリント(約270円)、”テラーハウス”は大人1500フォリント(約900円)、学生750フォリント(約450円)」であったと付け加えておこう...

学生デビュー(ブタペスト/ハンガリー)

2006-11-22 07:16:51 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.22

 旅行者には「3種の神器」というものがありその中の一つに「国際学生証」というものがある。これを持っていればかなりの確率で遺跡やら博物館やら美術館への入場料割引が出来るというまさに「魔法のアイテム」と呼ぶのにふさわしい一品である。

 ちなみに「3種の神器」の残りの2つは良くわからない、というか適当に例えたので本当に「3種なのかどうか」そんなことは知るわけもないのでほっとこう...

 今回の舞台、ハンガリーの首都ブタペストは「比較的容易に国際学生証が作れる」と言われており、私がセカンドミッションを始めた当初からここで国際学生証を取得することこそ今回の旅行のハイライトといっても過言ではなかろう...

 もちろん用意周到な私は出発以前から十分な情報を入手して、ここブタペストに乗り込んできたことは言うまでもない。

 決してポーランドで出会った旅行者から「ブタペストなら簡単に国際学生証が作れますよ!!」と聞いて、「まあどうせ作れるんなら持っといたほうがいいかな?」と思い立った訳ではないと明言しておこう...

 何故なら私は「プロフェッショナル」だからである...


 ブタペストに朝到着して有名な日本人宿のヘレナハウスに向かう。首尾よくベッドをゲットして、宿で少し落ち着いてから旅行代理店へ向かう。

 国際学生証を作るには書類が必要だ。通常は在学証明証や日本の学生証が必須だがここでは「日本の運転免許証」をもっていればハンガリー人は日本語を読めないのでこれを「学生証」と言い張って作ると言うちょっとあこぎな手段だがこの際はまあいいだろう。問題は私が日本の免許証を持って来ておらず、国際運転免許証しかないがまあこれで大丈夫だろう...

 何故なら私は「プロフェッショナル」だからである...




 旅行代理店に到着してカウンターへ向かう。

 笑顔で

 「ステューデントカード」

 と伝えて書類を提出する。いい感触だ...

 相手は私の国際運転免許証を眺めて一言、

 「オオッ!モートライセンス??、イッツ ノット ア ステューデントカード...(あれ、これ免許証でしょう??学生証じゃないわよ!!」

 「....」



 そういえば国際免許証は日本語のみならず英語やフランス語やロシア語まで書いてある...、少なくとも英語が分かれば学生証じゃなく免許証だとばれるのは当然の事だった...

 「ちっ、このプロフェッショナルとしたことが...」

 心の中で呟いて慌ててこう付け足した。

 「申し訳ないですがこの間寄ったベオグラードで財布ごと学生証を盗まれてしまいました...、パスポート以外の証明書がこれしかなく、学生証はコピーしかないのですがそれで良いのでしょうか...??」

 駄目と言われたら出直しだが親切にもあっさり「O.K」を出してもらえた。

 私は

 「コピーは宿なので取ってからまた戻ります」

 と告げ、一度旅行代理店を後にした。




 こうなったら学生証のコピーを偽造するしかない。しかし手段はあった。

 今回は強い味方がいた。以前イエメンで会って、今朝また再会した「ハッピーアラビアン嬢」である。

 彼女は首尾よく日本の免許証を持っていたので早速借りてコピー屋でコピーをしてその上に自分の写真を切って貼り付けてもう一度コピーする。姓名や誕生日などはまったく違うが相手は日本語を読めないのがこのミッションの「ミソ」だ。

 もう一度旅行代理店へ向かう。

 そしてカウンターへ行きこう告げる。

 「先ほどは申し訳ありません、今度はコピーを持ってまいりました。ご確認をお願いします...」

 受付の人は私のコピーの顔写真とパスポートの顔写真、そして手渡した写真を見比べて確認する。

 そして5分後...

 念願の「国際学生証」をゲット...!!

 コピーした偽造の学生証は女性の免許証からだが、国際学生証作成時は私の名前はパスポートから移しているので性別から年齢から間違いなく私自身の物である...

 

 ミッションは無事の成功を果たす...


 問題は「やってることは完全にインチキである」と言うことだが...

 まあそれはほっておこう。





 とにもかくにも現在90カ国目、ここで人生初の海外「学生デビュー」である...

 この後の物語にこれがどう影響してくるのか??


 予算以外に全く影響はしてこないと明言しておこう...

侍ここにあり...(コソボ自治州)

2006-11-18 07:22:45 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.18

「コソボに行く」

 そんな事を言い出したら誰もが「ヤメロ!」と言うかも知れない。

 この地アルバニア人が人口の大多数を占めながらもセルビア人にとっては「民族発祥の地」と考えられているためにセルビアは独立を許そうとせず、現在は国連の統治下に置かれるという複雑な情勢におかれている「紛争の種の地」でありモンテネグロが独立を果たした今、いつでも「独立問題」が再燃してもおかしくない、そしてまたいつ新しい紛争がおきてもおかしくない、そんなところである。

 しかし私は行かなければならない、なぜなら「プロフェッショナル」だからである...

 そして行くことを決めた決定的な理由がある。最近行った旅行者が

 「コソボならマケドニアから簡単に日帰りでいけますよ...」

 の一言である。

 「簡単、日帰り」

 が出来るのなら事は単純だ。まあ行って見ることにした...


 マケドニアの首都、スコピエからバスに乗って1時間、国境に到着、コソボ自治州への入国スタンプはセルビアのそれではなく「国連」のスタンプであった...

 そして州都のプリスティナへそこから1時間半ほど...

 びっくりした事にコソボ自治州での通貨はユーロであった。それに街中には多くの国連関係を示す車両が止めてある。今は小康状態とはいえ予断は許さないのだろうか...

 街を散策する。

 州都のプリスティナは想像以上に都会であった。

 しかし何よりもビックリしたことがここにあった。

 日本でももう見れなくなった「侍(さむらい)」がこの紛争の地で行き続けていたのだった。立派な城を構えてこのコソボに...

 誰しもが見ればわかる。こいつは侍以外にはありえないのである...


 私がコソボで味わった衝撃!これを今からお見せしよう...





写真「これぞまさにさむらい...」

文化についての一考察...(ソフィア・ブルガリア)

2006-11-14 05:24:42 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.14

ソフィアには”国立文化宮殿”というものがある。

これ...


名前から言ってこれはブルガリアの文化の集大成がここに集約されているといってもいい場所であろう。

不思議と中はがらんどうとしていて、店があるみたいなのだが入れなかったので一周して建物を眺めてみる...

そして裏に回ると...

裏からの写真


その真ん中に描かれた絵画...
建物の外で文化らしきものを表現しているものはこれしかない...

ということは...

これがブルガリアの文化...




いいかも知れない...

芸術の街・ソフィア...(ブルガリア)

2006-11-13 05:22:55 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.13

 「審美眼」という言葉がある。

 この私はプロフェッショナルとして様々な街並み眺め続けてきた...
 
 他のアマチュアの旅行者と比較にならないほどの多くの経験をつみ、その「審美眼」のレベルの高さは「旅行界随一」と詠われているほどの男である。

 ちなみにロシアのサンクトベテルブルクでは”世界三大美術館の一つエルミタージュ美術館”から徒歩一分のユースに泊まり、エルミタージュ美術館も丸一日かけてガイドツアーをわざわざ取って周ったほどに芸術に対する造詣は深いものがある。この分野でも「プロフェッショナル」なのである。

 また色々な都市を回ってきたが私クラスになるとちょっとの都市ではもう物足りなくなってきたと言ってもいいだろう。

 「チョコのプラハ...?」

 「オーストリアのウイーン...??」

 その程度ではもう満足できないのである。


 しかし、ここソフィア、久しぶりに見た芸術溢れる街であった...

 街にある一つ一つのモニュメント、その中に芸術が躍動しているのある!!

 口でゴチャゴチャ言っても納得はすまい、ここは”豊富な写真”をもって実証していこう...



最初の一枚
街の中心にある「聖ソフィア像」、金と黒のツートンカラーは他で礼を見ないほど前衛的である。


夜になるとライトアップされ、柔らかな神々しい光を醸し出す...


えっ??グロテスク...???





次は国立美術館裏にあるモニュメント...

わざとレトロの雰囲気を作り上げ、そしてその上に黄金比に基づいた人物のモニュメントを載せている、「まさに車と人間の完全な調和」であろう...


これはブルガリアの国立美術館のレベルの高さを指し示すものだろう!



次は公園にあったモニュメント

デフォルメされた巨大な顔が僅かな支点で支えられている。これはブルガリアのモニュメントに対する技術力の凄まじさを物語っている...



次は別の公園にあった動物の彫像

これに対しては説明不用であろう。これほどまでに”チャーミング”なモニュメントはここ以外では見られない。






 これでカンの鈍いアマチュアの旅行者共にも納得いった事だろう...

 ブルガリアの首都ソフィア、ここが”芸術の街”である事を...

国民の館...(ブカレスト・ルーマニア)

2006-11-06 09:10:00 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.06

ここに一枚の写真がある...



 これはルーマニアの首都ブカレストにあり名前を「国民の館」という。

 なんでも革命時に処刑された元大統領のチャウシェスクがルーマニアの中の材料と技術だけで作り上げたもので名前こそ「国民の館」だが、彼が書記長であったときは彼の私利私欲以外に利用されることがなかった施設である。

 この館は世界の官庁や城などの中でアメリカのペンタゴンの次に大きく世界第二位の規模で、現在までに既に日本円で1500億円かかっていてまだ未完成という代物である。

 私はプロフェッショナルとしてこの館を訪れそして深く感じ入るものがあった。

 昔の帝国時代の皇帝ならいざ知らず、この現代社会にあって、自らの権力を誇示したいが為だけにこのような巨大な建築物を作らせたチャウシェスクという男、

 「あのネバーランドを築いたマイケルジャクソンより偉大な男であった」

 と...

ドラキュラの罠...(ブラショフ・ルーマニア)

2006-11-05 09:03:57 | 2ndミッション ヨーロッパ
2006.11.05

 「ドラキュラ伝説」

 知らぬものがいないくらい有名な話だ。私はそのモデルとなったブラド・ツェペシ公の居城、ブラン城を訪ねることにした。ブラショフと言うルーマニア中部の街からバスで45分ほど、城は月並みな城まあドラキュラ伝説のモデルの居城と言うプレミアムがなければそんなに名の売れた城にはならなかったことだろう。

 それほど規模が大きくなかったのでさっさと観光してドラキュラ城を後にしてブランに戻る。

 「伝説は所詮伝説だ、”吸血鬼ドラキュラ”等はただの作り話だったのだろう。」

 私はそう思いながらブラショフへとまた戻ってきた。

 しかしドラキュラは形を変えて生き続けていたのだ!!それもドラキュラ城ではなくこのブラショフで!!


 私は当座のお金を作るべく、両替商へと向かった。実は今朝モルドバの主とキシナウから夜行列車でルーマニアの首都ブカレストに到着し、その足でブラショフへ向かいたかったのでATMでお金を降ろそうとしたのだが駅構内のATMが作動しておらず、悪い両替率と知りつつ駅構内の両替商で列車のチケット代とブラン城観光分の最小限度のお金のみユーロから両替して作っていたのでもう一度両替しなければ持ち金が足りなくなっていたのだ。

 ブラショフ駅にATMがあったのは確認していたので良いレートで両替できなければカードから降ろすつもりはあったのだが以外に簡単に良い両替商を発見する。両替商の良し悪しを見つけるコツは単純でBuyとSellの差が少なければ良心的な両替商と言うのは旅行界での定説である。それに看板の表示も通常は左からBuy、次にSellときているので左から二つ確認すれば良いだけだ

通常の両替商の表示


 私は両替商に入り、早速100㌦札を出し両替をお願いする。手続きは事務的で100㌦確認してレシートが発行され事務の女性が私にルーマニアの通貨を見せながら私に確認させる...

 「237.50...」

 「あれっ??」

 「275.00...じゃ...」

 金額の開きは私の予想と37.5も違っている!US$なら14US$、日本円で1600円ちょっと損する計算だ!

 「金額がおかしいよ!どうなってるの??」

 私が確認すると、事務の女性は横の表を指す、表にも同じ表がでかでかと掲示してあるものだ...

これが表にあった看板


 私は左から2つ見ただけだった。

 説明を求めると左からトラベラーズチェックのBuy、そして現金のSell、Buyの順である。確かに現金のレートは恐ろしく悪い...

 幸い彼女が出してきた現金には手をまだつけていなかったしトラベラーズチェックもあったので

 「この両替率ではちょっと酷すぎる、キャンセルしてチェックに換えてくれ」

 と要求すると彼女は

 「事務的な手続きはレシートを出した段階で終わりで私ではその手続きをキャンセルできない!」

 と言い出してくる。あまりにも大損なので私は尚も食い下がると

 「最初に聞かなかったそちらが悪い」

 と言ってくる。まあ当然と言えば当然だろう、しかしそれにしても詐欺同然の両替率だ。両替率の悪い駅ですら2.68ぐらいのレートで出してきている。私が尚も食い下がると

 「私は雇われているだけで、キャンセルの手続きはボスでしか出来ない」

 彼女はそういってきたのでボスを呼び出すようにいうと渋々電話をする。10分ぐらい待ち、3回かけ直したころにようやく繋がる。私は直截話させるように言ったが彼女はボスに状況を説明し、私に直截話す機会を与えるわけでもなく電話を切りこう説明した。

 「状況は説明した。今日は日曜日なので無理だが明日ならボスが来る、この両替商内はビデオ録画されているのでそれを確認してから判断される」

 ということだ。しかし彼女は全ての状況を知っていて、しかも彼女が出してきたルーマニアのお金をまだ私は受け取っていない。それに両替の仕事は出来てもキャンセルが出来ないのは摩訶不思議だ!通常買い物でもレシートがあったら払い戻しも出来るはずなのに「キャンセルの手続きはボスが居なければダメ」の一点張りはなんとも納得がいかない。

 彼女にその後色々言ってもう一度ボスに直接話をさせるように言ってもダメで彼女は壁に貼ってあるルーマニア語の表示を見せながら「法律的に正当な手続きをしている」と言ってさらに「彼女では両替は出来てもその手続きのキャンセルは出来ない」と繰り返すだけである。

 こんなことに30分ぐらい使ってしまい、私もブラショフ観光して今日中に別の都市に移るつもりだったので諦め始めていた。確かに彼女の言うように両替前に彼女にレートを確認しなかったのは私のミス以外の何物でもない。連続移動の疲労や看板にデカデカと表示してあることから何も考えずに手続きをしてしまったのはこちらの手落ちである。

 私はここは残念ながら諦めることにした。損した金額は大きいが、こんな街に明日まで残るつもりは初めからなかったからだ。

 悔し紛れに最後に彼女にこう伝える。

 「両替は出来ても目の前で終わらせた手続きがキャンセルが出来ないのはどう考えてもおかしいし、ルーマニアは進んだ国だと思っていたけどメンタリティーは完全に後進国だな、それに今度から気付かずに現金を両替しようとしている客が来たらここの現金の両替率はルーマニア最低の両替率ですけど本当にそれでいいですか?と聞くことだな。それが良心ってもんじゃないのかい?まあ今回は俺のミスもあるしこんな所にもう居たくも無いから引き下がるけどこんな市内のど真ん中で最低の商売をしている両替商があることはこれから会う全ての旅行者に伝えていくからもうちょっとましな商売をやっていくんだな!」

 そんな恨み事をづらづら並べてその両替商を後にする。

シュテファン広場前にあった両替商


 そしてその後のルーマニア滞在で見た両替商でもこれ以上現金のレートが酷いところは見ることはなかった...

 そしてここでフト気付いたことがある

 「吸血鬼ドラキュラ伝説」

 現在のドラキュラは人の生血は吸わない、ただ観光客の現金を、それもかなりの率の現金を合法的に吸い上げて、吸い上げた人間の金銭、精神にダメージを与えて、自ら肥え太って生きていくものだと...

 そしてその吸血鬼はドラキュラのモデルの城のある町ブランではなく、ここブラショフに移り住み、虎視眈々と旅行者の「生金」を狙い続けているものだと...

 そしてこんな馬鹿な現金の両替をやった旅行者はこの「プロフェッショナル」以外に決していないと情けなくも確信しつつ、このブラショフを後にしたのであった...