謎の日常

 「観光」に”感動”などといった余計な”感情”は必要ない・・・
 ただ”事を終わらす”とだけ考えれば良い・・・

a suspicious person2(不審者2)(東京:日本)

2010-05-29 20:49:22 | Gという名の職業
日本


2010.05.29(土)


 それは朝の巡回時だった・・・

 24時間勤務の後段、この日は早寝で夜9時就寝、朝(夜?)1時起床という人間の体のリズムを全く無視した時間帯で寝ていたので7時ともなると実に眠い、そんな時、ゲストスペースの点検を行なっていた私に無線が入ったのだ。

 「本部よりデュークさん、取れますか?どうぞ」

 『こちらデューク、感度良好です、続けて・・・』

 「2階フロント前で暴力的な客が居ると連絡を受けてます、現場に急行してください・・・」

 『了解・・・』


 タイミングよく2階に居た私は取り急ぎフロントへ向かう、だがフロントを見ると誰も居ない、どこかに移動したようだとおもいまわりを見渡すと玄関前でなにやら人が数名居そうだ。私はさらに足取りを進め、玄関前に出る。アシマネ(アシスタント・マネージャー)を含むホテルのスタッフが数名、

 私を目にすると直ぐに

 「警察への通報は済みましたか?」

 と確認してくる。

 こちらは無線でいきなり呼ばれて現場へ急行したばかり、何が何やらまだ良く分かっていない。そこで本部へ連絡し警察への連絡も処置済みという事を確認しホテルのスタッフへ『手配済みですよ!』と答えて暴力的な客を探しに行く。

 警察への通報要請を直ぐ手配していたということは客は相当に性質が悪いらしい、こちらも腹をくくった方が良さそうだ。


そして暴力的な客とやらは・・・


・・・


 ・・・・・・


 あっ!地面にへたり込んでいる・・・



 そしてなにやらアシマネにくだを巻いている・・・


 『・・・』


 『・・・・・・』



 暴力的な客って・・・



 『ただの酔っ払いかいっ!』


 とはいえアシマネに何かあったらまずいので近くに行き、様子を見つつ色々と確認すると、どうやらホテル内のレストラン前で立ちションをしてつまみ出されたというのが本当の所らしい。

 
 『うーむ・・・』



 その酔客はひたすらアシマネに絡み続けているが、それはあくまでも口での事。これで明らかに暴力行為に及んでくれれば反撃のしようもあるが、こんな時の警備はとりあえず警察がくるまで残っているしかない。

 分かりやすく言えばただ近くで立っているだけの存在だ。

 さらにはっきりいえば『暇』である・・・

 朝眠いのに・・・

 
 現場で警察を待つこと5分。


 さらに警察が酔客を説得してタクシーにぶち込み、無理矢理御帰宅願わすまでさらに20分。


 その間は状況を伝える微妙な無線を本部に送りつつ、所在なさげにただ立ち尽くすだけであった・・・


 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 2回目の不審者対応は・・・


 前回以上に何もしなかったようである・・・

さらなる悲報(東京:日本)

2010-05-24 21:20:42 | Gという名の職業
日本


2010.05.24(月)



 バラック、ワールドカップ出場絶望のニュースの余韻もさめやらぬまま・・・

 また飛びこんできたのは新たな悲劇だった。


 そう・・・


 ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ決勝・・・


 ドイツのクラブチームであるバイエルン・ミュンヘンがイタリアのクラブチームのインテル・ミラノに完敗・・・


 
 この結果は驚くには値しない。


 確かにチームの戦力、総合力では劣っていた事は確かで予想される結末といえばその通りだ。


 だが・・・


 バラック負傷でドイツ代表のワールドカップ優勝が絶望的になった今・・・


 せめてドイツのクラブチームがヨーロッパでも制していれば少しはいい慰めになっていたものの・・・(注:バラックはチェルシーというイングランドのチームに所属しているのでこのバイエルン・ミュンヘンとは関係ありません・・・)



 このプロフェッショナル・・・



 もう生きる希望をなくしそうである・・・
 

絶望の幕開け(東京:日本)

2010-05-22 21:26:53 | Gという名の職業
日本



2010.05.22(土)


 GWも終え、人の移り変わりはあったものの職務に落ち着きも見え、これからようやく軌道に乗ろうとしてきた今、絶望的なニュースが私の目に飛び込んできた。


 そう、ドイツ代表の主将バラックの負傷、そしてワールドカップ出場の絶望である!


 今回のドイツ代表、優勝候補の一番手ではないもののブラジル、スペイン、アルゼンチン、イングランド等の後に続く2番手グループであり、こういうビックトーナメントでは類稀なる勝負強さを発揮するのでチーム状態が良く、番狂わせを起こせれば優勝もありえる筈であった。


 だが・・・


 よりによってバラックとは・・・


 過去のビックトーナメント、数々の勝負を決する違いとなるゴールを生み出してきた男・・・


 33歳という年齢からシルバーコレクター(ワールド・カップ、ユーロ、チャンピオンズ・リーグ等で準優勝が最高結果であることからこう呼ばれる)という汚名(よくよく考えれば各ビックトーナメントで準優勝経験がこれだけあるのはたいした選手というはずなのだが)を返上する最後のチャンスだったのに・・・


 現在のドイツ代表、クラブチームでは振るわないが代表では好結果を出し続けるクローゼ、ポドルスキ、そしてシュバインシュタイガー、フィリップ・ラーム、メテルザッカーらの中堅陣、そして代表の新しい力となったエジルら好選手は揃っているし将来が期待されるキーパーのノイアー、トニ・クロース、トーマス・ミュラーらの若手がバランスよく配置され、その中でチームに芯を通していたベテランがバラックだったのだが・・・


 今はその全てを過去形で語らなければならない・・・



 これで・・・


 これでワールドカップに出場するドイツは既に全く別のチームになってしまったのだ・・・



 優勝は期待できない・・・



 
 このプロフェッショナル・・・



 ワールドカップ2010・・・



 どうやら絶望からの始まりとなったようである・・・




 もう仕事なんてどうでもいい・・・

a suspicious person(不審者)(東京:日本)

2010-05-09 11:17:20 | Gという名の職業
日本


2010.05.09(日)


 今日の勤務は順調だった。

 ただ問題は一つ、仮眠が早寝になっていることだ。
 
 隊員の勤務の関係上、仮眠時間は一人が9時から1時まで、一人が1時から5時まで、そして残りが5時から9時までとなっている。元々夜型で朝寝をしていた私にとってこの早寝仮眠では体を横たえるぐらいがやっとで熟睡など出来ようもない。もちろんこの内のどれかで仮眠を取らなければいけないから仕方が無いと諦めるしかないのだが・・・


 その仮眠時間に後1時間と迫った20:00時、防災センターに電話が掛かって来る。

 受けたのは同僚だ。なにやらメモを取って私の方を振り向いてこう言ってきた。


 「今ナイトマネージャー(ホテルの夜の責任者)から連絡があって不審者がいるのですぐに現場に来て欲しい」

 ということだ。

 当務長はたまたま席を外している、ここにいるのは同僚と私の二人、同僚は受付に座って業務をこなしている今、動けるのはどうやらこのプロフェッショナルだけらしい・・・


 私は無線を取り、足早に現場へ向かう。


 私のいるチームでは最初の不審者だ。これは美味しい経験だ。


 現場は一階のメインエントランス付近、メインクローク横のソファーだ。

 私の勤務するホテルは通常のホテルと少し違っていて鉄道駅と直結する2階にメインロビーやフロントデスクがあり、一階には宴会上が多数ある。不審者が泊り客の目に付きづらい一階で現れたことや今日は宴会が少ないので宴会客の目に泊まらないのは不幸中の幸いだろう。


 現場に到着してナイトマネージャーをみつけると不審者は目の前だ。


 そこにいたのはナイトマネージャー、そしてホテルのスタッフが一人、駆けつけた私、それに不審者の合計4人。


 私は早速不審者情報をナイトマネから聞きだす。

 彼は小声でこう伝えてくる


 「不審者は彼なんですが・・・テーブルの上の植物の葉を抜いたり今見ての通りテーブルの上を乱雑に散らかしてなにやら作っていたり・・・、一応もう声も掛けて片付けるように指示をしているのですが・・・」


 私は前にいる不審者を眺める。


 身長は170-175cm程度、体重は68-73kg程度、白いシャツに茶色いアウトドアパンツ、それに紺のジャケットとブッシュハットを持っている。
 机の上にはカメラ、茶色いボストンバックを並べA4サイズを少し大きくしたような油絵のキャンバスには絵・・・といっていいかどうかわからないような暴走族が壁に落書きするような物が描かれている。そしてテーブルの上はちらかされ、何故か小銭を円状にしてその中には煙草の葉が纏められ・・・
 また彼の座っている横にはデパートの紙袋やペットッボトル、ジッポのオイル等が地面に置かれ・・・


 真っ先に注意しなければいけないのは爆発物を生成出来る物を持っているかどうか?そして殺傷力のあるもの(ナイフ、拳銃等)を所持しているかどうかだが・・・それはどうやら無さそうだ。


 私は注意深く監視し、ナイトマネージャーがまた彼に話しかける。私の勤務するホテルではお客様対応は基本的のはホテルのスタッフが行い、警備はナイトマネージャーの指示によって対応を決めると言うのが原則となっている。

 話しかけている間私は彼の応答を聞いているとふと思い当たる節があった。


 『あっ!この手の奴はインドやパキスタン辺りでよくみかけたはっぱ(大麻)にはまっておかしくなっているタイプだ!』

 
 決め付けるのは良くないが・・・それにしても海外で良く見る「壊れた日本人」がこんな東京のリゾートホテルでおみかけするなんて・・・


 片付けて退去するように話しかけるナイトマネに彼は

 「もう少しで終りますから」


 と机の上にCDウオークマンを置き、それを水で浸し、さらに机の上に自分の手持ちのキャッシュカードを並べ始める。

 そのキャッシュカード類の中に何故か運転免許証も・・・

 私は素早く名前と生年月日、本籍をメモに控える。


 だが、この行動で確証がとれた、彼は不審者という以上に単なる異常者だ。


 そしてナイトマネが「何をしているんですか?」と聞くとソファー前ののテーブルを中心に色々とアングルを選んで


 「世界の芸術を造ってます!」


 と答えてきた!


いかれたヤローだ。海外でもここまでいっちゃう人間はあまり見れない。


 その世界の芸術をカメラに撮る訳でも無く、ただ単にテーブル周りを一周してテーブルを雑に片付けて・・・


ホテルから退去すると思いきやいきなり1階の徘徊を始めた。


 『コイツはちょっとまずいな・・・』


 私は彼の後をつけつつ、無線で防災センターとのやり取りを開始する。状況によっては増援も考えた方がいいだろう。

 
 彼が徘徊している間にホテルのスタッフも2,3名現場に駆けつけてくる。

 警備の厄介な所で実力排除という手段を用いるには相手から先に手を出さない限り、こちらから出してしまうと問題になるし、それにホテルも元々千客万来というスタンスがあるのでただ徘徊しているだけというのはつまみ出す理由には出来ない。とりあえず数を出して相手に居ずらい雰囲気を感じさせて退去願うというのが関の山だ。


 入ってはいけない区域に入ったときホテルのスタッフが口頭注意し、そしてメインエントランスにまた戻った時にナイトマネージャーがまた彼に話しかける。


 「どうされたいんですか?」


 彼は笑顔でこう答える


 「もう、死にた~い!」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 そしてホテルから退去する・・・


 『うーむ・・・』


 これで勤務開放になるかといえばそうは問屋が卸さない。


 また入ってくるかもしれないのでしばらく付けてホテル圏外に立ち去ったかどうかまで確認しなければならない。


 そしてメインエントランスから出てつけると・・・ホテルの前の車道を渡って反対側の歩道に座り込む彼が・・・


 『・・・』



 『これじゃ仮眠できない・・・』


 しばらく彼を眺めているとまたホテルに戻って来る。



 またメインエントランスから入り、そしてホールの中央に行くとなにやら天(天井)を仰いでやにわにこう一言。



 「第一奥様、降りて下さ~い」


 そしてまた動いてホテルの椅子に座り込む・・・



 『わっ笑っちゃいけない、勤務中だ・・・・』



  


 このホテルはリゾートというのを売りにしているので厳しい雰囲気をだしてしまう警察を呼ぶのは極力さける方向にしているのだが、流石にナイトマネージャーも痺れを切らしたのだろう。


 「警察をお願いします」


 と言ってきた。


 私は無線で防災センターに伝え出動を要請する。


 要請して15分ぐらい、ようやく警察が到着、ナイトマネがこれまでの状況を説明し職質をお願いする。


 そして警官4名が彼を取り囲みホテルの外へと任意同行し、手荷物検査、職質とすばやく実施する。現場にきたパトカーは2台、これで連行してくれればこのくだらない不審者に結末が付く算段だ。


 そして色々と取り調べて・・・


 結果「無罪放免に・・・!」


 『・・・』


 『・・・・・・』


 まあ確かにホテルの備品に損害を与えたとはいえ被害届を出した訳でもないので今彼の手持ちに何か不審物でも発見出来なければ妥当な判断だが・・・


 『こっこれでまたホテルに来るようなら仮眠が・・・仮眠が・・・』


 職質を終えた後彼はホテルから一直線に遠ざかる方向へ・・・


 少なくともホテルに直ぐに戻れない場所に行くまではと彼の後ろをホテルの敷地内の限界まで追いつつ、警察にちょっと聞いてみると・・・


 「いっちゃってますね・・・」


 と、返答が・・・



 『・・・』



 『・・・・・・』




 『国家権力よ、それでいいのか???』



 不審者は後ろを振り返ることも無く、我々の視界から完全に消え去っていく・・・


 現在時21:30・・・


 仮眠時間に突入して既に30分経過・・・



 また来るかもしれないが・・・どうやらこれで取り敢えずは一通りの結末を迎えることが出来たようだ。




 しかしそれにしてもこのプロフェッショナル・・・


 現場最初の不審者対応は・・・


 ただ眺めて楽しんで・・・そして警察を呼んだだけであったようだ・・・



 そして今後の不審者についてはこう思う。


 『今度はこのプロフェッショナルの仮眠時間にどうか被りませんように・・・』

急遽一欠 (東京:日本)

2010-05-07 11:10:58 | Gという名の職業
日本

2010.05.07(金)


 事件は突然に起こった・・・


 朝出勤して同僚と簡単に挨拶を済ませる。

 勤務前の一時、ポーションでアイスコーヒーを作りこれから勤務に入ろうとする正にその時に・・・

 
 入社同期で一緒の現場に配属され、ファルコン社との研修から現場の立上げまで一緒にいた同僚の一人が・・・

 朝、なにやら副隊長と話して・・・そして突然スーツに着替えて本社に行くと言い出したのだ!


 
 思い当たる節はある。

 以前夜勤でオフィスビルの警備を経験していた彼は忙しいホテルの警備が大変に感じていた事、また夜勤慣れしていた彼には24時間勤務がきつかった事、元々日本犯罪にいたメンバーと折り合いがあまりあっていなかった事・・・


 色々な要素が絡みあい・・・


 そしてつい2日前の勤務で元々日本犯罪にいて、4月の途中から増援という形でこのホテルに配属されてきた若い同僚に厳しい態度を取ったことが隊で問題になってしまい・・・


 その件を副隊長が彼に伝えた時、彼の中で色々なものが弾けてしまったのだろう。



 彼は私に「本社に行って話をしてから帰ってくる」とは言っていた物の・・・


 恐らく帰ってこないだろう。



 だが・・・


 我々は一チーム5人編成、彼が抜けたら4人・・・つまり1欠だ。


 
 つまり今日に関しては5人分の仕事を4人でこなさなければいけない勘定になる。

 
 
 直撃となった我々には厄介な・・・というよりも面倒な出来事だし、それに今日一日乗り切ればまた隊の編成を組み替えて一チーム5人で業務を遂行出来るようになるからそれはそれで仕方ないのだが・・・


 GW、通称「ゴルコ・ウィーク」を無事に乗り切ってみんな大体業務に慣れてきてそろそろ休みも増えてきそうなこの時期に初期メンバーが一人離脱になるとは・・・


 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 まだしばらくは「落ち着いた日々」をおくる事は無理らしい・・・

金より時間(東京:日本)

2010-04-26 18:02:28 | Gという名の職業
日本


2010.04.25(月)


 業務移管が無事に済み、我々ニチハンが勤務を開始して早3週間、初期の2、3日こそ多少の混乱はあったものの比較的スムーズに現場に馴染み、順調に仕事が続いている。


 ここで私が現在のニチハンを選んだ経緯について若干説明しておこう。

 数多くあるGというなの業界、玉石混合、いい会社もあれば悪い会社もある。大手2社を除けば殆どが中小企業、待遇もそれほどいいものではない。より明確に言えば「安月給」というのが正解だろう。

 となると勤務体制が重要だ。
 

 我々に業務を移管したファルコン社は過酷な勤務で知られ48時間拘束が基準、仮眠4-5時間ペース、これでは体を壊してしまう。


 それに比して我がニチハンは元々がビルメンテナンス会社、警備は付け足しなので勤務はそれほど過酷ではない。24→明け→休というのがベースとなる。

 3日に一度の休日、そして24時間勤務の明けは朝の10時なので個人の時間も比較的取れるという物だ。


 私は2ch等も参考にしながら数多くのG会社を調べ、綿密な調査の元にこのニチハンを選んだのだ。


 以前勤めた「ブラック会社」のように時間が無いのはもうゴメンだ。


 「金よりも時間」


 偽らざる、現在の心境だ。

 このプロフェッショナルの選択に万が一つの過ちも無い・・・




 そして本勤務が始まり・・・


 24→明け→休


が繰り返すはずが・・・


 24→明け→24→明け


が繰り返し・・・


 ようやく休みが取れたのが1ヶ月ぶり、日、月の2連休・・・



 『・・・』



 『・・・・・・』



 確かに残業代は付く、給料は基準より多く貰える事だろう・・・


 だが・・・


 求めていた物は「金より時間」ではなかったのだろうか・・・?



 どうやらこのプロフェッショナル・・・



 この現場では「時間より金」という選択肢になっているらしい・・・



 『ドコデマチガエタノヤラ・・・』


エレガント・ライフ(東京:日本)

2010-03-27 23:05:33 | Gという名の職業
日本

2010.03.27(土)

 眠らない街TOKYO CITY

 現場勤務が開始してから約2週間。

 ここで私の新しい勤務地について若干説明しよう。

 私が勤務につくのは東京唯一のリゾート・ホテル、そこでの警備となる。

 通勤時間はかかるものの夜景好きのこのプロフェッショナルにとってはいい職場と言えよう。

 しかし世界各地で一流ホテルに泊まり歩いてきたこの私が日本に帰ってホテルに勤めることになるとは・・・

 これも何かの巡り会わせだろう。

 上司達の怒号で幕開けしたこの勤務だが現在は小康状態だ。

 というのも我々の本勤務は4月1日から、それまではファルコン社の各隊員についてここでの業務を覚えるというのが仕事だからだ。

 自分自身の思い通りにならないというストレスは確かにあるかもしれないが、この期日まではファルコン社が業務の責任を負うので、考えようによっては「無責任なままただついているだけで給料が発生する」という美味しいポジションにあるともいえよう。

 私は現在の立場を利用してエレガントにこの職場の様子を見ることにした。

 この職業は前提24時間勤務、ただし仮眠時間は設けられているのでそれほどきついというわけではない。 家との往復が少なくなる分、却って楽とも言えよう。

 それに ホテルの仮眠室は現在ファルコン社が利用している為に我々ニチハンの社員には現在特別な部屋が割り当てられている。

 このプロフェッショナルに実にふさわしい、そんな格式を持った居室だ。


ホテル近郊からレインボーブリッジと東京タワーを眺めて


そしてこ洒落た教会



 東京の景色は優しくこのプロフェッショナルを包み込む、湾側からベイブリッジを通して東京タワー眺めると言うのも乙な物であろう。

 そして夜も更け、しばしの仮眠をとる、業務の疲れもこの「スペシャル・スイート」のお陰で全く残らないといってもいいだろう。




 朝一番・・・

 モーニングコールが鳴り響く・・・



 「いらっしゃいませ、駐車券をお入れ下さい・・・」

 「サービス券をお持ちの方はサービス券をお入れ下さい・・・」

 「ありがとう御座いました、料金は無料です」



 目を覚まし部屋のドアを開け外気に触れる、尤もエレガントな瞬間だ。



 
 そして目にしたものは・・・



 地下駐車場の自動清算機だった・・・



 『・・・』



 『・・・・・・』


 スペシャルルームは地下駐車場内のただの倉庫だったのだ・・・


 しかもそこに雑魚寝で・・・




 どうやらこのプロフェッショナル・・・・



 一流ホテル勤務に縁があっても一流ホテル宿泊には全く縁が無いらしい・・・


怒号飛び交う幕開け(東京:日本)

2010-03-08 23:02:54 | Gという名の職業
日本


2010.03.08(月)

 4日間の新人研修を経て3日間のショートブレイクを経ていよいよ今日から初現場となる。

 この現場については少々説明を要するだろう。

 私の配属される場所は現在はファルコン社(仮名)という会社が入っているのだがそれを私の入社した「日本犯罪社(通称:ニチハン、仮名です)」が4月から引継ぐという形になっているのだ。

 もっと分かり易く言うならファルコン社の仕事を我々が奪ってその現場につくというのがその本質だ。

 そこで3月中に彼らからその現場の仕事を教えてもらわなければならない。

 私の会社からは3月頭から既に現場の隊長、副隊長、そして当務長職(隊長、副隊長の補佐役)の3名が先行してファルコン社から現場での仕事のやり方を聞いている。そこに我々新入社員、他の現場から移動してきた隊員(便宜上新隊員と呼びます)が合流して3月の残りの期間で4月から警備隊として円滑に勤務できるように仕上げなければならないのだ。


 朝、駅で現場の統括をする本部の警備担当者、隊長と我々新隊員が合流していよいよ現場へ入る。

 そこでいよいよ隊全体での初顔合わせ、どんなメンバーが上司としているのか?新隊員として気になるところでもある。

 通用口から入り現在勤務についているファルコン社に簡単に挨拶した後、いよいよ上司達のいる待機所へ向かう。
 
 待機所へはいり、しばしば。ファルコン社について教えてもらっている上司達が戻って来る。

 そして上司達は隊長を見つけるとマシンガンのようにまくしたてる・・・


 「隊長、こんな勤務やってられないですよ。この勤務を4人でやるなんて無理がありますよ」

 「大体5人でやる勤務をなんで4人で出来るなんて本社の営業は言ってきたんですか?」

 「こんな仕事ニチハンレベルを超えてますよ、こんなんじゃ誰も持ちませんよ」


 EtcEtc・・・・・・


 『・・・』


 『・・・・・・』



 『(どういう現場なんだココは・・・???)』



 現場で一緒に勤務する隊員、それも上司と・・・



 こんな形が初顔合わせになるとは・・・・



 我々新隊員の困惑を余所に、24時間勤務を終えたばかりの副隊長、当務長は勤務明けで帰宅する・・・


 不安ばかりを残して・・・



 どうやらこのプロフェッショナル・・・


 新しい仕事もブラックの香が漂いそうな、そんな予感で一杯である・・・

初出社、私のデスクはやはり無し!(東京:日本)

2010-03-01 23:42:18 | Gという名の職業
日本


2010.03.01(月)


 新しい会社が決まって今日が最初の日だ。

 だが、そのまま現場に行くわけではない、この業界には新人研修として法定時間が定められているので先ず東京本部に顔を出し、そこで4日間教育を受けなければいけないのだ。

 朝、2ヶ月ぶりに乗るラッシュ・アワー、不快感ではあるもののそんなに不快は感じない、久しぶりの感触を楽しみながら味わっている自分がいる。

 会社のある駅に着いたのは出社予定時刻の30分前、山の手、京浜東北線は朝ラッシュの影響や人身事故などで遅れることがよくあるので充分に余裕を持った時間に到着した。


 私はコーヒーショップに立ち寄る。

 何事もはじめが肝心だ。頭を整理してこれから始まる新しい生活に集中する、その為のメンタル・スイッチの切り替えが必要だと感じたからだ。

 私はガムシロップを入れたアイスコーヒーを飲み、煙草に火をつけ落ち着いて書類を眺める・・・

 提出する書類は全部揃っている、そして今日最初の予定は健康診断、その為に朝食も抜いてきてる。その後はおそらく警備業界に関する教育が始まるのだろう。これは相手に合わせつつ受けるしかないのだろう。

よし!

私は煙草を消し、残っていたコーヒーを一気に飲み干す。


準備は万端だ。



 『・・・』



 『・・・・・・』



 『そういや俺、何でコーヒーにガムシロップなんて入れて飲んでたんだ?健康診断があるからといってわざわざ朝食を抜いてきていたのに・・・』



 『・・・』



 『・・・・・・・』




 『やっ、やっちまった・・・・!』




 その後健康診断でおそるおそるコーヒーを飲んだことを告げると・・・



 「あら~、その時間なら多分検査(血液検査や尿検査)で出ちゃいますよ~!こういった診断を受ける前は最低6時間はそういった物を取らないようにしないと~」



 『・・・』




 『・・・・・・』



 『ごっ、ご尤もで・・・』




 検査結果が出るには少し日にちはかかるが・・・



 どうやらこのプロフェッショナル



 新生活は「糖尿疑惑デビュー」での幕開けになりそうな、そんな予感で一杯である・・・