津軽百年食堂@森沢明夫
あらすじ(「BOOK」データベースより)
ふるさと「弘前」を離れ、孤独な都会の底に沈むように暮らしていた陽一と七海。ふたりは運命に導かれるように出逢い、惹かれ合うが、やがて故郷の空へとそれぞれの切なる憶いをつのらせていく。一方、明治時代の津軽でひっそりと育まれた、賢治とトヨの清らかな恋は、いつしか遠い未来に向けた無垢なる「憶い」へと昇華されていき…。桜の花びら舞う津軽の地で、百年の刻を超え、永々と受け継がれていく“心”が咲かせた、美しい奇跡と感動の人間物語。
明治時代に大森食堂を開店した賢治とその4代目にあたる陽一の人生がリンクして物語は始まります。
が、その前にプロローグ。陽一の父親の毎日は「今日もまた、普通の一日でありますように。」という祈りから始まります。これがギュッと私の心をとらえます。「普通」の捉え方は人それぞれだけど、その普通が続くっていうのは並大抵ことじゃないと思うから。
賢治の人生、陽一の人生、少しずつ見えてきます。そして陽一と七海が出会い、この2人を中心に物語は進みます。これがね、いちいち気持ちがわかる! 田舎、この2人にとっては弘前から出てきて、東京をどう思うか、東京にどう思われるか、気にしすぎて卑屈になるとか。付き合い始めて楽しくて嬉しくてしょうがなくて、ずっと一緒にいたいと思うとか。相手をすごく思う気持ちが強いんだけど、自分のいい方向に事態がが転がるといいなと考えたり、それを考える自分を嫌悪したり。そしてすれ違ったり。こういうのが自分にも当てはまったこともあり、とても共感できました。
2人は喧嘩したまま、陽一は弘前へ数年ぶりに帰ります。故郷に帰った時の高揚感、家族に久しぶりに会うときの何とも言えない気恥しさ、幼馴染に会った時の喜び、こういうのも共感できました。お姉さんとの会話、幼馴染との会話はとてもテンポがよく、声を出して笑っちゃいました。
陽一と七海はちゃんと仲直りします。そして桜の花びらが、大森食堂を開店した賢治とその妻の会話とリンクします。これ、すてきなんです。陽一も七海もとても優しい、思いやりのある人たちです。幸せになってほしいな。大森食堂、続いてほしいな。弘前のさくらまつり、行ってみたいな。
この「津軽百年食堂」からはじまり、青森三部作といわれる「青森ドロップキッカーズ」「ライアの祈り」という作品があるようです。ぜひ読んでみたいと思っています。
あらすじ(「BOOK」データベースより)
ふるさと「弘前」を離れ、孤独な都会の底に沈むように暮らしていた陽一と七海。ふたりは運命に導かれるように出逢い、惹かれ合うが、やがて故郷の空へとそれぞれの切なる憶いをつのらせていく。一方、明治時代の津軽でひっそりと育まれた、賢治とトヨの清らかな恋は、いつしか遠い未来に向けた無垢なる「憶い」へと昇華されていき…。桜の花びら舞う津軽の地で、百年の刻を超え、永々と受け継がれていく“心”が咲かせた、美しい奇跡と感動の人間物語。
明治時代に大森食堂を開店した賢治とその4代目にあたる陽一の人生がリンクして物語は始まります。
が、その前にプロローグ。陽一の父親の毎日は「今日もまた、普通の一日でありますように。」という祈りから始まります。これがギュッと私の心をとらえます。「普通」の捉え方は人それぞれだけど、その普通が続くっていうのは並大抵ことじゃないと思うから。
賢治の人生、陽一の人生、少しずつ見えてきます。そして陽一と七海が出会い、この2人を中心に物語は進みます。これがね、いちいち気持ちがわかる! 田舎、この2人にとっては弘前から出てきて、東京をどう思うか、東京にどう思われるか、気にしすぎて卑屈になるとか。付き合い始めて楽しくて嬉しくてしょうがなくて、ずっと一緒にいたいと思うとか。相手をすごく思う気持ちが強いんだけど、自分のいい方向に事態がが転がるといいなと考えたり、それを考える自分を嫌悪したり。そしてすれ違ったり。こういうのが自分にも当てはまったこともあり、とても共感できました。
2人は喧嘩したまま、陽一は弘前へ数年ぶりに帰ります。故郷に帰った時の高揚感、家族に久しぶりに会うときの何とも言えない気恥しさ、幼馴染に会った時の喜び、こういうのも共感できました。お姉さんとの会話、幼馴染との会話はとてもテンポがよく、声を出して笑っちゃいました。
陽一と七海はちゃんと仲直りします。そして桜の花びらが、大森食堂を開店した賢治とその妻の会話とリンクします。これ、すてきなんです。陽一も七海もとても優しい、思いやりのある人たちです。幸せになってほしいな。大森食堂、続いてほしいな。弘前のさくらまつり、行ってみたいな。
この「津軽百年食堂」からはじまり、青森三部作といわれる「青森ドロップキッカーズ」「ライアの祈り」という作品があるようです。ぜひ読んでみたいと思っています。