オショロコマの森ブログ5

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ニジマスの海中飼育に思うこと

2020-02-14 13:49:05 | ニジマスによる被害
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ニジマスの海中飼育に思うこと


ニジマスは類い希な攻撃的外来種として世界各地で猛烈に生態系を破壊し続けている悪役とされ、世界の侵略的外来種ワースト100に選定される一方、すぐれた釣りのターゲット種として、またおいしい養殖魚として、実は日本ではその悪行の数々がほとんど一般には知られていない( というより、あえて大っぴらにしたくない人々が多い )がために、さほど嫌われてもいないという微妙な立ち位置にあるトラウトです。





2019-12-15(日)の北海道新聞朝刊2P に近年の噴火湾漁業不振に悩む北海道八雲町と地元漁協でニジマスの海中飼育に乗り出すといった記事がありました。








ニジマスは、これまでも世界各地で広く海中飼育が行われてきました。




染色体操作や種々交配により、釣り人に身近な スチールヘッドやドナルドソン ばかりではなく実に多くのニジマス品種が生まれている。




近年わが国にはチリーなどで海中飼育で養殖されたものが相当量が輸入され、北見でも回転寿司トリトンで私が大好きな寿司ネタにもなっている。




正直にニジマスとは言わずに トラウトサーモン( 鱒鮭 ?? )と変な名前で呼ばれているが刺身にしても焼いてもおいしい。




今のところ、これがニジマスだと知っている人は実はかなり少ないのではなかろうか。




淡水で1Kg前後に育てた後、漁港などに設置した生け簀に移して海中飼育して肥育、さらに大きく育てるのが一般的なようだ。




魚粉など主体の栄養超満点のエサを大量に与えて一年で一気に3Kg まで育てるというから、その発育速度に驚いてしまう。




濃厚飼料で圧倒的に脂がのるため海中飼育では特にうまみが増してまろやかな味になるという。




霜降り肉和牛ならぬ霜降り肉ニジマスといったところでしょうか。まさに神戸牛のお魚版です。




確かに私が川で釣って食べる野性のニジマスとはまったくの別物であり、海中飼育ニジマスは圧倒的においしい。





オーストラリアでもニジマスは生態系破壊の元凶とされている一方で、いまやダントツ一番人気の魚料理は沖合の生け簀で海中飼育したニジマス料理で、これを紹介するテレビ番組を見ました。ちなみにオーストラリアでは海中飼育ニジマスをオーシャントラウトと呼ぶ。




このレストランの絶品ニジマス料理の予約は一年先まで満杯という。




 さて、これからが本題です。



北見市に近いオホーツクのサロマ湖ではかってニジマスの海中飼育が行われていたが大時化で海中飼育していた生け簀の網が破れて全部海へ逃げ出し、しばらくは近海でサロマスと呼ばれる大型海ニジマスが捕獲されていた。




そのせいかは定かでないが、サロマ湖のとなりの常呂川は、いまや大型ニジマス釣りでとみに有名です。





サロマ湖の少し北、紋別のサケ定置網には、近年81cm の海洋性ニジマスがかかった記録があります。





私はニジマスもブラウントラウトと同様にシートラウト化して、海を介して近隣の川に遡上し分布を広げる可能性があるのでは ? と危惧しています。




道東の標津沖ではしばしば現地でテツと呼ばれる大型海ニジマス(ギンピカニジマス)が捕獲されていたが最近ではどうだろうか。




私は標津沖のニジマス( テツ:スチールヘッドに由来 ? )の由来も、おそらくサロマ湖同様に海中飼育中のものが逃げ出した可能性はないかと考えています。




私は標津に近い知床のオルマップ川河口(ニジマスによりオショロコマが全滅した? 川としてあまりにも有名)や 植別川河口で大型ニジマスを多数目撃したり釣ったことがあり、近年では海に近い羅臼川下流でも、まさかの複数のニジマスが釣れています。




これらは一部の人による好ましくない密放流なのか、海中飼育中脱走したものに由来するのか、アラスカ・カナダなど原産地と同じく古来オホーツク海に細々と native trout として棲息していたものに由来するのか、はるかかなたの原産地から海を回遊してきてオホーツク海にたどり着いたものなのか、種々の議論はある。



これらとは別に知床の知西別川には地元青年団(当時は生態系という概念はまったくなかった)により放流されたニジマスが今も世代を重ねておりこれがスチールヘッド化し海と行き来している可能性もあります。




    ところで、この新聞記事に対して私は一体なにを言いたいのか。





とにかくニジマスを海に逃がさないよう気をつけて下さいということです。




新聞記事の最後も、そのあたりを多少は気にしているようで、生け簀から逃げて海洋環境や在来種に影響が及ばないように漁業者が注意深く管理に当たる と一応、文章上は優等生的文言で締めくくっている。




ただ、生け簀を二重にするとか、水中監視カメラを数台設置するとか、大時化の対策とか具体的な対策にはなにも触れていないのが気になります。




ちなみに私はニジマス脱走がなければ、ニジマスの海中飼育そのものに異を唱える気持ちはまったくなくて、おいしいトラウトサーモンも大好きです。




悪しき前例としては温室での受粉用に導入されたセイヨウマルハナバチが似たようなパターンであろう思います。




温室から逃げ出す可能性はないということで政府の許可を得たようですが、たちまち温室から逃げ出したセイヨウマルハナバチはいまや日本中で繁殖し生態系破壊の限りを尽くしており、もうどうにもなりません。




魚類と昆虫では繁殖力の面でまったく同一には語れませんが悪しき前例として認識すべきです。


我が家の庭のカクトラの花にきたセイヨウマルハナバチ。 尾部が白いのが特徴です。




八雲町と地元漁協のみなさん、どうかニジマスを逃がさないよう十分気をつけて、ご健闘を祈ります。





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