オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

青いニホンザリガニの悲劇

2013-11-02 08:35:33 | ニホンザリガニ
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青いニホンザリガニの悲劇

オホーツク海斜面のとあるシラカバ林の細流には、何故か青い色をしたニホンザリガニ Cambaroides japonicus が比較的多数生息している。

とても美しい瑠璃色をしているのでルリイロニホンザリガニと呼ばれることもある。

従来、甲殻類ではしばしば青い個体が現れる。ザリガニ類でも見られるが青いというだけで珍重される。俗にサンマの切り身を与えると青くなるというが食餌が原因の場合は脱皮すると元の褐色に戻り、遺伝的な原因の場合は青いままという。

ザリガニ飼育マニアは意外と多くて、色変わりザリガニ、特に白いザリガニや青いザリガニはマニア垂涎の的である。しかも近年激減しつつあるニホンザリガニの青い個体となればなおさらである。

マスコミにこの青いオホーツクのニホンザリガニが紹介されて全国的にも話題になった。


稀少な動植物のマスコミでの紹介はまさに諸刃の刃だ。

稀少なすばらしい生き物を多くの人に知ってもらうことは大切なことでありマスコミに紹介されることは最も効果的で威力がある。

その一方で余程注意しないと(普通、この点でのマスコミのガードはやたらと甘い)、これに強い興味を持つ人たちが生息地に殺到し、とんでもないことが起こることは世の常である。

マスコミ報道をきっかけに一部のザリガニマニアがHPなどの情報をもとに生息地をさぐりあて(マニアの底力、執念はすざましいものがあります)、青いザリガニを多数採集しこれらをインターネットで競売にかけたのである。最高値では♂2万円、♀39000円という。短期間に200匹ほどさばいて80万円の収入を得た会社員もいるという(2009-12-17 北海道新聞より)。

今のところ法律的にはなんら問題はなく網走市議会では青色ニホンザリガニ保護条例を急遽検討中であるというが、その後どうなったのかは寡聞にして聞かない。単なる採集禁止という最も稚拙な手段のみでは長期的な保護は不可能である。密漁を誘発するだけだ。


青いザリガニのみならずニホンザリガニが今守るべき象徴的な生き物であるという認識を高める働きかけが必要だ。

さらに最も重要なのは環境の保全であることはいうまでもない。しかし地元住民の生活の営みそのものや開発とのからみが問題になる。多くの野生生物保護運動がこの環境保全問題でつまずく恐れをはらんでいる。

たとえば北見市ではエゾモモンガの森やニホンザリガニ生息地が高速道路建設の犠牲になろうとしている。

網走市の青いニホンザリガニ保護条例はこれらの試金石になるかも知れない。

稀少生物減少の原因の99%が実は開発行為や人間の営みそのものであっても、それが1%のマニア?の乱獲(トドメを刺すとても目立つ行為)のせいであるとして、真犯人がすりかえられる可能性が無いとは言えないことにも留意すべきであろう。

PS ただ全国的にみたニホンザリガニの認知度はいまだきわめて低いようで、オショロコマと同じく一般の認知度を上げる努力もまず必要なのかも知れない。





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