「ぐるくん」のひとりごと

大好きな海のこと、沖縄のこと。 また今関心を持っている韓国語の学習、韓ドラ・レビューなど気ままな雑記

<354> 墨守ならぬ、映画 『墨攻』

2007年02月04日 | つれづれ
 食指が動いた映画『墨攻』。 →公式サイト

 原作は酒見賢一さん著作の『墨攻』(94年作品)、更に森秀樹さん作画で「ビッグコミック」で連載された『墨攻』がシナリオ・ベースになっている。

 日本以上に中国では『墨子攻略』と言うタイトルで大人気の漫画となったそうだ。

 なので、酒見さんの原書には出ていなかった、漫画版オリジナル・キャラも登場する映画内容だ。

 中国・日本・韓国・香港の合同プロジェクトによる映画となった。

 「墨攻」と言う言葉は「墨守」に対する酒見さんによる造語のようだ。


 映画『墨攻』の予告編を見ただけで、大学時代、東洋史を専攻し中国史をかじっていた私は久々に悠久の中国の歴史に思いを馳せた。

 周王朝が衰退し、有力諸侯たちが各地で覇権を唱え競い合うようになり、次第に衝突を繰り返す怒涛の春秋戦国時代。

 乱世の中で、人の生き方を問う「諸子百家」と呼ばれる様々な思想家、そしてその学派が誕生した。

 紀元前5世紀から前4世紀の話だから驚く。

 後の世に、アジア全域に広く影響を与える思想の種が生まれた。

 儒家、法家、道家、兵家、陰陽家そして墨家などなど・・・


 「墨家」の元租、墨子は実名ではないと言われている。

 顔に刺青を入れられた奴隷説や大工の棟梁説などその正体は謎の人物だ。

 「墨家」は実用主義で秩序の安定や労働、節約を通じて人民の救済と国家経済の強化を目指したと言われる。

 掲げた十大思想を見ると頷ける。
 1.兼愛・・・全ての人々を公平に隔たりなく愛する
 2.非攻・・・戦いによる社会の衰退や悲惨さを非難し、他国の侵攻を否定
 但し、防衛のための戦いは否定してない。
 大国の小国への侵略に対し、要請があれば救援部隊を派遣しその優れた戦術・兵器を提供した為、「墨家軍団」とも言われる。
 3.尚賢・・・貴賤を問わず、賢者を登用する
 4.尚同・・・賢者の考えに社会全体が従い、価値基準を一つにして秩序を守る
 5.節用・・・無駄を無くし、節約する
 6.節葬・・・葬礼を簡素化し、祭礼にかける浪費を防ぐ
 7.非命・・・宿命論を否定。
 人は努力すれば、自分も社会も運命を変えられると説いた。
 8.非楽・・・舞楽の否定。
 当時の音楽を奏でる楽器は「編鐘(ヘンショウ)」と言う青銅器製の鐘をたくさん並べたものだった為、資材の無駄と音楽に興じて労働意欲を失くすとした。
 9.天志・・・上帝(天)を絶対者とする
 10.明鬼・・・善悪に応じて賞罰を与える鬼神の存在を主張


 映画では
 「墨家」も時代と共に徐々に変質し、権力と結びつく傾向があった頃、趙軍に攻められている燕国の梁城城主・梁溪からの依頼により、墨家第3代頭首、田巨子の命に背き救援に向かう、元祖の意志を貫こうとする革離(カクリ)が主人公。

 彼は単身で梁城に乗り込み、趙の大軍を相手に梁城を守る事になる。

 兵士のみならず梁城の民をまとめあげ、名将の誉れ高い、趙の巷淹中将軍率いる10万の趙軍を相手に戦う。


 秦の始皇帝の中国統一前後に、「儒家」と並んで最大勢力ともなった「墨家」は忽然と姿を消している。

 「墨家」の思想は確かに中央集権統治にはそぐわない。

 相当な弾圧もあったのだろう。

 映画館には殆ど行かないんだけど・・・アンディ・ラウに会いに行って来ようかなぁ~w 
   

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
興味深いですねぇ~。 (マキちゃん)
2007-02-05 18:25:05

土曜日の『世界不思議発見』でも、早速やっていましよ。墨家について。

私もよく知らなかったので面白くテレビに見入ってしまいました。日本的に云う所の軍師集団なのでしょうか?

兵法に長け、知略に勝っていたのでしょうね。予告編しか見ていないのですが、惹かれました。


諸子百家と呼ばれる者たちは、所謂、思想を持った職業集団だったようですね。孔子の率いる儒家などは
冠婚葬祭をを専門とする者達の集まりで、その思想もお堅い領域をでなかったようですね。


私は東洋史はチンプンカンプンなので、この辺で止めときますね。ボロがでそうです。

なんにしろ中国の歴史や文化、思想に触れると、こんなに近い国なのになんて遠い国なんだろうと思います。

先日の新聞に奈良県の甘樫丘で曽我馬子の遺構発掘の記事が出ていました。私はそちらの方が興味があって新しい見解が出てくるのかなと楽しみにしています。

遠い過去の出来事を勝手に想像するのは、ボケ防止にも役立ちそうです。
ついで乍ら、連日の暖かさに我が家の紅梅が、見事に咲きました。

温暖化と言う困った問題はありますが、暖冬ですと洗濯干すのも、買い物行くのも正直楽で助かってます。


こういうお馬鹿な主婦が地球を駄目にするのでしょうか?
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歴史 (ぐるくん)
2007-02-05 22:39:01
 マキちゃんさん、コメントありがとうございます。

 軍師と言うより、実戦部隊、武装集団となっていったようですが、この映画では革離ただ一人なので、当然優れた「軍師」だったのでしょうね。

 馬子の屋敷跡発掘の記事、私も読みました。
 遺構から、どうやら武器庫などの建物だったのではと分かったようですね?

 「大化の改新」前後の古代史も興味深い所です。
 鎌足の足をタリと韓国語で発音するように、この時代は朝鮮からの帰化人が文化の中心にいたんだと思うと、現代よりグローバルな大和が目に浮かぶようw
 曽我氏も朝鮮の蘇氏あたりがルーツではないんでしょうか? 
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