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米印原子力協定の危険性:国際NGOネットワークが国際社会に対して警告

2008年07月07日 23時12分57秒 | Weblog
abolition 2000 : 米印原子力協定の危険性:国際NGOネットワークが国際社会に対して警告
投稿者: 原子力資料情報室 投稿日時: 2008/7/7 14:17:04 (23 ヒット)

記者発表
2008年7月7日

米印原子力協定の危険性

国際NGOネットワークが国際社会に対して警告

 核兵器禁止条約を求める世界90カ国2000団体以上からなるNGOネットワーク「アボリション2000」の米印協定作業グループは、米印原子力協定に関する性急な決定は避けなければならないと表明している。

 これらNGOは、主要国政府に対して、「賛否の分かれるこの提案が核の保障措置制度をこれ以上害することがないようにするための措置をとり、また、核兵器の原料を作りうる技術の拡散を止めるための努力を積極的に行う」よう求め、さもなくば「インドの核軍備の増強を助長してしまうことになる」と警告した。

 インド政府は今週にも、自らが依存するところの左派政党の反対を無視して、国際原子力機関(IAEA)理事会に対して保障措置協定の案を回覧させる見通しである。そのことによって、インド政府は米印二国間の核協定(米原子力法の条項から「123協定」と呼ばれている)を実施に移すために必要な残された措置を実行しようとしている。それは、この保障措置協定のほかに、45カ国からなる原子力供給国グループ(NSG)が原子力貿易ガイドラインからインドを特別な例外として除外する措置をとることであり、最終的には、米議会が「123協定」の規定を承認しなければならない。

 2005年7月にインドのシン首相とアメリカのブッシュ大統領が共同声明を出してから「123協定」の文面が確定するまでに2年がかかり、それからすでに1年が経過した。これほどまでに遅れた後に今になってインド政府がIAEA理事会に保障措置協定案を出すという決定することは、国内または国際状況が変化したというよりは、シン首相の個人的プライドの問題という性格が強い。シン首相は、協定が実際に完結することよりもブッシュ大統領との約束を守ることを重視しているようである。協定賛成派も含め多くの分析者たちは、必要な措置がブッシュ政権のうちに完了することはないとみている。さらに、アメリカの次期大統領が協定を今のままの形で継続することを望むという保証はない。

 米印原子力協定は当初構想されたときから間違った協定であったが、以来その欠点はまったく改善されていない。今年1月に世界130のNGOがIAEAに提出した国際書簡に記された問題点のすべてが、今もそのまま残っている。その国際書簡の文面および署名者一覧は以下のURLからみることができる。
http://cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=601

 この協定は、インドが核不拡散条約(NPT)に加盟していないにもかかわらず核兵器国としての地位を獲得するということを意味する。そればかりかインドは、フルスコープのIAEA保障措置を受けるという非核兵器国としての義務も、核軍備撤廃のために誠実に交渉するという核兵器国としての誓約も負わないということになるのである。

 IAEAとNSGは、非現実的な政治的日程にあわせて性急な決定を下してはならない。IAEA理事会に参加している35カ国は、インドが要求している特別な条件というものがIAEA保障措置制度そのものの信頼性を崩すことになりうるということを考慮しなければならない。同時に、少数派政府が強い反対を押し切ることが正しいことであるかどうかも考えなければならない。NSGは、インドに特例を認めることが国際的な不拡散体制にいかなる影響を与えるかを考慮すべきである。これらはいずれも、性急な判断の許されない重要な問題である。

 IAEA理事会とNSG諸国は、最低条件として、核兵器をつくるすべての高濃縮ウランとプルトニウムの生産禁止のために長く続けられてきた国際的努力を強化すべきである。これら諸国は、米印協定の前提条件として、南アジアにおける兵器用核分裂性物質のこれ以上の生産を終了させることを主張すべきである。

連絡先
日本
フィリップ・ワイト
  アボリション2000米印協定作業グループ・コーディネーター
  03-3357-3800 原子力資料情報室) 
川崎哲
  ピースボート共同代表 (在G8サミット国際メディアセンター(IMC))
インド
Sukla Sen
National Coordination Committee Member, Coalition for Nuclear Disarmament and
Peace
アメリカ
Daryl Kimball, Director, Arms Control Association, Washington D.C.

参考:http://cnic.jp/english/topics/plutonium/proliferation/usindia.html


http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=672  より

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3 コメント

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インドの核保有データ (プラパンチャ)
2008-07-07 23:18:18
インドの核保有データ

現在の推定保有量 50発程度
将来の計画 300~400発?
核兵器用プルトニウム
 保有量 500kg? (約100発分)
 生産能力 (年間7発分程度) 
  サイラス生産炉 2010年の運転停止までに合計約45kg
  ドルーバ生産炉 20-25kg/年
 可能性
  ドルーバ規模をもう1基建設 20-25kg/年
  保障措置下にない重水減速原発の1基を使用 60-100kg/年
 (炉の最大能力は、150-200kg/年/基。実際の製造量はウラン供給能力によって決まる。)
  高速増殖原型炉(2010年完成予定) 130-140kg/年

   合計すると、年間40-50発分程度になる可能性

 さらなる可能性
  既存の加圧型重水原発の使用済み燃料(保障措置下に置かれない)の利用
  原子炉級プルトニウム 11トン分=約1400発 (主用途は高速増殖炉用か)

 *出典 印パの専門家らによるDraft report for the International Panel on Fissile Materials (pdf)*

http://kakujoho.net/us/us_ind.html
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NPT:過去、現在、未来(原文) 『アームズ・コントロール・トゥデー』2008年6月号 (Unknown)
2008-07-07 23:25:13
米国ACT誌巻頭コラム
NPT:過去、現在、未来(原文) 『アームズ・コントロール・トゥデー』2008年6月号
ダリル・キンボール

「核拡散防止条約(NPT)」は、その40年間の歴史において、欠くことのできない、しかし、不完全な、一連の互いに絡み合った不拡散と軍備撤廃の義務と基準を確立してきた。NPTが署名開放された1968年7月の段階で、核兵器国の数は将来数十になると予測されていたが、現在元の5ヶ国の他に核兵器を持っているのは4ヶ国だけである。一方、数ヶ国が核兵器計画を放棄した。

NPTは、核輸出規制及び保障措置システムに支えられ、非核兵器国が核兵器を取得したり、作ったりするのを、ずっと難しくしている。それと同時に重要なことは、NPTの6条が、米、ロ、英、仏、中の各国に核軍備撤廃の達成を約束させていることである。

しかし、今また、核不拡散体制は、重要な局面にある。中東、南アジア、北朝鮮の核・ミサイル計画、そして、核テロリズムの可能性が地域的・国際的安定を脅かしている。数ヶ国が新たにウラン濃縮及びプルトニウム再処理ビジネスを始め、実質的な核保有国となってしまうかもしれない。

冷戦の終焉以来、戦略核は削減されているが、核兵器国はすべてその核兵器に依存し、これを近代化している。ワシントンは、1995年と2000年の再検討会議でなされた核軍備撤廃の約束を反故にし、NPT非加盟国インドをはじめとする同盟国について規則の特別免除を勝ち取ろうとしてきた。

その結果、「NPTは不公平な形で適用されている。核保有国はNPTの[核軍備撤廃と引き換えに核不拡散を約束するという]取引において彼らの側がした約束を守る気がないのだ」と考える国が増えている。このため、非核保有の多数派は、条約及び核不拡散体制を強化する更なる措置への同意に乗り気でなくなってきている。

システム修復に必要な米国の核不拡散リーダーシップを再構築するには、[米国の]次期大統領は、即座に行動して、いまだに多すぎる米ロの核兵器を検証可能な形で削減し、1996年包括的核実験禁止条約(CTBT)を批准し、新たな核弾頭の追求を停止しなければならない。ワシントンその他の指導者らは、また、NPT体制の侵食を防ぐために、次のような核時代の基本的教訓を認識しなければならない。

一部の国による核兵器の保有は、他の国による核開発をもたらす可能性がある。核の持てる国と持たざる国の世界は、無期限に続けることはできない。核兵器は、誰の手にあろうと、危険である。ほとんどの国は、核兵器を作る手段もその動機も持ち合わせていないが、いくつかの国は、核兵器が脅迫・威嚇のために使われている限り、念のためにと考える。

核兵器の圧倒的な破壊力は、国家に対してであれ、非国家アクターに対してであれ、その軍事力としての有用性を失わせる。核兵器は、例え「低威力」兵器でも、受け入れがたい、無差別的被害をもたらす。核兵器は、存在するとしても、他国による使用を抑止するためのものであるべきである。従って、どの国であれ、このような兵器を多くても、数百発以上持つ必要はない。主要国がその核兵器を検証可能で、逆行しえない形で廃絶するために行動するのが早ければ早いほど、核不拡散タブーは強くなる。

核不拡散のためには、国家間の係争を解決するための持続的な外交が必要である。核兵器は、脅威を受けているとか抑圧されているとか感じる者にとっての方が魅力的に見える。NPTは、それだけでは、長年にわたる対立関係や不公平感を解消することはできない。解消のためには、米国を始めとする国々は、紛争の原因を取り除き、非大量破壊兵器地帯のための条件を確立するのに役立つ包括的な対話を行わなければならない。

NPT非加盟国に対しては、NPT加盟国に期待されている要件を満たすように奨励しなければならない。NPTに加盟していない3カ国(インド、イスラエル、パキスタン)が近い将来にそうするということはありそうにない。しかし、核拡散を防ぎ、他の国とともに自国の核兵器計画の進行を停止し、逆転させるうえでのこれらの国々の責任を無視するのは間違いである。まず、インド、イスラエル、パキスタンに対して――中国に対しても――CTBTを批准し、核分裂性物質の生産を公式に中止することによって、主流に加わるよう働きかけるべきである。

原子力は、機微な技術を拡散させるようなかたちで推進してはならない。1968年以来、新たな国々が、4条の下で保障されている「平和的」核プログラムによって核兵器物質を作る能力を獲得してきた。転用リスクを減らすには、核燃料サイクル施設を多国間あるいは国際的コントロールの下に置くことが極めて重要である。また、原子力供給国は、より広範な機微技術へのアクセス制限を強化すべきである。透明性と信頼を改善するために、すべての国が1997年モデル追加議定書の下での、より効果的保障措置に同意すべきである。

NPTは、失敗が確実というわけではない。以前の問題に対処するために、主要国が力を合わせて体制を強化してきた。しかし、今世紀も長い間生き延びるためには、各国は、NPTでの取引の約束を新たにし、強化し、そして、遂行しなければならない。それも、早急に。

http://kakujoho.net/focus/200806.html
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米国ACT誌巻頭コラム (Unknown)
2008-07-07 23:26:51
米国ACT誌巻頭コラム
米国の核政策の転換 (原文)『アームズ・コントロール・トゥデー』2008年1-2月号
ダリル・キンボール

ワシントンにおいて変化をもたらすというのは、とくに核兵器政策の場合、非常に難しく、大統領の強いリーダーシップと超党派の協力的多数派の存在がなければ不可能である。しかし、最近の議会の行動や傾向は、ホワイト・ハウスに次に入る者に、時代遅れになってしまっている米国の核兵器及び軍備管理政策に関して大幅な変革を始める上で、滅多にない機会を与えるだろう。

議会は、2007年12月、[既存の核弾頭に替える]「取り換え用」核弾頭の製造と、それに役立つ新たなプルトニウム・ピット製造施設を求めるブッシュ政権の愚かな計画を拒絶した。

* [注:「取り換え用」核弾頭=「信頼性のある取り換え用核弾頭 ( RRW )」: 単純な構造の弾頭を作って既存のすべての核弾頭の代わりにこのRRWを使おうという案。政府は核実験をしないでRRWが開発可能と主張]

ジョージ・W・ブッシュ大統領は、これらのプロジェクトを復活させようと試み、核兵器の数はこれ以上減らせないところまで来ていると主張するかもしれないが、新たな核兵器を製造するのではなく、核兵器の数をもっと減らすことについての支持が高まっており、これを正当化する安全保障面での強い理由もある。

ピーター・ヴィスクロスキー(民主・インディアナ州)及びデイビッド・ホブソン(共和・オハイオ州)両下院議員やバイロン・ドーガン(民主・ニュー・ダコタ州)上院議員らを始めとする予算委員会メンバーらは、RRWを求めるブッシュ政権の議論を退けて、この計画のための「国家核安全保障局(NNSA)」用予算8900万ドルの提供を拒否した。ブッシュ政権は、2007年7月の報告書において、RRWプログラムの遅延は「既存の核兵器の認証のために地下核実験を再開しなければならなくなる可能性を高める」と主張した。

8月に出された書簡でヴィスクロスキーとホブソンは、「ブッシュ政権がこのような主張をするのは無責任だ」と反論した。2人は、事実に基づき、政府による「核弾頭の性能を検証するために核実験の再開が必要だとする議会での証言記録や議会への報告書は存在しない」と指摘した。実際、核弾頭の老朽化に関する最新の研究は、プルトニウムが80年以上、重大な劣化を起こさないことを示している。

トーマス・ダゴスティノ NNSA局長は、「核実験の必要性についての我々の見解に関して・・・誤解があることについて・・・懸念」していると認めた。12月に議会に提出した書簡において、彼は次のように書いている。「次の点についてはっきりさせておきたいと思います。今日の保有核は安全性と信頼性を有し、今日まで、配備後の核実験を必要としたことはないし、また、核実験は現在、必要になると予測もされていませんし、計画もされていません。」

要するに、現存の核兵器維持管理プログラムは機能しているのである。通常爆薬や核関連以外の部品の定期的な検査と改善によって、核兵器研究所は、1996年「包括的核実験禁止条約(CTBT)」の下で、現在よりも少量の核兵器を、信頼できる形で維持することができる。次期大統領の政権において、上院はCTBTを見直し、承認すべきである。

ブッシュの核政策についての超党派の不満を反映して、議会は、また、米国の核兵器の役割と量についての徹底的見直しを2009年末までに行うよう政府に命じた。次期大統領は、この機会を無駄にしてはならない。

以前のブッシュ・クリントン両政権の核態勢の見直しは、情けないほど不十分なものだった。どちらも、冷戦時代の攻撃目標計画や政策を僅かしか変えないものだった。その結果、配備核の数は減ったが、その威力は依然として巨大なままである。1994年の核態勢の見直しは、配備戦略核を3500発から2500発に減らすことを承認した。ブッシュの2001年の見直しは、配備核弾頭を1700-2200発にすることを定めた。

ブッシュ政権は、また、過去の政策と袂を分かち、米国の核兵器が、新たな条約の規定するタイムテーブルや検証体制に支配されるようなことがあってはならないとの立場をとった。このように米国の政策の自由度に力点を置いた結果、将来予測が難しくなり、ロシアは、自国が、危険に曝されているとの意識を強めた。これは、さまざまな軍備関連問題に関する米ロの摩擦をさらに高めることになった。

核兵器量のさらなる低減を追求し、新たな核弾頭の製造を完全に停止すると共に、CTBTを承認するなどの姿勢をワシントンが示そうとしなかった結果、核廃絶に向けて具体的措置を講じるという「核拡散防止条約(NPT)」の下での義務を核兵器国が果たすつもりかどうかについて、信頼がさらに失われた。

これらの政策は変えることができるし、変えなければならない。現在の米国の核態勢は、9・11後の脅威環境を反映していない。今や、核兵器は、安全保障上、プラス面よりマイナス面の方が大きい。2200発はもちろんのこと、数百発以上の核弾頭の保有を正当化する脅威シナリオなど考えられないということを次期政権は認識しなければならない。新たな核兵器は、不必要であり、また、挑発的である。米国は、テロリストや非核兵器国を核兵器で脅すのではなく、彼らの手に核兵器用物質や技術が渡らないようにすることの方にこそ全力を尽くすべきである。

次期大統領は、新しい条約について早期に交渉を開始しなければならない。両国の核兵器及びミサイルを現状よりずっと大幅に、そして検証可能な形で削減すること決める条約を、「戦略核兵器削減条約(START)」が2009年に失効する前に結ばなければならない。[注:1991年締結の同条約には検証体制についての規定がある。]リチャード・ルーガー(共和・インディアナ州)上院議員が2007年10月に述べているとおり、「政府は、米ロ関係が、法的拘束力を持つ条約の必要性を超えたものになったとする人々の主張を拒絶しなければならない。」

このように、次期大統領にとって、核兵器政策に対する新しいアプローチをとり、核拡散防止の努力の強化や核兵器の脅威除去ために他の国々の支持を勝ち取るのに必要な米国の世界的リーダーシップを回復することは可能である。

http://kakujoho.net/focus/200801.html
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