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社会福祉の思想は次第に成熟されつつあった。しかし、いつのまにか時は崩壊へと逆行しはじめた。

優雅で危険な「安倍のなつやすみ」臨時国 会から逃げツケは国⺠に︖

2020年08月17日 23時12分10秒 | Weblog


通常国会が6⽉18⽇に閉会して、約50⽇が経過しました。その間に、第2波ともいえる、新型コロ
ナウイルスの感染拡⼤が⽌まらなくなっています。野党が臨時国会の召集を要求するものの、安
倍⾸相は全くその気がないようで、官邸に閉じこもったままです。なぜ安倍⾸相はここまで頑な
なのでしょうか。元全国紙社会部記者で、メルマガ『国家権⼒&メディア⼀⼑両断』の著者・新
恭さんがその疑問に⾔及。⽚⼭前⿃取県知事vs⽥崎史郎&⼋代弁護⼠が、テレビ番組内で激しい
バトル繰り広げた様⼦を紹介しながら、国会を開きたがらない安倍⾸相の⼼の内を説いていきま
す。


解散で頭が⼀杯︖逃げる安倍⾸相に新型コロナの現場混乱


解散・総選挙が頭にあるのか、それとも、ただ単に野党の追及から逃れたいだけなのか。安倍⾸
相は今のところ、臨時国会を開く気がまったくないようだ。
野党は憲法53条にもとづいて臨時国会の召集を内閣に求め、7⽉31⽇、要求書を衆院に提出した
が、与党側は「審議する法案がない」と⾔って取り合わない。「10⽉以降に召集する⽅向で調
整」(朝⽇新聞デジタル)という報道もあるが、なぜそうなるのか、さっぱりわからない。
国会は法案を通す場で、議論する場ではないというのが、安倍政権の奇妙な信念であるらしく、
いくら東京都医師会の尾崎治夫会⻑が「コロナウイルスに夏休みはない、⼀刻も早く国会を開い
て」と切⽻詰まった声で訴えようが、全国知事会から知事権限強化のための法改正を求める声が
出ようが、おかまいなしなのである。
そもそも、審議する法案がないからといって国会を開かない道理があるだろうか。国会は法を定
める機関であり、そのためにはしっかり議論をしなければならない。コロナ禍で国が未曾有の危
機に瀕しているときに、国会が閉じていることこそ異常であり、最低である。内閣総理⼤⾂たる
もの、⾔われなくとも、「おーい、みんな集まれ」と、召集をかけるのがあたりまえだ。
新型コロナウイルスに適⽤している新型インフルエンザ特措法がすこぶる評判が悪く、⼿直しを
求める声が強い。
知事会は「休業要請に罰則と補償の規定を加えるべき」と政府に要請し、都医師会の尾崎会⻑も
「このままお願いするかたちでは感染の⽕だるまに陥る。法的な拘束⼒のある対策を」と訴え
る。
現場でコロナ対応にあたる⼈たちの声には重みがある。営業の⾃由などの観点から、全く問題な
しとはいえないにしても、国⺠の⽣命と健康にかかわることであり、特措法改正についての議論
は急務であろう。⾃⺠党が憲法改正草案に盛り込んだ緊急事態条項のように拡⼤解釈で⼈権が脅
かされる恐れはないのではないか。


「GoTo」に「アベノマスク」…忘れてほしい失敗だらけ


4⽉の緊急事態宣⾔の発令直後から内閣官房や厚⽣労働省が、特措法改正にむけて内閣法制局と協
議に⼊った旨の報道もあったが、今はどうやら改正に後ろ向きのようである。
というのもやはり、安倍⾸相が国会開催を嫌がっているからに違いない。特措法の改正となれば
国会を開かないわけにはいかないが、「Go To トラベル」キャンペーンとか、今や誰もが欲しが
らぬ「アベノマスク」配布など、巨費を投じたズッコケ⼤事業をやってのけた安倍⾸相として
は、野党が⼿ぐすね引いている場に出て、批判のマトになりたくないのであろう。
しかし、それで済ませてもらっては困るのだ。このままでは、感染拡⼤防⽌と経済活動の両⽴ど
ころか、共倒れになる恐れさえある。この国は、国⺠は、いったいどうなるのか。


遅すぎるコロナ対応を“アベ友”がアクロバティック擁護

 

なぜコロナ対応の法改正できぬ︖ アベ友が苦しい⾔い訳


その意味から⾔うと、7⽉31⽇のTBS「ひるおび︕」における、⽚⼭善博早⼤教授(元⾃治官
僚、元⿃取県知事)の政府に対する怒りの声はうなずけるものであったが、これにジャーナリス
ト・⽥崎史郎⽒や、タレント弁護⼠・⼋代英輝⽒が⽇頃の与党的な視点を堅持して激しく反論し
た。しばし、この⼀幕を振り返ってみよう。
それは、⽚⼭⽒が「特別措置法はちょっと粗いところがあり、改正しなきゃいけないのに、国会
を開かないための理屈ばかりこねている」と発⾔したのをきっかけにはじまった。
⼋代⽒がこう反応した。「国会の本会議を開くと1⽇に3億円ずつかかる。その資⾦を別の⽤途に
まわしたほうがいい。特措法の改正をするとしたら、まず法案をつくって、法制局にかけて、委
員会にかけて本会議ですよね。いま本会議だけ開いても何もやることがないんですよ」
すかさず⽚⼭⽒がつぶやいた。「やりたくない⼈はみなそう⾔うんですよ」。
「別に僕、国会議員じゃないんで」とわめく⼋代⽒を横目に⽚⼭⽒は続ける。
「私はかつて霞が関で法律の改正を何回もやってきましたけども、この種の法律改正はあっとい
う間にできます。やりたくないときに、時間かかる、法制局がどうしたこうしたと⾔うんです。
そんなことウソです。信じちゃいけません」
ここで、やおら⽥崎⽒が⼝を開き、「僕は⽚⼭さん、⾃治⼤⾂の秘書官から存じ上げています
が、優秀な⾃治省の官僚であった」ときた。なにやら不穏な空気である。
「でも、その当時とは今は若⼲違っていて、特措法の改正という場合、論点がいくつもあるんで
す。多省庁にわたる。もう改正作業は始まってるんですよ。でも、かなり時間がかかる」「法案
をつくった後に国会に提出して審議していただくわけですね。いま国会開いても審議する法案が
ありませんよ」
実務を知らない⽥崎⽒が、実務を熟知する⽚⼭⽒にお説教する。知らないから、「違う」とは⾔
わず、「今は違う」と⾔って、条件付き否定するほか⼿がないのだ。
⽚⼭⽒は笑う。「こんなのね、すぐできますよ。そんな⼤それた改正要らないんですよ。やる気
がないからですよ、この期に及んでも時間がかかるのは。秋になって国会開いたとしても、これ
どうなりますか。それまで国会議員の皆さん、みんなステイホーム、ボーナスもらって、⻑期有
給休暇ですよ」
⽥崎⽒「国会はいま週に⼀回やっている」
⼋代⽒「⽚⼭さんのようにすぐできると⾔えば気持ちいいですよ。でも実際はそんな簡単なもん
じゃないと思いますよ僕は」
⽚⼭⽒「簡単です」
⽥崎⽒「いや簡単じゃないと思いますよ」


今あえて「臨時国会を開かない」理由はどこにもない


⼦供の喧嘩みたいだが、冷笑する⽚⼭⽒に他の⼆⼈が意地になって⾷ってかかるのが⾯⽩い。彼
ら⼆⼈が臨時国会開催など無意味だと考える理由は、「法案がないから」。⾃⺠党の⾔い分と寸
分違わない。
法案づくりが⽥崎⽒の⾔うように難しいのなら、国会で与野党をこえて必要な修正点をまとめれ
ばいいではないか。しかも、先述したように、国会で審議すべきは、何も特措法改正だけではな
い。外交、防衛、環境、エネルギーなど多⽅⾯にわたって議論を要する課題が出てきている。コ
ロナ対策だけでも、特措法のみならず、論点は⼭ほどあるはずだ。


「コロナ重症者続出の冬は選挙に勝てぬ」から秋に解散︖

 

過去にもあった国会拒否。安倍⾸相の夏休みは永遠に続く


安倍⾸相は、過去2回、野党の憲法53条にもとづく臨時国会開催要求を拒否した前歴がある。
2015年が1回目。閣僚のスキャンダルや⽇⻭連の政治献⾦問題などで追及されるのを嫌がって、
野党の臨時国会召集要求を蹴り、結局この年は通常国会しか開かれなかった。
2回目は2017年。森友学園・加計学園問題を追及するため、野党が6⽉に臨時国会開会を要求し、
3か⽉以上を経た9⽉28⽇にようやく召集したかと思うと、その⽇のうちに解散した。国会論議は
⾏われずじまいで、安倍⾃⺠党は10⽉の総選挙で⼤勝した。形式上は開会されたことになるが、
これでは臨時国会開催要求に応じたとはいえないだろう。
安倍⾸相が早期の臨時国会を避ける背景として、取りざたされるのが、解散・総選挙をにらんだ
動きだ。⿇⽣財務相があからさまに「解散」をちらつかせているほか、安倍⾸相をめぐる風景も
2017年と似通ってきた。
今年6⽉19⽇、安倍⾸相、⿇⽣財務相、菅官房⻑官、⽢利明⽒らは都内で会⾷した。彼らは2017
年の7⽉にも、⼣⾷をともにしている。
すわ解散総選挙か、とマスコミが⾊めき⽴ったのも無理はない。⿇⽣財務相は6⽉だけで8回も安
倍⾸相に会って、なにごとか密談したといい、公明党の⻫藤幹事⻑に「衆院解散は今秋が望まし
い」と伝えたとされる。
安倍総裁の任期は来年9⽉いっぱい。来年は東京五輪や東京都議選が予定され、解散できるタイミ
ングはほとんどないので、今秋に、ということだろうか。かつて⾸相をつとめた⿇⽣⽒には、任
期切れが迫るまで解散できなかったため⺠主党に歴史的敗北を喫した苦い経験がある。


「コロナ重症者続出の冬は選挙に勝てぬ」から秋に解散︖


7⽉になって新型コロナウイルスが再び猛威をふるいはじめたため、解散への動きも影をひそめつ
つあるように⾒える。ふつうなら解散など、とんでもない状況ではあるのだが、安倍政権に常識
は通⽤しない。冬場には重症者が増えると⾒込めば、まだ重症者が少ないうちの解散チャンスを
狙うだろう。焚きつけ役の⿇⽣⽒もあきらめてはいまい。
それこそ2017年のような、解散のための臨時国会召集ということも、求⼼⼒維持こそ最優先事項
の安倍⾸相なら、やりかねない。議席がかなり減るのは覚悟のうえ、情勢調査で安定多数を確保
できると⾒込めば、国⺠⽣活などそっちのけで、解散に踏み切れる⾸相なのだ。
ただし、相変わらず、安倍⾸相の健康不安説も⾶び交っている。それなら、解散する元気もなけ
れば、国会を開いて答弁に⽴つエネルギーもないかもしれず、解散以前に進退問題となってしま
う。
さしあたり、安倍⾸相が野党の臨時国会召集要求を拒み続けるか、どこかで折り合うかが、今後
の政局を占うカギといえるだろう。

 

新恭(あらたきょう)この著者の記事⼀覧

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出
し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改⾰を提⾔した
い。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。

https://www.mag2.com/p/news/461540

https://www.mag2.com/p/news/461540/2

https://www.mag2.com/p/news/461540/3
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森友問題で自殺の赤木さん妻が明かす、責任者がつい漏らした本心

 

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学校法人「森友学園」の国有地売却問題を担当していた財務省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)が自殺した問題を巡り、赤木さんの妻雅子さんが、佐川宣寿元国税庁長官と国に約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が15日、大阪地裁で開かれました。「真実が知りたい」ただその一心で臨んだ雅子さん。第三者による客観公正な調査を求めるものの、安倍首相や麻生財務大臣に応じる気配は全くありません。元全国紙社会部記者で、メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』の著者である新 恭さんが、この口頭弁論の様子を詳細にレポート。文書を改ざんしてまで、責任を免れようとする不誠実な安倍官邸と保身官僚たちの裏を暴いていきます。

 

財務省森友報告書の責任者が明かした公文書改ざんの真相

公文書改ざんを押しつけられた夫は自殺し、財務省、官邸の関係者たちは、責任をとることなく、のうのうと生きている……

森友学園問題で自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫氏の妻、雅子さんは、7月15日、国と佐川宣寿・元財務省理財局長を訴えた裁判の第1回口頭弁論で陳述し、無念の思いをぶちまけた。

「夫は改ざんしたことを犯罪と受け止め、国民の皆さんに死んでお詫びすることにしたんだと思います。安倍首相は自分の発言と改ざんには関係があることを認め、真相解明に協力して欲しい。安倍首相、麻生大臣、私は真実が知りたいです」

 

いまだに明らかになっていない真相。国はすべてを知っているはずなのに、核心部分をぼかし、2018年6月4日「決裁文書改ざん調査報告書」なる財務省の内部調査結果を公表して、お茶を濁した。

報告書をまとめた責任者は、当時の財務省秘書課長、伊東豊氏(金融庁監督局審議官)だ。省内の職員や官邸出向組のほか、OBも含めてヒアリングをしており、事実関係を最も知り得る立場にあった。

赤木雅子さんは、裁判開始と時期を合わせて出版した「私は真実が知りたい」(相澤冬樹・元NHK記者との共著)において、伊東氏から直接聞いた証言を公開している。調査報告書では安倍首相の国会発言と文書改ざんの関係を明確にしていないが、雅子さんに対しては本心を漏らしていたのだ。

その内容にふれる前に、報告書ではどのように書かれていたかを確認しておこう。以下は、そのポイントとなる部分だ。

◇17年2月17日の衆議院予算委員会で内閣総理大臣から、本人や妻がこの国有地払い下げに一切関わっていないことは明確にしたい旨の答弁があった。

◇17年2月24日の衆院予算委員会で、本省理財局長は「売買契約に至るまでの近畿財務局と森友学園との交渉記録というのはございませんでした」「面会等の記録につきましては残っていないということでございます」と答弁した。

◇本省理財局の総務課長から国有財産審理室長および近畿財務局の管財部長に対し、総理夫人の名前が入った書類の存否について確認がなされた。…理財局長はそうした記載のある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきであると反応した。具体的な指示はなかったものの、総務課長と国有財産審理室長は決裁文書の公表を求められる場合に備えて記載を直す必要があると認識した。

つまりこういうことだろう。「妻と私が関係していたら議員も総理もやめる」という安倍首相発言のあと、近畿財務局と森友学園との交渉記録などを野党に求められた佐川局長は「記録は一切残っていない」と答弁した。

 

総理夫人の名が記された書類があるかどうか確認したら、あることが判明した。佐川局長は「記載のある文書を外に出すべきではなく、最低限の記載とすべきである」と省内で語り、それを聞いた総務課長らは決裁文書の書き換えが必要だと認識した。

 

この報告書にカラクリがあるのは言うまでもない。安倍首相発言を佐川局長がどのように受けとめたのか。佐川局長の「記録はない」という国会答弁や、理財局の部下たちへの「記載のある文書を外に出すべきではない」発言は、安倍首相への忖度によるものか、それとも官邸から働きかけがあったのか。佐川局長は総務課長らに文書の書き換えを具体的には指示していないというが、指示していないのなら、「具体的には」は不要だろう。肝心なところが省かれたり、ボカされたりしている。

 

むろん、これで雅子さんが納得できるわけがない。著書「私は真実が知りたい」に、伊東氏が2018年10月28日、調査報告書について説明するため赤木さん宅を訪れたときの会話内容が書かれている。雅子さんがICレコーダーで録音していたものだ。雅子さんが、安倍首相の発言が文書改ざんに関係があるのかどうかを問いただすと、伊東氏はこう話した。

「国会が、まぁある意味延長したのは、あの発言があったから。野党は安倍さんの首を取りたくて…あれでまぁ炎上してしまって。で、理財局に対するいろんな野党の『あれ出せ、これ出せ』っていうのもですね、ワーって増えているので、そういう意味では関係があったとは思います。炎上しなければ別にそんなに、何か無理しなくても…」

安倍首相の国会発言があって、野党が財務省に資料を出すよう激しく騒ぎ立てた。佐川局長はひとまず「ない」と突っぱねたが、昭恵夫人の関与をうかがわせる記載があるなら、無理にでも書き換えさせておかねば、と考えた。そういう意味で、首相発言と文書改ざんは関係があったということなのだろう。

 

首相発言を受けて財務省理財局が改ざんに動いたというのは、もはや世間一般の見方ではあるが、この伊東発言によって初めて裏付けられたと言っていいのではないか。

だが、関係があることはわかったにせよ、どのように首相発言から改ざんに至ったのか具体的な経緯がいま一つはっきりしないのも確かだ。

首相発言のあとの一連の流れ。佐川氏が「記録はない」と答弁し、本省の指示で近畿財務局が改ざん作業を進める。これが、「阿吽の呼吸」や「忖度」のたぐいで、黙々と進められるようなことが果たしてありうるだろうか。

17年2月17日の衆院予算委員会。安倍首相の発言を聞いた佐川氏は驚愕したに違いない。佐川氏は鑑定価格9億円余の国有地を8億円以上値引きして森友学園に売却した件で、野党の質問攻勢を受け、国会対応に苦慮していた。そこに、「関係していたら辞める」と首相が言い放ったのである。野党の追及がさらに強まるのは火を見るよりも明らかだった。

たまたまこの日は首相発言に関する佐川氏への質問はなかったが、今後の国会対応を思うと、ほっとしているヒマはない。佐川氏は、すぐに部下に安倍首相夫妻の関与をうかがわせる文書があるかどうか、調べさせたのではないか。もし、そんな文書が流出したら大騒ぎになり、理財局長としての自分の立場も危うくなる。

案の定、不都合な文書があった。近畿財務局が作成した決裁文書だが、当然、本省も共有している。

◇平成26年4月28日 (森友学園との)打ち合わせの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり。

これはマズイ、と佐川局長は思ったはずだ。同年2月24日の衆院予算委では、「交渉記録あるいは面会記録、全て残っておりますね」と共産党の宮本岳志議員から質問され、「交渉記録というのはございませんでした」と答弁してその場をしのいだ。「ある」と答えたら「出せ」と言われる。「ない」で通せればいいが、昭恵夫人の記載箇所をそのまま残しておくのは不安だっただろう。

とはいえ、公文書改ざんが佐川氏の独断だったというのは、いささか早計である。総理の不用意な発言をカバーするため、順調に出世してきた幹部官僚が自発的に違法行為を指示するとは思えない。

おそらく、不都合な決裁文書の存在を確認するや、佐川氏は当時の政務担当総理秘書官、今井尚哉氏(現・首相補佐官)に知らせ、取り扱いについて判断を仰いだのではないかと、筆者は疑っている。

 

今井氏は総理夫人付きの職員を通して昭恵夫人をサポートする立場だった。影の首相とまでいわれる凄腕の秘書官だ。首相に不利になる文書があると聞いたら、改ざんしろとは言わないまでも、「何とかしろ」と迫ったに違いない。そうなると、佐川局長は逆らえない。上昇志向の強い典型的高級官僚のサガである。

 

文書改ざんの指示は、理財局国有財産審理室の杉田補佐から近畿財務局に伝えられた。赤木俊夫氏が書き残した「手記」に以下の記述がある。

 

◇元は、すべて、佐川理財局長の指示です。局長の指示の内容は、野党に資料を示した際、学園に厚遇したと取られる疑いの箇所はすべて修正するよう指示があったと聞きました。…杉田補佐が過剰に修正箇所を決め、杉田氏の修正した文書を近畿局で差し替えしました。

近畿財務局で杉田氏から修正指示を受けたのは池田靖統括官である。池田統括官は森友学園に国有地を売却したさい、交渉の責任者だった。赤木氏は交渉当時は他の部門にいて、いきさつを知る立場にはなかったが、その後、異動して池田統括官の部下になっていた。

池田氏は改ざんの作業をほとんど赤木氏に押しつけたとみられる。赤木氏は抵抗したが、近畿財務局長はゴーサインを出した。「手記」に、ありありとその様子がうかがえる。

 

◇楠管財部長に報告し、当初は応じるなとの指示でしたが、本省理財局中村総務課長をはじめ田村国有財産審理室長などから楠部長に直接電話があり、美並近畿財務局長に報告…美並局長は、本件に関して全責任を負うとの発言があったと楠部長から聞きました。…本省からの出向組の小西次長は、「元の調書が書き過ぎているんだよ。」と、調書の修正を悪いこととも思わず…杉田補佐の指示に従い…

赤木氏の苦悩を見続けた雅子さんは、率直な思いをありのまま「私は真実が知りたい」に書き綴った。

◇トッちゃんは、自分が罪に問われることを恐れていた。ことあるごとに「大変なことをさせられた」「内閣が吹っ飛ぶようなことを命じられた」「最後は下っ端が責任を取らされる」「ぼくは検察に狙われている」とおびえていたことを、よく覚えてる。

2018年3月2日、朝日新聞が「森友文書 書き換えの疑い」とスクープ記事を掲載。スマホでこの記事を見た雅子さんは「この人のやらされたこと、これだったんや」とすぐわかった、という。

3月7日、赤木俊夫さんは「雅子へ これまで本当にありがとう ゴメンなさい 恐いよ、心身ともに滅いりました」との遺書を残し、自宅で首をつって亡くなった。若い二人の部下には改ざんを手伝わせず、一人で背負いこみ、苦し
みぬいた末の死だった。

雅子さんから見れば、俊夫さん一人を犠牲にして、財務省と近畿財務局は組織を守ることに汲々としてきた。上司たちが次々と弔問に訪れたが、遺書を雅子さんが世間に公開するのを心配したり、メディアを避けるべきというアドバイスをするばかりで、真実は何一つ語られなかった。

なぜ夫は死ななければならなかったのか。雅子さんは、財務省の内部調査ではなく、第三者による客観公正な調査を求めているが、安倍首相や麻生財務大臣に応じる気配は全くない。

だからこそ、政官の巨大権力に押しつぶされそうになりながらも、真相解明を求める35万人の賛同者に励まされ、雅子さんは勇気をふりしぼって、大阪地裁に損害賠償請求訴訟を提起したのだ。

 

冷淡で不誠実な安倍官邸と保身官僚たち。正しくありたいと願う一人の職員が自ら死を選んだというのに、素知らぬ顔でウソをつき、文書を改ざんしてまで、責任を免れようとする。権力の堕落は目を覆うばかりだ。

image by:安倍晋三公式Facebook

新恭(あらたきょう)この著者の記事一覧

 

記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。その実態を抉り出し、新聞記事の細部に宿る官製情報のウソを暴くとともに、官とメディアの構造改革を提言したい。記者クラブを通した官とメディアの共同体がこの国の情報空間を歪めている。

https://www.mag2.com/p/news/460746

https://www.mag2.com/p/news/460746/2

https://www.mag2.com/p/news/460746/3

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小沢一郎が動いた。「民主主義を守る」立憲・国民の合流新党は日本を救うか?

MAG2 NEWS 国内   2020.08.14  306  by

 
arata20200813

  安倍政権に批判的な有権者の受け皿として大合流が期待されていた立憲民主党と国民民主党ですが、蓋を開ければ国民側が分党した上で、賛成派のみが立憲と合流するという結果となりました。この「小規模合流」については期待外れとの論評も上がっていますが、「国民民主党代表の玉木氏の労を多としたい」と評価するのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』にその理由を記すとともに、新党への国民の目線を刷新する必要性も訴えています。

 

立憲と国民の合流新党が、日本の「ラストチャンス」に?

党名をめぐって難航していた立憲民主党と国民民主党の合流がやっとのことで、実現しそうだ。

立憲民主党の福山哲郎幹事長が8月7日、国民民主党と合流する場合の新党名を「国会議員の投票で決める」と表明したからだが、国民民主党側はすんなり全員とはいかず、「分党」したうえ、となるらしい。

8月11日に「分党」の方針を表明した国民民主党の玉木雄一郎代表は「消費税減税など軸となる基本政策について一致が得られなかった」と理由を説明した。

 

政策の違いはもちろんある。消費税は、国民が5%へ減税、立憲は引き下げに慎重。原発は、立憲が即時ゼロ、国民は2030年代ゼロ。憲法改正については、国民が積極的に議論すべきとし、立憲は9条改正に断固として反対する。

しかし合流の目的は、野党勢力の大きな塊をつくるため政策の違いを超えて結束することにある。それは、誰もが分かっているはずのことだ。どうしても立憲と一緒になるのは嫌だというのは、政策よりむしろ、感情的なしこりがあるからとしか思えない、

立憲の枝野幸男代表と袂を分かったばかりの山尾志桜里議員などは、どういう考えなのだろうか。枝野代表が国民民主党に対し上から目線だと反発してきた面々はさて…。

玉木代表は立場上、残留組と行動をともにするようだが、誰が立憲と合流し、誰が別行動をとるのか、仔細が決まるのは、お盆休みが明けてからだろう。

立憲サイドには、意見対立でゴタゴタが続いた民主党時代と同じ轍を踏まないためにも「分党」は歓迎、という声もあるようだが、小さな規模の合流になってしまっては、野党結集のうえで物足りない。

「党名」をどうするかが問題のはずだった。立憲民主党がそのまま「立憲民主党」を提案したのに対し、政党支持率がかなり劣る国民民主党は「無記名投票による決定」を主張、合流目前のところで足踏みしていたのを、立憲が歩み寄り、これで万事うまくいくように見えた。

投票案受け入れを発表する前日の8月6日、立憲の枝野代表が国会内で小沢一郎氏(国民民主党)と会談している。

懸案となっている新党名の決め方について、小沢氏は枝野氏に対し、「党名を投票で決めると決断してほしい」と要請。枝野氏は「もうしばらく考えさせてもらいたい」と応じたという。(朝日新聞デジタル)

小沢氏は、党名にこだわるよりも、いま大切なことをやり遂げようと説得したに違いない。このままでは野党の弱体がいつまでも続き、堕落した安倍自民党政権を生き延びさせてしまう。野党の連合が必要だ。まずは立憲と国民が一つの党になって、野党連合の核をつくらねばならない、と。

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image by: kyouichi sato / CC BY

枝野氏が即答できなかった気持ちは、わからぬでもない。「週刊新潮」2020年8月6日号の記事における野党担当記者の解説がいい所をついている。

「両党が対等に解散して一緒になる新設合併方式や、新党の略称を『立民』ではなく『民主党』とすることで、すでに国民側に譲歩しているという思いがあるから。これ以上、玉木さんに歩み寄りたくないんですよ」(野党担当記者)

何も枝野氏だけの思いではないだろう。要は、立憲は国民民主党を“吸収合併”したかったのだ。国民の玉木代表があくまで“対等合併”を主張して譲らなかったため、枝野氏は党内の強硬派を説得し、両党とも解散のうえ新党を結成する案を提示した。それが、新設合併方式だ。

 

これで、吸収も対等もなくなったはずだが、枝野氏が提示した党名案に国民側としてはひっかかった。新党の名称を「立憲民主党」とし、通称・略称を「民主党」とする。「民主党」は国民民主党の略称だ、立憲は譲歩したのだと言われても、国民側とすれば、「立憲民主党」を正式名称とする以上、イメージとしてはいかにも吸収合併のようでイヤな感じは拭えない。

 

党名はどうなる?国民側が「投票による党名決定」にこだわる事情

そこで国民側が出してきたのが「投票による決定」だ。投票なら、たとえ結果として「立憲民主党」に落ち着こうとも、あくまで民主主義手続きで決まったのであって、立憲に吸収されたのではないと説明できる。

 

国会議員の投票となれば、数の多い立憲民主側の意向が反映され、新党名は「立憲民主党」になると予測はつくが、むしろそれゆえにこそ、国民側としては、決定過程が見える「投票」の手続きが欠かせない。

一方、合流協議を進めながらも、枝野代表の思いは複雑だ。立憲民主党の成り立ちからして、先祖返りのようなことをしたくないのは山々だったに違いない。

これまで国民民主党と意識的に距離を置こうとしてきた枝野氏の姿勢と、その転換過程を振り返っておこう。

 

2017年秋の衆院選を前に、前原民進党の合流先「希望の党」を率いた小池百合子氏のいわゆる“排除の論理”で誕生したのが立憲民主党だ。枝野氏が苦悩の中から一人で結党会見して立ち上げた新党だった。

カネも組織もない新党に、立候補者が続々と集まってきた奇跡を、我々は忘れることができない。永田町の権力闘争とは別次元の政治風景。安保法制や共謀罪などに反対する市民連合が後押しし、草の根の力がみなぎっていったのは、自然の流れだった。

捨てられた者たちの辛酸と再生のドラマが人々の瞼にいまだ焼き付いている現時点で、あたかも元の鞘におさまるかのような政治行動にまとわりつく無念さ、後ろめたさ。枝野氏の心の揺れは、新設合併方式と党名案を国民側に提示し、7月16日の記者会見に臨んだとき、明瞭な言葉で吐露された。

「今回、お示ししたパッケージとしての提案は、ゼロから立ち上げた立憲民主党をこれまで草の根から支えてきていただいた皆さんの信頼と期待に応えつつ、政権の選択肢として幅広い力を結集する責任を果たす、という両立困難ともいえる命題を解決する上での苦渋の判断に基づくものです」

両立困難な命題を解決する苦渋の判断。重い言葉である。国民との合流は、草の根から支援してくれた人々の思いに反するのではないかという自問自答。それは今でも枝野氏の胸から消えてはいない。しかし、野党結集という大局に立ち、政権奪取に向かわなければ、いつまでも万年野党に甘んじなければならない。立憲民主党が動かないと、野党結集などできるはずがないのだ。

立憲民主党が合流に向けて一歩を踏み出したのは、昨年夏の参議院選が終わってからだった。9月19日、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議の野党3党派の代表、幹事長6人が一堂に会したさい、衆・参両院で統一会派を組むことに合意したのである。

枝野氏が貫いてきた「永田町の数合わせにはくみしない」という姿勢が、これによって崩れた。「こうした戦い方が必要なフェーズに入った、ステージが変わったと思っている」と枝野氏は語った。

方針転換の背景には、参院選における「れいわ新選組」の躍進があった。立憲は議席こそ増やしたが、比例代表では、2017年の衆議院選挙より300万票以上も得票を減らした。一方、れいわ新選組が比例代表で228万票を獲得、安倍批判票の受け皿たらんと自負していた立憲に衝撃を与えた。

つねに野党結集を唱え、枝野氏の決起を促してきた小沢一郎氏は、こう語った。

「枝野さんは立憲民主党の将来に、かなり過大な見通しを持っていたが、山本太郎君が率いる『れいわ新選組』が参議院選挙で出した結果に、非常に影響を受けた」「この結果を見て大きく認識を改めたようだ。山本太郎君に表彰状を出さなくちゃいかん」(2019年10月2日、NHK政治マガジンより)

統一会派結成が決まると、枝野氏は小沢氏に会った。かつては反小沢の急先鋒だった枝野氏も、野党共闘については小沢氏を橋渡し役として頼りにするほかない。

小沢氏は統一会派結成にさいし、立憲との合流を嫌う国民の議員を説得して回った経緯がある。会派の結成だけでは不十分で、政権奪取には両党の合併が不可欠だと主張していた。

 

党の合流について小沢氏と話し合った枝野氏は2019年12月6日の野党党首懇談会で、国民民主党、社民党、野田佳彦元首相ら無所属議員に、会派だけではなく、党も合流しようと呼びかけた。立憲・国民両党の合流協議は、こうして今に至る。

息絶える寸前の「日本の民主主義」を守るためすべきこと

新党の党名を「代表選挙と合わせて国会議員による投票で決める」という立憲民主党が示した案は、国民民主党の主張に沿ったものだ。玉木代表が賛同しない道理はないはずだが、合流そのものに反対する人々が思いのほか多かったようだ。

 

政策の不揃いは明白である。連合の利害がからむような政策、たとえば立憲民主党の原発ゼロ政策は、電力総連が忌み嫌うものだ。電力総連は国民民主党の支持母体だし、同党の小林正夫総務会長は電力総連の出身である。

だが“しがらみ”に囚われていると、ロクなことはない。今は、利害とか人間関係の枠を飛び越える時だ。

「政策のすり合わせも必要」と玉木氏は言い、“船長”の責任において、合併反対派とともに党に残留する。不完全燃焼のようではあるが、とにもかくにも、合流を実現させたという意味で、玉木氏の労を多としたい。

 

間違いなく、新党は、あの民主党に先祖返りしただけとか、また失敗を繰り返すのかとか、人々を期待薄に誘う論評にさらされるだろう。

それでもいいではないか。民主党政権の失敗。その本質はどこにあったのかを総括し、多様な党内議論を一つにまとめる知恵をもって、再生のための壮大なチャレンジをしてもらいたい。

 

一度は実現するかと思われた二大政党制が民主党政権の失敗で崩壊し、安倍一強政治のもと、長い年月が流れた。もう一度、野党勢力の大きな塊をつくらねば、ほんとうにこの国の民主主義は息絶える。新党を見る国民の目線も刷新する必要があるのではないだろうか。

image by: 高井たかし - Home | Facebook

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