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東日本3・11大震災と平和問題                    澤野義一

2011年06月03日 03時17分00秒 | Weblog
   
3月11日東日本で起きた地震・津波とそれに起因する福島原発事故による被害は未曽有の規模になり、諸外国からも救援隊が派遣された。その中でも注目すべきは、米軍の「トモダチ」作戦である。総員1万6千人、航空機113機、原子力空母ロナルド・レーガンを含む艦船12隻による被災地支援(行くえ不明者の捜索、救援物資輸送、復旧作業等)と、原発対応(放射能対処の専門家派遣、はしけ船提供)を内容とする救援活動である。陸海空3自衛隊も定員の約半数近くの10万人、航空機539機、艦船53隻を投入している。そして日米軍は、東京と仙台に日米共同調整所を設置して活動している(読売新聞3月28日)。
しかし、これらの活動を、沖縄基地問題に関する民主党政権と米政府の不信感を緩和し、日米同盟深化として評価する論調もみられるが、手放しで評価すべきではない。
①米軍活動は費用的には30億円程度で、日本の「思いやり予算」約2000億円の1・5%程度にすぎない。新年度予算で今後5年間1兆円が米軍に投入されるが、アメリカは日本を真に「トモダチ」と思うのであれば、当該予算は震災支援のために返上すべきである。②原子力被害が問題になっている時期に原子力空母をベースにした救援活動を容認してよいのか。横須賀にいた原子力空母ジョージ・ワシントンは福島原発の放射能汚染を避けるため佐世保基地に退避している。折しも、原子炉事故の危険性があるワシントンの航行差し止めを求めていた裁判で、東京高裁は日米地位協定を優先し、住民の訴えを棄却している(3月17日)。原子力空母の危険性に一切ふれない司法権力も歴代政権と同様、今後その姿勢が問われることになろう。③日米軍の今回の活動は被災救援であるが、自衛隊幹部らが指摘しているように、同時に日米新ガイドラインや有事法制を念頭にした、有事における日米共同軍事活動の訓練でもあるとみなければならない。④軍隊は災害派遣も任務としているが、本来の戦闘活動に比べると装備・技術・訓練は全く劣っている。膨大な数の軍事兵器や軍隊による救援活動は、機能や費用面で本当に効率的なのか疑問である。戦艦が1時間航行すると普通自動車21年分の燃料を消費する、戦車が1時間走行すると普通乗用車1年分の燃料を消費する等々といった計算もあることを考慮すると、軍隊ではない災害救助に適切で効率的な装備や人員を日頃から確保すべきである。従来から提案されている自衛隊の災害救助隊への改編である。⑤日本の原発は平和(商業)利用を名目に推進されてきたが、政治家たちの意図は原子兵器をもつ能力をつけることも動機にあった。これが核武装論の底流になっており、平和の観点から原発自体の問題を問う必要がある。