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検察検討会議 タブーなき議論を求める

2010年11月14日 00時00分36秒 | Weblog
社説
2010年11月13日 10:52
 大阪地検特捜部の証拠改ざん・隠ぺい事件で信頼が失墜した検察の再生に向けて、柳田稔法相の私的諮問機関「検察の在り方検討会議」が議論を開始した。来春までに提言をまとめるという。

 特捜部の存廃を含む検察組織のあるべき姿や、取り調べの「可視化」導入の是非、捜査のチェック態勢の強化などが議論の焦点となるが、求められているのは小手先の手直しではない。検察の捜査の在り方を根本から見直す議論だ。

 法曹関係者だけでなく学者や民間人から選ばれた委員14人の中には、元東京高検検事の郷原信郎氏やジャーナリストの江川紹子さんら、検察に厳しい意見をもつ人も多数含まれている。

 座長は弁護士でもある千葉景子前法相が務める。大臣が設置する諮問機関にありがちな官僚による事務局主導でなく、自由で幅広い議論を期待できる顔ぶれがそろったといえる。タブーのない活発な議論を求めたい。

 「聖域なき改革」でなければ、プライドの高い組織を変えるのは難しい。検討会議には、検察が培ってきた風土や文化にとらわれることなく、大胆な改革提言を打ち出してもらいたい。それが検察の再生と信頼回復につながる。

 まず議論すべきは、今回の証拠改ざん事件で明らかになった検察の捜査手法の検証と、検証に基づく捜査体制の見直しだろう。

 事件の情報を得て、証拠の収集から関係者の取り調べ、起訴・不起訴の処分までをすべて同一の組織で行う特捜部の捜査が、いまのままでいいのか。

 そんな捜査体制が、検察の筋書きに沿った供述を引き出すために、被疑者や関係者に対する誘導や強要、時に脅しを交えた強引な取り調べを許容し、独善的な捜査体質を生んできたといえる。

 今回の証拠改ざんは、その延長線上で起きた。行き着く先は、あってはならない冤罪(えんざい)であり、事件の捏造(ねつぞう)である。特捜捜査をこのままの形で存続させるかどうか。避けられない論点だろう。

 この議論を進めていけば当然、検察捜査の在り方全般が検討対象となる。被疑者の自白を引き出すための供述調書に偏重した捜査手法や、取り調べの様子を録音・録画する「可視化」の導入も当然、議題に上ることになる。

 人を訴追する権限を与えられている検察官には、なによりも高い倫理性が求められている。権限の行使は「法と証拠」に従い、客観的でなければならない。倫理性と客観性ゆえに、国民も検察の権限を認め、信頼してきた。

 それが、いま疑われている。信頼を取り戻すには「法と証拠」にのみ従うという基本に立ち返るしかない。具体的には、自白偏重から客観的な証拠に基づく捜査の確立であり、取り調べの全面可視化を受け入れることだ。

 検察は「捜査の客観性」を取り戻すことから出直せ。そんな提言を求めたい。
=2010/11/13付 西日本新聞朝刊=
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/209573



検察検討会議が初会合 来春めどに改革案提言
2010年11月10日 14:10
大阪地検特捜部の証拠改ざん隠ぺい事件を受けて柳田稔法相が設置した、外部有識者による私的諮問機関「検察の在り方検討会議」(座長・千葉景子前法相)が10日、法務省で初会合を開いた。抜本的な検察改革に向けて議論し、来春をめどに提言をまとめる方針。

 法務省は、大臣官房審議官から松山地検検事正に異動後、2カ月で大臣官房付に戻した黒川弘務氏らを中心とした検察官に加え、弁護士と法学者各1人で事務局メンバーを構成。「事務局も第三者性を担保すべき」とする千葉座長の意向を反映したという。

 会合冒頭、柳田法相は「検察の再生と信頼回復のため幅広い観点から検討してほしい。国会で特捜部の組織や独自捜査の在り方が指摘された。必要な事項は議論してもらいたい」とあいさつ。時期については「可能な限り年度内をめどに提言してもらえれば」と述べた。

 千葉座長は「今回の事態には(法相在任中の)私にも重い責任があったのではないかと感じた。責任を果たす必要があると思い座長を引き受けた」と話した。