共生の小路ーこの時代に生きる私たちの社会に、警鐘とひかりを見いだす人々の連帯の輪をここにつくりましょう。

社会福祉の思想は次第に成熟されつつあった。しかし、いつのまにか時は崩壊へと逆行しはじめた。

新たな秩序へ 地球環境戦略を世界に示せ 深刻化する温暖化(1月15日付・読売社説)より

2008年01月18日 15時25分34秒 | Weblog
新たな秩序へ 地球環境戦略を世界に示せ 深刻化する温暖化(1月15日付・読売社説)

 ◆待ったなしの対策◆

 北極海の氷の面積が過去最小を記録した。凍土が解けたシベリアでは、メタンガスが噴出している。キリマンジャロの万年雪も消滅の危機にある――。

 世界各地で温暖化の影響とみられる現象が顕在化している。巨大なハリケーンなど、頻発する異常気象も、温暖化に起因するとされる。日本では昨夏、最高気温が40・9度を記録し、74年ぶりに記録を更新した。

 地球温暖化は、未来の話ではない。各国が連携して、早急に手を打つべき差し迫った課題だ。北海道洞爺湖サミットが開かれる今年、日本はその主導的役割を果たさねばならない。

 今年は、京都議定書が先進国に温室効果ガスの削減を義務付けた5年間の始まりの年でもある。

 議定書が採択された1997年、各国が一体となって地球温暖化に立ち向かおうという機運が高まったが、国際社会の一致した取り組みにはならなかった。

 世界最大の排出国である米国は、経済への悪影響を懸念し、2001年に議定書から離脱した。米国を抜き、世界一の排出国になったとされる中国や排出量5位のインドは、途上国として、削減義務を免除されている。

 京都議定書で削減義務を負っている国の総排出量は、全世界の3割でしかない。現状では、京都議定書以外に、温暖化対策の国際的なルールはないが、大きな欠陥を有しているのも明らかだ。

 昨年、ノーベル平和賞を受賞した「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、このまま有効な対策を講じなければ、平均気温が今世紀末に最大で6・4度上昇すると警告した。

 気温が上がるにつれて、干ばつによる農業被害や水不足、海面上昇による洪水、感染症の蔓延(まんえん)などは避けられまい。

 こうした事態を招かないために、急ぐべきは、京都議定書の対象期間が2012年に終わった後の温暖化対策のルール作りだ。京都議定書の失敗を繰り返してはならない。

 まず重要なのは、米国や中国など、すべての主要排出国が参加する枠組みにすることだ。京都議定書は、主に先進国に削減義務を課したが、新たな枠組みでは、途上国も、応分の責任を負うことが必要である。

 ◆「ポスト京都」こそ重要◆

 次に、どのように排出量削減を進めるのか、具体的なルールを決めなくてはならない。京都議定書と同様に、国ごとに削減目標を設けて達成を義務付けるのか、あるいは別の手法にするのか。

 昨年12月に開かれた国連の気候変動枠組み条約第13回締約国会議(COP13)は、先進国全体で排出量削減の数値目標を設けるかどうかで紛糾し、結局、目標設定は先送りされた。国別の目標設定の議論になれば、各国の利害の対立が一層、激しくなることは間違いない。

 欧州連合(EU)は、国別の削減義務付けを求めている。域内の排出量取引市場を発展させたいとの思惑がある。

 米国は、議定書を離脱した時から、一貫して義務付けに反対している。温暖化対策の国際交渉では、EU対米国という構図が定着した。

 日本は、米国を交渉のテーブルに留め置くことに腐心し、国別の義務付けなどへの態度を鮮明にしていない。産業界にも、削減義務付けへの拒否感は強い。

 各国が責任を持って排出削減に取り組むためには、やはり、国別の削減義務付けは必要であろう。今後の交渉で、何とか打開策を見いださねばならない。

 環境対策に消極的とされるブッシュ政権だが、仮に民主党政権になれば、米国の対応が大きく変わる可能性もある。

 中国の存在が、事態を複雑にしている。先進国に一層の削減努力を求める一方で、自らが削減義務を負うことは拒否している。大量排出国として応分の責任を担うよう先進国が協力して迫らねばなるまい。

 京都議定書により、日本は、排出量を90年度比で6%削減する義務を負っている。議定書に欠陥はあるとしても、批准国として、その達成に最大限の努力をしなければなるまい。

 だが、90年度当時、既に高水準の省エネルギー技術を有し、省エネを達成していた日本にとって、6%削減は容易でない。06年度の排出量は90年度を6・4%上回っている。

 ◆長期的視点の政策を◆

 環境省などは、6%に届かない分について、海外から排出枠を購入し、自国の削減分に計上する手法で賄う方針だ。これには1兆2000億円が必要との試算もある。財政難の中、削減率の帳尻合わせのために、巨額の公費を投入することに、国民の理解は得られるだろうか。

 日本は、世界全体の排出量を2050年までに半減させるという目標を提唱している。その場しのぎではなく、長期的視点に立った政策こそが必要である。

 省エネ技術の革新をなおも進め、その技術を途上国に提供することにより、日本は、世界全体の温室効果ガスの削減に今以上貢献できるはずだ。

 北海道洞爺湖サミットで成果を残せるかどうかが、「ポスト京都議定書」の枠組み作りの行方を左右するだろう。議長国の日本は、議論をリードする確固たる戦略を示さねばならない。
(2008年1月15日1時43分 読売新聞

「 ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功」 京都大学ニュースリリースより 抜粋

2008年01月16日 18時08分40秒 | Weblog
ヒト人工多能性幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功

2007年11月21日


 山中 伸弥教授(物質-細胞統合システム拠点/再生医科学研究所)らの研究グループは、ヒトの皮膚細胞からES細胞(胚性幹細胞)と遜色のない能力をもった人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発に成功しました。ヒトiPS細胞は患者自身の皮膚細胞から樹立できることから、脊髄損傷や若年型糖尿病など多くの疾患に対する細胞移植療法につながるものと期待されます。またヒトiPS細胞から分化させる心筋細胞や肝細胞は、有効で安全な薬物の探索にも大きく貢献すると期待されます。
 この論文は 11月20日(火曜日)正午(米国東部時間)に米国科学誌「Cell」のオンライン速報版で発表されることになりました。


 JST(理事長 北澤宏一)と京都大学(総長 尾池和夫)は、ヒトの皮膚細胞から胚性幹細胞(ES細胞)(注1)と遜色のない能力をもった人工多能性幹細胞(iPS細胞)(注2)の開発に成功しました。
 胚性幹細胞(ES細胞)は、高い増殖能とさまざまな細胞へと分化できる多能性を持つことから、再生医学(細胞移植療法)におけるドナー細胞の資源として期待を集めています。しかし、ES細胞はヒト受精卵から作製するために慎重な運用が求められており、また患者へ移植すると拒絶反応が起ってしまいます。そこで患者自身の体細胞から直接、ES細胞と同じ能力をもった幹細胞を樹立することが求められています。
 本研究チームは昨年8月に、4つの因子を組み合わせてマウス体細胞に導入することにより、高い増殖能と様々な細胞へと分化できる多能性をもつiPS細胞の樹立に成功しました。また本年5月には、改良したマウス第2世代iPS細胞も樹立、同細胞を受精卵に戻すことにより、マウスの全身の細胞に正常に分化することを明らかにしました。
 今回本研究チームは、マウスで同定した同じ因子をヒト成人皮膚に由来する線維芽細胞に導入することにより、ヒトES細胞と形態、増殖能、遺伝子発現、分化能力などにおいて類似したヒトiPS細胞の樹立に成功しました。
 マウス第2世代iPS細胞樹立以降、ヒトiPS細胞の開発に向けて世界レベルでの競争が展開されていましたが、本研究チームが先陣を切りました。
 ヒトiPS細胞は患者自身の皮膚細胞から樹立できることから、脊髄損傷や若年型糖尿病など多くの疾患に対する細胞移植療法につながるものと期待されます。またヒトiPS細胞から分化させる心筋細胞や肝細胞は、有効で安全な薬物の探索にも大きく貢献すると期待されます。
 本研究は、JST戦略的創造研究推進事業チーム型研究(CREST)の「免疫難病・感染症等の先進医療技術」研究領域(研究総括:岸本 忠三 大阪大学大学院生命機能研究科 教授)における研究課題「真に臨床応用できる多能性幹細胞の樹立」(研究代表者:山中伸弥 京都大学物質-細胞統合システム拠点/ 再生医科学研究所 教授)、およびNIBIOの「保健医療分野における基礎研究推進事業」における研究課題「人工万能幹細胞の創薬および再生医療への応用」(総括研究代表者 山中伸弥 同上)の一環として、山中伸弥(同上)や高橋和利(京都大学再生医科学研究所 産学連携助教)らによって行われました。今回の研究成果は、2007年11月20日正午(米国東部時間)に米国科学雑誌「Cell」のオンライン速報版で発表されます。

<研究の背景>
 受精後まもないヒト胚から樹立される胚性幹細胞(ES細胞)は、分化多能性を維持したまま長期培養が可能であり、細胞移植療法の資源として期待されています。しかし、ヒト胚利用に対する倫理的な反対意見も根強く、慎重な運用が求められています。体細胞からES細胞に類似した多能性幹細胞を直接に樹立することができたなら、胚の利用や移植後の拒絶反応を回避することができます。
 本研究チームは昨年、マウス体細胞に4つの因子(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)をレトロウイルスベクター(注3)で導入することにより、形態や増殖能がES細胞と類似し、分化多能性も持った人工万能幹細胞(iPS細胞)の樹立に成功しました。さらに本研究チームは本年5月に、そのiPS細胞を受精卵に戻すことにより、iPS細胞がマウスの全身の細胞に正常に分化し、いわゆるキメラマウス(注4)が誕生することを報告しました。iPS細胞は生殖細胞にも分化し、次の世代では、全身がiPS細胞に由来するマウスも正常に誕生しました。
 これらの実験結果は、iPS細胞の分化多能性がES細胞と比べても遜色がないことを示しています。その後、国内外の多数の研究チームが、ヒトiPS細胞の樹立を巡って、熾烈な競争を行ってきました。

<研究の内容>
 本研究チームは、ヒト成人皮膚に由来する体細胞に、マウスと同じ4因子をレトロウイルスベクターで導入し、その後、ヒトES細胞の条件で培養しました。そして、形態や増殖能に加えて、遺伝子発現パターンもヒトES細胞と類似したヒトiPS細胞を樹立しました(ヒトiPS細胞はお互いに密に接着し、平面なコロニーを形成する。これはヒトES細胞のコロニーと極めて類似している。)。ヒトiPS細胞は、神経、心筋、軟骨、脂肪細胞、腸管様内胚葉組織など、様々な細胞へと分化することができます(ヒトiPS細胞(約500万個)を免疫が抑制されたマウスの皮下に移植することにより、2ヶ月後に1cm程度の腫瘍が形成された。組織解析の結果、同腫瘍は、神経、皮膚、筋肉、軟骨、腸管様組織、脂肪組織など、様々な組織が混在する奇形腫であった。(左上:腸管様組織、右上:軟骨、左下:筋肉、右下、神経組織)。別の実験では、ヒトiPS細胞から拍動する心筋細胞も形成された。)。

<今後の展開>
 今回の成果により、ヒト成人の皮膚細胞からもiPS細胞の樹立ができることが分かりました。脊髄損傷や心不全などの患者体細胞からiPS 細胞を誘導し、さらに神経細胞や心筋細胞を分化させることにより、倫理的問題や拒絶反応のない細胞移植療法の実現が期待されます。またこれらの細胞は、疾患の原因の解明や新治療薬の開発に大きく寄与するものです。

<論文名>
「Induction of Pluripotent Stem Cells from Adult Human Fibroblasts by Defined Factors」
(成人由来線維芽細胞から特定因子による多能性幹細胞の樹立)

http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_news/documents/071121_11.htm より抜粋

谷川俊太郎 「生きる」   

2008年01月14日 03時41分47秒 | Weblog
谷川俊太郎

「生きる」   
       

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみをすること
あなたと手をつなぐこと

生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと

生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ

生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと

生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ

        

障害者の権利に関する条約 (抄)

2008年01月13日 04時06分11秒 | 
前文  省略

第一条 目的
この条約は、すべての障害者によるあらゆる人権及び基本的自由の完全かつ平等な享有を促進し、保護し、及び確保すること並びに障害者の固有の尊厳の尊重を促進することを目的とする。
障害者には、長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者であって、様々な障壁との相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参加することを妨げられることのあるものを含む。
第二条 定義
この条約の適用上、
「意思疎通」とは、言語、文字表記、点字、触覚を使った意思疎通、拡大文字、利用可能なマルチメディア並びに筆記、聴覚、平易な言葉及び朗読者による意思疎通の形態、手段及び様式並びに補助的及び代替的な意思疎通の形態、手段及び様式(利用可能な情報通信技術を含む。)をいう。
「言語」とは、音声言語及び手話その他の形態の非音声言語をいう。
「障害を理由とする差別」とは、障害を理由とするあらゆる区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいう。障害を理由とする差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。
「合理的配慮」とは、障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。
「ユニバーサルデザイン」とは、調整又は特別な設計を必要とすることなく、最大限可能な範囲ですべての人が使用することのできる製品、環境、計画及びサービスの設計をいう。ユニバーサルデザインは、特定の障害者の集団のための支援装置が必要な場合には、これを排除するものではない。
第三条 一般原則
この条約の原則は、次のとおりとする。
1. 固有の尊厳、個人の自律(自ら選択する自由を含む。)及び個人の自立を尊重すること。
2. 差別されないこと。
3. 社会に完全かつ効果的に参加し、及び社会に受け入れられること。
4. 人間の多様性及び人間性の一部として、障害者の差異を尊重し、及び障害者を受け入れること。
5. 機会の均等
6. 施設及びサービスの利用を可能にすること。
7. 男女の平等
8. 障害のある児童の発達しつつある能力を尊重し、及び障害のある児童がその同一性を保持する権利を尊重すること。
第四条 一般的義務
1. 締約国は、障害を理由とするいかなる差別もなしに、すべての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
1. この条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置をとること。
2. 障害者に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し、又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。
3. すべての政策及び計画において障害者の人権の保護及び促進を考慮に入れること。
4. この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控え、かつ、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
5. 個人、団体又は民間企業による障害を理由とする差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。
6. 障害者による利用可能性及び使用を促進し、並びに基準及び指針の整備に当たりユニバーサルデザインを促進するため、第二条に定めるすべての人が使用することのできる製品、サービス、設備及び施設であって、障害者に特有のニーズを満たすために可能な限り最低限の調整及び最小限の費用を要するものについての研究及び開発を約束し、又は促進すること。
7. 障害者に適した新たな技術(情報通信技術、移動補助具、装置及び支援技術を含む。)であって、妥当な費用であることを優先させたものについての研究及び開発を約束し、又は促進し、並びにその新たな技術の利用可能性及び使用を促進すること。
8. 移動補助具、装置及び支援技術(新たな技術を含む。)並びに他の形態の援助、支援サービス及び施設に関する情報であって、障害者にとって利用可能なものを提供すること。
9. この条約において認められる権利によって保障される支援及びサービスをより良く提供するため、障害者と共に行動する専門家及び職員に対する研修を促進すること。
2. 締約国は、経済的、社会的及び文化的権利に関しては、これらの権利の完全な実現を漸進的に達成するため、自国における利用可能な手段を最大限に用いることにより、また、必要な場合には国際協力の枠内で、措置をとることを約束する。ただし、この条約に定める義務であって、国際法に従って直ちに適用可能なものに影響を及ぼすものではない。
3. 締約国は、この条約を実施するための法令及び政策の作成及び実施に当たり、並びにその他の障害者に関する問題についての意思決定過程において、障害者(障害のある児童を含む。)を代表する団体を通じ、障害者と緊密に協議し、及び障害者を積極的に関与させる。
4. この条約のいかなる規定も、締約国の法律又は締約国について効力を有する国際法に含まれる規定であって障害者の権利の実現に一層貢献するものに影響を及ぼすものではない。この条約のいずれかの締約国において法律、条約、規則又は慣習によって認められ、又は存する人権及び基本的自由については、この条約がそれらの権利若しくは自由を認めていないこと又はその認める範囲がより狭いことを理由として、それらの権利及び自由を制限し、又は侵してはならない。
5. この条約は、いかなる制限又は例外もなしに、連邦国家のすべての地域について適用する。
第五条 平等及び差別されないこと
1. 締約国は、すべての者が、法律の前に又は法律に基づいて平等であり、並びにいかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受ける権利を有することを認める。
2. 締約国は、障害を理由とするあらゆる差別を禁止するものとし、いかなる理由による差別に対しても平等のかつ効果的な法的保護を障害者に保障する。
3. 締約国は、平等を促進し、及び差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
4. 障害者の事実上の平等を促進し、又は達成するために必要な特別の措置は、この条約に規定する差別と解してはならない。
第六条 障害のある女子
1. 締約国は、障害のある女子が複合的な差別を受けていることを認識し、及びこの点に関し、障害のある女子がすべての人権及び基本的自由を完全かつ平等に享有することを確保するための措置をとる。
2. 締約国は、女子に対してこの条約に定める人権及び基本的自由を行使し、及び享有することを保障することを目的として、女子の完全な能力開発、向上及び自律的な意思決定力を確保するためのすべての適当な措置をとる。
第七条 障害のある児童
1. 締約国は、障害のある児童が他の児童と平等にすべての人権及び基本的自由を完全に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる。
2. 障害のある児童に関するすべての措置をとるに当たっては、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
3. 締約国は、障害のある児童が、自己に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利並びにこの権利を実現するための障害及び年齢に適した支援を提供される権利を有することを確保する。この場合において、障害のある児童の意見は、他の児童と平等に、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
第八条 意識の向上
1. 締約国は、次のことのための即時の、効果的なかつ適当な措置をとることを約束する。
1. 障害者に関する社会全体(家族を含む。)の意識を向上させ、並びに障害者の権利及び尊厳に対する尊重を育成すること。
2. あらゆる活動分野における障害者に関する定型化された観念、偏見及び有害な慣行(性及び年齢を理由とするものを含む。)と戦うこと。
3. 障害者の能力及び貢献に関する意識を向上させること。
2. このため、1の措置には、次のことを含む。
1. 次のことのための効果的な公衆の意識の啓発活動を開始し、及び維持すること。
1. 障害者の権利に対する理解を育てること。
2. 障害者に対する肯定的認識及び一層の社会の啓発を促進すること。
3. 障害者の技術、価値及び能力並びに職場及び労働市場に対する障害者の貢献についての認識を促進すること。
2. 教育制度のすべての段階(幼年期からのすべての児童に対する教育制度を含む。)において、障害者の権利を尊重する態度を育成すること。
3. すべてのメディア機関が、この条約の目的に適合するように障害者を描写するよう奨励すること。
4. 障害者及びその権利に関する啓発のための研修計画を促進すること。
第九条 施設及びサービスの利用可能性
1. 締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者と平等に、都市及び農村の双方において、自然環境、輸送機関、情報通信(情報通信技術及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサービスを利用することができることを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービスの利用可能性における障害及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。
1. 建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)
2. 情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)
2. 締約国は、また、次のことのための適当な措置をとる。
1. 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスの利用可能性に関する最低基準及び指針の実施を発展させ、公表し、及び監視すること。
2. 公衆に開放され、又は提供される施設及びサービスを提供する民間の団体が、障害者にとっての施設及びサービスの利用可能性のあらゆる側面を考慮することを確保すること。
3. 障害者が直面している施設及びサービスの利用可能性に係る問題についての研修を関係者に提供すること。
4. 公衆に開放された建物その他の施設において、点字の標識及び読みやすく、かつ、理解しやすい形式の標識を提供すること。
5. 公衆に開放された建物その他の施設の利用可能性を容易にするための生活支援及び仲介する者(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること。
6. 障害者による情報の利用を確保するため、障害者に対する他の適当な形態の援助及び支援を促進すること。
7. 障害者による新たな情報通信技術及び情報通信システム(インターネットを含む。)の利用を促進すること。
8. 情報通信技術及び情報通信システムを最小限の費用で利用可能とするため、早い段階で、利用可能な情報通信技術及び情報通信システムの設計、開発、生産及び分配を促進すること。
第十条 生命に対する権利
締約国は、すべての人間が生命に対する固有の権利を有することを再確認するものとし、障害者が他の者と平等にその権利を効果的に享有することを確保するためのすべての必要な措置をとる。
第十一条 危険な状況及び人道上の緊急事態
締約国は、国際法(国際人道法及び国際人権法を含む。)に基づく自国の義務に従い、危険な状況(武力紛争、人道上の緊急事態及び自然災害の発生を含む。)において障害者の保護及び安全を確保するためのすべての必要な措置をとる。
第十二条 法律の前にひとしく認められる権利
1. 締約国は、障害者がすべての場所において法律の前に人として認められる権利を有することを再確認する。
2. 締約国は、障害者が生活のあらゆる側面において他の者と平等に法的能力を享有することを認める。
3. 締約国は、障害者がその法的能力の行使に当たって必要とする支援を利用することができるようにするための適当な措置をとる。
4. 締約国は、法的能力の行使に関連するすべての措置において、濫用を防止するための適当かつ効果的な保護を国際人権法に従って定めることを確保する。当該保護は、法的能力の行使に関連する措置が、障害者の権利、意思及び選好を尊重すること、利益相反を生じさせず、及び不当な影響を及ぼさないこと、障害者の状況に応じ、かつ、適合すること、可能な限り短い期間に適用すること並びに権限のある、独立の、かつ、公平な当局又は司法機関による定期的な審査の対象とすることを確保するものとする。当該保護は、当該措置が障害者の権利及び利益に及ぼす影響の程度に応じたものとする。
5. 締約国は、この条の規定に従うことを条件として、障害者が財産を所有し、又は相続し、自己の会計を管理し、及び銀行貸付け、抵当その他の形態の金融上の信用について均等な機会を有することについての平等の権利を確保するためのすべての適当かつ効果的な措置をとるものとし、障害者がその財産を恣意的に奪われないことを確保する。

 以下、省略 
      (日本政府仮訳文)

第163回衆議院本会議 第12号 平成17年10月31日(月曜日) 会議録全文

2008年01月11日 04時46分54秒 | Weblog
○議長(河野洋平君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日程第一 障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案(山井和則君外五名提出)
 日程第二 障害者自立支援法案(内閣提出、参議院送付)
○議長(河野洋平君) 日程第一、山井和則君外五名提出、障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案、日程第二、内閣提出、参議院送付、障害者自立支援法案、右両案を一括して議題といたします。
 委員長の報告を求めます。厚生労働委員長鴨下一郎君。
    ―――――――――――――
 障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案及び同報告書
 障害者自立支援法案及び同報告書
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
    〔鴨下一郎君登壇〕
○鴨下一郎君 ただいま議題となりました二法案について、厚生労働委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 まず、内閣提出の障害者自立支援法案について申し上げます。
 本案は、障害者基本法の基本的理念にのっとり、障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、障害種別ごとに福祉サービスや公費負担医療を提供している制度を、市町村を実施主体とする一元的な制度に改めようとするもので、その主な内容は、
 第一に、障害福祉サービスの給付を受けようとする者は、市町村に申請を行い、障害程度区分の認定を受けるものとすること、
 第二に、障害福祉サービス及び公費負担医療の利用者負担並びに食費等の負担の見直しを行うとともに、低所得者について利用者負担の軽減措置を講ずること、
 第三に、在宅の障害福祉サービスに係る国の費用負担を義務的経費とすること、
 第四に、市町村及び都道府県は、国が策定する指針に基づき障害福祉計画を策定すること、
 第五に、政府は、障害者等の所得の確保に係る施策のあり方及び障害者等の範囲について検討を加え、必要な措置を講ずること
等であります。
 次に、山井和則君外五名提出の障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本案は、現行の支援費制度の対象に精神障害者も加えて拡充し、障害者福祉に係る国の財政責任を明らかにするとともに、障害者の雇用及び社会参加を促進しようとするもので、その主な内容は、
 第一に、居宅生活支援費の支給に係る国の費用負担を義務的経費とすること、
 第二に、就労支援事業及び移動支援事業等社会参加を促進する事業に係る国の費用負担を定めること、
 第三に、包括的な障害者福祉に関する法制のあり方について、検討を加え、必要な措置を講ずること
等であります。
 内閣提出の法律案については、参議院先議に係るものであり、衆議院においては、両案ともに去る十八日の本会議において趣旨説明が行われ、同日本委員会に付託されました。
 本委員会では、十九日両案について尾辻厚生労働大臣並びに提出者村井宗明君からそれぞれ提案理由の説明を聴取し、二十一日から質疑に入り、二十五日には参考人から意見を聴取するなど審査を行い、去る二十八日に質疑を終局いたしました。
 次いで、山井和則君外五名提出の法律案について内閣の意見を聴取した後、両案について討論、採決を行った結果、山井和則君外五名提出の法律案は賛成少数をもって否決すべきものと議決し、内閣提出の法律案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) 両案につき討論の通告があります。順次これを許します。田名部匡代君。
    〔田名部匡代君登壇〕
○田名部匡代君 民主党の田名部匡代です。
 今回、初めて本会議において発言をさせていただくことになりました。この機会を与えてくださった民主党の皆様、そして、何より地元青森県でどんなときも私を励まし、支えてくださった皆様に対して心から感謝を申し上げ、討論に移らせていただきます。(拍手)
 民主党・無所属クラブを代表して、民主党提出、障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案に賛成、政府提出の障害者自立支援法案に反対の立場から討論を行います。
 さきの通常国会において、民主党は政府提出法案に反対をいたしました。地域に暮らす障害者の声を真摯に聞けば、政府提出法案が障害者の生活を踏みにじるものにすぎないと断ぜざるを得ず、さらに、与党に求めた修正要求項目がことごとく退けられるに至り、反対を決しました。
 二〇〇三年度からスタートした支援費制度は、障害者の自立と社会参加実現に向けた大きなかけ橋となりました。問題となっている支援費制度開始直後から二年連続して生じた支援費の予算不足は、そもそも政府が見込みを誤ったところに原因があります。
 障害者施策の喫緊の課題は、支援費制度によって施設から地域へと戻れるようになった障害者が、どこに住んだとしても必要なサービスを公平に受けられるように、さらなる障害者サービス基盤の底上げを行うこと、また、平成二十一年度に予定される介護保険のエージフリー化と時期を合わせ、障害当事者を交えて新たな障害福祉法制度を構築することであるはずです。これらの基本認識に立って障害者施策を進めるのが常道であると考えます。
 政府及び与党は、二度にわたる法案提出とその審議過程において、障害者の生活実態を理解しようとせずに、定率負担という制度が利用者の生活にどれほどの影響を与えるのか、そしてその心理的な影響はいかばかりであるのか、新しく導入する福祉施策によって現在のサービス水準が保障されるのか等々の質問に全く答えようとしません。
 最近の政府提出法案に多くなっている政省令事項に関しても、その具体的内容は明らかになっていません。本法案でいうならば、障害程度区分はどのような体系となるのか、その区分においてどれだけのサービス利用ができるのかという、障害当事者が一番懸念している事項さえ、通常国会審議からおよそ半年の時間が経過しているにもかかわらず、明らかではありません。これで政府案の議論が尽くされたとは到底言えません。
 さて、一方の民主党案です。
 本法案は、現行法体系の延長線上で、サービス水準を引き上げようとするものです。現行法体系を単純に継続するものではありません。精神障害も支援費制度の適用対象にしますし、政府が裁量的経費にしていた在宅系サービスも義務的経費に切りかえます。就労継続支援、就労移行支援を設け、さらに社会参加に必要な移動支援等々の事業も三法案の中で明確化し、同事業に対し国が財政支援を実施することとしています。すなわち、三障害のサービス水準を底上げする形で均等化し、障害によって不公平があると言われる現行法の欠陥を埋める改正は行っています。
 現行法体系の拡充をした後はどうなるのかという疑問にも、民主党案は明確に答えています。二年間かけて、三障害にとらわれず、すべての障害を対象とした包括的障害福祉法制を検討する。新たな法制では、所得保障を含め、所得確保のあり方も定める。そうして、介護保険のエージフリー化と同時に、新たな障害福祉法制をスタートさせる。いずれも法案に明記しています。
 障害者が自立と社会参加をいかに実現するのかを考えれば、いずれの法案のとる道が正しいのかは明白であります。(拍手)
 障害者福祉を当事者抜きに決定することはできません。それは、厚生労働省であっても財務省であっても、ましてや、自民党でも公明党でもなければ、私たち民主党でもできないのです。障害を持ちながら地域で一生懸命生きている障害者、その人たちの意思を尊重すべきではありませんか。障害者に光をではなく、障害者を社会の光に、この心を忘れてはなりません。
 民主党は、障害当事者の立場に立ったとき、当事者不在の政府法案を認めることはできません。障害当事者とひざ詰めで協議をし、当事者が納得できる制度を構築する枠組みをつくろうとする民主党案こそ、着実な前進を図るものであります。
 これまでの議論の中でも、適切なサービスは維持すると政府は言い続けてきました。しかし、障害者の不安は、これまでのサービスが受けられなくなるのではないかということであります。自分の生活実態を必ずしも理解していない審査員によって一方的に決定されてしまうサービスの維持を望んでいるのではありません。
 重要なのは、本人の意向が十分に反映され、現行の水準を維持したサービスの継続であるにもかかわらず、そのことは約束されてはいません。政府提出法案によってサービスが維持されず、ましてや一割負担となれば、生きるすべを奪われ、みずからの命を投げ出したり、障害児を生み育てながら懸命に生きてきた家族を死に追いやることになりかねません。
 この法案で障害者の生活や人生が大きく変わるかもしれないというのに、審議に必要なデータは余りにもずさんな上に、肝心な部分に対しても、いまだに検討中、努力をしますという答弁を繰り返すばかりです。明確な説明は行われておりません。
 そんな中にあって、これほどまでに急いで法案を通そうとするのは、障害者のためではなく、政府の都合ではないでしょうか。障害者の一割負担を導入しても、年間の節減額はわずか三百億円と試算されています。それならば、徹底して税金のむだ遣いをやめれば済む話ではないでしょうか。政府の見込み違いで支援費制度が続けられなくなったにもかかわらず、そのツケを利用する障害者に一方的に押しつけるやり方には、断固反対いたします。(拍手)
 ひどいのは、法案の中身だけではありません。
 法案賛成のある議員は、委員会終了後、今から勉強しないと全くわからないとおっしゃっていました。長期間にわたり、暑い日も雨の日も、朝も夜も、あきらめることなく思いを訴え続けた障害者の気持ちを考えたとき、私はその無責任さに本当に腹が立ちました。
 また委員会で採決終了後に、自民党のある議員は、障害者に対する不適切な発言をしたのであります。この発言は、私にとって聞くにたえない極めて残念なものでした。
 この発言は大問題であります。そのような人間を公認された小泉総理、恥ずかしくはないですか。それほど障害者の皆さんは切実な思いでいるのです。人の心の痛みを、苦しみを感じようともせず、平然と発言した人間を、私は国会議員として決して認めたくはありません。こうした心ない政治家が障害者の生活を左右する大事な法案にかかわっていることを大変残念に思います。
 私たちは、障害者の本当の苦しみはわかってあげられないかもしれません。しかし、少しでも気持ちを理解し、もっと時間をかけて、真に障害者のためになる制度を考えることはできるはずです。
 だれもが平等に与えられた生きる権利を守っていくのが、私たち国会議員に課せられた責務であります。一度しかない人生、たとえどんな境遇であっても、この子を産んでよかった、生まれてきてよかった、そう思える人生にしてほしいし、だれもがそう思える社会をつくりたいと心から願います。
 私は、議員として経験は浅いです。しかし、そんな私のところにも、多くの障害者から救いを求めるメッセージが届きました。その中には、私たちはぜいたくをしたいと言っているのではありません、人間らしく生きたいだけですとか、制度が維持されても私たちの生活が維持できないとしたらこの法案の意味はどこにあるのですかという言葉がありました。そして、障害児の親からは、この政府案は障害児を産んだことを一生背負って生きていきなさいと言っているのと同じですとの、そんなメッセージが寄せられました。障害者は私たちに助けてくれと心から訴えています。
 私は、今、この場に立ち、障害者の思いが一人でも多くの方に届くようにと願いながら発言をさせていただいています。ハンディを背負いながらも一生懸命生きようとしている人に頑張る力を、夢を、笑顔を与えられる政治を実現すべきであり、それを実現させられるのは我が民主党だと信じています。
 ここにおられるすべての議員が、障害者の願いを受けとめてくださるよう、そして、全国におられる障害者の心の叫びに耳を傾け、賢明な御判断をしてくださるよう心からお願いを申し上げ、民主党提出、障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案に賛成し、政府提出、障害者自立支援法案に反対する討論といたします。(拍手)
○議長(河野洋平君) 福島豊君。
    〔福島豊君登壇〕
○福島豊君 公明党の福島豊です。
 私は、ただいま委員長より報告のありました内閣提出の障害者自立支援法案について自由民主党、公明党を代表して賛成の立場から、また、民主党提出の障害者自立支援の身体障害者福祉法等改正案に反対の立場から討論を行うものであります。(拍手)
 我が国の障害者福祉は、先進諸国に比較するとき、残念ながらいまだ十分と言えない面があり、とりわけ、地域での生活を支える在宅サービスについては大きな地域間格差があります。施設から地域へという改革を支えるためには、サービス提供を大きく拡大することが求められています。
 こうした現状を改革するため、政府は、支援費制度を平成十五年から開始しました。この措置制度から契約制度への転換により、サービス利用は大きく広がり、障害者福祉の大きな転機となりました。しかしながら、この急拡大は、支援費予算が他の予算に比べ大幅に伸ばされたにもかかわらず財源不足をもたらし、大変な困難を生じさせることともなりました。
 障害者の自立と社会参加を進めていくためには、拡大する福祉サービスを安定して支える仕組みをつくることが最も重要な課題であります。本法案は、障害者福祉サービスの給付を国等の義務的経費へ転換し、福祉サービスの持続的な拡大の道を開く重要な改革を実現するものであります。
 また、従来、身体、知的、精神と分立していた障害者施策を一元化し、支援費制度の対象となっていなかった精神障害の方々へのサービスを他の障害と同様に位置づけ、地域での生活を支える基盤を確立するものであります。
 さらに、自立と社会参加を支える柱である就労を通じての所得保障を確立するため、就労支援サービスを新たな体系へ再編拡充し、就労の機会の拡大を進めることを目指すものであります。
 このように重要な改革を進めるのが本法案であり、関係者の方々からも早期の成立が期待されていましたが、一方で、利用者負担が従来の応能負担から定率負担上限制へ移行すること、新たに障害程度区分判定の審査会が設けられることなどに対し、関係者の方々から多くの不安の声が寄せられたことも事実であります。
 私どもは、こうした声をできる限り反映するため、百時間に近い審議を行い、重ねて多くの参考人の御意見をお聞きしました。そうした審議を通じ、通常国会では法案修正を与党において講じ、利用者負担についてもさまざまな減免措置を講じるなど、多くの見直しを行うこととなりました。
 本法案は、現在の障害者福祉サービスをさまざまな面から拡大し、地域における自立した生活を実現する基礎となるものであります。ぜひとも成立させる必要があります。
 一方、民主党案は、福祉のエージフリー化を掲げる同党のマニフェストに矛盾するだけでなく、サービス体系の将来像など重要な課題をすべて先送りし、単に財源のみを義務的経費とするものであります。また、精神障害者の福祉サービスは、その根拠となる法律も示さず来年四月の施行をうたうなど非現実的なもので、到底賛成できるものではないと言わざるを得ないわけであります。(拍手)
 今こそ、障害者が自立した生活を営むことのできる地域福祉社会の構築を進めていかなければなりません。そのため、今後、政省令の制定など、本法の運用において、国会審議や附帯決議の趣旨、また当事者の方々の意見を十分に尊重するとともに、自立と社会参加のためのサービス基盤の整備を緊急に進められることを最後に政府に強く求め、賛成討論といたします。(拍手)
○議長(河野洋平君) 笠井亮君。
    〔笠井亮君登壇〕
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、政府提出の障害者自立支援法案に断固反対の討論を行います。(拍手)
 最大の理由は、障害者の福祉サービスに定率一割の応益負担を導入するものだからであります。
 障害者の基本的権利である食事や入浴、コミュニケーションや移動などのサービスを利益として負担を求めれば、重い障害者ほど重い負担が強いられることになります。負担上限などで配慮したと言いますが、施設入所で手元に残るのは月額二万五千円、グループホームや通所施設では、わずかな工賃さえ上回る利用料負担で、生活費が残る保証はありません。
 しかも、本法案は、精神通院などの公費負担医療にも応益負担を導入しています。障害者に必要な医療を妨げ、健康状態の悪化を招き、命をも脅かすことは明らかです。さらに、障害程度区分の検証もなく、二百を超える重要事項を政省令にゆだねています。サービスの抑制は必至であります。
 本法案による障害者の負担増は、政府試算でさえ年間七百億円にもなり、所得保障もせず、サービスは利益だなどと重い負担を強いるものであります。これでは自立したくても自立できない、これが多くの障害者の痛切な声であります。まさに、障害者の自立と社会参加に逆行し、人権を真っ向から否定するものにほかなりません。
 なお、応益負担を導入しないこととしている民主党案には賛成です。
 最後に、自立支援の名のもとに障害者にまで痛みを押しつけ、社会保障を根底から覆す小泉内閣は、断じて許されません。今、世界の流れに沿った、真の障害者自立支援と社会参加を促進する抜本的施策こそ必要だということを強調し、討論を終わります。(拍手)
○議長(河野洋平君) 阿部知子君。
    〔阿部知子君登壇〕
○阿部知子君 社会民主党の阿部知子です。
 社会民主党・市民連合を代表して、政府提出の障害者自立支援法案に反対、民主党提案の障害者福祉法の一部を改正する法律案に賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 私たち抜きに私たちのことを決めないで、そういう障害者の必死な声をかき消すように、十月二十八日午後四時三十五分、委員会において可決されたこの障害者自立支援法は、本日、この場の本会議採択に付されております。
 二年前に発足した支援費では、既に財源不足あるいはサービスの地域間格差が、あたかも障害者のわがままやあるいは強過ぎる自己主張の結果として語られ、今回の自立支援法においては、公平公正をうたい文句としながら、障害者本人の声を全く聞くことのない評価委員会が発足いたします。スウェーデンでは、サービス利用に関して、障害者はすべからくそのみずからの希望をそこに聞き入れられねばならないという法律があることに比して、何と我が国の障害者施策のおくれたところでありましょうか。
 そればかりではありません。応益負担を第一とする本法案では、ただでも所得の少ない障害者、ますます困窮が目に見えております。
 さらに、扶養義務を外すといいながら、その御家族は収入や貯蓄のすべてを吐き出すまで個別減免はされず、それでは家族の困窮のみならず、障害者の願ってやまない家族からの自立は全く保障されません。
 さらには、障害者基本法十三条に述べられた所得の保障は、一九八六年、障害年金の発足以降いっかな充実することなく、本日のこの法案の成立によって、ただでも少ない所得の中からさらにサービス利用料と称してお金を取っていく、本当に憲法二十五条の最低限の生活すら保障されない悪法だと思います。
 OECD諸国中、我が国の障害者施策にかかわる費用は最も少なく、なおかつ、質も最低のものであると思います。加えて、このたび、障害者の自立支援医療として、精神障害にかかわる三十二条、更生医療、育成医療すら削除され、生存の危機がここに大きく不安として障害者の中に広がっております。
 本法案は、障害を当たり前のものとして共生を図ろうとする新たな時代の価値観に逆行するばかりか、急速に進行する少子高齢社会の活力をそぐまさに希代の悪法であり、その成立には断固反対し、真の障害者自立に向けて、差別禁止法あるいは地域でのサービス基盤の充実特別立法に党として全力を挙げて闘っていくことを表明して、私の反対討論を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(河野洋平君) これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
○議長(河野洋平君) これより採決に入ります。
 まず、日程第一、山井和則君外五名提出、障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は否決であります。この際、原案について採決いたします。
 本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立少数。よって、本案は否決されました。
 次に、日程第二、内閣提出、参議院送付、障害者自立支援法案につき採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
○議長(河野洋平君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
○議長(河野洋平君) 本日は、これにて散会いたします


★参考 第165回厚生労働委員会 第8号 平成18年12月6日(水曜日)
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/009716520061206008.htm

「お互い様」の精神 市毛良枝さん  医療と介護 ケアノート 2007年12月27日 読売新聞より

2008年01月08日 18時12分06秒 | Weblog
市毛良枝さん
「お互い様」の精神
将来は地域で助け合い

 母(利枝さん)は先日、92歳の誕生日を迎えました。

 脳こうそくがきっかけで始まった母の介護を、私はもう2年以上続けていることになります。この間、母の助けとなる医療や介護の制度に、私はかなり詳しくなりました。

 リハビリの体制が不十分だったり、母を一人にした時に頼れるサービスが少なかったりと、必要なことをしてもらえない現状があることを痛感しました。財政難などを理由にした制度の見直しは、今後も続き、私たちをさらに締め付ける可能性があります。

 母のことだけでなく、私自身の老後のシミュレーションをしてみると、1人でやっていけるのだろうかと絶望的な思いがします。ただ、私は、あらゆることを行政に押し付けようとは思っていません。

 母の介護では、周囲の知人らに随分助けられました。母の入院中に親しくなった患者さんの家族から、介護に役立つ情報を教えてもらったり、自宅を改修する際には、足が不自由な友人のアドバイスで、車いすのまま使える洗面台を備えたりすることができました。こうした身近なサポートが、私にとっては何より力になったのです。

 今は、母の介護で手いっぱいですが、母がしっかりして少し余裕ができた時、今度は私が他人を助ける立場になれないかと思っています。

 「お互い様」の精神に基づいた、昔のご近所づきあいのような考え方です。井戸端会議のような場所で、「○○さんち、人手がなくて困っているみたいだよ。じゃあ行ってあげようか」みたいな。

 そうした関係を地域のコミュニティーの中で築いていくことが大切だと考えます。

 私は割とおせっかい好きなので、「お茶を飲みに来ませんか」と、まずはこちらからきっかけ作りの輪を投げかけるつもりです。それで互いに気心が知れたなら、お年寄りの「見守り」や「助け合い」が地域で可能になるのではないでしょうか。

 もちろん住民の手に負えないことは、行政にやってほしいと強く思います。でも、これからは、自分たちでも何とかしないと、やっていけない時代になると思うのです。

 都市化した現代社会の中では、さまざまな困難や問題もあるだろうけれど、私は勇気を出してその一歩を踏み出したい。そのことが私自身、そして一緒に老後を生きる人たちのためにもなるのですから。(俳優、おわり)


 ケアノートは、新年から「くらし健康面」で、毎月第2日曜日に掲載します。
(2007年12月27日 読売新聞)
※ 記事は読売新聞、読売家庭版に掲載された時のままで、内容の一部が変わっている場合があります。 読売新聞生活情報部   kurashi@yomiuri.com

《 読売オンライン 医療と介護 介護・老後 ケアノート 》より抜粋

【正論】ニヒリズムへ突き進む日本 京都大学教授・佐伯啓思) msn産経ニュースより

2008年01月08日 17時54分28秒 | Weblog
【正論】ニヒリズムへ突き進む日本 京都大学教授・佐伯啓思 (1/3ページ)
2007.12.31 02:13

「善き社会」へのイメージが描けず

 ≪行為の意味に確信がない≫

 いささか乱暴ではあるが、もし仮に現代文明の本質を一言で述べよといわれれば、私は「ニヒリズム」という言葉を使いたい。ニヒリズムとは、ニーチェによると、これまで自明なものとして信じられてきた諸価値の崩壊である。価値の崩壊とは、人々が、物事の軽重やその意味や本質を判断する基準が失われてしまうということである。

 その結果どうなるか。われわれは世界を統一したものとして見ることができなくなり、われわれの行為は、社会や歴史とのつながりを持てず、行為に確かな社会的、あるいは歴史的意味を与えられなくなってしまう。行動の確かな目的もわからなくなってしまう。

 そうなるとどうなるか。人々は、自己の行為の確かな意味や目的を確信できなくなるために、ある者は瞬時の刺激や快楽を求める刹那(せつな)的快楽主義に走り、ある者は、所詮(しょせん)何をしても無意味だとしてこの世界をシニカルに見る冷笑主義へと走るであろう。私には、今日の日本も世界も、その意味で急速にニヒリズムの坂を転げ落ちているように見える。

 戦後日本は、経済的豊かさの追求、自由や平等の実現を目指してきた。これは、貧困からの解放、戦中の不自由や抑圧からの解放、極端な社会的格差や差別からの解放という意味では、確かにわれわれの心理を捉えた、といってよかろう。

 それらから解放されることで、われわれは何か「善き生活」が手に入るという期待をもてたわけである。「善き生活」や「善き社会」という期待やイメージがかろうじてあれば、それを実現する手段としての経済成長や自由・平等にも大きな価値が与えられたのであった。

 ≪目的そのものが内容空疎≫

 しかし、それらがある程度、実現したとき、どうなるか。もはやわれわれは、この先に来る「善き社会」のイメージを描き出すことは出来なくなっている。これ以上、経済成長を続け、自由・平等の実現をはかったとしても、それがもはや「善き社会」をもたらすとは思われないのである。

 にもかかわらず、われわれは、経済的豊かさ、自由・平等の実現という価値を相変わらず高く掲げている。一体、何のために経済的豊かさを求め、自由の拡大によって何をするのか、という問いに対する答えは空しく宙をまう。

 こうして、経済成長、自由・平等の拡大という本質的に「手段」であるものが「自己目的」となってしまい、しかもその「目的」は具体的イメージを伴わないために内容空疎な名目となってしまった。かくて、われわれは何のために働き、何のために勉強をし、何のために自由を求めるのか、その素朴な問いの前に茫然(ぼうぜん)と自失しているように見える。

 行動には確かな意味を付与できず、不安と苛立(いらだ)ちだけが募ってくるように見える。ニヒリズムというほかなかろう。

 行動に確かな意味を見失ってしまった結果が、瞬間的快楽ゲームの様相を呈する過度なマネーゲームとマモニズム(金銭主義)であり、これも、瞬間的憎悪の発露としてのあまりに安易な衝動殺人であり、また、あまりに瞬間的な情緒やイメージによって浮動する世論の政治である。

 ≪殺伐なこの1年の底流に≫

 ニヒリズムの中では、人々は、自己の行動の与える社会的な意味や連関を十分に想像することができなくなってしまう。そのために、もはや他人のことや、社会のことを考慮に入れているだけの余裕もなくなる。

 今ここでの自己の情念や欲望だけがすべてになってしまうのである。

 この1年を振り返れば、あまりに殺伐とした社会であったといわざるをえないが、その基底にあるものは、現在文明を深く覆っているニヒリズムにほかならないのではないだろうか。ほとんど「目的」なき経済競争の中で、いかにニートやワーキングプアが出ようが、人々はもはや「私」の生活と利害にしか関心をもてなくなっている

 他人や社会に対する余裕のなさは、ともかくも非がある者を見つけ出しては声高に責任を追及するという相互不信を生み出している。ニヒリズムの中では、人は、自己保身のために、むきだしの「力」を求めようとする。ニーチェのいう「力への意思」である。

 このニヒリズムに抗することは難しい。しかしもし方策があるとすれば、第1に、現代文明のニヒリズム的性格を理解することであり、第2に、われわれが共通に持てる「善き社会」のイメージを描き出すことでしかあるまい。(さえき けいし)

福岡市で06年8月に起きた3児死亡事故 裁判 朝日新聞より

2008年01月08日 17時32分08秒 | Weblog
「過失」の判断、やりきれなさ残す 福岡3児死亡判決

2008年01月08日12時30分

 幼い3人の命を奪った飲酒事故は「危険運転」ではなく「過失」と判断された。福岡市で06年8月に起きた3児死亡事故で、8日の福岡地裁判決は危険運転致死傷罪の成立を否定して業務上過失致死傷罪を適用。そのうえで量刑は道路交通法違反罪との併合で上限となる懲役7年6カ月とした。遺族はやりきれなさを抱えつつ、減刑しなかった判決に一定の理解を示した。主張が認められた形の今林大(ふとし)被告(23)はうつむいたままほとんど身動きしなかった。

 遺族の大上哲央(あきお)さん(34)、かおりさん(31)夫妻は午前9時40分ごろ、福岡地裁に姿を見せた。哲央さんは3人の子どもたちの遺影を手に、かおりさんは事故後の昨年9月に生まれた次女愛子ちゃんを胸に抱いていた。

 2人は傍聴席の前から4列目の中央付近に座った。危険運転致死傷罪が適用されれば最高刑は懲役25年だが、昨年12月の地裁による訴因変更命令で、その可能性は薄らいでいた。

 「懲役7年6カ月」。主文が言い渡されると、哲央さんは大きく息をついた。かおりさんは厳しい表情のまま、ひざの上に乗せた左手でハンカチを握りしめた。判決理由の中で裁判長が「3児はいずれも宝物」と述べると、こらえきれずに涙を流した。

 閉廷後、夫妻は代理人の弁護士とともに記者会見した。哲央さんは判決について、「当初から裁判所の判断に委ねると言ってきたので、それはそれとして受け止めたい」とひと言ずつしぼり出すように語った。

 かおりさんは涙を浮かべながら、「危険運転致死傷罪の適用には高いハードルがあることを実感した」。一方、業務上過失致死傷罪適用での最高刑が下されたことには「裁判官の思いが伝わってきた」と評価した。3人の子どもの遺影を持ってきた理由について尋ねられると、「3人の大きな命を奪い取ったという事実を、被告にわかってほしいと思ったから」と話した。

 今林被告への憤りは消えない。哲央さんは「彼の顔をきちんと見て、私たちや子どもたちの未来を壊したんだと改めて感じた」。かおりさんは「被告の表情がないことに違和感を覚えた。3人の命を奪ったことをどう感じているのか。彼が事故後に自己保身に動いている中で子どもたちが亡くなったことを考えると、たまらなくなった」と話した。

 今後の見通しについて、代理人の弁護士は「大上さん夫妻から控訴の要請などに動くことはないが、厳罰に処してほしいと思っているので、検察が判断すると思う」と述べた。

 表面的には落ち着きを取り戻しつつある様子も見せていた夫妻だが、幸せな家庭を破壊された心の傷はいまも癒えない。

 事故直後は2人とも「なぜ子どもたちを助けることができなかったのか」と自分たちを責めた。昨年9月に法廷で証言した哲央さんは「私たちの宝である貴い命を奪った被告を厳重に処罰してほしい」と厳しい遺族感情を吐露。同じ日、「懲役25年の刑が下ると確信している」というかおりさんの供述調書も読み上げられた。

 ただ、飲酒運転の厳罰化だけを望んできたわけではない。事故の後で逃げずに救助活動をした人には寛大な処置も必要だと考えている。根底にあるのは「今林被告が救助に当たってくれていたら、子どもたちは助かったかもしれない」との思いだ。