2月6日、献金制度を利用し政府へ浸透工作を働いたとされる中国人実業家の永住権を剝脱し、毅然とした中国への対応を世界へ示した豪当局。翻って日本を見ると、中国へのすり寄りとも取れる政財界の動きが目に付きます。今回、AJCN Inc.代表で公益財団法人モラロジー研究所研究員の山岡鉄秀さんは無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』で、この時期に「中国友好」を進める我が国の政策を大いに懸念する理由を、安倍首相宛ての書簡を紹介する形で詳細に記しています。
安倍首相への手紙―総理の真意はどこに?
最近、安倍首相に近い方にお会いする度に、「総理は本当に中国の脅威を理解されていらっしゃいますか?」と聞いています。正確に言うと、聞かずにはいられない、という感じです。
中国からのサイレント・インベージョンに晒されているオーストラリアから新しいニュースが入りました。大富豪の中国人実業家の黄向墨(Huang Xiangmo)氏が豪州を離れている間に、豪当局が永住権を無効とし、市民権申請を却下したとのことです。
黄氏はまさに中国共産党が仕掛ける浸透工作の先兵として、その財力で豪州政界に深く入り込み、政治的影響力を行使してきた人です。この人との不適切な関係を問われて有力な国会議員が辞職に追い込まれたケースがありました。
開かれた移民国家オーストラリアのやられっぷりも凄いものがありましたが、やっと危機感に目覚めて思い切った処置を取ったことに拍手を送りたいと思います。
日本政府にこんなことができるでしょうか?
中国を喜ばせるために東京タワーを真っ赤にライトアップし、中国の外相に「日本人の対中感情が改善していない」と苦言を呈されれば、「交流計画を進めます」と媚びる日本。
実際、日本政府は中国に一方的に資するだけの交流事業をいくつも進めています。近く、番組で詳しく論じる予定ですが、私が把握していたよりもずっと多くの交流事業が存在することがわかってショックを受けました。
交流といっても、中国から人を招待するだけの一方通行になっていることもわかりました。中国が世界中で進め、西側同盟国が警戒を強めるサイレント・インベージョンの脅威を理解していたら、とてもこのような事業をやっている場合ではないはずです。
それどころか、安倍総理は習近平主席を国賓として日本に迎えようとしています。新天皇に会わせるつもりなのでしょうか。
さて、私が質問した方々は皆、口をそろえておっしゃいました。
「中国の脅威を総理ははっきり認識しています」
でも、それならなぜすり寄る態度を示すのでしょう。党内親中派や財界の圧力だけで説明できるでしょうか?安倍総理には深慮遠謀がある?
中国の脅威以外にも、外国人労働者受け入れや消費増税など、看過できない大問題が山積しています。
そこで、先月、安倍総理あてに手紙を書いて、永田町の信頼できる議員の方々に手渡して来ました。前回の番組中でも触れましたが、ここに公開いたします。10年後、「警告した民間人もいた」という記録のひとつになってしまうのでしょうか?
安倍総理あての書簡 全内容
平成31年1月24日
日本国内閣総理大臣
安倍 晋三 殿
有権者が憂慮する政策上の重大懸念について
日夜、日本国の内政・外交に尽力しておられるお姿に敬意を表します。
私共は日々動画発信などを通じて視聴者と意見交換をしておりますが、最近の安倍政権の政策には非常に強い憂慮を示す方が多くなっています。以下、主な懸念点を記しますので、視聴者と共有できるご回答を頂けますとまことに幸甚です。
日中関係について
総理は「Silent Invasion(静かなる侵略)」という言葉をご存知でしょうか?
開かれた移民国家であるオーストラリアが中国共産党による中華系移民を利用した浸透工作を受け、危機感を持った学者(Dr Clive Hamilton)が上梓したベストセラーのタイトルです。この、武器を使わない侵略は現在世界中で進行しており、トランプ政権が対決を決意したことはご存じの通りです。
中華系の留学生やビジネスマン、一般移民があらゆる分野でスパイ行為や工作活動を実行しており、それを一元的に統括する部局が共産党本部に存在します。
危機感を抱いた米国が中国系留学生の排除や中華系通信企業幹部の逮捕に動いたことから、代わりに日本への浸透工作が激しさを増していると言われています。
かかる事態において、これから中国市場に進出しようとする日本企業は自己責任において行うべきであり、政府が後押しすべきではないことは自明の理ですが、特に下記の政策は中国の浸透工作に自ら迎合するものであり、常軌を逸しています。即時中止を強く要望致します。
- 先般の日中首脳会談で合意された「日中青少年3万人交換計画」
- 外務省による中国若手行政官等長期育成支援事業
米国では中国人の留学を制限しようとしている時に、わざわざ工作員を国費で招き入れ、日本の青少年を洗脳教育に差し出すのはまるで中国共産党の工作に協力しているかのようです。
まして、多くの日本国民が奨学金の返済に苦慮しているときに、中国の役人を国費で留学させ、同窓会まで作ってあげるとは、これも浸透工作の成果かと思わずにはいられず、とても自民党支持者を含む有権者が納得できるものではございません。
当然ながら、そのようなスキームに選ばれてくる中国青年は、日本政府ではなく、中国政府に選ばれてくるのであって、感謝の対象は日本政府ではなく中国政府です。
中国共産党に忠誠を誓い、とことん指令に従おうとするでしょう。豪州やニュージーランドの例になぜ学ばないのか不可思議としか言いようがありません。
同じ理由で、現行の中国人国費留学制度も廃止すべきです。これは極めて重要な、安全保障上の問題です。
外国人労働者受け入れについて
日本企業はバブル崩壊後、世界のグローバル化にもついていけず、業績悪化のしわ寄せを労働者に押し付けました。政府もそれを後押しした結果、不安定な派遣労働者があふれ、特に若者の貧困化が進みました。これはさらなるデフレ要因となり、少子高齢化を加速させました。
現在、企業の内部留保がGDP総額に匹敵すると言われており、本来ならば賃上げをして労働者の購買力を高めるべきところ、政府はまたもや外国人労働者を導入して労働コスト上昇を防ぎたい経済界の要望に迎合しようとしています。
入国在留管理庁を新設しても、すでに行方不明になっている外国人も多数にのぼり、蓄積した問題の処置から始めなくてはなりません。常識的に言って、新しい組織が稼働して効果的に仕事ができるようになるには一定の時間が必要です。その猶予を与えずに外国人労働者を大量に導入すれば取り返しのつかない事態を招くことになるでしょう。
基本的に外国人労働者の大量受け入れには反対ですが、少なくとも、入国在留管理庁に一年間の移行期間を与え、外国人労働者の受け入れを延期することを要望致します。
消費税増税について
周知のとおり、米国と中国の対決が世界経済に影響を与えるのは必然です。リーマンショック級のインパクトも想定しなくてはなりません。このタイミングでの消費税増税は中止されることを強く要望いたします。
中国に擦り寄ることの危険性について
昨年の総理の訪中後も尖閣への中国船の侵入は減らず、「中華帝国再興の夢を実現するための静かなる侵略圧力」は世界的に全く弱まっていません。
したがって、日中関係が正常化したとは全く見做せず、この状態で習近平主席を日本に招いて歓待すれば、米国の意思に反して中国に擦り寄っているようにしか見えません。安全保障は米国に頼りながら、中国で経済的利益を得ようとするのは無謀です。
中国は尖閣や沖縄への領土的野望を諦めていません。米国は有事の際、たとえ日米安保条約が存在しても、同盟国と呼ぶにふさわしい国しか助けようとしないでしょう。米国民が納得しないからです。
現在の安倍政権は客観的に見て、明らかに経産省と財界の意向を汲んで中国に擦り寄っていると認識されています。
その証拠が前述の中国の工作を幇助するだけの政策です。この流動的で危機的な状況にあっては、米国の同盟国としての重要性を高めることに専念し、中国の静かなる侵略に迎合しないことを重ねて切に要望致します。
以上、全国数万人の視聴者、読者、有権者の要望の一部を代わってお伝えいたします。ご考慮の程よろしくお願い申し上げます。
Australia-Japan Community Network (AJCN) Inc. 代表 山岡鉄秀
株式会社On The Board 社長 和田憲治
(山岡鉄秀:Twitter:https://twitter.com/jcn92977110)
image by: 首相官邸
国際情勢の中で、日本のとるべき方向性を考えます。情報・戦略の観点から、また、リアリズムの視点から、日本の真の独立のためのヒントとなる情報を発信してゆきます。
安倍首相の“妄想”に露外相激怒 平和条約締結は決裂一直線
どうやらカンカンのようだ――。安倍首相が「領土問題を解決して平和条約を締結する」と表明していることに、ロシアのラブロフ外相がブチ切れている。
もはや“牽制”というレベルを超え、ほとんど安倍首相のことを“ウソつき”呼ばわりだ。
ラブロフ外相は、ベトナムと中国の歴訪前に、両国メディアのインタビューに答え、24日にロシア外務省が公表した。
安倍首相は6月に平和条約の枠組み合意を目指しているが、ラブロフ外相は「誰も一度も、枠組み案など見たことがない。日本側が何を考えているか、私には分からない」と一蹴。安倍首相が北方領土を含む平和条約締結問題に「必ず終止符を打つ」と意気込んでいることについて、こうこき下ろした。
「正直言って、その確信がどこから来ているのか分からない。プーチン大統領も私も、他の誰も、そうした発言につながる根拠は与えていない」
要するに、「何も決まっていないのに、なに勝手なこと言ってんだ!」ということだ。
■「勝手に話を作るな」と言っているに等しい
筑波大の中村逸郎教授(ロシア政治)が言う。
「ラブロフ外相は、これまでも4島の主権や北方領土という呼称について発言してきましたが、今回は質が違います。『勝手に話を作るな』と言っているに等しい。ロシア側が一切根拠を与えていないのに、平和条約締結について、確信に満ちて語る安倍首相の姿勢と人格を批判しているのです。安倍首相があまりにも話を盛り、しかも繰り返して口にするので、さすがに堪忍袋の緒が切れたのでしょう」
さらにラブロフ外相は畳みかけた。
「日本は米国主導の反ロ的な国連決議には賛成するのに、ロシアの提案には反対か棄権ばかり」
「5月のトランプ大統領訪日時、ロシアとの平和条約もテーマだという。日本にそこまで独立性がないとは、(呆れて)何も言えない」
中村教授が続ける。
「日本では、ラブロフ外相に“強硬論”を言わせて、最後はプーチン大統領がうまくまとめるという見方がありますが、違うと思います。日本人は自分たちに都合よく解釈しすぎです。2人のスタンスは同じでしょう」
安倍首相は25日、ラブロフ発言について「いちいち反応するつもりはない」とダンマリ。国民は現実を直視した方がいい。
産経新聞
元職員らが語った取引の異様さ 森友問題追う記者の目
https://www.asahi.com/articles/ASLDG6CRJLDGPTIL032.html?iref=pc_extlink
財務局の「常識」から見た森友問題 OB「あり得ない」
https://www.asahi.com/articles/ASLCP771MLCPPTIL039.html?iref=pc_extlink
【特集】森友学園問題
https://www.asahi.com/topics/word/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E3%81%AE%E5%9B%BD%E6%9C%89%E5%9C%B0%E5%A3%B2%E5%8D%B4%E5%95%8F%E9%A1%8C.html?iref=pc_extlink
2013年9月
「日本初で唯一の神道の小学校」
森友学園は大阪市内で幼稚園を運営していた。園児に「教育勅語」を素読させる教育方針が一部で知られていた。安倍晋三首相の妻、昭恵氏と交流があり、昭恵氏が幼稚園に講演に来ることもあった。
土地取引の始まりは13年9月。森友学園は「日本初で唯一の神道の小学校」の建設を目指し、土地取得の要望を財務局に出した。
2014年4月
昭恵氏との写真、財務局に見せ…
資金繰りに余裕がなかった森友学園は財務局に「当面は土地を借り、その後に買いたい」と求めた。過去5年の同種取引で例がない契約だった。
財務局は当初、森友学園の要請に難色を示すこともあったが、14年4月28日、森友学園の籠池泰典理事長(当時)から「安倍昭恵氏を小学校建設予定地に案内し、『いい土地ですから、前に進めてください』と言われた」と聞かされる。昭恵氏と現地で撮った写真も見せられた。「売り払いを前提とした貸し付けに協力させていただく」と森友学園に伝えたのはその35日後だ。
財務局は15年2月、特例的な契約を認めるよう財務省本省に求めた。申請の文書には、昭恵氏の写真を見せられたことや、政治家側からの問い合わせがあったことなどが記されていた。本省の理財局は4月に認めた。
2015年3月
「軟弱地盤」主張、貸付料の減額求める
財務局は15年3月、土地の貸付料を決めるために森友学園と「見積もり合わせ」をしたが、財務局が予定していた年約3300万円を森友学園の提示額が下回り、不調に終わった。すると森友学園は同月、土地が「軟弱地盤」だと主張して貸付料を減らすよう求めてきた。地質調査会社に問い合わせると「特別に軟弱な地盤であるとは思えない」との見解を示されたが、不動産鑑定をやり直し、5月に年約2730万円で貸し付け契約を結んだ。
2015年9月
昭恵氏が名誉校長に就任
もともとこの土地には比較的浅いところに汚染土やコンクリートがらがあることが分かっていた。このため15年7~12月、除去工事が実施された。工事費約1億3千万円は森友学園が立て替え、後で国が払うことになっていた。国からの支払いは、民法上は土地が返ってきたときでいいが、森友学園に対しては予算措置が済めば速やかに支払うことにした。
9月、昭恵氏が開校予定の小学校の名誉校長に就く。森友学園は15年秋、除去工事費の支払いについて昭恵氏付の政府職員に財務省への問い合わせを依頼した。同省は「16年度での予算措置を行う方向で調整中」と答えた。11月の財務省の記録にはこんな記載もある。昭恵氏付の政府職員から土地の貸付料について「(森友学園側から)優遇を受けられないかと総理夫人に照会」があったと連絡があり、財務省は「現行ルールのなかで最大限の配慮をしている」と回答した――。
12月、森友学園は小学校の建設を始めた。
「新たなごみ」訴え、のちに売買契約
16年3月、森友学園が「新たなごみが見つかった」と財務局に伝えてきた。森友学園は、ごみ撤去費を差し引いた額で土地を買いたいと申し出た。籠池理事長は「6月の棟上げ式には首相夫人を招待する。できなければ切腹する覚悟」と述べ、工期がずれ込めば損害賠償を求める構えを見せた。
財務局は不動産鑑定の結果が出る前に「1億3千(万円)」「ゼロに近い金額まで努力」などと金額を挙げながら森友学園と交渉。16年6月に売買契約を結んだ。鑑定価格は9億5600万円だったが、最も深いところで9.9メートルまでごみがあるとして、ごみ撤去費8億1900万円などを差し引いて1億3400万円で売った。売却額は非公表にした。
10年間の分割払いを認める契約で、即納金約2787万円を除いた毎年の支払額は1100万円程度になった。
13~16年度の4年間にあった同種の土地取引計972件のうち売却額を非公表にしたのは、森友学園との契約だけ。分割払いを認めたのも、過去5年間の同種の取引1214件のうち、この契約だけだった。
2017年2月
「首相も国会議員も辞める」
この大幅値引きでの国有地売買を朝日新聞が17年2月9日付朝刊で報じると、国会で野党が追及を始めた。
安倍首相は17日、「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」と答弁。財務省理財局の佐川宣寿(のぶひさ)局長(当時)は「撤去費用は適正に算定されたもの」「政治家の方々の関与は一切ございません」「価格を提示したことも、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」と説明した。森友学園との交渉記録は「廃棄した」と答弁した。
森友学園は3月10日、小学校の設置認可の申請を取り下げた。23日に国会に証人喚問された籠池理事長は、売買契約を「神風が吹いた」「何らかの見えない力が動いた」などと表現し、昭恵氏や国会議員らとの関係を次々に明らかにした。野党は「財務省側の忖度(そんたく)ではないか」と追及を続けたが、政府側は詳しい説明を拒んだ。
6月に国会が閉会し、7月に佐川氏が国税庁長官に就任。10月には総選挙で与党が大勝した。会計検査院は11月、値引きの根拠を「不十分」などとする検査結果を公表し、国会審議も断続的に続いたが、取引の真相は不透明なままだった。
2018年3月
公文書改ざんの発覚
18年3月2日。朝日新聞は朝刊で「森友文書 書き換えの疑い」と報じた。契約当時の文書にあった「特例」などの文言が、17年2月の問題発覚後に国会に提出した文書ではなくなったり、変わったりしているという内容だった。決裁文書に1ページあまりにわたって記された項目が消えているという続報を掲載した3月9日、佐川氏が国税庁長官を辞任した。「決裁文書の国会提出時の担当局長だった」などが理由だった。
12日、財務省は14件の決裁文書の改ざんを認めた。改ざんの時期は、土地の大幅値引き問題が発覚した後の17年2月下旬~4月。「本件の特殊性」といった文言や、昭恵氏や政治家についての記載などが削除された。
財務省の内部調査で、取引終了後に「廃棄した」として国会に提出しなかった森友学園との交渉記録が存在していることも判明した。また、廃棄が行われていたのは、実は改ざんと同時期の17年2月下旬以降だったことも分かった。
佐川氏が国会で土地取引について「適正」などという答弁を繰り返していたころ、財務省は決裁文書を改ざんし、交渉記録を廃棄していたことになる。1年以上にわたる国会審議のもとになっていたのも、改ざんされた文書だった。
財務省は6月、改ざんを「佐川氏の主導」と認定する調査結果を発表し、20人を処分。麻生太郎財務相が「誠に遺憾。深くおわび申し上げる」と謝罪した。
2018年5月
捜査対象38人は全員不起訴に
改ざんを受けて会計検査院は追加検査し、改ざん文書を検査院に提出した財務省の行為を違法と認定する検査結果を18年11月に国会に提出した。ただ、かかわった職員らの懲戒処分の要求は見送り、値引きの根拠についても「昨年の報告書で出した結論と変わらなかった」として、値引き額や売却額そのものは評価しなかった。
大阪地検特捜部は土地取引や改ざんなどについて捜査していたが、捜査対象とした佐川氏ら38人全員を5月に不起訴処分とした。山本真千子・特捜部長(当時)が異例の記者会見を開き、値引きの根拠となったごみ処理費は「不適切だと認定するのは困難」、改ざんは「虚偽の内容の文書が作られたかという観点から検討したが、認めることは困難」と説明し、捜査で解明した詳しい経緯は明らかにしなかった。不起訴処分が妥当かどうか、検察審査会が審査している。
籠池夫妻は国や大阪府・市から補助金計約1億7千万円を詐取したとして17年7月に逮捕、起訴され、18年5月に保釈された。
立憲民主党の川内博史氏の質問に対し、国交省の岩崎俊一航空局次長は、ごみの深さを測るために試掘した複数の穴を写したとされる3枚の写真が、実際には同じ穴の写真だったとの業者の説明内容を紹介。そのうえで、業者が「深さ3・8メートルの深度までごみが確認されたとされる穴についてはミスがない」と説明していることを理由に、値引きは適正との認識を示した。川内氏は「同じ試掘穴を違う試掘穴として作成されているという1点をもって、(報告書の信用性は)おかしい」と疑問を呈した。
会計検査院は2017年11月、ごみについて「3・8メートルの深度において確認したとしていることの裏付けは確認することができなかった」との検査結果を国会に報告。ごみを確認したとされる現場写真についても「3・8メートルを正確に指し示していることを確認することができる状況は写っていない」としている。(伊藤舞虹)
21日の衆院予算委員会の審議では、中江氏から2015年9月14日に手法変更の検討を求める「意見」を受けたとする厚労省側の「証言」が相次いだ。
https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20190221005047_comm.jpg
首相側近が修正した親書、二階氏が習氏に接近する日中(2018/10/23) 積極的なトップ外交を強調し政権の実績としてアピールする安倍首相にとっては、次なるターゲットが必要だった。そこで白羽の矢が立ったのが中国だった。 首相の目を中国に向けさせたキーマンとされるのが、最側近の一人で経済産業省出身の今井尚哉秘書官だ。政府関係者は「今井氏は日中関係を改善すれば、政権の大きな外交成果になると考えていた」と明かす。 経産省サイドの頭にあったのは米国だ。首脳同士の蜜月を演出した日米だが、TPPから離脱したトランプ政権が、巨額の貿易赤字を抱える日本に対応を迫ってくるのは目に見えていた
最近の日中をとりまく動きと国民感情対中接近、トランプ氏を意識 首相、一帯一路を一転評価(2018/10/23) 積極的なトップ外交を強調し政権の実績としてアピールする安倍首相にとっては、次なるターゲットが必要だった。そこで白羽の矢が立ったのが中国だった。 首相の目を中国に向けさせたキーマンとされるのが、最側近の一人で経済産業省出身の今井尚哉秘書官だ。政府関係者は「今井氏は日中関係を改善すれば、政権の大きな外交成果になると考えていた」と明かす。 経産省サイドの頭にあったのは米国だ。首脳同士の蜜月を演出した日米だが、TPPから離脱したトランプ政権が、巨額の貿易赤字を抱える日本に対応を迫ってくるのは目に見えていた
「安倍外交」を支える首相側近と主な課題(時時刻刻)安倍外交、問われる成果 首脳同士の信頼強調/側近重用し官邸主導(2018/09/29) 複数の政府関係者によると、外務省ロシアスクールや同省出身の谷内正太郎・国家安全保障局長が「管轄権の問題が避けられず、ロシア国内法が適用されれば日本の法的立場に不利になる」と反対した。 これを機に、経産省出身の今井尚哉首相秘書官が主導して、ロシアとの交渉ラインの前線から一時期、外務省を外した。政府高官の一人は「今井氏が考えていることはただ一つ、首相の支持率を上げること。外交はその道具」と指摘する。 首相が実現に向け調整を指示した北朝鮮との極秘交渉でも、外務省の存在感は薄い
行政の中立性が疑問視された案件独自分析より政策正当性裏付け 官庁エコノミストの苦渋(2018/08/05) 法務、財務、総務、経済産業の4省出身者が次長を経て就くのが慣例だった内閣法制局長官の人事に介入。憲法解釈の変更に前向きな外務官僚を起用し、集団的自衛権の行使を認める「解釈改憲」を果たした。16年5月の伊勢志摩サミットでは、内閣府を差し置いて、首相秘書官の今井尚哉らが作成した説明資料が各国首脳に示された。リーマン・ショック前に似た経済状況を印象づける内容で、参院選を控え、消費増税の再延期に向けた地ならしになった。 さきの国会でも、政権が対象拡大をめざした裁量労働制について、適用された人の労働時間を実態より低くみせるかのような厚生労働省の分析内容が首相答弁に使われ、批判を浴びた
官邸の下請け化が進む経産省官邸下請け化で若手「成長戦略疲れ」 経産官僚たちの夏(2018/08/05)有料会員限定記事経産省内からは「企業からも『お付き合いしないといけないですか』と言われる。ほとんどは中身がなく意味がない」と疑問の声が漏れる。 「経産省内閣」と呼ばれてきた安倍政権。首相の最側近とされる首相秘書官の今井尚哉や、首相補佐官と内閣広報官を兼ねる長谷川栄一ら経産省出身の官僚が重用されてきた。第2次安倍政権発足時には、財務省の影響力が強い経済財政諮問会議とは別に、「日本経済再生本部」を立ち上げ、前経産次官の菅原郁郎や前経済産業審議官の柳瀬唯夫ら経産官僚主導で成長戦略もまとめた
安倍内閣が24日に承認した省庁人事で、内閣府政策統括官の新原浩朗(にいはらひろあき)が経済産業省の経済産業政策局長に就いた。近い将来の事務次官候補が座る枢要ポストだ。 1984年に入省した新原にとっては古巣への凱旋(がいせん)となった。首相の安倍晋三、その政務秘書官で先輩の今井尚哉(経産省、82年入省)が手腕を高く評価。働き方改革や幼児教育の無償化など、政権の目玉政策を進めてきた。政権5年半で大きく様変わりした霞が関で力を持つ「官邸官僚」の象徴的な一人だ。 3カ月前。消費税を来年10月に10%に引き上げる際の対策を検討する省庁横断の特命チームが内閣府で初会合を開いた
(自民党総裁選2018 安倍政権と官僚:1)官邸、人事で支配
各省庁から政策立案の権限を奪い、一部の「官邸官僚」が政策を動かすことが常態化している。 昨年9月に立ち上げた「人生100年時代構想会議」は、その典型だ。内閣官房に置かれた「推進室」には各省庁から約30人が集められた。政策の骨格は内閣府政策統括官だった新原浩朗や首相秘書官の今井尚哉らが検討。財政悪化につながる3~5歳児の教育・保育の無償化を財務省にのませ、安倍の衆院解散表明にあわせて打ち出した。 結論を急ぐあまり、担当省庁による十分な政策検証は置き去りにされた。無償化で待機児童が逆に増えるなどの批判が噴出しても、官邸は公約実現に向けて突き進んだ
(自民党総裁選2018 安倍政権と官僚:2)経産省、「下請け」化
経産省内からは「企業からも『お付き合いしないといけないですか』と言われる。ほとんどは中身がなく意味がない」と疑問の声が漏れる。 「経産省内閣」と呼ばれてきた安倍政権。首相の最側近とされる首相秘書官の今井尚哉や、首相補佐官と内閣広報官を兼ねる長谷川栄一ら経産省出身の官僚が重用されてきた。第2次安倍政権発足時には、財務省の影響力が強い経済財政諮問会議とは別に、「日本経済再生本部」を立ち上げ、前経産次官の菅原郁郎や前経済産業審議官の柳瀬唯夫ら経産官僚主導で成長戦略もまとめた
(自民党総裁選2018 安倍政権と官僚:3)政策裏付け、ゆがむ分析
■沈む官庁エコノミスト
7月上旬、官房長官の菅義偉の秘書官から内閣府に1本の電話が入った。「激化する貿易摩擦が日本経済に与える影響を分析した資料が欲しい」
米中の「貿易戦争」への懸念から、日本でも株価が下落し、首相官邸は景気の行方に神経をとがらせていた。ところが、内閣府の回答は「分析していない…
法務、財務、総務、経済産業の4省出身者が次長を経て就くのが慣例だった内閣法制局長官の人事に介入。憲法解釈の変更に前向きな外務官僚を起用し、集団的自衛権の行使を認める「解釈改憲」を果たした。16年5月の伊勢志摩サミットでは、内閣府を差し置いて、首相秘書官の今井尚哉らが作成した説明資料が各国首脳に示された。リーマン・ショック前に似た経済状況を印象づける内容で、参院選を控え、消費増税の再延期に向けた地ならしになった。 さきの国会でも、政権が対象拡大をめざした裁量労働制について、適用された人の労働時間を実態より低くみせるかのような厚生労働省の分析内容が首相答弁に使われ、批判を浴びた
「官邸官僚」が出した紙に驚く各省 首相も了承なのか…
(2018/08/05) 安倍内閣が24日に承認した省庁人事で、内閣府政策統括官の新原(にいはら)浩朗(ひろあき)が経済産業省の経済産業政策局長に就いた。近い将来の事務次官候補が座る枢要ポストだ。
1984年に入省した新原にとっては古巣への凱旋(がいせん)となった。首相の安倍晋三、その政務秘書官で先輩の今井尚哉(経産省、82年入省)が手腕を高く評価。働き方改革や幼児教育の無償化など、政権の目玉政策を進めてきた。政権5年半で大きく様変わりした霞が関で力を持つ「官邸官僚」の象徴的な一人だ。
3カ月前。消費税を来年10月に10%に引き上げる際の対策を検討する省庁横断の特命チームが内閣府で初会合を開いた。顔合わせのつもりで集まった関係省庁の局長らは、配られた1枚の紙を見てのけぞった。
「検討事項(案)」として、増税に伴う駆け込み需要や反動による消費の落ち込みについての対応策が13項目にわたって列挙。増税後の値引きセール推奨、自動車減税、合理的な購買行動の推奨――。それぞれに担当省庁の割り振りまで記してあった。まとめたのは新原だ。
消費増税は幅広い業種や消費者に影響するため、関係する省庁は多いが、新原がまとめた紙は担当する財務省や経済産業省の知見を集約したものではない。対応策は「再調整」という扱いにはなったが、特命チーム関係者の間では、安倍と新原の間で「もう話がついているのでは」との臆測が広がった。
安倍が政権に復帰して以降目立つのは、新原のように安倍に近い官僚らが主導して政策の方向性を決めていくスタイルだ。首相秘書官の今井や佐伯(さいき)耕三(経産省、98年入省)、内閣情報官の北村滋(警察庁、80年入庁)、官僚OBの首相補佐官である長谷川栄一(経産省、76年入省)、和泉洋人(旧建設省、76年入省)はこの5年半、変わらず安倍の周辺にいる。
安倍と以心伝心の「官邸官僚」たちの指示は、省庁幹部から「首相の威光」と受け止められる。それは「最強官庁」と呼ばれた財務省も例外ではない。(岡本智、伊藤舞虹)
「官邸は防波堤の佐川氏を評価」
3月10日未明、森友学園に関する決裁文書の改ざん前文書のコピーが大阪地検から財務省に届いた。朝日新聞が2日に書き換えの疑いを報じて以降、同省は関係職員の聞き取りを進めたが、全体像がつかめない。すでに、理財局の複数の職員が地検の捜査を受け、聴取内容を口止めされていた。財務省は地検に頼み込み、原本をコピーさせてもらうしかなかった。
改ざんは14文書におよび、首相の安倍晋三の妻昭恵に関する記述や複数の政治家秘書との関わりなどが、ことごとく削除されていた。「少し手直ししたというレベルではなく、がくぜんとした」(理財局幹部)。2日後、財務省は初めて書き換えの事実を認めた。
だが、改ざんを主導した当時の財務省理財局長、佐川宣寿(のぶひさ)(1982年入省)はその後の国会での証人喚問でも、刑事訴追の恐れを理由に答弁拒否を繰り返し、官邸の関与はきっぱりと否定。真相解明に後ろ向きな姿勢に世論は反発したが、「官邸は昨年の国会で防波堤になっている佐川を評価していた」(財務省幹部)。佐川は昨夏の人事で次官級の国税庁長官に昇格。対照的に、売却価格の算定について国会でしどろもどろの答弁を続けた当時の国土交通省航空局長、佐藤善信(82年入省)は退官となった。
首相官邸の意向を反映させるため、各省庁の幹部約600人の人事は、14年に発足した内閣人事局が判断する。正副官房長官ら主要幹部の7割の賛同を得られなければ各省の人事案を受け入れないという「7割ルール」で運用されている。
今夏の人事で退任が決まった金融庁長官の森信親(80年入省)は、官房長官の菅義偉の信任が厚く、3年の長期にわたり務めた。一方、前任の細溝清史(78年入省)は1年で交代した。農業改革が持論の菅の協力依頼を断ったためだ。
人事権を握った官邸に、各省庁は従うしかなく、「官邸官僚」を除く官僚は萎縮と忖度を余儀なくされる。横行する「官邸人事」は、政権と沖縄県の対立が続く米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古への移設をめぐっても行われた。
16年1月、国交省がこんな人事を発令した。「防衛省審議官 下司弘之▽同沖縄防衛局次長 遠藤仁彦」。両氏を含む港湾局出身の技官6人を防衛省に異動させる人事。「官邸官僚」の一人で、菅の側近とされる国交省OBの首相補佐官、和泉洋人が中心になって練られた。
当時は県の抵抗で移設先の埋め立て工事が滞っていた。防衛省関係者は「官邸からいつまでやっているんだと怒られた。そこで、和泉さんらが埋め立てのプロを国交省から呼び寄せた」と解説する。これ以降、県は工事の手順などをめぐり、数十回の行政指導をしたが、国側は工事を加速。国交省幹部は「専門家だけに、県や住民との協議はなるべく少なく、法律すれすれの行動を取れる」と話す。
今夏の国交省人事では、防衛省に部下を送り込んだ港湾局長の菊地身智雄(85年入省)が技術系最高ポストの技監に昇格。旧運輸省出身者の技監就任は初めてだ。後任の港湾局長には埋め立てを指揮した下司(同)が就く。「論功行賞」とささやかれた。
国交省幹部はいう。「以前は省内の力学にそった人事ができたが、安倍政権で完全に変わった。官邸の意を受けた政策を成し遂げた人こそが評価される」
責任負わない「政治主導」
官邸が官僚を従える力の源泉は人事だけではない。
安倍政権は、重要案件ごとに内閣官房や内閣府に省庁横断の組織や会議を次々と設置。各省庁から政策立案の権限を奪い、一部の「官邸官僚」が政策を動かすことが常態化している。
安倍が掲げた「人づくり革命」を具体化するため、昨年9月に立ち上げた「人生100年時代構想会議」は、その典型だ。内閣官房に置かれた「推進室」には各省庁から約30人が集められた。
政策の骨格は内閣府政策統括官だった新原浩朗や首相秘書官の今井尚哉らが検討。財政悪化につながる3~5歳児の教育・保育の無償化や、消費税の使途拡大による財源確保を財務省にのませ、安倍の衆院解散表明にあわせて打ち出した。
結論を急ぐあまり、担当省庁による十分な政策検証は置き去りにされた。無償化で待機児童が逆に増えるなどの批判が噴出しても、官邸は公約実現に向けて突き進んだ。
昨年末、改革の大きな道筋がつくと、推進室の多くの職員が席を引き払った。寄り合い所帯で作業が終われば散っていく組織の責任はあいまいになりがちだ。政策決定を主導する首相秘書官や補佐官も、国会答弁に立つことはまずない。
官邸主導は本来、二大政党間で政権交代があることを前提に、短期間で政治の結果を出せる仕組みをめざした姿だった。しかし、5年半を超える長期政権で政権交代の緊張感は薄れた。「政治主導」を掲げながら、財務省による公文書改ざんなど、大きな不祥事が起きても誰一人、政治責任を負わないいびつな構造ができあがった。
組織防衛を本能とする官僚たちはいま、安倍に近い甘利明が自民党行政改革推進本部長として旗を振る「省庁再々編構想」におびえる。国家予算の3分の1を使う厚生労働省の解体などが現実味を帯びつつある。「それはそうだな」。巨大官庁の分割案に安倍も受け入れる姿勢だ。(座小田英史、松浦祐子、福間大介)
1984年に入省した新原にとっては古巣への凱旋(がいせん)となった。首相の安倍晋三、その政務秘書官で先輩の今井尚哉(経産省、82年入省)が手腕を高く評価。働き方改革や幼児教育の無償化など、政権の目玉政策を進めてきた。政権5年半で大きく様変わりした霞が関で力を持つ「官邸官僚」の象徴的な一人だ。
3カ月前。消費税を来年10月に10%に引き上げる際の対策を検討する省庁横断の特命チームが内閣府で初会合を開いた。顔合わせのつもりで集まった関係省庁の局長らは、配られた1枚の紙を見てのけぞった。
「検討事項(案)」として、増税に伴う駆け込み需要や反動による消費の落ち込みについての対応策が13項目にわたって列挙。増税後の値引きセール推奨、自動車減税、合理的な購買行動の推奨――。それぞれに担当省庁の割り振りまで記してあった。まとめたのは新原だ。
消費増税は幅広い業種や消費者に影響するため、関係する省庁は多いが、新原がまとめた紙は担当する財務省や経済産業省の知見を集約したものではない。対応策は「再調整」という扱いにはなったが、特命チーム関係者の間では、安倍と新原の間で「もう話がついているのでは」との臆測が広がった。
安倍が政権に復帰して以降目立つのは、新原のように安倍に近い官僚らが主導して政策の方向性を決めていくスタイルだ。首相秘書官の今井や佐伯(さいき)耕三(経産省、98年入省)、内閣情報官の北村滋(警察庁、80年入庁)、官僚OBの首相補佐官である長谷川栄一(経産省、76年入省)、和泉洋人(旧建設省、76年入省)はこの5年半、変わらず安倍の周辺にいる。
安倍と以心伝心の「官邸官僚」たちの指示は、省庁幹部から「首相の威光」と受け止められる。それは「最強官庁」と呼ばれた財務省も例外ではない。(岡本智、伊藤舞虹)
「官邸は防波堤の佐川氏を評価」
3月10日未明、森友学園に関する決裁文書の改ざん前文書のコピーが大阪地検から財務省に届いた。朝日新聞が2日に書き換えの疑いを報じて以降、同省は関係職員の聞き取りを進めたが、全体像がつかめない。すでに、理財局の複数の職員が地検の捜査を受け、聴取内容を口止めされていた。財務省は地検に頼み込み、原本をコピーさせてもらうしかなかった。
改ざんは14文書におよび、首相の安倍晋三の妻昭恵に関する記述や複数の政治家秘書との関わりなどが、ことごとく削除されていた。「少し手直ししたというレベルではなく、がくぜんとした」(理財局幹部)。2日後、財務省は初めて書き換えの事実を認めた。
だが、改ざんを主導した当時の財務省理財局長、佐川宣寿(のぶひさ)(1982年入省)はその後の国会での証人喚問でも、刑事訴追の恐れを理由に答弁拒否を繰り返し、官邸の関与はきっぱりと否定。真相解明に後ろ向きな姿勢に世論は反発したが、「官邸は昨年の国会で防波堤になっている佐川を評価していた」(財務省幹部)。佐川は昨夏の人事で次官級の国税庁長官に昇格。対照的に、売却価格の算定について国会でしどろもどろの答弁を続けた当時の国土交通省航空局長、佐藤善信(82年入省)は退官となった。
首相官邸の意向を反映させるため、各省庁の幹部約600人の人事は、14年に発足した内閣人事局が判断する。正副官房長官ら主要幹部の7割の賛同を得られなければ各省の人事案を受け入れないという「7割ルール」で運用されている。
今夏の人事で退任が決まった金融庁長官の森信親(80年入省)は、官房長官の菅義偉の信任が厚く、3年の長期にわたり務めた。一方、前任の細溝清史(78年入省)は1年で交代した。農業改革が持論の菅の協力依頼を断ったためだ。
人事権を握った官邸に、各省庁は従うしかなく、「官邸官僚」を除く官僚は萎縮と忖度を余儀なくされる。横行する「官邸人事」は、政権と沖縄県の対立が続く米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の辺野古への移設をめぐっても行われた。
16年1月、国交省がこんな人事を発令した。「防衛省審議官 下司弘之▽同沖縄防衛局次長 遠藤仁彦」。両氏を含む港湾局出身の技官6人を防衛省に異動させる人事。「官邸官僚」の一人で、菅の側近とされる国交省OBの首相補佐官、和泉洋人が中心になって練られた。
当時は県の抵抗で移設先の埋め立て工事が滞っていた。防衛省関係者は「官邸からいつまでやっているんだと怒られた。そこで、和泉さんらが埋め立てのプロを国交省から呼び寄せた」と解説する。これ以降、県は工事の手順などをめぐり、数十回の行政指導をしたが、国側は工事を加速。国交省幹部は「専門家だけに、県や住民との協議はなるべく少なく、法律すれすれの行動を取れる」と話す。
今夏の国交省人事では、防衛省に部下を送り込んだ港湾局長の菊地身智雄(85年入省)が技術系最高ポストの技監に昇格。旧運輸省出身者の技監就任は初めてだ。後任の港湾局長には埋め立てを指揮した下司(同)が就く。「論功行賞」とささやかれた。
国交省幹部はいう。「以前は省内の力学にそった人事ができたが、安倍政権で完全に変わった。官邸の意を受けた政策を成し遂げた人こそが評価される」
責任負わない「政治主導」
官邸が官僚を従える力の源泉は人事だけではない。
安倍政権は、重要案件ごとに内閣官房や内閣府に省庁横断の組織や会議を次々と設置。各省庁から政策立案の権限を奪い、一部の「官邸官僚」が政策を動かすことが常態化している。
安倍が掲げた「人づくり革命」を具体化するため、昨年9月に立ち上げた「人生100年時代構想会議」は、その典型だ。内閣官房に置かれた「推進室」には各省庁から約30人が集められた。
政策の骨格は内閣府政策統括官だった新原浩朗や首相秘書官の今井尚哉らが検討。財政悪化につながる3~5歳児の教育・保育の無償化や、消費税の使途拡大による財源確保を財務省にのませ、安倍の衆院解散表明にあわせて打ち出した。
結論を急ぐあまり、担当省庁による十分な政策検証は置き去りにされた。無償化で待機児童が逆に増えるなどの批判が噴出しても、官邸は公約実現に向けて突き進んだ。
昨年末、改革の大きな道筋がつくと、推進室の多くの職員が席を引き払った。寄り合い所帯で作業が終われば散っていく組織の責任はあいまいになりがちだ。政策決定を主導する首相秘書官や補佐官も、国会答弁に立つことはまずない。
官邸主導は本来、二大政党間で政権交代があることを前提に、短期間で政治の結果を出せる仕組みをめざした姿だった。しかし、5年半を超える長期政権で政権交代の緊張感は薄れた。「政治主導」を掲げながら、財務省による公文書改ざんなど、大きな不祥事が起きても誰一人、政治責任を負わないいびつな構造ができあがった。
組織防衛を本能とする官僚たちはいま、安倍に近い甘利明が自民党行政改革推進本部長として旗を振る「省庁再々編構想」におびえる。国家予算の3分の1を使う厚生労働省の解体などが現実味を帯びつつある。「それはそうだな」。巨大官庁の分割案に安倍も受け入れる姿勢だ。(座小田英史、松浦祐子、福間大介)
官僚が大臣に警鐘鳴らす英国 忖度生みかねない日本
いまの保守党政権の目玉政策の一つで、2020年から実施予定の若年層の技能教育プログラムを先送りする提案だった。
英国では、政策判断の最終権限を持つのはあくまで大臣だが、次官は無駄遣いなどのリスクも考え、警鐘を鳴らすことができる。「公務員規範」で官僚に公平性や政治的な中立性を求め、官僚が政策の根回しのために与党議員らと接することも制限される。
英シンクタンク「インスティテュート・フォー・ガバメント」上級研究員のブノア・ゲランは「公務員が政治から距離を置いているのは歴史的な背景がある」と説く。政権に近い人が任用され、汚職などが広がった反省があり、19世紀半ばからそうした事態を防ぐ仕組みが整えられてきた。
人事制度もその一つだ。公平で開かれた人事を掲げ、上級官僚は、独立組織の公務員委員会のメンバーが議長を務める選考会議を経て決められる。事務次官は公募され、選考会議の審査で選ばれた複数の候補者から首相が選ぶ。英バース大学教授(公共政策)のニック・ピアースは「英国では政治家と官僚の役割分担は明確で、官僚の中立性への意識も強い」と話す。
忘れないで、一帯一路の終着点は日本属国化
全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。
昨年、あるパーティーでスピーチを依頼されたとき、私は次のように言いました。
「日本は必然的に米中覇権戦争の狭間に立たされるが、間違っても関ヶ原の合戦における小早川秀明のように振る舞ってはいけない。そんなことをしたら、どちらが勝っても潰されるだけだ」
でもやっぱり、日本政府は心配した方向に進んでいるようですね。
昨年10月の日中首脳会談で、安倍首相が第三国インフラでの日中協力を打ち上げたとき、「一帯一路に協力させてください!」と懇願しているように見えました。
それを否定するかのように日本政府は「第三国協力は開放性、透明性、経済性、財政健全性の4条件で進める」「一帯一路への協力ではない」などと言っていました。
それでどうやって中国とビジネスをやるんでしょうか?
それらの条件が揃うプロジェクトに限定すればよい、とまじめな顔でいうシンクタンクの方もいらっしゃるようですが、相手の本質が変わるはずもありません。
スティーブン・バノン氏が警告するように、一帯一路、中国製造2025、5G制覇はセットで世界覇権を目指す中国の大戦略であることは疑う余地がありません。日本政府の4条件をまじめに考慮する中国ではありません。理解したふりをして、日本を絡め取ってから利用しようとするでしょう。
と思っていたら、案の定、「3月6日、全人代の経済関係に関する記者会見で、中国政府は日本が“一帯一路”に協力していると断言した」というニュースが飛び込んで来ました。
中国ウォッチャーの遠藤誉さんや福島香織さんは、これは中国が「一帯一路=債務トラップ」というネガティブ・イメージを払しょくするために、日本を利用しているのだと指摘します。
3月6日の中国共産党機関紙である「人民日報」の海外版は、「宣言!中日が共同建設する“一帯一路”がタイ国に決まった意義は深遠である」とまで書いているそうです。
実に予想通りの展開です。
当たり前です。日本がどんな建前を並べようと、たとえ、マシな事業を選んだつもりでも、相手は最初から利用する気でいるんですから、日本との合意なんて最初から気にしていません。日本政府は国民の知的水準をかなり低く見積もっているようです。
遠藤誉さんによれば、中国はさらに、欧州を中国5Gに取り込んでしまおうと目論んでいるといいます。「日本も参加する一帯一路は健全です。だから、5Gも大丈夫ですよ」というわけです。
日本が長年築き上げてきた国際的信用が、まんまと利用されるという、予想どおりの展開です。
するとなんと、イタリアが一帯一路に参加することを正式に表明したとのこと!日本、役立っていますね。
ここで思い出すのが中学や高校で習った歴史の授業。
「第二次世界大戦は、ドイツ、日本、イタリアを中心としたファシズムの枢軸国と、アメリカ、イギリス、などを中心とした自由主義陣営の連合国の対決だった」と教わりました。
自由主義陣営と言ったって、世界中に植民地を持つ帝国主義国家群です。国内的には民主主義を標榜していても、対外的には帝国主義政策を取り得るのです。政治体制は違っても、帝国主義国家群の覇権争いが本質です。
そこで、誰と組むのか?必死で中立を保つのか、極めてクリティカルな判断と決断が必要になります。
あの時、ナチスドイツと組む選択をしたイタリアと日本。
今は中国がナチスドイツの立ち位置をとり、ドイツはあの頃と同じで中国にべったり。イタリアも乗ってしまう。フランスはフラフラ、そして日本も?
なんだか、いつか見た光景に酷似しています。結局こうなってしまうのでしょうか?
この30年、日本経済の負けっぷりは見事なものがありました。
なにしろ、世界のGDPに占める割合が18%から6%に低下したのです。あらゆる分野で負けまくりの日本企業は、大局的な国家の行く末よりも、目先のビジネス獲得に必死です。「中国に選んで頂ける会社にならねば!」と言った日本を代表する企業の社長の表情にそれがよく表れています。
でも、この場を借りて断言しておきます。もし、中国のAIや5Gが勝利して、自動運転が中国のシステムで動くようになった暁には、中国は日本車を走らせようなんて毛ほども思っていません。
また、日本が中国にこんなにすり寄ってもアメリカが文句を言ってこないのは、何かウラがあるんじゃないかとか、深慮遠謀があるんじゃないかとかおっしゃる方もいますが、私はそう思いません。
基本的にはアングロサクソン国家でアメリカの同盟国であるオーストラリアも随分ふらついて醜態をさらしました。
でも、それぞれの国には経済運営上の都合があって、どこの国でも経済人はビジネス優先で、長期的な国益など考えない傾向があるものです。
それはアメリカも同様だから、いちいち苦言を呈するわけにはいかないのです。まして、公に嫌味を言えば、仲間割れの印象を与えてしまいます。
しかし、アメリカではすでに安倍政権の中国擦り寄りを厳しく批判する論文も出されています。
アメリカが嫌味を言おうと黙っていようと、自国の運命は自国の判断に委ねられているのです。難局に際して誰と組むかは自主的に決めなくてはなりません。
目先のビジネスで一帯一路に色気を示しても、利用されるだけされて、行きつく先は「終わった国」として属国化です。
スティーブ・バノン氏は私に、安倍首相は中国の脅威を深く理解していると語りました。
それが本当かどうか、結果はすぐにわかるでしょう。
山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110
止まらない静かなる侵略-本当に危ないのはどの国か?
全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。
先日、ある討論番組に出演し、次のように主張しました。
「移民政策は安全保障に直結していることを忘れてはならない。移民や留学生をフルに活用して世界中で浸透工作を行っている国があるからだ」
すると、元高級官僚の方がこう言いました。
「中国が悪いと言ったら、アメリカだって悪い。原爆や大空襲、それに、日本政府に色々言ってくる」
善悪二元論で言ったら、世界中悪い国だらけではないでしょうか?また、ひとつの国にも良い面と悪い面があります。
今、我々に求められているのは、善悪の判断というよりも、どの陣営に付いたら生き残ることができるか、という冷徹な判断です。今の日本の国力では単独で中立を保つことは不可能です。
オーストラリアから衝撃的なニュースが飛び込んできました。
メルボルン拠点の主要紙「ジ・エイジ」シドニー拠点の「シドニー・モーニングヘラルド」、そして国営放送ABCが協力して調査し、作成した「中国のオーストラリアにおける浸透工作」に関するドキュメンタリーが放映されたというのです(Interference China’s covert political influence campaign in Australia Four Corners)。
昨年、危機感から外国干渉防止法を可決したオーストラリア。今年に入ってからは、政界工作を行っていた中国人富豪の永住権をはく奪し、市民権申請も却下しました。やっと目覚めたかに見えたオーストラリア。
しかし、ドキュメンタリーを見て背筋が凍りました。中国共産党による大規模で組織的なオーストラリア浸透工作はまったく止んでいなかったのです。
トニー・アボット元首相が、オーストラリアのインテリジェンス機関(ASIO)の警告を無視して中国人富豪グループに自由党への寄付を促していたことも暴露されました。
全豪に本国共産党に通じる監視ネットワークが張り巡らされ、共産党に批判的な中国人や団体は攻撃され、協力的な中国人や団体は支援されることがつまびらかになりました。
中国総領事館が直接地方自治体に圧力をかけてくるケースも暴露されました。危機感を感じたタンブル前首相は、中国関連アドバイザーのジョン・ガーナウト氏に極秘調査を命じました。
すると、彼の調査に協力する中国人学者は中国当局にマークされ、中国に入国するや否や連行されて尋問を受けてしまうのです。
2018年3月、オーストラリアに帰化した中国人作家ヤン・ヘンジュン氏は、シドニーでガーナウト氏に会いに行く途中、中国政府からの電話で足を止められました。電話の主はガーナウト氏について根掘り葉掘り質問し、ヘンジュン氏は約束の時間に1時間も遅れてしまいました。
元中国政府の情報機関に勤務していたヘンジュン氏は、中国共産党に批判的になったことから解雇された経歴の持ち主で、ガーナウト氏に貴重な内部情報を提供しました。
ガーナウト氏はヘンジュン氏に、絶対に中国本土に行かないように警告しました。逮捕される危険性が高いと判断したからです。
しかし、ヘンジュン氏はそのアドバイスを無視して2019年1月に中国へ奥さんと娘を連れて渡ってしまいます。
案の定、税関では中国政府の職員が10人ほど待ち受けていました。ヘンジュン氏は家族と引き離され、連行されたまま消息不明になっています。残された家族も出国を禁じられたまま、未だにヘンジュン氏の安否も知らされていません。
ガーナウト氏はヘンジュン氏が精神的拷問を受けているのではないかと危惧しています。
ニュージーランド、カンタベリー大学のアンマリー・ブレイディ教授は、2017年にニュージーランドにおける中国の浸透工作を暴く衝撃的なレポートを発表し、現在も調査を続けています。
そして今年、オーストラリアの国会で証言をすることになっていた前日、彼女の家は泥棒に荒らされてしまいます。現金などには一切手を付けず、情報のみを盗んでいったとのことでした。この犯行にも、中国政府の関与が強く疑われています。
このように、オーストラリアやニュージーランドでは、中国共産党による浸透工作はもはや公然の秘密になっています。
さて、ここからが本当の問題です。
開かれた移民国家であるがゆえに、その制度を徹底的に利用されて幅広い浸透工作を許してしまったオーストラリアとニュージーランド。
圧倒的なマネーと人海戦術に押しまくられ、まだ自国防衛の戦いに勝利していません。心配な状況が続きます。しかし、やっと現状に気づき、法律の整備や汚職政治家の解任、問題人物の追放も行いました。
一方、これまで、西側先進国では最も閉ざされていた日本はそこまで浸食されていないように見えます。
しかし、実際には全く同じことがなされている、という情報があります。
全く同じことが進行しているが、自浄能力が無いために、表ざたにもならないというのです。
最近の日本政府の動きを見ていれば、その可能性は十分高いと言えます。
猛攻撃を受けたが、現実に目覚め、警戒感を強めるオーストラリアとニュージーランド。表面的には何も見えず、スパイ防止法もなく、政治家の癒着も追及されない日本。
本当に危ないのはどちらでしょうか?
「中国が悪いならアメリカも悪い」と言っている場合でしょうか?我々日本人はすでに「ゆでガエル」なのかもしれません。
山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110
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