宝満山研究会(山岳宗教遺跡の保全と研究)

大宰府の北東に聳える宝満山の歴史的価値を掘り起こし、山の保全を考える会です。

『筑前国続風土記』白山権現社2

2008-12-01 | Weblog
(前回からのつづき)

此僧坊の亡ひし濫觴を尋るに、いつの比にや有けん。
本谷の児、秋の比、橘の多く実りしを誉ける。
別所の僧徒聞て、花なとの多きをほめこそ風流なるべきに、
くだものの多きをほむる事、卑狭なる児かなとて、
つとひて是を嗤り笑ひける。彼児何心なく誉し事を多くの人にわらはれ、
甚恥辱にあひたりと、ふかく思ひしにや、
終に前なる谷川のふかき淵に身を投てこそ死けれ。
其所を今に至て、児か淵といふ。
是より事起り、本谷の僧徒大に怒りて、
大勢を催しけるに、西谷百坊も本谷に与力し、
別所と闘論に及て、たかひに火を放ちて戦ひけ故、
別所、本谷西谷の僧坊、悉く炎上して絶滅せり。

(つづく)