かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 18,19 アフリカ①

2023-06-29 13:44:21 | 短歌の鑑賞
 2023年度版馬場あき子の外国詠2(2007年11月実施)
    【阿弗利加 1サハラ】『青い夜のことば』(1999年刊)P155~
       |参加者:崎尾廣子、T・S、N・T、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:崎尾 廣子  司会とまとめ:鹿取 未放
  

18 仕合せの死不仕合せの死さまざまの死のこともサハラは見しとも言はず

       (まとめ)
ここの死は定点ではなくその人の生涯を総合俯瞰したものだろう。「何も生まず何も与へず生かしめぬ」サハラは、見たとは言わないながら、古来よりのさまざまな人生とさまざまな死を見続けてきたのだ。そのなかにはランボーも含まれているのだろう。      (鹿取)
 

19 沈黙す愚かにあくせく働ける日本人われ沙漠を歩む

      (まとめ)
 初句と四句に切れがある。だから「愚かにあくせく働ける日本人われ」が砂漠を歩みながら、沈黙しているのである。なぜ沈黙するかというと、日頃あくせく働く日本人の一人である「われ」が働くことの意味を問い直し、「あくせく」働くことは愚かであるなあと思うからである。沙漠を歩むことはあまり意味の無い事ながらまあ珍しさの故であるが、日頃意味あることと信じてあくせくと働いてきた日本人のわれの愚かさを沙漠は照らし出すのである。そして、生きる意味の本質とは何かを考えさせるのであろう。       (鹿取)

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