かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 42,43 アフリカ④

2023-08-20 12:02:09 | 短歌の鑑賞
 2023年度版 馬場あき子の外国詠 5(2008年2月実施)
  【阿弗利加2 金いろのばつた】『青い夜のことば』(1999年刊)P165~
  参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、T・S、Y・S、高村典子、
       藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
  レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放


42 暗き灯のスークに生きてアッラーに膝まづく一食を得し幸のため

      (まとめ)
 「十匹のばつたを少年に売らしめて老工はアッラーに膝まづきたり」に続く歌。スークの暗い灯の下で、鏨を使って作品を生み出すことを生業にしている人々、おそらく一生がその繰り返しなのだろう。インタビューしたわけではないだろうが「一食を得し幸のため」膝まづいてアッラーに感謝を捧げていると断定しているところが作者らしい。しみじみと老爺たちの一生を思いやっている。 (鹿取)
    

43 アフリカを耕し生くる祈念のこと知りたし金色にかがやくばつた

      (まとめ)
 世界から一般には不毛の大地ととらえられているアフリカの大地を何とか耕して、わずかな作物を得て人々は生きている。それは何かを念じての、民族の総和としての壮大な祈りのようだ。そのことをもっと知りたい。老爺の作る金色にかがやくばったは、そのことのひとつの象徴であるようだ。「アフリカを耕」す、と大きく出ているが概括的にならなかったのは作者の真摯な思索の結果だからだろう。逆にもっと絞って都市の名前などを入れていたら「耕し生くる祈念のこと」のフレーズを活かしきれなかっただろう。(鹿取)

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