かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞 54

2020-10-11 21:01:06 | 短歌の鑑賞
ブログ版 清見糺鑑賞  9    かりん鎌倉なぎさの会

※前回、53番から64番に飛ばしてしまった為、欠番を埋めてゆきます。

54 蟹なれど自由主義者がさわぐときむず痒きかなてのひらの丘
  (「うしの会」94年11月号)

 「九十九里浜」の題がある。砂丘でたわむれに蟹を拾っててのひらに乗せたところ、逃げようとして蟹が暴れ回る。それを自由主義者と呼んでいる。砂丘の連想から「てのひらの丘」と呼んだことで詩的な広がりが生まれた。蟹にとっては生死の問題だが、「むず痒き」に相手の生命への温い歩み寄りがあり、皮膚を通した不思議な交流がユーモラスだ。


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