かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞 116

2020-11-02 18:58:23 | 短歌の鑑賞
   ブログ版 渡辺松男研究13【寒気氾濫】(14年3月)まとめ
      『寒気氾濫』(1997年)48頁~
      参加者:崎尾廣子、鈴木良明、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:崎尾廣子 司会と記録:鹿取 未放
          


116 光の円うつろいてゆく枯野原小綬鶏(こじゅけい)飛びもせず逃げてゆく

         (レポート抄)
 ピンホールカメラの作用と同じように木漏れ日が小さな形の太陽を地面に映すときがある。「光の円」はその光を表しているのであろう。小綬鶏は雑木林などに群れをなして住む。雑木林の名残を留める枯野原なのであろう。穏やかな時を枯野原に実感しているのであろう。 (崎尾)

                                 
         (発言)
★「光の円」ってどのくらいの大きさなんでしょうかね。(鈴木)
★「光の円」は太陽です。時間的経過を言っている。(慧子)
★枯野原に光が移動していく、天体の動きのようなものを感じているのかな。(鈴木)
★私も鈴木さんと同じように、枯野原を何か丸い形で光が移動していく、そういうイメージでし
 た。円の大きさは分からないけど、樹はない一面の枯野原だから木漏れ日はない。また、太陽
 だと上を見上げるんだけど、あくまで原を移動する地上のひかりをみていると思う。(鹿取)
★作者は夕暮れの枯野原にいて、作者が近づくと小綬鶏が飛ばないで逃げてゆく。(藤本)
★けっこう長い時間、枯野原の情景を眺めていて、やっぱり時間の移ろいを詠んでいるのかな
 あ。小綬鶏の「飛びもせず逃げてゆく」が、いかにもそういう感じですね。(鹿取)

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