かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 312

2024-09-07 09:48:12 | 短歌の鑑賞
  2024年度版 渡辺松男研究38(2016年5月実施)
    【虚空のズボン】『寒気氾濫』(1997年)128頁~
     参加者:S・I、泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、
        Y・N、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:S・I   司会と記録:鹿取 未放


312 日に干せばきのうの婬もいつわりも染みひとつなき白のワイシャツ

    (当日意見)
★実感がある。しかしそんなに重い歌ではない。(鈴木)
★「婬もいつわりも」って、こんな言葉を使われる相手は可愛そう。(M・S)
★そうですね、レポートには「婬もいつわりも」背徳的行為ってありますが、少なく
 とも「婬」は背徳的行為ではないと思います。ただ「婬」という言葉はそう読まれて
 も仕方が無いニュアンスを 持っていますね。それでも婬といつわりが同じ比重で並
 んでいるのはいかがなものかと思いま す。私はレポートとは違う解釈で、ワイシャ
 ツは洗濯すれば真っ白に再生するが、人間の気持 ちの方は婬もいつわりも引きずっ
 ていくという歌だと思います。(鹿取)


       (レポート) 
 ワイシャツは職業人のユニフォームである。帰宅をして着替えるまで、ワイシャツには作者の体臭とともに一日の様々な行為や思いが染み付いている。婬もいつわりも背徳的行為であり、作者は忸怩たる思いをしている。この内面とパラレルなのは日に干され、すべての痕跡がかき消されて、新品のように再生する白のワイシャツである。それは内面の具象でもある。新品になった白のワイシャツは、禊をした後のように清らかになり、内面も新しく塗り替えられるべく白紙化され、浄化されているのであろう。
  (S・I)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする